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第二章 どうして異世界にこんなモノが!?
◇11 うどん
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次の日の夜、待ちに待ったうどんが食べられる。そう思っていたのに。
「夕食に出てくるなんて、珍しいじゃないか。どういう風の吹き回しだ?」
「ぜーんぜん帰ってこなかったじゃない」
「帰宅しなかったのは、ただ忙しかったからです。落ち着いてきたので帰宅したまでですよ」
本当かしら~とニヤニヤするお母様。そう、いつもと違う人が座っているのだ。……アルフレッドさんが。
全然帰ってこなかったんじゃなかったっけ……?
お陰で、ナイフとフォークを持つ私の手はプルプルと震えている。緊張感MAX。だって、私の隣に座ってるんだもん。そりゃそうなるわ。
「アヤメちゃん、大丈夫?」
「え?」
「さっきから全然食事が進んでないわ。お腹、空いてない? それとも、体調悪い?」
「い、いえ、大丈夫です」
本当に? と心配するお母様。テーブルの横に座るお父様も心配そうに顔を覗いてくる。
いや、そうではなくて……と言いたくても、隣から視線を感じて上手く返せない……
そう思っていた時だった。
「貸せ」
「え?」
「皿」
アルフレッドさんが、そう言ってきたのだ。そうお皿? 貸せ? 私が今食べてるお皿、って事だよね。食べてやるって事? いや、でも食べ残しなんて渡せないし、と思っていたら手を伸ばされて。これは渡さなきゃいけないなと思い仕方なく渡した。……と、思ったら。
どんどん小さくカットされていくお肉さん。口に入れる事なくどんどん切られていき、野菜まで同じく切っていって、お皿を返された。
そ、そういう事……?
私が、ナイフとフォーク、使うの苦手だって、分かってしまっていたと……? よく見てる、というか、恥ずかしい……緊張で手がプルプルしてたから余計だったわけではあっても。
「あ、ありがとう、ございます」
「気にするな」
「あらあらあら~」
すっごく、ニコニコなお父様とお母様。話と全然違うんだけど、ねぇ。何この優しいお兄様は。と、思いつつお兄様の切って下さったお肉をパク、パク、と口に入れていた。
それから、次に出てきた料理。私はこれを待っていたのだ。
昨日予告していた、あの料理。うどんだ。
コックさんが、またあのお店に行ってくれて夕食の為に頑張って作ってくれたのだ。
「あらまぁ、これがうどん?」
「不思議な形だな」
かけうどんのようだけど、麺ではない。これって確か耳うどんって言うんだっけ。お皿もどんぶりじゃなくて浅めのお皿。これならフォークでも食べられる。そこを考えてこんな形になったんだろうなぁ。麺だとお箸じゃなきゃ難しい。
食べてみたら、やっぱりうどんだった。麺じゃないのがちょっと残念だけど、おつゆの味もとっても美味しくて出汁もきいてる。美味しい~!
「ほぉ、もちもちしていて美味しいじゃないか。スープも合っていて味も素晴らしい」
「これ、本当は麺なんです」
「麺?」
「お箸なら簡単に食べられるんですけど、ナイフとフォークだからこんな形にしたんだと思うんです。あ、でも麺じゃないうどんもあるんですよ」
「へぇ~、なかなか興味深い料理ね」
ほら、フレッドはどう? とお母様が聞く。不思議そうに一口、また一口と食べていたけれど、お口に合っただろうか。
「不思議な味ですね」
「……それだけ?」
「……美味しいです」
あ、食レポは苦手な方でしたか。うん、イメージ的にそんな感じがする。
かけうどんの他にも、たぬきうどん、冷やしぶっかけうどん、さらにはカレーうどんなど様々なものがあるのだと熱弁をしてしまった。終わってからちょっと喋りすぎたなと反省してしまったけれど。
最後には、アヤメちゃんはうどんが好きなのね、と微笑まれてしまった。そこまで、という訳ではないけれど、私は日本人だからな。そういう事にしておこう。
「……これは?」
「坊っちゃまからですよ。ガルガルトの毛皮を加工されて作られたショールです。とても暖かいですよ」
食事から部屋に帰ってきた時、置かれていたプレゼントボックス。誰からだろうと思っていたらこれが出てきた。
先日討ち取ったらしい。とても強いんだとか。凄い、流石副団長だ。しかも、あの後教えてもらったんだけど所属している近衛騎士団ってエリート集団らしい。一番下が騎士団、その次に王国騎士団、そして一番上が近衛騎士団だそうだ。とりあえず、すごい人だった。
でも、獣の皮かぁ……そう考えるとなぁ……
「お気に召されませんでしたか?」
「あっ、ううん。あとでお礼言わなきゃって思って」
「獣とか、苦手でしたか?」
「そ、そんな事ないよ!」
「そうですか……」
マリアのその顔……もしかして、バレた? 顔に出ちゃったかな。気をつけよ。
と、思っていたら。
次の日、またまたプレゼントボックスを発見した。
「あの、これは……?」
「ラトールの毛を刈って作られた膝掛けです。大丈夫ですよ、殺されてませんから!」
あの、笑顔で言わないでください。
羊みたいな、そんな感じ、だと思うんだけど……これなら使いやすいとは思うんだけど……
でも、ラトールって希少動物で中々手に入らないって聞いたことある。私の前に来た異世界人の方、動物愛好家がいらっしゃる国で手に入れることが出来るんじゃなかったっけ。こんな凄いもの、私使っちゃっていいのだろうか。
「これ、まさか……」
「はい、坊っちゃまからの贈り物です!」
「も、貰いすぎじゃない……?」
「そんな事はございませんよ。これは坊っちゃまからのご好意ですから、素直に受け取ってください」
そ、そういうもの? でも、貰ってばかりだとなぁ。何か返せるもの、あるかなぁ。
「……押し花の額縁、って可愛すぎる?」
お父様にも作ったけれど、アルフレッドさんは若いからお花って柄じゃないんだと思うんだよね。でも、返せるものって言ったらそれくらいしかないし。
「お返しですか? 坊っちゃまなら何でもお喜びになりますよ」
「何でも……?」
「えぇ、何でもです。お嬢様からプレゼントを貰えた、それだけできっとお喜びになりますわ」
な、なるほど……そういうものか。でも、困らないだろうか。お花、好きじゃなかったらどうしよう。でも、私が熱出した時にはお花買ってきてくれたし……
「じゃあ、ラミラスで作ってみようかな」
「良いと思いますよ! きっと大切にしてくださいますよ」
「そっか、じゃあ決まり!」
ちょっと可愛すぎるから、ラミラスは白と青を選んだ。男性でも持てるようなデザインで作らないとね。
何度も並べては動かしを続け何とか完成させることが出来た。青と白、緑系でまとめたけれど……気に入ってくれるかな?
「……俺に、か」
「はい。お嬢様自らお作りになったんです。この前の贈り物のお返しだそうですよ」
「そうか……」
自分では渡せず、というか怖くもあったのでマリアに頼んだら、次の日またプレゼントが届いた。プレゼントのお返しをまたお返しで返されてしまったのだ。こっちはそれをされると困るんだけどなぁ。
でも素直に受け取ってくださいとマリアに言われ、贈られたお人形(今度はくまさん)は棚に置かれたうさぎさんの隣に並べた。
「夕食に出てくるなんて、珍しいじゃないか。どういう風の吹き回しだ?」
「ぜーんぜん帰ってこなかったじゃない」
「帰宅しなかったのは、ただ忙しかったからです。落ち着いてきたので帰宅したまでですよ」
本当かしら~とニヤニヤするお母様。そう、いつもと違う人が座っているのだ。……アルフレッドさんが。
全然帰ってこなかったんじゃなかったっけ……?
お陰で、ナイフとフォークを持つ私の手はプルプルと震えている。緊張感MAX。だって、私の隣に座ってるんだもん。そりゃそうなるわ。
「アヤメちゃん、大丈夫?」
「え?」
「さっきから全然食事が進んでないわ。お腹、空いてない? それとも、体調悪い?」
「い、いえ、大丈夫です」
本当に? と心配するお母様。テーブルの横に座るお父様も心配そうに顔を覗いてくる。
いや、そうではなくて……と言いたくても、隣から視線を感じて上手く返せない……
そう思っていた時だった。
「貸せ」
「え?」
「皿」
アルフレッドさんが、そう言ってきたのだ。そうお皿? 貸せ? 私が今食べてるお皿、って事だよね。食べてやるって事? いや、でも食べ残しなんて渡せないし、と思っていたら手を伸ばされて。これは渡さなきゃいけないなと思い仕方なく渡した。……と、思ったら。
どんどん小さくカットされていくお肉さん。口に入れる事なくどんどん切られていき、野菜まで同じく切っていって、お皿を返された。
そ、そういう事……?
私が、ナイフとフォーク、使うの苦手だって、分かってしまっていたと……? よく見てる、というか、恥ずかしい……緊張で手がプルプルしてたから余計だったわけではあっても。
「あ、ありがとう、ございます」
「気にするな」
「あらあらあら~」
すっごく、ニコニコなお父様とお母様。話と全然違うんだけど、ねぇ。何この優しいお兄様は。と、思いつつお兄様の切って下さったお肉をパク、パク、と口に入れていた。
それから、次に出てきた料理。私はこれを待っていたのだ。
昨日予告していた、あの料理。うどんだ。
コックさんが、またあのお店に行ってくれて夕食の為に頑張って作ってくれたのだ。
「あらまぁ、これがうどん?」
「不思議な形だな」
かけうどんのようだけど、麺ではない。これって確か耳うどんって言うんだっけ。お皿もどんぶりじゃなくて浅めのお皿。これならフォークでも食べられる。そこを考えてこんな形になったんだろうなぁ。麺だとお箸じゃなきゃ難しい。
食べてみたら、やっぱりうどんだった。麺じゃないのがちょっと残念だけど、おつゆの味もとっても美味しくて出汁もきいてる。美味しい~!
