バトル・オブ・シティ

如月久

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同盟国交渉

4.プロスポーツ

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 ジャニスがすぐに調べた。「シティ」の中で、プロ野球の球団を作ったプレーヤーが9人いた。実際にはもっといたのだろうが、街の大きさや成熟度がプロスポーツ球団を持つレベルに達していない街は破綻した可能性がある。とにかく、現時点では9チームが見つかった。
「ちょっと待って。サッカーも12あるわ。バスケットボールが7、アイスホッケーも4チームね。アメフトも5つあるわ」
「この世界でもスポーツは結構盛んなんだな」
「リョウはどれにする? 野球? それともサッカー?」
「そうだな…」
 パソコンの画面をにらみながら、リョウはほんの数秒考えた。だが、答えは最初から分かっていた。
 全部。野球もサッカーもバスケットも、アイスホッケーだってアメフトだっていいじゃないか。経営がうまくいかなかったらチームを手放せばいい」
「手放すって、誰に」
「うーん、それは…」
 チームの経営を勝手に放棄することができるのだろうか。それに、プロスポーツと言えば、必ずリーグ戦を展開する。相手はどうなるのか。選手を選ぶドラフトは一体どういう方法なのか。スポーツの世界は、これまでの「シティ」のルールには、あてはまらない部分が多い気がした。

「もしかして…」
 リョウにはある一つの考えが浮かんだ。
「プロチーム同士って、リーグ戦やドラフトなんかで、別のシティと何らかの形でつながってるんじゃないか」
「どういうこと」
 ジャニスには、リョウの疑問が理解できていないようだった。
「プロチーム同士が戦うってことは、必ず相手が必要だってことだよ。つまり、シティはこの分野だけ、別のシティと接点を持てるってことさ。もしかすると援軍探しに役立つかもしれない」
 聡明なジャニスはすぐにリョウの指摘を理解し、表情をぱっと明るくさせた。
「ある程度大きな街と直接コンタクトが取れるってことね」
「ルール上はゲームの上では直接つながれないけど、メールか何かでプレーヤー同士は接触し合ってるかもしれない」
「もしかしたら、ブログか掲示板も立ってるんじゃない? 調べてみるわ」
 ジャニスは早速キーボードを叩き始めた。
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