再び君に出会うために

naomikoryo

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序章

能力(ちから)

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「兄ちゃん、兄ちゃん!!」
「何だよ朝っぱら早くに~!・・・今日は休みだろ。」
「兄ちゃん、かなきちが~!・・・かなきちが死んじゃったよ~!!」
「なに~!」
太一は健に揺らされながら、それを聞いてパッと起き上った。
「本当か?・・・寝てるんじゃないのか?」
「手に乗せてみたけどくた~としたまま動かないよ・・・」
「どれ。」
太一は急いで健の部屋へ向かった。
健の部屋のすぐ入口にある戸棚の上に40平方cmで深さが30cm位のガラスケースがあり、その中でかなへびである「かなきち」が真ん中あたりで横たわっていた。
健も後ろをついてきていて、
「もう5年になるから寿命かなぁ・・・なぁ兄ちゃん。」
「そうだな。・・・俺らがまだ小学生の頃からだからな。」
「この間から餌よく食べ残してたから心配だったんだけど・・・さ・・・」
「まぁ、かなきちも長いことうちにいて、お前によく面倒見てもらって、・・・本望だろう・・・」
太一は蓋を外してかなきちの身体を揺らしてみた。
だが、もうピクリとも動かなかった。

「・・・なんか入れ物持ってくるよ・・・・・どっかに埋めてやるよ。」
「そうだな・・・」
健は部屋の中を見回したが何もそれらしいものを見つけられなかったのか、部屋を出た。
太一は切ない気持ちで「かなきち」をすくい上げた。
(太一・・・悲しんでいるのか?)
「あぁ・・・、あっ??なんだ・・・」
(おいおい、夢じゃなかったのかって、何だよ!)
「いや~、おかしな事だったんで、面倒だからつい逃避しちゃってたかも・・・」
(全く・・・・・・・ところで、どうなんだい?そんな感情が伝わって来てるんだけど?)
「あぁそうだよ!健とずっと一緒に育てていたペットなんだ。・・・死んじまったら、そりゃあ悲しいさ。」
(そう・・・じゃあ、復活させればいいじゃないか?)
「は?」
(エネルギーを少し与えることで生命体は復活できるだろ?)
「いや、それはないな。」
(え?君達は核が止まったら終わりなのかい?)
「核って?・・・・・それって心臓のこと?」
(そうかな・・・・・まだ良く分かってはいないけど、そんな感じ)
「そうかい。・・・って、生き返らせれるの?」
(多分ね。・・・・・・ただ・・・・・)
「ただ?」
(死に至る原因が病原体の場合は、それを除去する事は出来ないからまたいずれ死ぬことになるけど・・・)
「事故とかだったら?」
(それなら破壊された細胞組織や体組織はもとに戻せるから復活できるよ、問題なく。)
「そうなのか・・・なら・・」
(ちょっと待って・・・違うことを考えているね?・・・・・これは、人?・・・・・・大きい?)
「あぁ、人間の大人だけど、大丈夫なのか?」
(一応ね。ただし、生き返らせる生命体と同じ量のエネルギーは必要になるよ・・・・・おそらく・・・君のイメージしている人を生き返らせるには僕だけじゃ無理だな・・・)
「そっか・・・」
(がっかりするのは早いよ。昨日言った話憶えているかな?その・・・僕の相手の・・・)
「あぁ、地球ではぐれたっていう?」
(そう!その2体・・・2人と言っておこう。彼女らを探し出せれば・・・)
「そうなのか!・・・それはどうやればいいんだい?」
(協力してくれるのかい?)
「あぁ。・・・その代り・・・」
(勿論、その時は君が望む人を生き返らせてみせるよ!・・・って、体はあるんだよね?)
「この辺は土葬になっていて、土に埋めてあるはずだよ。・・・腐っちゃったりしても大丈夫か?」
(基本的な骨格とかあれば大丈夫だよ!・・・まぁ、歯1本からでも可能だけど、その場合は僕たちだけでは無理だけどね。)
「そうなのか・・・わかった。お互い協力しよう!」
(ありがとう。・・・じゃあ、とりあえずその「かなきち」を復活させればいいんだね?)
「寿命の場合はどうするんだ?」
(復活は最初の細胞組織に戻るからそれはない・・・所詮この程度のエネルギー量の生物なら、僕一人でもそれぐらいは出来るよ!)
「そうなのか、ありがたい!」
(じゃあ・・・)
「かなきち」を乗せている掌が青白くひかり、だんだん「かなきち」の体をその光が覆っていった。
10秒ほどしてパッと光が消えると「かなきち」はパッと目を開けチョロチョロと太一の掌の上を動き回った。
入れ物の中に戻してやると「かなきち」は早速水飲み場に行き水を飲みだした。
「おぉ~!・・・すげ~!!」
(疲れた・・・ちょっと休むから、なるべく早目に栄養を補給してね・・・君のエネルギーも使っているから・・・)
声がだんだん小さくなっていく。
(それと・・・・・この事は・・・秘密・・だ・・・・よ・・・・・・・・・・)
声が聞こえなくなった。
「おい!・・・おい!・・・眠ったのか?・・・まぁいいや。どうせこんなの言ったって、それこそ中2病だって言われるだけさ・・・・・・・。お~い健~。」
と廊下に出て大声を出した時、物凄い立ちくらみで太一は廊下にぶっ倒れてしまった。
「うっわ・・・体が・・・」
目や意識ははっきりしているが体を動かそうとしても動かなかった。

それから3分ほどして、台所から小さなビニール袋を持った健が戻ってきて、廊下で倒れている太一に気が付いた。
「兄ちゃんどうしたんだ?」
慌てて駆け寄ってきた健に、
「腹が減りすぎたんだ・・・台所に連れて行ってくれ・・・・ちなみに、「かなきち」はやっぱり寝てただけだったぞ!」
「そうなの!!・・・でも、あんなに・・・」
健はまず「かなきち」を確認し、安堵の表情で戻ってきた。

「さっきはなんで・・・?」
それでも不思議そうに首をかしげる健に、
「きっと、死んだ振りの練習でもしてたんだよ。」
と言ってやった。

健の肩に手を回しながら起きようとしたが無理だった。
仕方が無いので仰向けに転がしてもらい台所まで引きずって貰った。
「そんなになるまで腹減ってたの?」
「母ちゃんいないうちに何か口に入れてくれ!・・・なんか、声も出なくなってきた・・・」
「う、うん。わかった。」
健は冷蔵庫をあさり、ちくわを1本袋から取り出すと寝転がっている太一に食べさせた。
「次だ、次。」
そうして4本全て食べると少し起きられるくらいになった。
「なんか兄ちゃん、ロープレのHP1の勇者みたいだ。」
「そ、そうか?」
今度は魚肉ソーセージを食べさせてもらいながら太一は照れた。
「おっ!!なんか椅子に座れそうだから、めしと生卵と納豆持ってきてくれ。」
「はいよ。」
健は文句もなく言われたものを太一の前に運んだ。
最初の1杯目は健に手伝ってもらい、2杯目からは自分で何とか食べ始めた。
まだ朝6時だというのに1升炊いたご飯を一人で食べてしまった。

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