12 / 31
式典
12話 ご加護と狸さん
しおりを挟む
「「ッッ!!」」
ボクが扉を潜ると軽く腰を低くしている人がたくさんいた。
中には騎士さんみたいな感じで屈んでいる人もいた。
そしてセネスさんを含めボクについてくれている人たちが全員扉を潜ったら皆の顔が上がる。
そしてほんの一瞬だけ空気が、空間が止まる。
でもそれは束の間のことだった。
気になってセネスさんの方をちらりと見ると、ボクを安心させるように微笑んでから、
「大丈夫だ。皆レイの美しさに息を飲んでいるだけだからな。」
といって、どこか誇らしげ。
「レイ殿、此方へ。」
大臣の1人っぽい人がボクを案内してくれる。
その人が指したのはゼナウドさんの玉座の隣にある、これまた立派な玉座だった。
「これに、、座るの?」
見るからに高そうだし、高そう。
色々な意味で。
ブルリっ!と身を震わせる。
後ろでセネスさんが心配そうに見てくれているのを肌で感じる。
その他にもボクに集中しているみんなの視線が突き刺さる。
「ッ!」
ボクの動作ひとつひとつにこの会場にいるみんなが食い入るように見ているのが伝わってくる。
ボクの手に汗が滲む。
緊張しながらも数段ある玉座までの階段を上り、玉座に座る。
座った瞬間からがもう大変だった。
ボクが息をつく間もなくボクの前に長蛇の列ができ、ルイズさんが遠くの方で整列させているのが見える。
目を覚ましてから一度も見ていないルイズさんの姿に少し肩の力が抜けていく。
「順番に挨拶をさせて頂きたく、、、」
大臣さんがボクの顔色を窺うようにして聞いてくる。
「ぇっ、、、、はぃ、、もちろん大丈夫です、、、、。」
ここでも発揮されるコミュ障に恥ずかしくなる。
「ご機嫌麗しゅう、神子様。私○○家は、、、」
と何か各家の抱負みたいなのを順番に言われた。
その家の歴史とか家名とか武勇伝とか全然覚えられなくて流れ返事ばかりになってくる。
なんだかお祈りみたいなのをするらしい。
と言っても「あなた方にアヴィ様からのご加護がありますように」っていうだけだ。
ホントに流れ作業ばかりで少し疲れてきたかなって感じになってきた。
そんな中、何か嫌な感じの訪問者?がいた。
男の狸族のヒトだった。
なんだか生理的に無理というかなんというか。。
「私の名前はヘルダ・バガンと言います。わたくしの家は昔から王族様と友好な関係を築かせていただいておりました。今後ともどうぞ御贔屓に。ふぉっふぉっふぉっ」
笑っているはずなのに目が笑っておらず、ジトーとこちらを見定められている気がして怖い。
言葉が出てこない。
「ぅっ、、、あっ、、、。」
座っている状態だけど後ろにさがろうと本能に従ってしまう。
そんなボクに気付いてセネスさんがボクと狸さんとの間に入ってくれる。
「バガン様。お下がりください。これ以上神子様にお近づきになられますと不敬罪で地下牢行きです。」
「いやいや、それはご勘弁ください。わたくしはただ、神子様や王族の皆様に挨拶がしたいだけなのです。それに、わたくしにだけ神子様の祈祷をいただけないのは不公平では。」
ひるむことなく、狸さんは言う。
威圧がすごい。
「しかし、この世界では神子様は絶対的なお方。神子様に少しでも害をもたらす可能性がある危険分子は排除せよと国の規律で決まっているでしょう。」
「いいですセネスさん。どうぞたぬkバガン様。こちらに。」
そう言って狸さんもとい、バガン様をボクの前に来てもらう。
セネスさんには目で制しておいた。
「バガン様にアヴィ様のご加護がありますように。」
そう言って胸の前で合掌し、目を閉じる。
普段ならそこですんなりと終るのだが、なんだか違和感があった。
だが特に何かあるわけでもないし、セネスさんの様子からしてセネスさんたちにこの違和感は通じていないらしい。
その後も数百の貴族さんにアヴィの加護を。って言い続けて、気づけば夜も深まり始めていた。
「お疲れさまでした、神子様。あとは乾杯の挨拶だけしていただいたらお休みください。」
大臣さんが言う。
「やっと、、、っ!」
終わりが見えてきたことに少し希望が見えてくる。
あの大きな扉をくぐってここにいる人たち全員とお話なんて死ぬかと思った。
これは結構大マジ。
「レイ。君は今日一度倒れているんだ。これ以上は必要最低限でいい。君にこれ以上の負担がかかるかと思うとこのまま閉じ込めておきたくなる。」
セネスさんがボクの歩幅に合わせて歩きながら言ってくれる。
「うん。大丈夫だよ。流石にこれ以上みんなとお話しろって言われたら逃げちゃいそう。」
逃げちゃいそう、と言った瞬間、セネスさんの目付きが変わる。
「逃げるなんてことはさせない。もし君がここから逃げるというのならこのまま連れ去って君を閉じ込める。」
セネスさんの勢いに飲まれそうになる。
それに今のセネスさんはどこか怖い。
「だっ大丈夫ですよ。ほんの冗談です。」
そうやって笑って見せようとするが、どうにも引き攣ってしまう。
「なら、いいのだが。。。俺は本気だからな。もちろんルイズも。つらくなったらいつでも言うんだ。」
そう言って少し前までと同じようにボクの斜め後ろをついて歩く。
「神子様、どうぞこちらに。」
今度は皆がいるホールの前の少し高いところに立つ。
そして運ばれてきたグラスをもって、胸の前に掲げる。
「皆さんの幸福とこの世界の安定を願って、、、、乾杯。」
するとそこかしこからカチンカチンとグラスを交わす音が聞こえる。
ボクも一連の行為というだけで一口、グラスに口をつける。
そこからしばらくのボクの記憶はない。
気づけばセネスさんがすごく怒って形相で誰かからボクを運んでくれていて。
たどり着いた部屋にはルイズさんもいた。。。。
―――――――――
次回、胸焼け確実エロ注意です。
by西条ネア
ボクが扉を潜ると軽く腰を低くしている人がたくさんいた。
中には騎士さんみたいな感じで屈んでいる人もいた。
そしてセネスさんを含めボクについてくれている人たちが全員扉を潜ったら皆の顔が上がる。
そしてほんの一瞬だけ空気が、空間が止まる。
でもそれは束の間のことだった。
気になってセネスさんの方をちらりと見ると、ボクを安心させるように微笑んでから、
「大丈夫だ。皆レイの美しさに息を飲んでいるだけだからな。」
といって、どこか誇らしげ。
「レイ殿、此方へ。」
大臣の1人っぽい人がボクを案内してくれる。
その人が指したのはゼナウドさんの玉座の隣にある、これまた立派な玉座だった。
「これに、、座るの?」
見るからに高そうだし、高そう。
色々な意味で。
ブルリっ!と身を震わせる。
後ろでセネスさんが心配そうに見てくれているのを肌で感じる。
その他にもボクに集中しているみんなの視線が突き刺さる。
「ッ!」
ボクの動作ひとつひとつにこの会場にいるみんなが食い入るように見ているのが伝わってくる。
ボクの手に汗が滲む。
緊張しながらも数段ある玉座までの階段を上り、玉座に座る。
座った瞬間からがもう大変だった。
ボクが息をつく間もなくボクの前に長蛇の列ができ、ルイズさんが遠くの方で整列させているのが見える。
目を覚ましてから一度も見ていないルイズさんの姿に少し肩の力が抜けていく。
「順番に挨拶をさせて頂きたく、、、」
大臣さんがボクの顔色を窺うようにして聞いてくる。
「ぇっ、、、、はぃ、、もちろん大丈夫です、、、、。」
ここでも発揮されるコミュ障に恥ずかしくなる。
「ご機嫌麗しゅう、神子様。私○○家は、、、」
と何か各家の抱負みたいなのを順番に言われた。
その家の歴史とか家名とか武勇伝とか全然覚えられなくて流れ返事ばかりになってくる。
なんだかお祈りみたいなのをするらしい。
と言っても「あなた方にアヴィ様からのご加護がありますように」っていうだけだ。
