銀色の願い

yuta

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街の憲兵団 その2

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 憲兵隊からの感謝状を受け取るため、ティナとアリアはカヌエの街に向かっていた。
「あぁーめんどくさい」
「そんな事言わないのティナ、せっかく感謝状貰えるんだから」
 めんどくさいそうにするティナをアリアが宥める。
 ティナが不貞腐れた顔でアリアを見た。
「紙切れより、食べ物がいい」
「お祝いにティナの食べたいご飯作ってあげるから、拗ねないの」
 その言葉にティナは目を輝かせた。
「ほんとか!アリアさっさと感謝状貰いに行くぞ!!」
 ティナがカヌエの街に向け走り出す。
「アリア~置いてくぞ」
「ちょっと待ってティナ、走らないで~」

 カヌエの街に着いたアリアは膝に手をつきながら立ち止まっていた。
「はっっはぁっ…」
 ティナが息を切らすアリアを見る。
「なあアリア…」
「はぁっはぁっ…何?」
「体力なさすぎだろ」
「うるさい…ティナが速すぎるんだよ~」
 2人の様子を見て、市場の商人がティナ達に声を掛けた。
「ティナちゃん、アリアちゃん相変わらず仲がいいね、今日は買い物かい?」
「おう、おばちゃん、今日は憲兵隊に呼ばれてちょっとな」
「そう言えば、盗賊を捕まえたんだってね、お手柄だね、さすがティナちゃん」
「なんたって私だからな!」
 ティナは腰に手を当てふんぞり返った。
「ティナ、調子に乗らない」
 ティナの頭の上にアリアが手を置く。
「そう言えば最近、行方不明者が続出してるらしいんだよ、あんた達も気をつけた方がいいよ」
「行方不明者ですか…わかりました私達も気をつけます」
「まぁ憲兵隊の人達も朝から夜遅くまで街の巡回をしてくれてるから、少しは安心できるんだけどね」
「でも、行方不明者は出てるんだろ?」
「ティナ!余計な事は言わない」
 アリアがティナの頭を軽く叩いた。
「うー」
「それでは私達は失礼します」
 アリアは商人の女性に頭を下げ、ティナを引っ張りながら、その場から歩き出した。
「バイバイおばちゃん」
「あいよ、帰りにでも寄って来な、おまけするよ」
「おう!ケチなアリアが許してくれたらな」
「ティナーーー!?」

 市場を抜けたティナとアリアは、街の中心にある憲兵団庁舎に到着した。
「いつ見てもでかいな」
「大きいね」
 2人が庁舎を見上げていると、マートが駆け寄って来た。
「シスターお待ちしてました、こちらにどうぞ」
 マートについて行くように、ティナとアリアは憲兵団庁舎に入って行った。

 庁舎の中で勤務してる憲兵が、マートに連れられるティナとアリアを物珍しそうに見る。
「すごい見られてるな…」
「見られてるね…」
 2人の様子見てマートが話しかけた。
「隊員達も、盗賊を捕まえたシスターが気になっているんでしょう、不快な思いをさせてすいません」
「いえ、お気になさらないでください…ところで、どちらに向かってるんですか?」
「私達の隊長の部屋ですよ」
「隊長さんですか、何だか怖そうですね…」
 少し怯えるアリアを見て、マートが笑いながら答えた。
「怖い方ではありますが、女性には非常に優しいので、あなた方なら何しても怒りませんよ」
 アリアがそっと胸を撫で下ろす。
「よかった、優しい方なんですね」
「いや、そいつただの女好きだろ!?」
「その通りですね、でも私達にとっては頼りになる立派な隊長ですから」

 話しをしているうちに3人は隊長室の前に着いた。
「こちらでお待ちください」
 マートが隊長室のドアをノックする。
「隊長、シスターをお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
 隊長室内には、手を組みながら椅子に座るカイルとその横にエリスが立っていた。
 先行して入ったマートに続きアリアも室内に入った。
 カイルがアリアの姿を見て微笑む。
「これはこれは、美しいシスターが盗賊を捕まえてくれたのか!」
 エリスがカイルを睨みつけた。
「隊長ニヤけてますよ、公務中です」
「これは違う、ニヤけてないぞ」

