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第四章 異世界のお手紙
◇30 食べてもらいたいもの
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私がついうっかり言ってしまって大きくなってしまった郵便事業は着々と進んでいった。……ついうっかりだなんて、言っちゃダメだという事は分かっているけれど。
そして、郵便事業には郵便局がとても重要だ。手紙を配達するには、郵便局がないと始まらない。
首都の大通り、人の行き来が多い場所に郵便局を建てる事となり、ただ今作業をしている最中だ。建設には魔道具を使用しているらしく、魔道具技術の優れたこの国ではお手の物らしい。
「とっても綺麗です!」
「良かった、お嬢様のご要望に応えられたようで安心しましたよ」
「引き続き、よろしくお願いします」
「はい、任せてください」
受付があって、切手コーナー、レターセットコーナーがあって、奥には送られてきた手紙を仕分けて保管する為の場所があって。あと建物の外には馬小屋もある。配達員さん達にとっては一番重要な移動手段。だから立派なものを作ってもらう予定だ。
リアさんに郵便局員さん達が着る制服を依頼したところ、とっても素敵な制服を製作してくれた。
女性はふわふわのスカートで首元には可愛いリボンのついたワンピース。男性用はシャツにベストのついたカッコいい制服になっている。
配達員さんは、スーツのようなデザインでありつつも動きやすい生地を使ってるらしい。帽子も付いていて、お手紙を入れる為のショルダーバッグも。
バッグは魔道具になっていて、外からの衝撃でお手紙が傷ついたり、雨で濡れないように施されている。あと、盗まれたりしないよう鍵も付いている。お客様からお預かりした手紙に何かあったら大変だ。
そして全員、胸元には金色のお花柄のバッジが付いている。郵便局員という証のバッジだ。
可愛すぎないように何とかデザインを考えて作ってみた。皆さん喜んでくれるといいんだけどな。
けれどまさか、王様が〝郵便受け〟を導入してくれるとは思わなかった。この世界には郵便がなかったからないだろうと分かってはいた。だからどうしようか考えてはいたんだけれど、レストリス侯爵が陛下に言ってしまい郵便受けを義務化してしまおうと言ってしまった。
「けれどまさか、この国のゴミ問題に貢献してしまうとは思わなかったよ……」
「ふふ、これで役場の事務員たちは頭を悩ませずに済みますね」
約50年前、魔道具で紙を作る技術が進歩し誰でも普通に紙を使えるようになった。それもあり宣伝のチラシや、ニュースの書かれた新聞のようなものが流行ったのだが、当然郵便受けなんてものはなかったため手持ちの袋を玄関のドアノブにかけたのだ。
当然、強い風で飛んでいってしまい散乱してしまう。今は技術が発展して強い風でも何とか飛ばされずに済んでいるけれど、それでもやっぱりゴミが出てしまう。
その問題を解決するため、郵便受けを義務化しようと王様が動いてくれたわけだ。義務化、と言ってもレストリス商会が簡単に取り付けられるものを無償で配ってくれたというわけだ。まだ首都までではあるけれど、少しずつ義務化を進めていくそう。
これで、役場の人達の苦労が減ってくれる事を祈ろう。王様、レストリス侯爵、ありがとうございます。
「そろそろお昼ですね。お昼ご飯にいたしましょうか?」
「うん、私もうお腹ペコペコだよ~」
という事で、決めていた【なかむら】に向かう事にした。
今日は何を食べられるかなぁ~。そう思っていたんだけど……
「あ」
「あら」
いつものスライドドアを開くと……店内は凄く賑やかで。とっても忙しそうだ。あら、席空いてない。
こりゃ駄目だね、お土産も大変そうだからやめておいた方がいいかな。
それにしても、若い人ばっかだ。前は貴族の方ばかりだったけど、違う人達もちらほら。
「あ、アヤメちゃん!」
「こんにちは、ナナミちゃん。忙しそうだね」
