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第4章:都市防衛と魔法制度の再設計へ
第6話:仮入隊者、現る
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土曜日の朝。
LinkLine準備会の代表アドレスに、一本のメールが届いた。
件名:面談希望
本文:
はじめまして。都内で事務職をしている者です。
“異界災害”について、個人的に関心を持っており、
貴組織の活動を非公式に知った者です。
もし可能であれば、一度お話を伺えませんか?
署名:大槻 未紗(おおつき みさ)・29歳
ミユキはメールを読み終えて、スマホを置いた。
「……来た」
静かに、けれど確かな重みをもって、LinkLineへの“初めての外部者”が現れた。
その日の午後、面談は都内の小さなカフェで行われた。
時間きっかりに現れたのは、短めの茶髪に眼鏡、控えめな色のパンツスーツを着た女性だった。
「はじめまして。大槻未紗です」
落ち着いた口調。
所作に無理はなく、少しだけ緊張しているのが逆に好印象だった。
ミユキ、アイナ、まどかの三人が迎えに立ち、簡単な自己紹介のあと、席に着く。
「まず、どうして私たちのことを知ったのか、聞いてもいいですか?」
アイナが最初に訊いた。
「はい。勤務先で、数ヶ月前から“説明できない現象”が続いていました。
機材の誤作動、意味不明な社内メール、体調不良が連鎖的に起きて……
最初はIT的なトラブルかと思っていましたが、
ある夜、同僚が“壁から何かが這い出てくる夢”を見たと口にして。
それを聞いた瞬間、なぜか私の中でも“何かがはじけた”感覚があって」
「“共鳴現象”かもしれないわね」
まどかが頷く。
「それで、そこから調べたんです。
都市部の異常な災害報告、SNS上で消えていく目撃情報、
“現実ではなかったことにされる異変”……
そういうものを追っていくうちに、
とある魔法技術のブログに辿り着いて――“LinkLine”の名前を見つけました」
ミユキは頷いた。
それはユリが意図的に仕込んだ“自然接触用の情報”だった。
「それで、あなたは“戦いたい”と思った?」
未紗は少し迷ってから、静かに答えた。
「……違います。
“戦えるとは思っていない”が正しいです。
でも、何かを“支えたい”と思いました。
あのとき感じた恐怖を、誰か一人でも少なくできるなら、
私には、それだけで十分です」
「あなたは、魔法の才能に覚醒したわけではありませんよね?」
アイナが、慎重に尋ねる。
「はい。“魔力の気配”のようなものを感じたことはありますが、
自分で何かを発動したことはありません」
「でも、“関わろう”と決めた」
「はい。
“知らなかったふり”を続けるのは、もう限界だったから」
沈黙。
ミユキは、数秒だけ目を閉じてから、言葉を選んで話した。
「正直に言います。
私たちは、“自分たちで選んだ再契約者”です。
過去に魔法を使っていたという背景があり、
だからこそ、今の制度の“危うさ”をわかっているつもりです」
「はい」
「でも、あなたのような“これから関わろうとする人”の存在は、
私たちにとって大きな希望でもある。
だから、正式な契約はできなくても、
LinkLineの“非戦闘支援班”としての仮入隊、検討してみませんか?」
未紗の目が見開かれた。
「そんな……本当に、いいんですか?」
「もちろん。
むしろ、私たちが必要としているのは、あなたのような人かもしれません」
まどかが微笑む。
「戦う人だけで組織は回らない。
情報整理、記録管理、物資の手配、生活支援――
どれも“前線”に並ぶほどの価値がある」
「そしてその“仕組み”を初めて支えてくれるなら、
あなたが“最初の柱”になる」
アイナの目が、ほんの少しだけ柔らかくなる。
未紗は、胸元を押さえながら、小さく頷いた。
「……はい。
私、やります。
戦えなくても、ここに立ちます」
ミユキは、グラスの水を一口飲み、そっと頷いた。
「ようこそ、LinkLineへ。
私たちは、誰もが“戦える日常”ではなく、
“戦わずに守れる日常”を作るために、ここにいます」
未紗の瞳が、涙で揺れていた。
カフェの窓の外では、春が近づく風が街をそっと撫でていた。
その夜。
LinkLineの会議チャットに、新しい名前が追加された。
・大槻未紗(支援班・仮入隊)
そしてそこに、ミユキが短く一言を残した。
ようこそ、“魔法のない魔法少女”へ。
LinkLine準備会の代表アドレスに、一本のメールが届いた。
件名:面談希望
本文:
はじめまして。都内で事務職をしている者です。
“異界災害”について、個人的に関心を持っており、
貴組織の活動を非公式に知った者です。
もし可能であれば、一度お話を伺えませんか?
