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第6話「婚活講師の教えは、婚活女子にキツすぎる・再来」
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「あなたねぇ、“誠実な人と出会いたい”とか言いながら、顔面フィルター厚塗りして婚活してるでしょ?」
再会5分でコレである。
婚活アドバイザー、美城静香――通称“婚活界の女帝”。
圧がすごい。まばたき一発で心臓止まりそうなレベル。
あたしが心の中で「静香砲」と呼んでいる、あの口撃が今日も炸裂している。
「い、一応……プロフ写真はサロンで撮った“盛ってない”やつなんですけど……?」
「“盛ってない”と思ってるの、あなただけ。髪のツヤ、加工してるでしょ?あと、アゴ引きすぎ」
「そこ見る!?」
思わず素が出た。いかんいかん、“猫かぶりモード”は封印したのだった。
ことの始まりは、数日前の川原との会話。
「プロフィール、見直したほうがいいっすよ。今のままだと、“自称・清楚な美容師(口が悪い)”で終わってる」
「うっさいわボケ。……でもまあ、変えた方がいいとは思ってた」
「じゃ、例の女帝に“婚活プロフィールの再構築”お願いしといた。週末行ける?」
「え、またあの人……?」
「うん、全力で殴られてきて」
「死ぬじゃん」
そんな経緯で、今日、婚活再戦の火蓋が切って落とされたわけである。
静香先生の事務所は、都心の一等地に構えるサロン型オフィス。
来るだけで婚期が縮まりそうなピリついた空気感。
「で、大庭さん。まずはあなた自身の“魅力”を三つ言ってください」
いきなりの問いに、私は言葉を詰まらせた。
「え、えっと……美容師なんで、髪のことには詳しくて……あと、まあまあ明るくて……、うーん……」
「それ、職能と性格。**“結婚相手として選ばれる理由”じゃないの。**やり直し」
「は、はい……」
「あなたの魅力は、“気が強いけど情が深い”、“ズケズケ言うけど嘘はつかない”、“見た目チャラそうでも中身は一本筋が通ってる”」
「え、それ……あたしのことちゃんと見てくれてんの?」
「職業ですから。でね――そういう“ギャップ”こそが、あなたの売りなんです」
「ギャップ……?」
「婚活で成功するのは、“人と違う一点”を武器にできる人。万人ウケなんて狙うな。あなただけの“刺さる魅力”を、一本に絞りなさい」
その言葉が、スーッと頭に入ってきた。
万人ウケなんて、そもそも性に合ってない。
でも、確かに“誰か一人”にだけ深く刺されば、それでいいのかもしれない。
その後、美城は鬼の勢いでプロフの文面を添削し始めた。
「元ヤンだけど、今は穏やかな日々を大切にしています」
→「“元ヤン”はもういらない。わざわざ地雷を埋め込む必要なし。“正直者で感情に素直なタイプ”に変えて」
「理想の相手は、優しくて落ち着いた人」
→「優しいは抽象的。“怒鳴らない人”“家族を大切にしている人”など、具体的に」
「まずは友達からでも」
→「それ言い出すと、“恋愛に興味ない”って読まれるからNG。“真剣に結婚を考えている方と出会いたい”に直して」
プロフが丸ごと別人になった。
でも不思議と、前より“自分に近い感じ”がした。
ひととおり作業が終わり、静香がティーカップを置いた。
「あなた、恋愛を“相手次第”だと思ってるでしょ? それが一番ダメなの」
「……うん、たぶんそう」
「違うのよ。婚活って、“相手を選ぶ作業”じゃない。“自分で未来を設計する作業”なの」
「設計、かぁ……」
「大庭さん、あなたさ――**
一緒にいたい男がどんな人かじゃなくて、
“一緒にいる時の自分がどんな自分でいたいか”を考えなさいよ。
それが、答えよ」
目の前でそう言われて、私は何も言えなかった。
言葉が、突き刺さるんじゃなくて、深いところに置かれた感じだった。
帰り道。
川原から「生きてる?」とLINEがきた。
「ギリ。ダメージ200だけど防御力で耐えた」
「おー、えらい。で、なに言われた?」
「“自分で未来を設計しろ”って」
「うん、あの人よく言うやつ。俺も最初それ言われて泣いたわ」
「お前も泣くことあるんだな」
「そりゃあるよ。人間だし」
「へぇ」
「へぇってなに」
「へぇって言いたくなるような顔してるからだよ」
ちょっと笑った。
なんか……肩の力、抜けたかも。
部屋に帰って、書き直したプロフィールを見直す。
「本当の自分、かぁ」
ふと、スマホに映る新しい文章に、少しだけ胸が温かくなった。
「私は感情が顔に出るタイプで、ちょっと口が悪いですが、ウソはつけません。
本気で誰かと人生を歩むなら、素の自分を見せて、それでも一緒に笑ってくれる人がいいです。」
前の私だったら、こんなこと書けなかった。
変わりたい、って思ってるわけじゃない。
