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二章 過去編
第33話
玲子と辰美が初めて出会ったのは八年前。西園寺家主催のパーティーでのこと―――
「まったくめんどうだ」
隣でため息をつきながら、テーブルに並べられてある色鮮やかな食材を手当たり次第、皿に盛りながら言ったのは、辰美の幼馴染の長谷川アキラだ。
いつもはTシャツにジーンズなどラフな格好が多いのだが、今日はきっちりとスーツできめている。
「なんでこんなお堅いパーティーに参加しないといけないんだ? これさえなければ今日もかわいこちゃんとイチャイチャできたのによ」
「まあそういうな、アキラ。付き合いも大切だ」
不機嫌そうに口を尖らすアキラを宥めながらも、心中ではアキラと同じようこんな場所、早く立ち去りたいと思っていた。
辰美とアキラは、西園寺家主催のパーティーに参加していた。
アキラは親の付き添いで、辰美は酒におぼれ再起不能になった父親の代わりに出席している。
周りを見ても、頭の固そうな大人ばかり。まだ二十代の辰美とアキラはどう考えても場違いだった。
なぜこんなつまらないパーティーに参加することになったのか、事の始まりは二週間前に遡る。
父親が倒れたという連絡が入った。
電話を受けたのは大学の講義中で、すぐさま病院に駆けつけると、白いベットに青白い顔色をした父親が倒れていた。
「父さん!」
久しぶりに見る父親の顔色はとても悪かった。
酸素マスクをしていても苦しそうに息をして、時々夢にうなされているように呻いている。
「なにがあったんですか?」
辰美は、大学から実家を出ていたため何が起こったのかさっぱり分からない。
病室にいた父親の秘書に問いかけ、早く言えといわんばかりに肩を強く掴む。
「はい……、実は昨夜、社長がお酒を大量に飲まれまして……、その時に意識を失ってしまわれて」
「は……?」
予想外の答えに、目を見張る。
それもそうだ。父親は酒をあまり飲む人ではなかった。健康に気を遣うという面でもそうだが、元々そんなに強い方ではない。飲んでもすぐに顔を真っ赤にして寝こけてしまうため、良く祖父からつまらない男だとからかわれていた。
そんな父親が、酒で体を壊すなんて信じられないが、慣れない酒を大量に飲んだとなると、それなりの理由があるはずだ。
一体どうして。
誰か他にその時の状況を詳しく知っている人はいないのかと病室を見回した時、母親の姿がない事に気づく。
「母さんはどこですか……?」
そう言えば、ここにたどり着くまでの間も姿を見かけなかった。
秘書に尋ねると、気まずそうに視線を逸らす。
「言ってください!」
「申し訳ありません、社長から口止めをされておりますので……」
「何でですか? 言ってくださいよ」
それから、何度尋ねても秘書は口を割ることは無かった。
結局、何があったのかは分からないまま、辰美はその日父親の病室で朝を迎えた。
「まったくめんどうだ」
隣でため息をつきながら、テーブルに並べられてある色鮮やかな食材を手当たり次第、皿に盛りながら言ったのは、辰美の幼馴染の長谷川アキラだ。
いつもはTシャツにジーンズなどラフな格好が多いのだが、今日はきっちりとスーツできめている。
「なんでこんなお堅いパーティーに参加しないといけないんだ? これさえなければ今日もかわいこちゃんとイチャイチャできたのによ」
「まあそういうな、アキラ。付き合いも大切だ」
不機嫌そうに口を尖らすアキラを宥めながらも、心中ではアキラと同じようこんな場所、早く立ち去りたいと思っていた。
辰美とアキラは、西園寺家主催のパーティーに参加していた。
アキラは親の付き添いで、辰美は酒におぼれ再起不能になった父親の代わりに出席している。
周りを見ても、頭の固そうな大人ばかり。まだ二十代の辰美とアキラはどう考えても場違いだった。
なぜこんなつまらないパーティーに参加することになったのか、事の始まりは二週間前に遡る。
父親が倒れたという連絡が入った。
電話を受けたのは大学の講義中で、すぐさま病院に駆けつけると、白いベットに青白い顔色をした父親が倒れていた。
「父さん!」
久しぶりに見る父親の顔色はとても悪かった。
酸素マスクをしていても苦しそうに息をして、時々夢にうなされているように呻いている。
「なにがあったんですか?」
辰美は、大学から実家を出ていたため何が起こったのかさっぱり分からない。
病室にいた父親の秘書に問いかけ、早く言えといわんばかりに肩を強く掴む。
「はい……、実は昨夜、社長がお酒を大量に飲まれまして……、その時に意識を失ってしまわれて」
「は……?」
予想外の答えに、目を見張る。
それもそうだ。父親は酒をあまり飲む人ではなかった。健康に気を遣うという面でもそうだが、元々そんなに強い方ではない。飲んでもすぐに顔を真っ赤にして寝こけてしまうため、良く祖父からつまらない男だとからかわれていた。
そんな父親が、酒で体を壊すなんて信じられないが、慣れない酒を大量に飲んだとなると、それなりの理由があるはずだ。
一体どうして。
誰か他にその時の状況を詳しく知っている人はいないのかと病室を見回した時、母親の姿がない事に気づく。
「母さんはどこですか……?」
そう言えば、ここにたどり着くまでの間も姿を見かけなかった。
秘書に尋ねると、気まずそうに視線を逸らす。
「言ってください!」
「申し訳ありません、社長から口止めをされておりますので……」
「何でですか? 言ってくださいよ」
それから、何度尋ねても秘書は口を割ることは無かった。
結局、何があったのかは分からないまま、辰美はその日父親の病室で朝を迎えた。
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