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第三十七話:「“待つ”という選択が、こんなに心を消耗させるなんて」
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『少しだけ、考える時間をください』
理奈さんからの返信は、それだけだった。
その言葉を見た瞬間、
スマートフォンを胸に押し当てて、目を閉じた。
嬉しかった。
まだ拒まれていないことが、
完全に終わりにならなかったことが、
ほんの少しだけ希望をくれた。
だけど――
**
時間が経つほどに、
その“希望”は、不安と背中合わせの毒になっていった。
「少しだけ」って、どれくらい?
一週間? 一ヶ月?
それとも、永遠に答えが来ない可能性もある?
(……それでも、待つって決めたのは、自分だ)
彼女が迷っているのは、わかっていた。
迷う理由も、わかっていた。
25歳の年齢差。
社長と作家という立場。
過去に失った人への想い。
ずっとつけている左手の指輪。
(俺は、あの人の“全部”を奪おうとしてるのかもしれない)
“ありがとう”と返してくれた彼女の声は、
震えていた。
優しさと、戸惑いと、
きっとそれだけじゃない感情が混ざっていた。
でも、そこに“嫌悪”はなかった。
だから信じたい。
信じていたい。
でも、「信じる」という選択が、
こんなにも孤独で、
こんなにも心を消耗させるものだとは、思っていなかった。
**
その日から、僕はしばらく編集部に顔を出さなかった。
理由は、原稿をまとめるため――
という建前。
本当は、顔を見るのが怖かった。
彼女の目の奥に、
「答えはNOです」と書かれていたらどうしよう。
無意識にでも、拒絶の気配を感じ取ってしまったらどうしよう。
(……自分がこんなに臆病だとは思わなかった)
彼女に想いを伝えた日、
あんなにもまっすぐに言えたのに。
今は、たった一言の“返信のない既読”に、
どれだけ傷ついているんだろう。
**
午前2時。
眠れない夜が続いていた。
恋愛小説の原稿は、もうほぼ完成している。
でも、物語のラストシーンを書かないまま、ページを閉じていた。
“この物語は、ハッピーエンドでいいのか?”
現実がまだ、
終わりを見せてくれないから。
**
ノートを開いて、心の中を言葉にする。
僕は今、待っている。
拒まれたわけじゃない。
でも、選ばれたわけでもない。
誰かの気持ちが動くのを、
信じることしかできない時間が、
こんなにも痛いとは思わなかった。
でも、彼女がもし、
この時間を“本気で考えてくれている”なら、
僕はどれだけでも待てる。
ただの気遣いじゃないことを、
願っている。
**
夜明け前、ほんの一瞬だけスマートフォンが光った。
胸が高鳴った。
でも、それは編集部の定期通知だった。
落胆した自分に、苦笑いをこぼす。
(……情けないな)
でも、今の僕は、
彼女の“ほんの一言”で喜び、
“返信がない沈黙”で傷つくくらいには、
恋をしている。
これはもう、言葉ではない。
説明ではない。
感情そのものだ。
**
静かに、部屋の灯りを落とす。
指先が、理奈さんの名前をなぞる。
彼女が僕の手を取ってくれなくても、
心だけは、離れないようにしたい。
でも、できれば――
僕の“好き”が、彼女の“好き”と繋がってくれたらいい。
それだけを願いながら、
目を閉じた。
理奈さんからの返信は、それだけだった。
その言葉を見た瞬間、
スマートフォンを胸に押し当てて、目を閉じた。
嬉しかった。
まだ拒まれていないことが、
完全に終わりにならなかったことが、
ほんの少しだけ希望をくれた。
だけど――
**
時間が経つほどに、
その“希望”は、不安と背中合わせの毒になっていった。
「少しだけ」って、どれくらい?
一週間? 一ヶ月?
それとも、永遠に答えが来ない可能性もある?
(……それでも、待つって決めたのは、自分だ)
彼女が迷っているのは、わかっていた。
迷う理由も、わかっていた。
25歳の年齢差。
社長と作家という立場。
過去に失った人への想い。
ずっとつけている左手の指輪。
(俺は、あの人の“全部”を奪おうとしてるのかもしれない)
“ありがとう”と返してくれた彼女の声は、
震えていた。
優しさと、戸惑いと、
きっとそれだけじゃない感情が混ざっていた。
でも、そこに“嫌悪”はなかった。
だから信じたい。
信じていたい。
でも、「信じる」という選択が、
こんなにも孤独で、
こんなにも心を消耗させるものだとは、思っていなかった。
**
その日から、僕はしばらく編集部に顔を出さなかった。
理由は、原稿をまとめるため――
という建前。
本当は、顔を見るのが怖かった。
彼女の目の奥に、
「答えはNOです」と書かれていたらどうしよう。
無意識にでも、拒絶の気配を感じ取ってしまったらどうしよう。
(……自分がこんなに臆病だとは思わなかった)
彼女に想いを伝えた日、
あんなにもまっすぐに言えたのに。
今は、たった一言の“返信のない既読”に、
どれだけ傷ついているんだろう。
**
午前2時。
眠れない夜が続いていた。
恋愛小説の原稿は、もうほぼ完成している。
でも、物語のラストシーンを書かないまま、ページを閉じていた。
“この物語は、ハッピーエンドでいいのか?”
現実がまだ、
終わりを見せてくれないから。
**
ノートを開いて、心の中を言葉にする。
僕は今、待っている。
拒まれたわけじゃない。
でも、選ばれたわけでもない。
誰かの気持ちが動くのを、
信じることしかできない時間が、
こんなにも痛いとは思わなかった。
でも、彼女がもし、
この時間を“本気で考えてくれている”なら、
僕はどれだけでも待てる。
ただの気遣いじゃないことを、
願っている。
**
夜明け前、ほんの一瞬だけスマートフォンが光った。
胸が高鳴った。
でも、それは編集部の定期通知だった。
落胆した自分に、苦笑いをこぼす。
(……情けないな)
でも、今の僕は、
彼女の“ほんの一言”で喜び、
“返信がない沈黙”で傷つくくらいには、
恋をしている。
これはもう、言葉ではない。
説明ではない。
感情そのものだ。
**
静かに、部屋の灯りを落とす。
指先が、理奈さんの名前をなぞる。
彼女が僕の手を取ってくれなくても、
心だけは、離れないようにしたい。
でも、できれば――
僕の“好き”が、彼女の“好き”と繋がってくれたらいい。
それだけを願いながら、
目を閉じた。
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