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街の憲兵団 その1
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憲兵団カヌエ支部、そこではカヌエの街の平和を守る、憲兵隊が昼夜を問わず働いていた。
憲兵団の庁舎内にある食堂で、隊員が向かい合って話していた。
「お前今日で何日目だ」
「3日目です」
「俺は5日目だ」
「先輩5日目ですか…後2日は最低でも家に帰れないのか…」
隊員の目の下にはクマがあり、重たい空気に包まれていた。
「早くこの事件解決してくれないかな…」
天井を見上げ隊員達が呟いた。
隊長室に隊員が訪れる。
「失礼します、カイル隊長報告に参りました」
「入れ」
カイルと呼ばれた男は、大きな机にしがみつくように、書類を書いていた。
黒色の髪をかき上げながら、作業する手を止め隊員の顔を見た。
「マートか…捜査の状況はどうなってる?」
「昨日また行方不明者が1人出ました」
「またか…これで7人目か…」
「行方不明者の年齢もバラバラで、全員痕跡を残さず行方をくらましています」
「この人を最後に見かけた人はいたのか?」
「友人が1人…酒場で一緒に飲んでいたらしく、夜中に別れた時に見たのが最後らしいです」
カイルが深いため息をついた。
「行方不明者全員が夜中に行方不明…やはりただの事件ではなさそうだな、今日も夜中の巡回を強化しないとな」
顎を触りながら険しい顔をするカイルに、マートが気まずそうな顔で口を開いた。
「あの…カイル隊長」
「何だ?」
「非常に言いづらいのですが…」
「言ってみろ、俺は部下の話しはちゃんと聞くぞ!」
カイルが高らかに笑う。
笑うカイルを見て安心したマートが口を開いた。
「連日の勤務で家に帰れてない隊員達から休みが欲しいと声が上がってまして」
カイルの笑い声が止んだ。
「俺は2週間だ」
「えっ?」
「俺はこの事件のせいで2週間家に帰れていない…」
今にも怒りそうなカイルを見て、マートが後退る。
「しっ失礼しました」
マートは部屋から逃げるようにして走り去った。
頭を押さえながらカイルがため息をつく。
「はぁ~、全くあいつらは…」
独り言を溢しながら仕事を再開していると、ドアを叩く音がした。
「隊長入りますよ」
ドアが開き、ブロンド髪の女性が大量の書類を持って部屋に入室した。
「隊長もっと隊員に優しくしたらどうですか?」
そう言って持ってきた書類をカイルの前に置いた。
「エリス…お前は俺に優しくしたらどうだ」
「優しいですよ、この場でしばき上げないだけ…どうして昨日渡した書類が片付いてないんですか?」
微笑むエリスを見てカイルの顔が青ざめる。
「いやっこれは…」
「副隊長としての私の仕事はあなたの業務管理です、今日中に全部片付けてください」
頭を抱えながらカイルは叫んだ。
「もう無理だこの量の書類を一人で片付けるのはー」
叫ぶカイルの横を銃弾がすり抜けた。
エリスの手に持たれた銃の銃口から煙が上がる。
「逆ギレですか…つべこべ言わずに早く手を動かせ」
カイルの額から汗が流れた。
「はっはい、すぐに取り掛かります」
そう言うとカイルは急いで手を動かした。
「そう言えば今日、盗賊を捕まえた教会のシスターが感謝状を受け取りに来ますね」
「そうか今日だったな、一度会ってみたかったんだよ、その噂のシスターに!」
「隊長、口元がニヤついてますよ」
エリスが銃のスライドを引く。
「エリスさん待って、これは違う…誤解だ」
庁舎内に銃声とカイルの悲鳴が響き渡った。
憲兵団の庁舎内にある食堂で、隊員が向かい合って話していた。
「お前今日で何日目だ」
「3日目です」
「俺は5日目だ」
「先輩5日目ですか…後2日は最低でも家に帰れないのか…」
隊員の目の下にはクマがあり、重たい空気に包まれていた。
「早くこの事件解決してくれないかな…」
天井を見上げ隊員達が呟いた。
隊長室に隊員が訪れる。
「失礼します、カイル隊長報告に参りました」
「入れ」
カイルと呼ばれた男は、大きな机にしがみつくように、書類を書いていた。
黒色の髪をかき上げながら、作業する手を止め隊員の顔を見た。
「マートか…捜査の状況はどうなってる?」
「昨日また行方不明者が1人出ました」
「またか…これで7人目か…」
「行方不明者の年齢もバラバラで、全員痕跡を残さず行方をくらましています」
「この人を最後に見かけた人はいたのか?」
「友人が1人…酒場で一緒に飲んでいたらしく、夜中に別れた時に見たのが最後らしいです」
カイルが深いため息をついた。
「行方不明者全員が夜中に行方不明…やはりただの事件ではなさそうだな、今日も夜中の巡回を強化しないとな」
顎を触りながら険しい顔をするカイルに、マートが気まずそうな顔で口を開いた。
「あの…カイル隊長」
「何だ?」
「非常に言いづらいのですが…」
「言ってみろ、俺は部下の話しはちゃんと聞くぞ!」
カイルが高らかに笑う。
笑うカイルを見て安心したマートが口を開いた。
「連日の勤務で家に帰れてない隊員達から休みが欲しいと声が上がってまして」
カイルの笑い声が止んだ。
「俺は2週間だ」
「えっ?」
「俺はこの事件のせいで2週間家に帰れていない…」
今にも怒りそうなカイルを見て、マートが後退る。
「しっ失礼しました」
マートは部屋から逃げるようにして走り去った。
頭を押さえながらカイルがため息をつく。
「はぁ~、全くあいつらは…」
独り言を溢しながら仕事を再開していると、ドアを叩く音がした。
「隊長入りますよ」
ドアが開き、ブロンド髪の女性が大量の書類を持って部屋に入室した。
「隊長もっと隊員に優しくしたらどうですか?」
そう言って持ってきた書類をカイルの前に置いた。
「エリス…お前は俺に優しくしたらどうだ」
「優しいですよ、この場でしばき上げないだけ…どうして昨日渡した書類が片付いてないんですか?」
微笑むエリスを見てカイルの顔が青ざめる。
「いやっこれは…」
「副隊長としての私の仕事はあなたの業務管理です、今日中に全部片付けてください」
頭を抱えながらカイルは叫んだ。
「もう無理だこの量の書類を一人で片付けるのはー」
叫ぶカイルの横を銃弾がすり抜けた。
エリスの手に持たれた銃の銃口から煙が上がる。
「逆ギレですか…つべこべ言わずに早く手を動かせ」
カイルの額から汗が流れた。
「はっはい、すぐに取り掛かります」
そう言うとカイルは急いで手を動かした。
「そう言えば今日、盗賊を捕まえた教会のシスターが感謝状を受け取りに来ますね」
「そうか今日だったな、一度会ってみたかったんだよ、その噂のシスターに!」
「隊長、口元がニヤついてますよ」
エリスが銃のスライドを引く。
「エリスさん待って、これは違う…誤解だ」
庁舎内に銃声とカイルの悲鳴が響き渡った。
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