恋模様

naomikoryo

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三上陽子②

20:帰宅

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1月16日月曜日 午前8時

「じゃあ、戸締りよろしくね~。」
ちょっと前に目が覚めてまだ寝坊助状態の陽子は、
「は~い、じゃあ、また~。」
と出掛けて行く智子に返事をした。
「色々とありがとう~。」
と最後に声を出した。
ガチャリとドアの閉まる音が聞こえた。

智子が会社へと出掛ける時間に自分も出ようと思っていた。
がそれは無理だった。
昨夜も結局夜中の1時をまわってしまったからだ。
後半は、今まで聞いたことのない真美の昔の恋愛事情を聞けて面白かった。
いつもは真美も必ずいたからそんな話にはならなかったが、陽子が一人だけで来たからこそ実現したのだ。
「時々一人だけで遊びに来てもいい?」
と聞いてしまったぐらいだ。
「勿論、いいわよ!・・・・・あっ、プロポーズの事とかは、まだ姉さんたちには内緒ね。」
と言われ、
「私の事も内緒よ!」
とお互いの秘密を打ち明けあった親友のようになっていた。

陽子は背伸びをしながら居間に来た。
シンク周りなどには昨日の飲み食いの跡は全く無かった。
「やっぱり凄いわ、智子さん。」
昨日もワイン3本呑んで、1時過ぎに寝たのに、朝早くに起きて後片付け全部終わらせて出勤。
「誰だってお嫁さんに欲しがるわね。」
そう呟きながら洗面所へ向かった。

支度が出来て駐車場へ向かったのは9時くらいだった。
何だか呑み過ぎで体がだるい気がした。
「矢崎君のお祝いは週末にしよう。」
と車の中に置いてある小さなカレンダーを見ながら考えた。
昨夜智子が言っていた、
「若いうちは雰囲気で人を好きになってしまえばいいのよ。・・・もし失恋したって、そんなものは次の恋へのスタートに過ぎないんだから。」
が心に残っていた。
その反面、部下との恋愛は仕事までおかしくする事があるからしたことはない、とも言っていた。

「なるようにしかならない、ってことよね、やっぱり。」
そう呟いてエンジンをかけた。

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