 アリアは手を横に振りながら否定した。
「捕まえたのは私じゃないです」
「それではどなたが?」
 アリアが振り返るとティナの姿がなかった。
「すいませんすぐ連れて来ます」
 アリアは部屋の外に出た。
「いいから来なさい」
「わかったから引っ張るな!?」
 ティナの声を聞いてカイルの表情が引きつった。
(聞き覚えのある声が…まさかな)
 部屋に入ったティナの姿を見て、カイルが声を荒げた。
「ティナ=ハーロック!?」
 ティナがあからさまに嫌な顔をした。
「げっ!?六花のカイル」
「ティナの知り合い?」
 アリアの質問にティナが嫌そうに答えた。
「あいつは連合国の主力部隊、六花のメンバーの1人だよ」
「元だ元、軍からはもう離れた、それにしてもお前生きてたのか…」
 そう言うと、カイルは立ち上がり、帯剣した剣に手を掛けた。
「帝国の兵士であるお前が、連合国に何しに来た目的は何だ…」
 カイルは凄まじい殺気を放ちながら、ティナを睨みつける。
 殺気に反応したティナは、反射的に構えた。
「たまたま世話になってる場所が、連合国にあるだけだ、目的なんてねえよ」
「そんな言い訳通用すると思っているのか?」
「私がどこにいようがお前には関係ない事だろ」
 2人が睨み合い、部屋の中に緊張が走った。

「ティナ、そんな口の聞き方したら失礼でしょ」
 そう言うと、アリアはティナの頭を叩いた。
「痛い、何すんだアリア」
「何すんだじゃありません、そんな話し方じゃ隊長さんに失礼でしょ!?ご飯抜きにするよ」
「ずるいぞアリア!?」
 言い合う2人を見て、カイルからティナに対する殺気が消えた。
 そして帯剣している剣から手を離した。
「その様子じゃ、目的もなさそうだな」
 笑うカイルを見てアリアは顔を赤くした。
「すいませんお見苦しいところを…恥ずかしいよ」
「疑いは晴れたのか?じゃあさっさと感謝状をよこせ」
「ティナ礼儀正しくしなさい」
 アリアはカイルに近寄り頭を下げた。
「すいませんこの子が失礼を…後いつも街を守ってくださり、ありがとうございます」
「頭をあげてください、街を守るのが私達の仕事ですから、でもそう言ってもらえると私達も頑張れます」
 そう言うとアリアの手を握った。
「もう仕事も終わりますし、この後私とお食事でもどうですか?あなたの事をもっと私に教えてください」
「えっえっ!?」
 カイルの行動にエリスが即座に反応した。
「アリアに触らないでくださいクソ上司」
 エリスの蹴りが、カイルの腹部に直撃した。
「ぐはっ」
 吹き飛んだカイルは壁に叩きつけられた。
「大丈夫アリア?」
「ええ大丈夫よ、それより隊長さんの方を心配した方が…」
「あのゴキブリはこのくらいじゃ死なないわ」

 ティナがアリアを見る。
「そこのエリスって人と知り合いだったんだな」
「ええ、私の友人よ!休日に街で一緒に食事したりしてるわ」
「カイルも大変だな」
 そう言うとカイルに近づいた。
「おーい大丈夫か?」
「あぁ大丈夫だ、いつもの事だ…」
 カイルは壁に寄りかかり座ったまま、エリスを指差し口を開いた。
「おいエリス、そんな暴力的だから彼氏もろくにできないんだよ」
 銃声が鳴り、弾丸がカイルの横をすり抜け、壁にめり込んだ。
「安心してください、今後、人を蹴り飛ばす予定が無くなりそうです…」
 そう言うと、エリスは銃をスライドさせた。
「嘘です、すいません」
「分かればいいんですよ」
 ティナがカイルの肩を叩く。
「お前も苦労してるんだな」
「あれ、どうしよう、今すごく泣きそう」
 エリスがカイルを睨みつけた。
「くだらない小芝居はやめて、さっさと感謝状を渡してください」
 カイルは引きつった顔で返事をした。
「はい…」
 
「ティナ=ハーロック、憲兵隊を代表して感謝の意を込めこれを送る」
 カイルから手渡された感謝状をティナが受け取った。
 感謝状を手渡した後、カイルがティナを見て口を開いた。
「そう言えばお前変わったな…人になれたんだな…」
 ティナは笑顔で答えた。
「おう!教会や街のみんなのおかげだ」
「そうか…」
「じゃあ私達は帰るぞ、アリア早く!!」
「ちょっとティナ待ちなさい」
 部屋を出たティナをアリアが追いかける。
「失礼しました」
 一礼した後アリアも部屋を出た。

 エリスが隊長室の窓から、外を歩くティナ達の姿を見ていた。
「あのまま行かせて、よろしかったのですか?」
「あぁティナの事か?まぁ一応敵意はないみたいだしな…泳がしておくのも一つの手だ」
「隊長がそう判断したなら私はそれに従います」
「よろしい、それに…」
 カイルが不敵な笑みを浮かべる。
「マート隊員達に伝えろ、明日には休みをやるから今日は必死に働けと」
「はい了解しました」
 そう言うと、マートは飛び出す勢いで部屋を出た。
「隊長そんな事言って大丈夫なんですか?」
「なに心配するな、俺の予想が正しければ、すぐに行方不明事件も解決できるさ」
 そう言うと、カイルは高らかに笑った。
「そうですか、それはよかったです、ではこちらの書類の山も解決して下さい」
「はい……」
 カイルは黙々と書類を書き続けたのであった。
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