初めての恋愛

第5話

和也「すまん、彩夏とデートには行けない」

彩夏「え？」

これが最善だ...

彩夏「えっとー、急にデートに誘ったのはいけなかったよね...」

彩夏「じゃあ、せめてお茶でも」

和也「ごめんな、もう会うのもこれまでだ」

そうだ...俺は彩夏の隣にいるべきではない...いてはいけないんだ

和也「その...元気でな」

和也「俺は陰ながら、彩夏を応援してるからな」

まったく、ほんと最後まで自分勝手だな...俺は...

彩夏「ま、待って！！！」

彩夏「私！今利君にお礼を言いたいの！！」

和也「え？」

お礼？....

彩夏「あの時...あの時、今利君が私を励ましてくれたから今の私があるの！！」

彩夏「だから一言だけ言わせて...ほんとに...ありがとう！！」

「おーい！和也ー！」

遥斗か...

彩夏「長くなってごめんね？またね！バイバイ！」

遥斗「お！どうだった？羨ましい限りだぜ、あんな美女とデートなんてよ。で？行くんだろ？予定は？」

和也「断ったよ」

遥斗「そうかそうか...ことわ....」

遥斗「はぁぁぁぁ？！？！？！断ったぁぁぁぁぁ！？！？！？何やってんだよ！これはまたとないチャンスなんだぞ！」

和也「....」

遥斗「ハァー」

遥斗「何を考えているのか知らないけどさ...」

遥斗「わかってるだろ？あの娘が和也を誘ったのは、遊びでも罰ゲームでもないことはよ、本気で誘ってくれてるんだぞ？」

和也「....」

遥斗「確かに和也は中途半端な男だ。でも、そんな和也にだってな良いところはある。和也は自分の事だからわかってないだろうがな。少なくともあの娘は理解してくれてる。自虐的になりすぎなんだよ」

俺の...良いところ？

遥斗「俺は和也がすごい良い男だって思ってるし、あの娘に相応しいのは和也だと思ってる。お世辞なんかじゃないからな？」

和也「遥斗...」

遥斗「少しは自分を好きになっても良いんじゃないか？」

和也「遥斗...ちょっと行ってくる」

遥斗「あぁ、行ってこい」
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彩夏「ちょ、ちょっと、離してください！」

「あぁ？良いんじゃんさー。もう君が泣くようにはしないからさぁ」
 
彩夏「だから、泣いてないです！」

和也「おい、そんな汚い手でさわんじゃねえよ」

彩夏「え？い、今利...君？」

「あぁ？なんだよお前？この娘と関係ねぇだろ？」

和也「関係あるさ...その娘は...」

どうする...何て言うか...
んーー、よし！

和也「俺の彼女だよ」

「はぁ？んなわけねぇだろ？お前ストーカーかよ」

彩夏「彼女です」

「ほら見ろ、この娘だって彼女じゃ...ええええ！！！」

和也「とりあえず、行こうか」
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彩夏「ハァ、ハァ、ありがとう、助けてくれて」

和也「ハァ、あぁ、気にしなくて良いよ。無事で良かった」

和也「ごめんな。無理に恋人の芝居をさせてしまって」

彩夏「え？し、芝居？」

和也「あぁ、あの状況を切り抜けるにはあれ以外に思いつかなくてな」

彩夏「そ、そうなんだ」

和也「それにしても変わったな、彩夏は。しばらく見ない間に、随分と綺麗になってる」

彩夏「え？！き、きれい？！」

和也「あぁ、最初はほんとにわからなかったよ」

彩夏「あ、ありが...とう」

ほんとに...変わったな。
あの時の事を謝ろうか...
周りと上手くいかなかったのは、俺のせいだからな

彩夏「でもね！」

和也「ん？」

彩夏「変われたのは今利君のおかげなんだよ！」

和也「おれの？」

彩夏「そうだよ！それにね？私、友達できたんだ！」

あぁ...

彩夏「引っ込み思案でいつも嫌がらせを受けてきた私が初めて自分から話しかけてできた友達なんだ！」

ほんとに...

彩夏「今までもこれからもずっと大切な友達だよ」

すごいなぁ...

彩夏「そうやって、自分が変わろうと思えたのも、引っ込み思案だった私が自分から話し掛けようと思えたのも、今利君が励ましてくれたからなんだよ！改めて言うね？」

彩夏「ほんとに、ありがとう！」

変わったんだな...

和也「変われたのは、彩夏が変わりたいと強く思って、努力したからだよ。俺は何もやっていない」

彩夏「そ、そんなことないよ」

和也「俺は...彩夏を誇りに思うよ」

彩夏「う、うん。ありがとう」

彩夏「なんか、照れちゃうなぁ。エヘヘ」

和也「俺さ、心配だったんだ」

彩夏「え？」

和也「彩夏は引っ込み思案だったし、新しい学校で楽しくやれてるのかなぁとか友達はできてるかなぁとか、新学期のたびに心配してたよ」

彩夏「それって、いつも私の事を気にかけてくれたってこと？」

和也「まぁ、そういうことだよ」

まぁでも、心配せずともちゃんと楽しんでいたみたいだけどな...
ほんとに良かった。
なんか、報われた気分だよ。

彩夏「......」

和也「ん？どうした？」

彩夏「好きです」

彩夏「私...今利君が...好きです」
                                              
                                                       つづく