ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

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54)借金と向き合う覚悟

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1
「……それじゃ、話してくれるんですね?」

 昭人(あきと)が、慎重に言葉を選びながら確認する。

「……ああ」

 オーナーの息子・川島優斗(かわしま ゆうと)は、深く息を吐きながら頷いた。

「俺も、ずっと逃げてばかりだったけど……もう、逃げるのはやめる」

 その言葉に、峰子(みねこ)は 少しホッとした。

(ようやく……ちゃんと話し合える)

(でも、問題はここからよね……)

「それで、具体的に借金はいくらなんですか?」

「……」

 優斗は 少し言いづらそうにしながらも、口を開いた。

「……全部で、500万ちょい」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………は?」

2
「ご、ごひゃくまん!?!?」

「ちょ、ちょっと待って!? そんな額……!!」

「にゃぁぁ!?(そんなに!?)」

「にゃん!?(一生かかっても払えない!)」

 突然の 桁違いな金額 に、場が騒然となる。

「最初は50万くらいだったんだ……でも、利息とか延滞金とかが膨らんで……」

「気づいたら、500万超えてた……ってこと?」

「……あぁ」

「……うわぁ、リアルに闇金レベルですね……」

「まさか、違法なところから借りたんじゃ……」

「いや、最初は普通の消費者金融だったんだけど……返済に困って、知り合いに紹介された別のところから借りたのが……まずかった」

「……まさか、それがいわゆる“トイチ”みたいなところ?」

「……正直、そうかもしれない」

「…………」

 この瞬間、場の空気がさらに 重くなった。

3
「ねえ、どうにかならないの?」

 真緒(まお)が、不安そうに尋ねる。

「500万って……そんなすぐにどうにかなる額じゃないよね……?」

「……」

「……でも、何もしなければ、このまま取り立てが続いて、お店もなくなっちゃう」

「にゃ!(それだけはダメ!)」

「にゃん!(なんとかしないと!)」

 峰子は、ギュッと拳を握った。

「……方法を探すしかないわね」

「……でも、どうするんです?」

「オーナーが言ってた“店の売却金額”がいくらだったのか、それも重要になりそうですね」

「そうね……」

 峰子は 携帯を取り出し、オーナーに連絡を入れる。

4
『……あら、ミネコさん』

「オーナー、お忙しいところすみません。お店の売却金額について、お聞きしたいことがあって」

『……ええ、話せるわ』

「提示された金額、いくらだったんですか?」

『……ざっくり言うと、600万くらいかしら』

「……600万」

(つまり、店を売れば借金は返せる……)

(でも、それで本当にいいの?)

「……オーナーは、本当にお店を手放すしかないと思ってますか?」

『……』

『……正直、悩んでいるわ』

「……」

『でも、どうすればいいのか、私にはもうわからないのよ……』

 静の声には、明らかな 迷い があった。

5
「……クラウドファンディングの目標金額を上げて、借金の一部を補填するっていうのは?」

 琴葉(ことは)が、ふとアイデアを口にする。

「最初は、店の維持費を集めるつもりだったけど……ちょっと視点を変えてみるのもアリかも」

「なるほど……」

「でも、それだけじゃ足りないですよね?」

「……そうね」

 峰子は、真剣に考え込む。

(何か他にも資金を集める方法は……?)

「……ねえ、優斗さん」

「……なんだよ」

「あなた、今仕事は?」

「……やってるけど、正直、給料だけじゃ利息分すら払えてない」

「だったら……副業する気はない?」

「は?」

「もし、本気で借金を返したいなら、私たちも協力する」

「……!」

「でも、あなた自身が動かないなら、いくら周りが頑張っても意味がないわ」

「……」

「お母さんのために、お店を売る前に、あなた自身がやれることをやってみる気はない?」

「……」

 優斗は、少し 目を伏せた。

(私たちだけじゃ、どうにもならないこともある)

(でも、本人が本気になれば、道はあるかもしれない)

「……本当に、俺でもできることがあるなら……やってみる」

「……よし」

 ねこまど存続と借金問題の解決に向け、みんなで本格的に動き出す時が来た。
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