15 / 30
マシュマロ系令嬢と乙女ゲーヒロイン
3.
しおりを挟む
「――わかる」
いきなり自由人リリーティアがマリアベルに賛同した。
「学園長パパママわたしの親子面談の間、パパにずっと泣かれてウザかったもの」
――物理的な意味のほうではない。
リリーティアの両親であるリクール男爵夫妻は、学園に呼び出しまでされたらしい。
「みんなは親不孝をしちゃダメだよ? 『孝行したい時に親はなし』って言葉もあるんだから、ねっ?」
「リリーティアは女神なのか?」
「いや、天使だろう」
いちばん親不孝をしているリリーティア本人の、どの口が言っているのだろう?
「――貴様らは反省文程度では足りなかったようだな」
「ぎゃ――っ、出たあああああっっっ!!?」
リリーティアとその愉快な仲間たちが叫び声をあげながら逃げて行く。
「やっと行ってくれましたね」
「ほんとね。あれ、途中で引っ込みがつかなくなってたわよね」
とんだ茶番につき合わされたものだ。エマの言葉にマリアベルは深くうなずく。
「ベル、大丈夫だったか!?」
いいタイミングで姿を現した救世主は、もちろんマリアベルの婚約者シモン・モンテイエである。
ややお疲れ気味に見えるけれど、相も変わらず麗しい。
「シモン様、ごきげんよう。リリーティアさんたちにからまれて困っていたのです。助かりました」
「ここに屍人が現れたと連絡を受けて急いで来たんだ」
「まあ」
本当に急いで来てくれたのだろう、シモンの額に光る汗に気付いたマリアベルは嬉しくなる。
席を立ってシモンの額にハンカチを当てた。
「ご安心ください。屍人の正体は、リリーティアさんでしたわ」
「……ったく、あの女。反省文を10000枚にしておけばよかったか? しかし、そうなるとまたベルに会う時間が……うーん、しかしベルの周りをうろちょろされるのは……」
婚約者はじつは生徒会に所属していた。
昼食の席でからまれた際、シモンがすぐに衛兵を呼べたのも、そのような理由からである。
「シモン様、いろいろとお疲れ様でした。リリーティアさんに1000枚もの反省文を書かせるのは、大変でしたでしょう?」
婚約者の美しい紅玉の瞳がマリアベルを映した。
「いたわってくれるか?」
「もちろんです!」
生徒会と王太子殿下の補佐で、婚約者はいつも忙しくしている。
そこへきて、リリーティアと愉快ななかまたちを反省房に入れてしまったため、その管理もしなければならなくなった。
今までは夕飯くらいはいっしょに食べられたのだけれど、この7日の間はそれさえも出来なかったのだ。
完全にお互い不足である。
「それならば、ベルとふたりきりでゆっくり過ごしたい。王都で行きたい場所はあるか?」
「よいのですか?」
「ああ。1、2日程度なら、殿下も生徒会も問題ない」
「ありがとうございます。考えておきます!」
王立学園のある王都には来たばかりで日が浅い。
観光もしたいし、街に美味しい洋菓子店があるなら、ぜひとも行ってみたい。
「うふふ、シモン様とふたりきりでおでかけするのが楽しみです」
「私もだ」
わたしもお側に付くんですけどね……と侍女が突っ込んでいるとなりで、空気のようなシモンの侍従が肩をすくめていた。
いきなり自由人リリーティアがマリアベルに賛同した。
「学園長パパママわたしの親子面談の間、パパにずっと泣かれてウザかったもの」
――物理的な意味のほうではない。
リリーティアの両親であるリクール男爵夫妻は、学園に呼び出しまでされたらしい。
「みんなは親不孝をしちゃダメだよ? 『孝行したい時に親はなし』って言葉もあるんだから、ねっ?」
「リリーティアは女神なのか?」
「いや、天使だろう」
いちばん親不孝をしているリリーティア本人の、どの口が言っているのだろう?
「――貴様らは反省文程度では足りなかったようだな」
「ぎゃ――っ、出たあああああっっっ!!?」
リリーティアとその愉快な仲間たちが叫び声をあげながら逃げて行く。
「やっと行ってくれましたね」
「ほんとね。あれ、途中で引っ込みがつかなくなってたわよね」
とんだ茶番につき合わされたものだ。エマの言葉にマリアベルは深くうなずく。
「ベル、大丈夫だったか!?」
いいタイミングで姿を現した救世主は、もちろんマリアベルの婚約者シモン・モンテイエである。
ややお疲れ気味に見えるけれど、相も変わらず麗しい。
「シモン様、ごきげんよう。リリーティアさんたちにからまれて困っていたのです。助かりました」
「ここに屍人が現れたと連絡を受けて急いで来たんだ」
「まあ」
本当に急いで来てくれたのだろう、シモンの額に光る汗に気付いたマリアベルは嬉しくなる。
席を立ってシモンの額にハンカチを当てた。
「ご安心ください。屍人の正体は、リリーティアさんでしたわ」
「……ったく、あの女。反省文を10000枚にしておけばよかったか? しかし、そうなるとまたベルに会う時間が……うーん、しかしベルの周りをうろちょろされるのは……」
婚約者はじつは生徒会に所属していた。
昼食の席でからまれた際、シモンがすぐに衛兵を呼べたのも、そのような理由からである。
「シモン様、いろいろとお疲れ様でした。リリーティアさんに1000枚もの反省文を書かせるのは、大変でしたでしょう?」
婚約者の美しい紅玉の瞳がマリアベルを映した。
「いたわってくれるか?」
「もちろんです!」
生徒会と王太子殿下の補佐で、婚約者はいつも忙しくしている。
そこへきて、リリーティアと愉快ななかまたちを反省房に入れてしまったため、その管理もしなければならなくなった。
今までは夕飯くらいはいっしょに食べられたのだけれど、この7日の間はそれさえも出来なかったのだ。
完全にお互い不足である。
「それならば、ベルとふたりきりでゆっくり過ごしたい。王都で行きたい場所はあるか?」
「よいのですか?」
「ああ。1、2日程度なら、殿下も生徒会も問題ない」
「ありがとうございます。考えておきます!」
王立学園のある王都には来たばかりで日が浅い。
観光もしたいし、街に美味しい洋菓子店があるなら、ぜひとも行ってみたい。
「うふふ、シモン様とふたりきりでおでかけするのが楽しみです」
「私もだ」
わたしもお側に付くんですけどね……と侍女が突っ込んでいるとなりで、空気のようなシモンの侍従が肩をすくめていた。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる