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4章 美咲
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「わ、分かりました。 弥生様! 反省しています! もう、許してくださぁい」
「分かればよろしい。まったく、達夫ちゃんは相変わらずねえ。でも、ま、いいでしょ。どの道ヤンが美咲ちゃんを守らなくてはならないのだしね。あなたの入れた追加パーツ(プログラム)も良い機能っぽいしねぇ、あれ、どこから持ってきたやつ? それを教えてくれたら許してあげるわ」
「弥生さんにはかなわないな。格闘データに紛れ込ませたのに、もうばれちゃってたか。ま、仕方ない。あれは、エンジェルの自己防衛プログラム、自衛隊で開発したものです。ランド内からのアクセスを遮断、マスターからの指示以外は受け付けない仕様です。本来は戦闘時に敵のハッキングからエンジェルを守るものですが、自衛隊用なのでそのままだと自衛隊が持つキーで破れてしまいます。その機構をちらっと修正して入れてあります」
達夫さんの説明に母さんは表情が一気に明るくなると、黒板を用意してプログラムの内容について討論を始めた。母さんと達夫さんの話している内容は理解できないことが多く、日本語なのか? と思えるほどだったが、母さんと達夫さんがとても楽しそうに話しているのが印象的だった。
「美咲、ヤンに向けて”防衛モード”を指示すれば美咲以外の命令を受けなくなる。もちろん、冬弥の力を使っても無理だよ。残念だなあ、冬弥、このプログラムがばれてなきゃ、美咲を覗き放題だったのになあ」
ハリセンで再度後頭部を殴られて達夫さんは頭を抱えて倒れこんでしまった。あのハリセン、いきなり出てくるけど、そうか、ここは母さんのフィールドなのね。後ろに気をつけないといけないな。
「そう。これがあればタクのようなことは起きないのね。ありがとう兄さん。でも、冬弥が覗こうとしたらこれが無くても分かるわよ」
美咲はそう言うと僕の顔の数cmまで近づくとニヤっと笑っていた。目が血走ってて怖いぞまじで。
「試してみるわね。ヤン! 防衛モード発動」
ヤンが防衛モードを発動すると、ヤンの服装がスーツから囚人服になり、フルフェイスのヘルメットをかぶった姿に変わっていた。
「た、達夫兄さん、この姿はなに? あの紳士だったヤンがいなくなったのだけど? 」
美咲の声はヤンのあまりの変貌ぶりに震えていた。
「ああ、それな、服装変えなくてもいいんだけど、なんか、こう、悪い感じをだしたかったんだよなあ、え? だめか? これ? 結構いいと思うんだけどなあ」
落胆していたのは美咲だけではなく、母さんやライラもだった。
「女性陣には不評だな。冬弥、お前はどうだ? このヤン、かっこいいだろぉ? 」
「い、いや、なんというか、変貌しすぎてなんていっていいかわからないよ」
「そうか、かっこいいのになあ。ま、ともあれ、冬弥、力を発揮してヤンに入ってみろ? 入れたら美咲の体もみれちゃうかもしれないぞぉ? 」
達夫さんは母さんのハリセンの5連発をくらい、顔が腫れ上がったところで美咲の回し蹴りで遠くまで飛ばされていた。
「み、美咲、別に体をどうこうってことはないけど、ヤンの力を見るために入るけどいいかな? 」
「冬弥のすけべ。ま、そんなんでヤンの防御をとっぱできないでしょうけど。やってみたら? でも、もし、突破できたら。ライラ、すぐに冬弥の目を潰しなさい、いいわね? 」
「了解」
ライラ、お前誰のエンジェルなんだよ......
「ではいくよ、ライラ」
僕はライラの力を借りて50%の力でヤンにアクセスした。
突入は宇宙空間から徐々に始まっていたが、ヤンの中に入った瞬間、鏡張りの部屋に入ってしまい、前後左右の感覚が無くなってしまった。
「なんだこの部屋? 方向が分からない、気持ち悪い......」
「冬弥、落ち着いて、これが防衛モードのようですね。方向感覚をなくし、アタックを防いでいる。なるほどよく出来ています。これからシェルムロイバーからも防げるかもしれません」
「じゃあ、いいかな、帰ろうか。もう気持ち悪くて」
「冬弥、何を言ってるんですか! あなたの力を確認するいい機会です。もう少し力を開放してみませんか? 弥生様には許可をとってあります。さあ、決断を! 」
「いや、別にいいんじゃない? ヤンが守られたってことが分かっただけで。僕は明日から美咲と一緒にトレーニングしていけばいいしさ。ね、帰ろう? 」
「冬弥、ほんとうにいいんですか? 自分の限界を知るいい機会じゃないですか! それに、美咲の裸、見たくないんですか! 」
「ライラ、お前なんてことを言ってるの! この会話、美咲にも聞こえてるんだろ? やばいって」
「大丈夫です。今は接触回線ですから私と冬弥以外には聞こえません。さあ決断下さい」
ライラがいつにもまして積極的だったので、ついつい80%まで力を発揮してみることにした。だけど、ぼ、僕は別に美咲の裸目当てで力を発揮したわけじゃないぞ。
「では、参ります。イメージしてください」
「分かった。ヤンは囚人服を着ていて、ヘッドフォンをしてる。囚人服は木綿でできていて、それには隙間がある......そうだ、そこだライラ! 」