“ちゃんと生きてきた自分”を、信じてあげたい。
そして、その先に、誰かがいてくれたら――
そんな日が来ても、いいのかもしれない。
再会5分でコレである。
婚活アドバイザー、美城静香――通称“婚活界の女帝”。
圧がすごい。まばたき一発で心臓止まりそうなレベル。
あたしが心の中で「静香砲」と呼んでいる、あの口撃が今日も炸裂している。
「い、一応……プロフ写真はサロンで撮った“盛ってない”やつなんですけど……?」
「“盛ってない”と思ってるの、あなただけ。髪のツヤ、加工してるでしょ?あと、アゴ引きすぎ」
「そこ見る!?」
思わず素が出た。いかんいかん、“猫かぶりモード”は封印したのだった。
ことの始まりは、数日前の川原との会話。
「プロフィール、見直したほうがいいっすよ。今のままだと、“自称・清楚な美容師(口が悪い)”で終わってる」
「うっさいわボケ。……でもまあ、変えた方がいいとは思ってた」
「じゃ、例の女帝に“婚活プロフィールの再構築”お願いしといた。週末行ける?」
「え、またあの人……?」
「うん、全力で殴られてきて」
「死ぬじゃん」
そんな経緯で、今日、婚活再戦の火蓋が切って落とされたわけである。
静香先生の事務所は、都心の一等地に構えるサロン型オフィス。
来るだけで婚期が縮まりそうなピリついた空気感。
「で、大庭さん。まずはあなた自身の“魅力”を三つ言ってください」
いきなりの問いに、私は言葉を詰まらせた。
「え、えっと……美容師なんで、髪のことには詳しくて……あと、まあまあ明るくて……、うーん……」
「それ、職能と性格。**“結婚相手として選ばれる理由”じゃないの。**やり直し」
「は、はい……」
「あなたの魅力は、“気が強いけど情が深い”、“ズケズケ言うけど嘘はつかない”、“見た目チャラそうでも中身は一本筋が通ってる”」
「え、それ……あたしのことちゃんと見てくれてんの?」
「職業ですから。でね――そういう“ギャップ”こそが、あなたの売りなんです」
「ギャップ……?」
「婚活で成功するのは、“人と違う一点”を武器にできる人。万人ウケなんて狙うな。あなただけの“刺さる魅力”を、一本に絞りなさい」
その言葉が、スーッと頭に入ってきた。
万人ウケなんて、そもそも性に合ってない。
でも、確かに“誰か一人”にだけ深く刺されば、それでいいのかもしれない。
その後、美城は鬼の勢いでプロフの文面を添削し始めた。
「元ヤンだけど、今は穏やかな日々を大切にしています」
→「“元ヤン”はもういらない。わざわざ地雷を埋め込む必要なし。“正直者で感情に素直なタイプ”に変えて」
「理想の相手は、優しくて落ち着いた人」
→「優しいは抽象的。“怒鳴らない人”“家族を大切にしている人”など、具体的に」
「まずは友達からでも」
→「それ言い出すと、“恋愛に興味ない”って読まれるからNG。“真剣に結婚を考えている方と出会いたい”に直して」
プロフが丸ごと別人になった。
でも不思議と、前より“自分に近い感じ”がした。
ひととおり作業が終わり、静香がティーカップを置いた。
「あなた、恋愛を“相手次第”だと思ってるでしょ? それが一番ダメなの」
「……うん、たぶんそう」
「違うのよ。婚活って、“相手を選ぶ作業”じゃない。“自分で未来を設計する作業”なの」
「設計、かぁ……」
「大庭さん、あなたさ――**
一緒にいたい男がどんな人かじゃなくて、
“一緒にいる時の自分がどんな自分でいたいか”を考えなさいよ。
それが、答えよ」
目の前でそう言われて、私は何も言えなかった。
言葉が、突き刺さるんじゃなくて、深いところに置かれた感じだった。
帰り道。
川原から「生きてる?」とLINEがきた。
「ギリ。ダメージ200だけど防御力で耐えた」
「おー、えらい。で、なに言われた?」
「“自分で未来を設計しろ”って」
「うん、あの人よく言うやつ。俺も最初それ言われて泣いたわ」
「お前も泣くことあるんだな」
「そりゃあるよ。人間だし」
「へぇ」
「へぇってなに」
「へぇって言いたくなるような顔してるからだよ」
ちょっと笑った。
なんか……肩の力、抜けたかも。
部屋に帰って、書き直したプロフィールを見直す。
「本当の自分、かぁ」
ふと、スマホに映る新しい文章に、少しだけ胸が温かくなった。
「私は感情が顔に出るタイプで、ちょっと口が悪いですが、ウソはつけません。
本気で誰かと人生を歩むなら、素の自分を見せて、それでも一緒に笑ってくれる人がいいです。」
前の私だったら、こんなこと書けなかった。
変わりたい、って思ってるわけじゃない。
“ちゃんと生きてきた自分”を、信じてあげたい。
そして、その先に、誰かがいてくれたら――
そんな日が来ても、いいのかもしれない。
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