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■67 恋バナというもの
しおりを挟む湿地帯は、領民達が住む土地の丁度反対側は山となっている。手前からどんどん掃討作戦を進めていき、残すところ山のふもととなっていた。けれど、きっと奥には凶暴なモンスターが生息している事だろう。
今まで私達が倒してきたモンスターは低級のモノ。そして、奥に進んでいくにつれてレベルが上がってきている。きっと、湿地帯ではモンスターの共食いが何度もあった事だろう。変形しているモンスターとの接触が何度もあったからだ。
まぁ、気を付けていれば確実に倒すことが出来るだろう。一番のマズいパターンは大型モンスターとの戦闘に他のモンスターが入ってくることだ。だから、戦闘が始まる前に結界を張りモンスターが入ってくる事を防げばいい。今回はおびき寄せ役とで半分に分けていたけれど、今回は標的を絞っていくから戦力は今までの二倍。きっと大丈夫だろう。
「ステファニー様、お手紙です」
「ありがとう。……アスタロト公爵から?」
手紙の内容は、来訪してもいいだろうかという事だった。
来訪理由は、あの日この領地で保護した子供達の件だ。子供達が私に会いたいと言い出していて、もし可能であれば引き取ってくれないだろうかという話である。確か、9人だったよね。
「サマンサ、アスタロト公爵に手紙を出してくれない? お待ちしています、と」
「畏まりました」
以前から、領地で保護した子供達の件で領民から見てくれる侍女を探していたけれど、ミランダ含む領民達が来てくれた。あとで話をして、増えても大丈夫かと聞いておこう。
「あの、ステファニー様」
「ん?」
サマンサと入れ違いで紅茶とお茶菓子を持ってきてくれた侍女達が私に話しかけた。以前から聞いてみたかった事があるらしい。錬金術の事だろうか。
「ステファニー様には、気になる殿方はいらっしゃいますか?」
「……え?」
気になる、殿方、とは? と、聞き返してみると、惹かれた殿方はいるのかとの事だった。えぇと……惹かれた?
「そういうのは……考えた事、なかったかなぁ」
今まで、長くとどまった事があるのは、このサーペンテインが初めてだ。それまでは未開拓地を歩いていた為あまり人とは接触してこなかった。まぁ、立ち寄った事もあったけれど……そんな事を思ったことは1回も無かったなぁ。
「ステファニー様には近くにカッコいい殿方が沢山いらっしゃるじゃないですか!」
「……え?」
この前デビュタントでエスコートしてくださったアスタロト公爵に、第二騎士団であるダルベルト伯爵に、以前から仲の良い王太子殿下に、モルティアート侯爵の子息。まぁ、確かに歳の近い男性は周りに入る。と言っても、見た目の年齢だが。中身が大体750歳だって聞いたら目飛び出すんじゃないかな。
「ん~、そういう風に思った事なかったかな」
勿体ないですっ!! と、言われてもなぁ。本当に思った事がないんだって。そもそも、そういうもの自体がよく分からない。仕方ないじゃない。
「それに、貴族って政略結婚なんじゃない?」
「政略結婚が全てではございません!」
まぁ、そうかもしれないけれど……。二人は曖昧な私の答えに納得がいかないようだ。恋愛、した事ないからなぁ。そもそも、どんなものなのか感じたことがない。ごめんね、期待に添えられなくて。
「二人はそういう人はいないの?」
「それはもうっ!! 」
「「ダルベルト伯爵様ですっ!!」」
あ、はい。何だか、このキラキラした目を見たことがあるな。あの、最初の頃に会ったエルサ、ミリィみたいな。アル様、だっけ。
剣を振るう姿がもう美しすぎて、何て言ってはいるけれど……へぇ、そんなに人気があるのか。まぁ、かっこいいと言えばかっこいい。
前に、「私が、剣となり盾となりましょう」と言われたことがあるけれど、かっこいいと思った。凄いこと言うなーと。実はギルバートさん、甘党なんだよ。だなんて言ってしまったら後が怖いなぁ。絶対言えない。
それよりも、恋する乙女とはこういう顔をする人の事を言うのか。そっちに興味がいくかな。可愛い。
二人は語り出しちゃったから、どうせならそこに座ってお茶をしながら話そうと座ってもらった。取り敢えず一度落ち着いてもらおう。
知らず知らずにサマンサが戻ってきて、注意されていた。ふふ、結構見ていて和んだなぁ。
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