黒猫のクロ

可憐

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プロローグ

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 ある日のことです。
 一匹のネコが道端を歩いていました。
 毛並みは短めで毛色が黒で瞳の色も黒で全身が真っ黒なネコです。
 そのネコはトコトコとある一軒家に入っていきました。
 入っていくとすぐに脇にある縁側へと向かい、一声、ニャー、と鳴きました。
 するとその鳴き声で来たのか一人のお婆ちゃんが縁側の奥から出てきました。
 
「おやおや、今日も来てくれたんだね。さぁおいで」
 
 お婆ちゃんがそう言うとネコは、ストンっ、と身軽に縁側に上がりお婆ちゃんの膝の上へと乗り、ゴロリ、と横になります。
 お婆ちゃんはそんなネコに驚きもせずに膝に乗ってきて横になったネコを優しい手つきで撫でていきます。
 
 ポカポカと暖かい空気が流れる中でネコもお婆ちゃんもゆったりとした時間を過ごしていた。
 
 いつの間にか日が暮れて空がオレンジ色になった頃、ネコは、ピンっ、と耳を立てて起き上がり、お婆ちゃんの膝から降りると、ぐーっと伸びをして縁側を降りる。
 そしてありがとうと言うように、ニャー、と一声鳴きその場から離れる。
 トコトコと歩いている間にお婆ちゃんが手を降って見送っていた。
 
「また、おいで。クロ」
 
 クロと呼ばれたネコはまた、ニャー、と鳴いた。
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