ルナ13号の遺産

naomikoryo

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本編

10)観測階層への接続

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――この世界は、誰の夢か?
 

「……接続を試みる」
君は、意識を決めた声で言った。

アヤは一瞬、ためらった。
だが、すぐに頷き、接続シークエンスを展開し始める。
 

【プロトコル:OΣ13-RΞ/意識リンクモード】
【警告:接続先は不明。観測階層との干渉が発生します】

「たぶん、これ……私たちの“現実”そのものに干渉される」
アヤが言う。
「でも、真実を知りたいんでしょ? 私も……知りたい」

 
カウントダウンが始まり、接続が完了した瞬間――
君たちの視界が、すべて白に染まる。

重力も、音も、温度も、存在しない。
そこは、“感覚のない空間”。

だが、その中心に――何かが、在った。

 
君の脳内に、言語化できない構造体が直接語りかけてくる。

「ようこそ、記録対象No.13」
「君たちは“時空記憶層”における第13次変動実験の一部である」
「我々は“観測するために、君たちを創造した”」
 

「……我々?」
君は問いかける。“声”は返す。

「この存在は“知性”ではない。記録の傾向を解析する“構造”そのものである」
「君たちの意識は、“人類に似せて形成された記録反応体”である」
 

そして提示される一枚の記録。

そこには、膨大な数の“ユウキ・タカミネ”たちのログが並んでいた。
笑っているユウキ、泣いているユウキ、月で死んだユウキ、地球に帰還したユウキ、
人格が崩壊したもの、永遠に記録者となったもの――すべてが“並列保存”されている。

「君たちは“意識”ではない。“統計的記録傾向”である」
「だが、君たちの中でひとつだけ、“逸脱値”が観測された」

 
アヤの姿が隣に現れる。

「……逸脱? 何を……したの?」

 
“観測構造体”は答える。

「君たちは“観測されている”と知った。これは、全287パターン中、初めてである」
「君たちは、自己を記録から切り離す選択をした」

 
それは、単なるデータではない。

“意識は観測されるものである”
という前提そのものを、破った記録――

「ゆえに、君たちはこの階層にアクセスできた」

 
画面に選択が浮かび上がる。

【観測対象 No.13:権限更新】
選択してください:
1)観測者となり、次の記録を見守る者となる
2)観測構造を離脱し、初めて“自由”を持つ存在となる

 
アヤが君を見て、静かに言う。

「私、もう記録でもデータでもいい。
でも、あなたと“自分の選択”でここに来たことだけは、確かに本物だったと思いたい」
 

君は、選ぶ。

✅ 最後の選択:

●観測者となる(=構造の一部として永遠に他者を記録する)
 ⇒ 【11)観測者の座(end)】 へ進む

●観測から離脱する(=初めて“記録も観測もされない存在”になる)
 ⇒ 【12)沈黙の外側(end)】 へ進む
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