バトル・オブ・シティ

如月久

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牙をむくメガロポリス

1.取れた憑き物

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 その夜、リョウがヨッシーの部屋を訪れたのは、午後10時すぎだった。部屋の電気はついていた。リョウはノックをして、返事も待たずにドアを開けたが、室内には誰もいなかった。パソコンがテーブルの上に置かれていたので、リョウはひと安心した。きっと飯を食いに出たか、風呂にでも出掛けたのだろう。リョウはそっとドアを閉め、ヨッシーの部屋を後にした。

 リョウは自分の部屋に戻り、2日ぶりにパソコンを起動してみた。まず受信メールを確認して、それから少しだけためらった後に「シティ」を起動した。リョウはおととい、ジャニスとファミレスで会う直前まで、ゲームをしていた。あのあと、普通のスピードでゲームを動かしたままにしておいたら、この40時間に、リョウの町では40年が経ってしまう。だが、リョウはゲームを停止モードにしておいたので、町はおとといゲームを中断したままの状態だった。
 農協が作った物流団地は、相変わらず活発に活動している。観光農園の入り込みも順調に推移していた。リョウは、いくつかの住宅をクリックして、リョウの町の住人たちが、リョウの作った町をかなり気に入っていることを知った。町に対する感想には、<住みやすい><のんびりしている><子供を育てやすい>といった好意的なコメントが多かった。だから、リョウの町は、人口が順調に増えていた。ゲーム上の昨年、新しい小・中学校を中心にしたニュータウンを造成しておいたが、53あった区画はほとんどが売れ、半分以上に家が建っていた。リョウはニュータウンを倍の面積に拡張する予算を立てた。そして、好調な物流団地の近くに、農産物の加工場を誘致した。町の外れには農道空港も作った。
「何であんなに熱中したんだろう」
 リョウは、久しぶりに自分の町をメンテナンスしながら、その冷静さに自分でも驚いていた。2日前までは、これ以上大切なものはないという気持ちで、町に全身全霊を注ぎ込んでいる心持ちだった。だが、今は、第三者のように落ち着いた気持ちで、自分の作った町を眺めることができた。ジャニスと過ごしたあの午後、リョウから憑き物が取れたかのようだ。
 それにしても、このゲームの中毒は、どのくらい広がっているのだろう。リョウは、「シティ」のホームページを開き、データを調べ始めた、
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