ホントに流れ作業ばかりで少し疲れてきたかなって感じになってきた。
そんな中、何か嫌な感じの訪問者?がいた。
男の狸族のヒトだった。
なんだか生理的に無理というかなんというか。。
「私の名前はヘルダ・バガンと言います。わたくしの家は昔から王族様と友好な関係を築かせていただいておりました。今後ともどうぞ御贔屓に。ふぉっふぉっふぉっ」
笑っているはずなのに目が笑っておらず、ジトーとこちらを見定められている気がして怖い。
言葉が出てこない。
「ぅっ、、、あっ、、、。」
座っている状態だけど後ろにさがろうと本能に従ってしまう。
そんなボクに気付いてセネスさんがボクと狸さんとの間に入ってくれる。
「バガン様。お下がりください。これ以上神子様にお近づきになられますと不敬罪で地下牢行きです。」
「いやいや、それはご勘弁ください。わたくしはただ、神子様や王族の皆様に挨拶がしたいだけなのです。それに、わたくしにだけ神子様の祈祷をいただけないのは不公平では。」
ひるむことなく、狸さんは言う。
威圧がすごい。
「しかし、この世界では神子様は絶対的なお方。神子様に少しでも害をもたらす可能性がある危険分子は排除せよと国の規律で決まっているでしょう。」
「いいですセネスさん。どうぞたぬkバガン様。こちらに。」
そう言って狸さんもとい、バガン様をボクの前に来てもらう。
セネスさんには目で制しておいた。
「バガン様にアヴィ様のご加護がありますように。」
そう言って胸の前で合掌し、目を閉じる。
普段ならそこですんなりと終るのだが、なんだか違和感があった。
だが特に何かあるわけでもないし、セネスさんの様子からしてセネスさんたちにこの違和感は通じていないらしい。
その後も数百の貴族さんにアヴィの加護を。って言い続けて、気づけば夜も深まり始めていた。
「お疲れさまでした、神子様。あとは乾杯の挨拶だけしていただいたらお休みください。」
大臣さんが言う。
「やっと、、、っ!」
終わりが見えてきたことに少し希望が見えてくる。
あの大きな扉をくぐってここにいる人たち全員とお話なんて死ぬかと思った。
これは結構大マジ。
「レイ。君は今日一度倒れているんだ。これ以上は必要最低限でいい。君にこれ以上の負担がかかるかと思うとこのまま閉じ込めておきたくなる。」
セネスさんがボクの歩幅に合わせて歩きながら言ってくれる。
「うん。大丈夫だよ。流石にこれ以上みんなとお話しろって言われたら逃げちゃいそう。」
逃げちゃいそう、と言った瞬間、セネスさんの目付きが変わる。
「逃げるなんてことはさせない。もし君がここから逃げるというのならこのまま連れ去って君を閉じ込める。」
セネスさんの勢いに飲まれそうになる。
それに今のセネスさんはどこか怖い。
「だっ大丈夫ですよ。ほんの冗談です。」
そうやって笑って見せようとするが、どうにも引き攣ってしまう。
「なら、いいのだが。。。俺は本気だからな。もちろんルイズも。つらくなったらいつでも言うんだ。」
そう言って少し前までと同じようにボクの斜め後ろをついて歩く。
「神子様、どうぞこちらに。」
今度は皆がいるホールの前の少し高いところに立つ。
そして運ばれてきたグラスをもって、胸の前に掲げる。
「皆さんの幸福とこの世界の安定を願って、、、、乾杯。」
するとそこかしこからカチンカチンとグラスを交わす音が聞こえる。
ボクも一連の行為というだけで一口、グラスに口をつける。
そこからしばらくのボクの記憶はない。
気づけばセネスさんがすごく怒って形相で誰かからボクを運んでくれていて。
たどり着いた部屋にはルイズさんもいた。。。。
―――――――――
次回、胸焼け確実エロ注意です。
by西条ネア
2
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる