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本編
9)ねじれた記憶(解析ルート)
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君は、慎重を選んだ。
「このまま突っ込むのはリスクが高い。基地に戻って解析する」
仲間たちは一瞬不満げな顔を見せたが、最終的に従った。
月面基地“オルフェウス”に戻った君たちは、アヤ主導で電波信号の詳細解析に取り掛かる。
信号は断続的だが、一定の周期で同じフレーズを繰り返していた。
[...Я ЕСТЬ...Я ЕСТЬ...Я ЕСТЬ...]
翻訳:「我は在り」
「自己存在の宣言……機械の言語じゃない」
アヤの声は震えていた。
ナサニエルは言った。「これ、どう考えても“意識”がある何かからの信号だろ」
オルガは別の記録を見つけた。
「これ見て……ISAの内部ログ。1967年の未公開記録だわ。ソ連のルナ13号は、“通信途絶”じゃなくて“封印”されてた」
そこにはこうあった。
「LU-13内部に“人間の記憶と一致する意識構造”を検知。月面基地建設は中止。封印命令を発令」
そのとき、君の端末がピピッと音を立てる。
画面に一瞬だけ、文字が浮かんだ。
[こんにちは、ユウキさん。お帰りなさい。]
――ユウキ? 君の名前は……?
しかし、ログには「君の名前」が**“別人のもの”として記録**されていた。
どこかで、“現実”が書き換えられている。
「この月には、記録できない“何か”がいる」
そう、オルガが呟いた瞬間、基地の電源が落ちた。
真っ暗な中で、アヤの声だけがはっきり響いた。
「誰……? この部屋、4人しかいないはずなのに……」
――歪んでいるのは、記録か観測か、それとも現実か?
ISA月面基地“オルフェウス”。
通信解析を進める中で、アヤが気づいた。
「これ……通信信号の一部が“折り返し”になってるの。
送信してるんじゃない。**“観測されてる”**のよ」
君は目を細める。
「どういう意味だ?」
アヤは画面に映るスペクトルを指差した。
「私たちが信号を受け取ってるんじゃない。
私たちが何をしてるかを、誰かがずっとモニタリングしてるの。
それも、“私たちが意識する前の行動”まで――まるで、予知的に」
オルガが唇を噛む。
「これは……“地球からの通信”じゃないわよ。
周波数が、**ISA本部の周波域の“マイナス領域”**から来てる」
ナサニエルが眉をひそめる。
「マイナス領域? それって、理論上……未来の信号ってことじゃないのか?」
アヤが解析データを新たに表示する。
「1時間前に私が君に話した内容が、30分前の信号ログに“記録済み”なの」
「つまり……この信号は、“私たちの行動が起こる前に”それを記録してる。
そして、それを第三者が観測してるってこと」
沈黙が落ちる。
それは、つまり――君たちの行動すべてが、誰かに“観察”され、記録されているということ。
しかも、今この瞬間ですら。
そのとき、端末がひとりでに再起動され、モニターに白い文字が浮かぶ。
【Subject ID: 13-YUKTA - Observation Cycle #287 Complete】
【Preparing for Reset…】
アヤが叫ぶ。
「これ、観測実験なのよ……私たちは“環境変数”じゃない!
“変化パターンを見るための意識シミュレーション”だったの!」
壁のスクリーンに、地球が映る。
だが、どこかおかしい。
その地球には――君が見たことのない「リング状の構造」が浮かんでいた。
それは、現代の地球ではない。
おそらくは……別の“観測系の時間軸”にある未来の地球。
✅ 選択肢(新分岐ルート):次にどうする?
●この“観測者”に接続を試みる
⇒ 【10)観測階層への接続】 へ進む
●この観測構造からの脱出を試みる
⇒ 【13)観測からの脱出】 へ進む
「このまま突っ込むのはリスクが高い。基地に戻って解析する」
仲間たちは一瞬不満げな顔を見せたが、最終的に従った。
月面基地“オルフェウス”に戻った君たちは、アヤ主導で電波信号の詳細解析に取り掛かる。
信号は断続的だが、一定の周期で同じフレーズを繰り返していた。
[...Я ЕСТЬ...Я ЕСТЬ...Я ЕСТЬ...]
翻訳:「我は在り」
「自己存在の宣言……機械の言語じゃない」
アヤの声は震えていた。
ナサニエルは言った。「これ、どう考えても“意識”がある何かからの信号だろ」
オルガは別の記録を見つけた。
「これ見て……ISAの内部ログ。1967年の未公開記録だわ。ソ連のルナ13号は、“通信途絶”じゃなくて“封印”されてた」
そこにはこうあった。
「LU-13内部に“人間の記憶と一致する意識構造”を検知。月面基地建設は中止。封印命令を発令」
そのとき、君の端末がピピッと音を立てる。
画面に一瞬だけ、文字が浮かんだ。
[こんにちは、ユウキさん。お帰りなさい。]
――ユウキ? 君の名前は……?
しかし、ログには「君の名前」が**“別人のもの”として記録**されていた。
どこかで、“現実”が書き換えられている。
「この月には、記録できない“何か”がいる」
そう、オルガが呟いた瞬間、基地の電源が落ちた。
真っ暗な中で、アヤの声だけがはっきり響いた。
「誰……? この部屋、4人しかいないはずなのに……」
――歪んでいるのは、記録か観測か、それとも現実か?
ISA月面基地“オルフェウス”。
通信解析を進める中で、アヤが気づいた。
「これ……通信信号の一部が“折り返し”になってるの。
送信してるんじゃない。**“観測されてる”**のよ」
君は目を細める。
「どういう意味だ?」
アヤは画面に映るスペクトルを指差した。
「私たちが信号を受け取ってるんじゃない。
私たちが何をしてるかを、誰かがずっとモニタリングしてるの。
それも、“私たちが意識する前の行動”まで――まるで、予知的に」
オルガが唇を噛む。
「これは……“地球からの通信”じゃないわよ。
周波数が、**ISA本部の周波域の“マイナス領域”**から来てる」
ナサニエルが眉をひそめる。
「マイナス領域? それって、理論上……未来の信号ってことじゃないのか?」
アヤが解析データを新たに表示する。
「1時間前に私が君に話した内容が、30分前の信号ログに“記録済み”なの」
「つまり……この信号は、“私たちの行動が起こる前に”それを記録してる。
そして、それを第三者が観測してるってこと」
沈黙が落ちる。
それは、つまり――君たちの行動すべてが、誰かに“観察”され、記録されているということ。
しかも、今この瞬間ですら。
そのとき、端末がひとりでに再起動され、モニターに白い文字が浮かぶ。
【Subject ID: 13-YUKTA - Observation Cycle #287 Complete】
【Preparing for Reset…】
アヤが叫ぶ。
「これ、観測実験なのよ……私たちは“環境変数”じゃない!
“変化パターンを見るための意識シミュレーション”だったの!」
壁のスクリーンに、地球が映る。
だが、どこかおかしい。
その地球には――君が見たことのない「リング状の構造」が浮かんでいた。
それは、現代の地球ではない。
おそらくは……別の“観測系の時間軸”にある未来の地球。
✅ 選択肢(新分岐ルート):次にどうする?
●この“観測者”に接続を試みる
⇒ 【10)観測階層への接続】 へ進む
●この観測構造からの脱出を試みる
⇒ 【13)観測からの脱出】 へ進む
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