「ほぉ、もちもちしていて美味しいじゃないか。スープも合っていて味も素晴らしい」
「これ、本当は麺なんです」
「麺?」
「お箸なら簡単に食べられるんですけど、ナイフとフォークだからこんな形にしたんだと思うんです。あ、でも麺じゃないうどんもあるんですよ」
「へぇ~、なかなか興味深い料理ね」
ほら、フレッドはどう? とお母様が聞く。不思議そうに一口、また一口と食べていたけれど、お口に合っただろうか。
「不思議な味ですね」
「……それだけ?」
「……美味しいです」
あ、食レポは苦手な方でしたか。うん、イメージ的にそんな感じがする。
かけうどんの他にも、たぬきうどん、冷やしぶっかけうどん、さらにはカレーうどんなど様々なものがあるのだと熱弁をしてしまった。終わってからちょっと喋りすぎたなと反省してしまったけれど。
最後には、アヤメちゃんはうどんが好きなのね、と微笑まれてしまった。そこまで、という訳ではないけれど、私は日本人だからな。そういう事にしておこう。
「……これは?」
「坊っちゃまからですよ。ガルガルトの毛皮を加工されて作られたショールです。とても暖かいですよ」
食事から部屋に帰ってきた時、置かれていたプレゼントボックス。誰からだろうと思っていたらこれが出てきた。
先日討ち取ったらしい。とても強いんだとか。凄い、流石副団長だ。しかも、あの後教えてもらったんだけど所属している近衛騎士団ってエリート集団らしい。一番下が騎士団、その次に王国騎士団、そして一番上が近衛騎士団だそうだ。とりあえず、すごい人だった。
でも、獣の皮かぁ……そう考えるとなぁ……
「お気に召されませんでしたか?」
「あっ、ううん。あとでお礼言わなきゃって思って」
「獣とか、苦手でしたか?」
「そ、そんな事ないよ!」
「そうですか……」
マリアのその顔……もしかして、バレた? 顔に出ちゃったかな。気をつけよ。
と、思っていたら。
次の日、またまたプレゼントボックスを発見した。
「あの、これは……?」
「ラトールの毛を刈って作られた膝掛けです。大丈夫ですよ、殺されてませんから!」
あの、笑顔で言わないでください。
羊みたいな、そんな感じ、だと思うんだけど……これなら使いやすいとは思うんだけど……
でも、ラトールって希少動物で中々手に入らないって聞いたことある。私の前に来た異世界人の方、動物愛好家がいらっしゃる国で手に入れることが出来るんじゃなかったっけ。こんな凄いもの、私使っちゃっていいのだろうか。
「これ、まさか……」
「はい、坊っちゃまからの贈り物です!」
「も、貰いすぎじゃない……?」
「そんな事はございませんよ。これは坊っちゃまからのご好意ですから、素直に受け取ってください」
そ、そういうもの? でも、貰ってばかりだとなぁ。何か返せるもの、あるかなぁ。
「……押し花の額縁、って可愛すぎる?」
お父様にも作ったけれど、アルフレッドさんは若いからお花って柄じゃないんだと思うんだよね。でも、返せるものって言ったらそれくらいしかないし。
「お返しですか? 坊っちゃまなら何でもお喜びになりますよ」
「何でも……?」
「えぇ、何でもです。お嬢様からプレゼントを貰えた、それだけできっとお喜びになりますわ」
な、なるほど……そういうものか。でも、困らないだろうか。お花、好きじゃなかったらどうしよう。でも、私が熱出した時にはお花買ってきてくれたし……
「じゃあ、ラミラスで作ってみようかな」
「良いと思いますよ! きっと大切にしてくださいますよ」
「そっか、じゃあ決まり!」
ちょっと可愛すぎるから、ラミラスは白と青を選んだ。男性でも持てるようなデザインで作らないとね。
何度も並べては動かしを続け何とか完成させることが出来た。青と白、緑系でまとめたけれど……気に入ってくれるかな?
「……俺に、か」
「はい。お嬢様自らお作りになったんです。この前の贈り物のお返しだそうですよ」
「そうか……」
自分では渡せず、というか怖くもあったのでマリアに頼んだら、次の日またプレゼントが届いた。プレゼントのお返しをまたお返しで返されてしまったのだ。こっちはそれをされると困るんだけどなぁ。
でも素直に受け取ってくださいとマリアに言われ、贈られたお人形(今度はくまさん)は棚に置かれたうさぎさんの隣に並べた。
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