囚人服の隙間のイメージはライラがプログラムに変換し、防衛モードを突破することができた。
「わ、分かりました。 弥生様! 反省しています! もう、許してくださぁい」
「分かればよろしい。まったく、達夫ちゃんは相変わらずねえ。でも、ま、いいでしょ。どの道ヤンが美咲ちゃんを守らなくてはならないのだしね。あなたの入れた追加パーツ(プログラム)も良い機能っぽいしねぇ、あれ、どこから持ってきたやつ? それを教えてくれたら許してあげるわ」
「弥生さんにはかなわないな。格闘データに紛れ込ませたのに、もうばれちゃってたか。ま、仕方ない。あれは、エンジェルの自己防衛プログラム、自衛隊で開発したものです。ランド内からのアクセスを遮断、マスターからの指示以外は受け付けない仕様です。本来は戦闘時に敵のハッキングからエンジェルを守るものですが、自衛隊用なのでそのままだと自衛隊が持つキーで破れてしまいます。その機構をちらっと修正して入れてあります」
達夫さんの説明に母さんは表情が一気に明るくなると、黒板を用意してプログラムの内容について討論を始めた。母さんと達夫さんの話している内容は理解できないことが多く、日本語なのか? と思えるほどだったが、母さんと達夫さんがとても楽しそうに話しているのが印象的だった。
「美咲、ヤンに向けて”防衛モード”を指示すれば美咲以外の命令を受けなくなる。もちろん、冬弥の力を使っても無理だよ。残念だなあ、冬弥、このプログラムがばれてなきゃ、美咲を覗き放題だったのになあ」
ハリセンで再度後頭部を殴られて達夫さんは頭を抱えて倒れこんでしまった。あのハリセン、いきなり出てくるけど、そうか、ここは母さんのフィールドなのね。後ろに気をつけないといけないな。
「そう。これがあればタクのようなことは起きないのね。ありがとう兄さん。でも、冬弥が覗こうとしたらこれが無くても分かるわよ」
美咲はそう言うと僕の顔の数cmまで近づくとニヤっと笑っていた。目が血走ってて怖いぞまじで。
「試してみるわね。ヤン! 防衛モード発動」
ヤンが防衛モードを発動すると、ヤンの服装がスーツから囚人服になり、フルフェイスのヘルメットをかぶった姿に変わっていた。
「た、達夫兄さん、この姿はなに? あの紳士だったヤンがいなくなったのだけど? 」
美咲の声はヤンのあまりの変貌ぶりに震えていた。
「ああ、それな、服装変えなくてもいいんだけど、なんか、こう、悪い感じをだしたかったんだよなあ、え? だめか? これ? 結構いいと思うんだけどなあ」
落胆していたのは美咲だけではなく、母さんやライラもだった。
「女性陣には不評だな。冬弥、お前はどうだ? このヤン、かっこいいだろぉ? 」
「い、いや、なんというか、変貌しすぎてなんていっていいかわからないよ」
「そうか、かっこいいのになあ。ま、ともあれ、冬弥、力を発揮してヤンに入ってみろ? 入れたら美咲の体もみれちゃうかもしれないぞぉ? 」
達夫さんは母さんのハリセンの5連発をくらい、顔が腫れ上がったところで美咲の回し蹴りで遠くまで飛ばされていた。
「み、美咲、別に体をどうこうってことはないけど、ヤンの力を見るために入るけどいいかな? 」
「冬弥のすけべ。ま、そんなんでヤンの防御をとっぱできないでしょうけど。やってみたら? でも、もし、突破できたら。ライラ、すぐに冬弥の目を潰しなさい、いいわね? 」
「了解」
ライラ、お前誰のエンジェルなんだよ......
「ではいくよ、ライラ」
僕はライラの力を借りて50%の力でヤンにアクセスした。
突入は宇宙空間から徐々に始まっていたが、ヤンの中に入った瞬間、鏡張りの部屋に入ってしまい、前後左右の感覚が無くなってしまった。
「なんだこの部屋? 方向が分からない、気持ち悪い......」
「冬弥、落ち着いて、これが防衛モードのようですね。方向感覚をなくし、アタックを防いでいる。なるほどよく出来ています。これからシェルムロイバーからも防げるかもしれません」
「じゃあ、いいかな、帰ろうか。もう気持ち悪くて」
「冬弥、何を言ってるんですか! あなたの力を確認するいい機会です。もう少し力を開放してみませんか? 弥生様には許可をとってあります。さあ、決断を! 」
「いや、別にいいんじゃない? ヤンが守られたってことが分かっただけで。僕は明日から美咲と一緒にトレーニングしていけばいいしさ。ね、帰ろう? 」
「冬弥、ほんとうにいいんですか? 自分の限界を知るいい機会じゃないですか! それに、美咲の裸、見たくないんですか! 」
「ライラ、お前なんてことを言ってるの! この会話、美咲にも聞こえてるんだろ? やばいって」
「大丈夫です。今は接触回線ですから私と冬弥以外には聞こえません。さあ決断下さい」
ライラがいつにもまして積極的だったので、ついつい80%まで力を発揮してみることにした。だけど、ぼ、僕は別に美咲の裸目当てで力を発揮したわけじゃないぞ。
「では、参ります。イメージしてください」
「分かった。ヤンは囚人服を着ていて、ヘッドフォンをしてる。囚人服は木綿でできていて、それには隙間がある......そうだ、そこだライラ! 」
囚人服の隙間のイメージはライラがプログラムに変換し、防衛モードを突破することができた。
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