署名:大槻 未紗(おおつき みさ)・29歳
ミユキはメールを読み終えて、スマホを置いた。
「……来た」
静かに、けれど確かな重みをもって、LinkLineへの“初めての外部者”が現れた。
その日の午後、面談は都内の小さなカフェで行われた。
時間きっかりに現れたのは、短めの茶髪に眼鏡、控えめな色のパンツスーツを着た女性だった。
「はじめまして。大槻未紗です」
落ち着いた口調。
所作に無理はなく、少しだけ緊張しているのが逆に好印象だった。
ミユキ、アイナ、まどかの三人が迎えに立ち、簡単な自己紹介のあと、席に着く。
「まず、どうして私たちのことを知ったのか、聞いてもいいですか?」
アイナが最初に訊いた。
「はい。勤務先で、数ヶ月前から“説明できない現象”が続いていました。
機材の誤作動、意味不明な社内メール、体調不良が連鎖的に起きて……
最初はIT的なトラブルかと思っていましたが、
ある夜、同僚が“壁から何かが這い出てくる夢”を見たと口にして。
それを聞いた瞬間、なぜか私の中でも“何かがはじけた”感覚があって」
「“共鳴現象”かもしれないわね」
まどかが頷く。
「それで、そこから調べたんです。
都市部の異常な災害報告、SNS上で消えていく目撃情報、
“現実ではなかったことにされる異変”……
そういうものを追っていくうちに、
とある魔法技術のブログに辿り着いて――“LinkLine”の名前を見つけました」
ミユキは頷いた。
それはユリが意図的に仕込んだ“自然接触用の情報”だった。
「それで、あなたは“戦いたい”と思った?」
未紗は少し迷ってから、静かに答えた。
「……違います。
“戦えるとは思っていない”が正しいです。
でも、何かを“支えたい”と思いました。
あのとき感じた恐怖を、誰か一人でも少なくできるなら、
私には、それだけで十分です」
「あなたは、魔法の才能に覚醒したわけではありませんよね?」
アイナが、慎重に尋ねる。
「はい。“魔力の気配”のようなものを感じたことはありますが、
自分で何かを発動したことはありません」
「でも、“関わろう”と決めた」
「はい。
“知らなかったふり”を続けるのは、もう限界だったから」
沈黙。
ミユキは、数秒だけ目を閉じてから、言葉を選んで話した。
「正直に言います。
私たちは、“自分たちで選んだ再契約者”です。
過去に魔法を使っていたという背景があり、
だからこそ、今の制度の“危うさ”をわかっているつもりです」
「はい」
「でも、あなたのような“これから関わろうとする人”の存在は、
私たちにとって大きな希望でもある。
だから、正式な契約はできなくても、
LinkLineの“非戦闘支援班”としての仮入隊、検討してみませんか?」
未紗の目が見開かれた。
「そんな……本当に、いいんですか?」
「もちろん。
むしろ、私たちが必要としているのは、あなたのような人かもしれません」
まどかが微笑む。
「戦う人だけで組織は回らない。
情報整理、記録管理、物資の手配、生活支援――
どれも“前線”に並ぶほどの価値がある」
「そしてその“仕組み”を初めて支えてくれるなら、
あなたが“最初の柱”になる」
アイナの目が、ほんの少しだけ柔らかくなる。
未紗は、胸元を押さえながら、小さく頷いた。
「……はい。
私、やります。
戦えなくても、ここに立ちます」
ミユキは、グラスの水を一口飲み、そっと頷いた。
「ようこそ、LinkLineへ。
私たちは、誰もが“戦える日常”ではなく、
“戦わずに守れる日常”を作るために、ここにいます」
未紗の瞳が、涙で揺れていた。
カフェの窓の外では、春が近づく風が街をそっと撫でていた。
その夜。
LinkLineの会議チャットに、新しい名前が追加された。
・大槻未紗(支援班・仮入隊)
そしてそこに、ミユキが短く一言を残した。
ようこそ、“魔法のない魔法少女”へ。
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