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第九章 異世界人集結!
◇78 甘いものた~っぷりパフェ
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今回のサミットでいくつも【郵便事業】に参加させてほしいとの話をいくつも貰った。それを受けて、お母様たちと相談し新しい郵便局を置く事になり今急ピッチで作っている最中だ。
二ヵ所設ける事になったのだけれど、その中にはアドマンス領も含まれている。それは、ヴィスティウス大公閣下の提案があってそこを選んだ。
色々な国から郵便ルートをこちらにも広げてくれと言われたけれど、とりあえずまずは島国であるミュレーンス王国との国際郵便を目標にしようとお母様とお父様と決めたのだ。
ここから領地に行くには馬車で4日。だけど最短ルートで馬を使えば3日もかからないらしい。もう片方の郵便局は4日くらいかかってしまうかな。でも人口が多い場所を選んだ。
「え、自転車?」
「はい、思った以上に自転車が大人気で、それを目当てに配達員志望をされる方が続出しています」
「なる、ほど」
まさかここまで自転車が人気になるとは思いもしなかった。乗る為には練習が必要となるけれど、でも今の配達員さん達はとっても楽しそうに自転車に乗ってると聞いた。
配達中に、この乗り物は? と聞かれる事が多々ある事も聞いている。貸してくれ、って言われたりもするらしい。仕事道具なのでダメです、って断ってるみたい。
「え”っ、自転車販売!?」
「はい、馬よりも自転車の方が場所を取らないし使い勝手がいいとの事で、ぜひうちにも、と」
「なる、ほど……」
でも、地球では自転車の事故も多く厳しく取り締まっていた。そういった面があるからそれは余裕が出来た際にお父様と相談するつもりだ。
「お嬢様、おやつですよ」
「……え? 待って、それ何」
私の座っている作業机に置かれたのは……とっても魅力的なグラス。透明な縦長のグラスに、層がいくつも重なっている。そして一番上には……
「うそ……アイスだ!」
「ふふ、やっぱり言っていた通りですね」
「え?」
「これ、【なかむら】で渡されたものだそうです。お嬢様に、と」
「……本当?」
「えぇ、本当です。ようかんを買いに【なかむら】に行っていたメイドが、これをお嬢様に持っていくようナカムラ子息に任されたと言っていました」
「……」
これを、私に……これ、絶対大変だったよね。作るの。しかも、溶けないよう魔道具の携帯用保冷箱に入れて準備してあったらしい。用意周到ですな。
実は今、サミットの影響で【お食事処・なかむら】のお客さんが多くなったって聞いた。もう毎日目が回るくらい大変らしい。
サミット中にあった会食で振る舞われたのはスフェーン王国の料理。もう皆さん声を揃えて美味しかったと絶賛していたからそれを聞いた人達が殺到しているのだと思う。
ナカムラ商会も今注文殺到で大変みたい。だからレストリス侯爵も手伝って下さってるみたいだってリアさんに聞いた。
そんな中、これを作ってくれたんだ。
「あと、言伝もありまして」
「え?」
「そのグラス、絶対に自分で返しに来るように。だそうです」
「あ、はは……」
マジかぁ。まぁ、忙しくて【なかむら】に行けなかったってだけなんだけど。ちょっとはそっちも忙しそうだからって気持ちもあって行けなかった。
勿論、最後のパーティーで話したあのデートの約束も果たされていない。一応タクミは毎日早朝こちらに来てお父様に指南されているわけだけど、何故か会えない。この約束は一体いつ果たされるのだろうか。
「……美味ぁ~!」
一番上にあるアイス、最高。バニラアイスかな、超濃厚。下には白玉と、あんこと、抹茶のゼリーかな? しかも生クリームもある。いつも思っていたけれど、一体どうやって地球の食材を見つけてるんだろう。聞いてみようかな、中村さんに。すぐそこにいるし。まったりと休暇を満喫してるみたいだし。
甘いものは正義。うん、正論だわ。でもさ、これをカリナが聞いたらどうなるだろう。きっと羨ましがられると思う。同じもの作れってお願いしそう。
でも、まずは仕事を頑張ってカリナと一緒に【なかむら】に行けるようにしなきゃ。そこからだよね。
遅くなるとどっかの誰かさんが怒り出しちゃいそうだから、早く終わらせなきゃ。
とりあえず、このパフェの感想をお手紙にしたためよう。超絶美味でした、って。あと、次の注文も書いてみようかしら。あ、プリンアラモードいいかも。ふふ、楽しみだなぁ。
二ヵ所設ける事になったのだけれど、その中にはアドマンス領も含まれている。それは、ヴィスティウス大公閣下の提案があってそこを選んだ。
色々な国から郵便ルートをこちらにも広げてくれと言われたけれど、とりあえずまずは島国であるミュレーンス王国との国際郵便を目標にしようとお母様とお父様と決めたのだ。
ここから領地に行くには馬車で4日。だけど最短ルートで馬を使えば3日もかからないらしい。もう片方の郵便局は4日くらいかかってしまうかな。でも人口が多い場所を選んだ。
「え、自転車?」
「はい、思った以上に自転車が大人気で、それを目当てに配達員志望をされる方が続出しています」
「なる、ほど」
まさかここまで自転車が人気になるとは思いもしなかった。乗る為には練習が必要となるけれど、でも今の配達員さん達はとっても楽しそうに自転車に乗ってると聞いた。
配達中に、この乗り物は? と聞かれる事が多々ある事も聞いている。貸してくれ、って言われたりもするらしい。仕事道具なのでダメです、って断ってるみたい。
「え”っ、自転車販売!?」
「はい、馬よりも自転車の方が場所を取らないし使い勝手がいいとの事で、ぜひうちにも、と」
「なる、ほど……」
でも、地球では自転車の事故も多く厳しく取り締まっていた。そういった面があるからそれは余裕が出来た際にお父様と相談するつもりだ。
「お嬢様、おやつですよ」
「……え? 待って、それ何」
私の座っている作業机に置かれたのは……とっても魅力的なグラス。透明な縦長のグラスに、層がいくつも重なっている。そして一番上には……
「うそ……アイスだ!」
「ふふ、やっぱり言っていた通りですね」
「え?」
「これ、【なかむら】で渡されたものだそうです。お嬢様に、と」
「……本当?」
「えぇ、本当です。ようかんを買いに【なかむら】に行っていたメイドが、これをお嬢様に持っていくようナカムラ子息に任されたと言っていました」
「……」
これを、私に……これ、絶対大変だったよね。作るの。しかも、溶けないよう魔道具の携帯用保冷箱に入れて準備してあったらしい。用意周到ですな。
実は今、サミットの影響で【お食事処・なかむら】のお客さんが多くなったって聞いた。もう毎日目が回るくらい大変らしい。
サミット中にあった会食で振る舞われたのはスフェーン王国の料理。もう皆さん声を揃えて美味しかったと絶賛していたからそれを聞いた人達が殺到しているのだと思う。
ナカムラ商会も今注文殺到で大変みたい。だからレストリス侯爵も手伝って下さってるみたいだってリアさんに聞いた。
そんな中、これを作ってくれたんだ。
「あと、言伝もありまして」
「え?」
「そのグラス、絶対に自分で返しに来るように。だそうです」
「あ、はは……」
マジかぁ。まぁ、忙しくて【なかむら】に行けなかったってだけなんだけど。ちょっとはそっちも忙しそうだからって気持ちもあって行けなかった。
勿論、最後のパーティーで話したあのデートの約束も果たされていない。一応タクミは毎日早朝こちらに来てお父様に指南されているわけだけど、何故か会えない。この約束は一体いつ果たされるのだろうか。
「……美味ぁ~!」
一番上にあるアイス、最高。バニラアイスかな、超濃厚。下には白玉と、あんこと、抹茶のゼリーかな? しかも生クリームもある。いつも思っていたけれど、一体どうやって地球の食材を見つけてるんだろう。聞いてみようかな、中村さんに。すぐそこにいるし。まったりと休暇を満喫してるみたいだし。
甘いものは正義。うん、正論だわ。でもさ、これをカリナが聞いたらどうなるだろう。きっと羨ましがられると思う。同じもの作れってお願いしそう。
でも、まずは仕事を頑張ってカリナと一緒に【なかむら】に行けるようにしなきゃ。そこからだよね。
遅くなるとどっかの誰かさんが怒り出しちゃいそうだから、早く終わらせなきゃ。
とりあえず、このパフェの感想をお手紙にしたためよう。超絶美味でした、って。あと、次の注文も書いてみようかしら。あ、プリンアラモードいいかも。ふふ、楽しみだなぁ。
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