「そ~なのよ~」
じゃあまたね、とお店を出た。
ごめんね、と謝られてしまったけれど、でも私達は何時でも来れるから全然大丈夫だよ。
「どうします? お嬢様」
「ん~」
今日のお仕事終わっちゃったし……帰ってアクセサリー作りでもしようかな。本当は明日やるつもりだったんだけど。
「もしよろしければブティックに行きましょうか?」
「もう沢山持ってるよ?」
「靴と帽子はあまり持っていらっしゃらないではありませんか」
「必要?」
「勿論です!」
と、話しながら少し遠くに停めた馬車に向かっていた時。
「アヤメ!」
と、呼ばれた。あら、この声は……タクミ君だ。
忙しいのに、急いで来てくれたらしい。走ってこっちに来てくれて息切れしてて。
「このあと時間は?」
「え? あ、空いてる、けど……」
「じゃあ、食べてほしいのがあるんだけど、食事処の営業終わった頃来て」
「あ……分かった」
じゃ、と言い残してダッシュでお店に戻っていってしまった。まぁ、一応今日来る事を丁度屋敷に来てたナナミちゃんに言ってはいたけれど……食べてほしいもの、か……何だろう。というか、タクミ君足早っ。
営業時間終了まで、あと2時間か。
「じゃあ、行こっか」
「そうですね」
マリアが言ったブティックはリアさんの経営するお店らしく、当然のことながらこちらもお客さんで賑わっていた。もちろん、貴族のご令嬢が何人もいて。私を見てコソコソと話していた。一体何を言われてしまっているのか分からなかったけれど、従業員にマリアが何かを伝えて、私達は個室に通された。
うん、さすが公爵家。
「ヒール可愛いね」
「ヒールを履いた事はございますか?」
「あるよ、7cmまでだけど」
「えっ」
と言っても、数回だけど。けれど、この星での最大サイズが7cmらしい。普通のサイズは3cmなのだとか。私の国では10cmとか12cmとかあったよって教えてあげたら顔が固まっていた。あはは、私はそんな高いヒールを履くのは無理だけど。
結局、靴や帽子の他に洋服まで購入してしまって。そんな事をしていたらあっという間に2時間経っていた。
だからすぐに御者さんに【なかむら】に向かってもらうことに。
お店のドアを開けると、中は静か。食事処の営業が終わってるんだから当たり前か。
「あ! アヤメちゃんいらっしゃい!」
「お疲れ様」
その声でタクミ君も厨房から出てきた。さっきは忙しかったのにごめんなさい。
こっち座って、と言われて。さて、食べて欲しいものとは何だろうか?
「実はね、いいものが手に入ったの」
いいもの?
「海鮮丼」
「えっ」
「食べたい?」
「食べたいっ!!」
「あは、おっけ!」
海鮮丼!! 生のお魚が食べれるって事ね! しかもどんぶりも初めてだよね? やったー!
「かいせんどん、とは?」
「あぁ、ご飯の上に生の魚が乗ってるんですよ」
「なっ生!?」
「えぇ!?」
あ、やっぱりマリアもジルベルトもそうなるか。この国だと生の魚は食べないから、魚料理は全部火が通ているものばかりだ。だから、2人がこんなに驚くのは不思議じゃない。
「やめとく?」
「……」
「……いえ、お嬢様の故郷の味です。私はお嬢様の専属メイドですから、故郷の味を知る事も大切な事です!!」
「え、いいのに」
「いえ、私もお嬢様と同じものでお願いします!!」
「でしたら私も!!」
と、何だか気合いの入った様子のマリアとジルベルト。私達三人共海鮮丼となった。無理しなくてもいいのに、と言いたかったけれど、こんなに意気込んでるから、いっか。
「どんぶり、とはどういうものなのですか?」
「底が深い食器の事だよ」
「食器?」
こんな感じ、と手で表してみた。この国にはどんぶりというものがない。だから二人には初めて見るものだって事だ。
二人には、どんぶり飯というものを説明してみた。ご飯が下に入っていて、その上に色々なものが乗っている料理。さっきのような海鮮丼、それに親子丼やかつ丼に天丼、豚丼、あとうな丼もあったよね。う~んうな丼食べた~い!
「とっても面白い文化ですね、ご飯に直接乗せてしまうなんて」
「でしょ? 洗い物も少ないしね!」
「確かに!」
少ししてから、ぴょこ、っとナナミちゃんが厨房から顔を出した。
「皆さん、わさびは?」
「あ……さび抜きでお願いします」
「ふふ、おっけ!」
わさび? と頭を傾げていたマリアとジルベルト。辛いやつって言うと二人共OKを出していた。私だけさび抜き……なんか恥ずかしい。ナナミちゃん笑って戻っていったし。
マリアは私が辛いものが苦手な事を知っているから、ふふっと笑ってる。すみませんね、おこちゃまで。
それから、はいどーぞ、と私達の前にどんぶりが並べられた。わぁ、美味しそう!
「いただきます!」
「ふふ、いただきます」
「いただきますっ!」
私はお箸、2人はスプーンで。さて、お味は……
「ん~!」
「美味しい?」
「うんっ!」
地球の海鮮丼とは違った食材だけど、それでもとっても美味しい! ちゃんといくらみたいなものもあるし、えびも、マグロとかのネタも! はぁ~最高!!
向かいに座る二人は、目の前に置かれたどんぶりと私を交互に見ている。無理しなくてもいいのに。と思っていたらジルベルトがスプーンを入れて。赤身の魚をご飯と一緒に掬い、思いっきり口に入れた。
「んっ!?」
「えっ?」
その瞬間、目を輝かせていて。それほど美味しかったらしい。また一口、一口とどんどん口に運んでいっていた。それを見たマリアも、恐る恐るスプーンで掬い食べた。
「んっ!?」
マリアも目をキラキラさせていて。二人共気に入ってくれたみたい。しかもマリア、わさび気に入っちゃった?
あら、ジルベルト、もう3分の一しか残ってない。さっきまで夢中で食べてたからね、良い食べっぷりね~。あ、もう食べ終わっちゃった。
「お兄さん、おかわりは?」
「くださいっ! あっ……」
「いいよいいよ、お願いナナミちゃん」
「おっけ~!」
すっごく恥ずかしそうなジルベルト。ふふ、よかった。
お腹いっぱいに美味しいものを食べた私達は、ごちそうさまでしたと屋敷に戻った。また来ま~す!
二人も、帰り道でまた生の魚を食べたいと言ってくれた。お気に召したようで安心しました。
そして、郵便事業には郵便局がとても重要だ。手紙を配達するには、郵便局がないと始まらない。
首都の大通り、人の行き来が多い場所に郵便局を建てる事となり、ただ今作業をしている最中だ。建設には魔道具を使用しているらしく、魔道具技術の優れたこの国ではお手の物らしい。
「とっても綺麗です!」
「良かった、お嬢様のご要望に応えられたようで安心しましたよ」
「引き続き、よろしくお願いします」
「はい、任せてください」
受付があって、切手コーナー、レターセットコーナーがあって、奥には送られてきた手紙を仕分けて保管する為の場所があって。あと建物の外には馬小屋もある。配達員さん達にとっては一番重要な移動手段。だから立派なものを作ってもらう予定だ。
リアさんに郵便局員さん達が着る制服を依頼したところ、とっても素敵な制服を製作してくれた。
女性はふわふわのスカートで首元には可愛いリボンのついたワンピース。男性用はシャツにベストのついたカッコいい制服になっている。
配達員さんは、スーツのようなデザインでありつつも動きやすい生地を使ってるらしい。帽子も付いていて、お手紙を入れる為のショルダーバッグも。
バッグは魔道具になっていて、外からの衝撃でお手紙が傷ついたり、雨で濡れないように施されている。あと、盗まれたりしないよう鍵も付いている。お客様からお預かりした手紙に何かあったら大変だ。
そして全員、胸元には金色のお花柄のバッジが付いている。郵便局員という証のバッジだ。
可愛すぎないように何とかデザインを考えて作ってみた。皆さん喜んでくれるといいんだけどな。
けれどまさか、王様が〝郵便受け〟を導入してくれるとは思わなかった。この世界には郵便がなかったからないだろうと分かってはいた。だからどうしようか考えてはいたんだけれど、レストリス侯爵が陛下に言ってしまい郵便受けを義務化してしまおうと言ってしまった。
「けれどまさか、この国のゴミ問題に貢献してしまうとは思わなかったよ……」
「ふふ、これで役場の事務員たちは頭を悩ませずに済みますね」
約50年前、魔道具で紙を作る技術が進歩し誰でも普通に紙を使えるようになった。それもあり宣伝のチラシや、ニュースの書かれた新聞のようなものが流行ったのだが、当然郵便受けなんてものはなかったため手持ちの袋を玄関のドアノブにかけたのだ。
当然、強い風で飛んでいってしまい散乱してしまう。今は技術が発展して強い風でも何とか飛ばされずに済んでいるけれど、それでもやっぱりゴミが出てしまう。
その問題を解決するため、郵便受けを義務化しようと王様が動いてくれたわけだ。義務化、と言ってもレストリス商会が簡単に取り付けられるものを無償で配ってくれたというわけだ。まだ首都までではあるけれど、少しずつ義務化を進めていくそう。
これで、役場の人達の苦労が減ってくれる事を祈ろう。王様、レストリス侯爵、ありがとうございます。
「そろそろお昼ですね。お昼ご飯にいたしましょうか?」
「うん、私もうお腹ペコペコだよ~」
という事で、決めていた【なかむら】に向かう事にした。
今日は何を食べられるかなぁ~。そう思っていたんだけど……
「あ」
「あら」
いつものスライドドアを開くと……店内は凄く賑やかで。とっても忙しそうだ。あら、席空いてない。
こりゃ駄目だね、お土産も大変そうだからやめておいた方がいいかな。
それにしても、若い人ばっかだ。前は貴族の方ばかりだったけど、違う人達もちらほら。
「あ、アヤメちゃん!」
「こんにちは、ナナミちゃん。忙しそうだね」
「そ~なのよ~」
じゃあまたね、とお店を出た。
ごめんね、と謝られてしまったけれど、でも私達は何時でも来れるから全然大丈夫だよ。
「どうします? お嬢様」
「ん~」
今日のお仕事終わっちゃったし……帰ってアクセサリー作りでもしようかな。本当は明日やるつもりだったんだけど。
「もしよろしければブティックに行きましょうか?」
「もう沢山持ってるよ?」
「靴と帽子はあまり持っていらっしゃらないではありませんか」
「必要?」
「勿論です!」
と、話しながら少し遠くに停めた馬車に向かっていた時。
「アヤメ!」
と、呼ばれた。あら、この声は……タクミ君だ。
忙しいのに、急いで来てくれたらしい。走ってこっちに来てくれて息切れしてて。
「このあと時間は?」
「え? あ、空いてる、けど……」
「じゃあ、食べてほしいのがあるんだけど、食事処の営業終わった頃来て」
「あ……分かった」
じゃ、と言い残してダッシュでお店に戻っていってしまった。まぁ、一応今日来る事を丁度屋敷に来てたナナミちゃんに言ってはいたけれど……食べてほしいもの、か……何だろう。というか、タクミ君足早っ。
営業時間終了まで、あと2時間か。
「じゃあ、行こっか」
「そうですね」
マリアが言ったブティックはリアさんの経営するお店らしく、当然のことながらこちらもお客さんで賑わっていた。もちろん、貴族のご令嬢が何人もいて。私を見てコソコソと話していた。一体何を言われてしまっているのか分からなかったけれど、従業員にマリアが何かを伝えて、私達は個室に通された。
うん、さすが公爵家。
「ヒール可愛いね」
「ヒールを履いた事はございますか?」
「あるよ、7cmまでだけど」
「えっ」
と言っても、数回だけど。けれど、この星での最大サイズが7cmらしい。普通のサイズは3cmなのだとか。私の国では10cmとか12cmとかあったよって教えてあげたら顔が固まっていた。あはは、私はそんな高いヒールを履くのは無理だけど。
結局、靴や帽子の他に洋服まで購入してしまって。そんな事をしていたらあっという間に2時間経っていた。
だからすぐに御者さんに【なかむら】に向かってもらうことに。
お店のドアを開けると、中は静か。食事処の営業が終わってるんだから当たり前か。
「あ! アヤメちゃんいらっしゃい!」
「お疲れ様」
その声でタクミ君も厨房から出てきた。さっきは忙しかったのにごめんなさい。
こっち座って、と言われて。さて、食べて欲しいものとは何だろうか?
「実はね、いいものが手に入ったの」
いいもの?
「海鮮丼」
「えっ」
「食べたい?」
「食べたいっ!!」
「あは、おっけ!」
海鮮丼!! 生のお魚が食べれるって事ね! しかもどんぶりも初めてだよね? やったー!
「かいせんどん、とは?」
「あぁ、ご飯の上に生の魚が乗ってるんですよ」
「なっ生!?」
「えぇ!?」
あ、やっぱりマリアもジルベルトもそうなるか。この国だと生の魚は食べないから、魚料理は全部火が通ているものばかりだ。だから、2人がこんなに驚くのは不思議じゃない。
「やめとく?」
「……」
「……いえ、お嬢様の故郷の味です。私はお嬢様の専属メイドですから、故郷の味を知る事も大切な事です!!」
「え、いいのに」
「いえ、私もお嬢様と同じものでお願いします!!」
「でしたら私も!!」
と、何だか気合いの入った様子のマリアとジルベルト。私達三人共海鮮丼となった。無理しなくてもいいのに、と言いたかったけれど、こんなに意気込んでるから、いっか。
「どんぶり、とはどういうものなのですか?」
「底が深い食器の事だよ」
「食器?」
こんな感じ、と手で表してみた。この国にはどんぶりというものがない。だから二人には初めて見るものだって事だ。
二人には、どんぶり飯というものを説明してみた。ご飯が下に入っていて、その上に色々なものが乗っている料理。さっきのような海鮮丼、それに親子丼やかつ丼に天丼、豚丼、あとうな丼もあったよね。う~んうな丼食べた~い!
「とっても面白い文化ですね、ご飯に直接乗せてしまうなんて」
「でしょ? 洗い物も少ないしね!」
「確かに!」
少ししてから、ぴょこ、っとナナミちゃんが厨房から顔を出した。
「皆さん、わさびは?」
「あ……さび抜きでお願いします」
「ふふ、おっけ!」
わさび? と頭を傾げていたマリアとジルベルト。辛いやつって言うと二人共OKを出していた。私だけさび抜き……なんか恥ずかしい。ナナミちゃん笑って戻っていったし。
マリアは私が辛いものが苦手な事を知っているから、ふふっと笑ってる。すみませんね、おこちゃまで。
それから、はいどーぞ、と私達の前にどんぶりが並べられた。わぁ、美味しそう!
「いただきます!」
「ふふ、いただきます」
「いただきますっ!」
私はお箸、2人はスプーンで。さて、お味は……
「ん~!」
「美味しい?」
「うんっ!」
地球の海鮮丼とは違った食材だけど、それでもとっても美味しい! ちゃんといくらみたいなものもあるし、えびも、マグロとかのネタも! はぁ~最高!!
向かいに座る二人は、目の前に置かれたどんぶりと私を交互に見ている。無理しなくてもいいのに。と思っていたらジルベルトがスプーンを入れて。赤身の魚をご飯と一緒に掬い、思いっきり口に入れた。
「んっ!?」
「えっ?」
その瞬間、目を輝かせていて。それほど美味しかったらしい。また一口、一口とどんどん口に運んでいっていた。それを見たマリアも、恐る恐るスプーンで掬い食べた。
「んっ!?」
マリアも目をキラキラさせていて。二人共気に入ってくれたみたい。しかもマリア、わさび気に入っちゃった?
あら、ジルベルト、もう3分の一しか残ってない。さっきまで夢中で食べてたからね、良い食べっぷりね~。あ、もう食べ終わっちゃった。
「お兄さん、おかわりは?」
「くださいっ! あっ……」
「いいよいいよ、お願いナナミちゃん」
「おっけ~!」
すっごく恥ずかしそうなジルベルト。ふふ、よかった。
お腹いっぱいに美味しいものを食べた私達は、ごちそうさまでしたと屋敷に戻った。また来ま~す!
二人も、帰り道でまた生の魚を食べたいと言ってくれた。お気に召したようで安心しました。
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