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婚約者と第1の攻略対象者
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メニューを見ながら婚約者のマリアベルが真剣な顔をしている。
いつもほわほわした笑顔なので、いつもとちがう婚約者の表情にときめいているのはナイショだ。
「ベル、なにを悩んでいるんだい?」
「今日はお魚にしたいのですが……」
「ふむ?」
食堂のランチメニューはA~Cセットとあって、Aセットは肉メイン、Bセットは魚メイン、Cセットはパスタセットだ。サイドメニューにはスープ、サラダ、デザートとあって、2つを選択する仕様となっている。
ちなみに、食後のコーヒー、紅茶、フレッシュジュースは別料金で付く。
――とすると、ベルの悩みはデザートか。
メニュー表を確認すれば、Aセットはバニラアイスクリーム、Bセットはクリームブリュレ、Cセットはパンナコッタである。
「アイスクリームが食べたいのかい?」
「え?」
婚約者が目を丸くしてシモンを見つめた。
「シモン様、すごい。どうしてわかったのですか?」
「もう夏だからな。では、私がAセットを頼もう。アイスクリームはベルにあげるよ」
「よいのですか? シモン様はCセットをお選びだったのに」
「ミートローフが急に食べたくなったんだ」
「ありがとうございます」
お礼を言う婚約者にシモンは機嫌よくうなずいた。
婚約者の笑顔を見るためなら、ランチくらいいくらだって譲歩してやる。
背後に控えているハンスを呼び、注文を告げる。
「ギュスターヴは決まったか?」
向かい側に腰かけるカップルに顔を向けると、ぽかーんと口を開けてこちらを見ている。
「おい、ギュスターヴ」
ひらひらと手のひらを振ってやったら、はっと我に返ったようだ。
「注文は決まったか?」
「あ、オレはAセット、スープとサラダで……フィオは?」
「わ、わたしはBセットで。サイドメニューはサラダとデザートでお願いしますわ」
「ハンス。では、AとBを2セットずつ、スープ1、サラダ4、デザート3だ」
「かしこまりました」
頭を下げたハンスが厨房に向かうのを見送って、シモンは正面を向いた。
「……まるっきり別人じゃないか。これは苦情もくるわ」
「モンテイエ様の笑顔なんて、初めて見ましたわ」
「明日は雨か」
「いいえ、槍という可能性も……」
「なんにせよヤバイな」
「まったくですわ」
カップルが顔を突き合わせて、なにやら話込んでいる。
こちらをちらちら見ているのが気になるが、婚約者がその様子を見て微笑んでいるので、シモンは気にしないことにした。
「わたしが心配することでもなかったようですね」
「元々、仲はよかったんだろ。ギュスターヴがめんどくさがりで、カッセル嬢が物わかりのいい振りをしていただけだ」
「おふたりにはおふたりの事情があるのですね」
婚約者がほっと息を吐いた。
――うーん、やめておくべきだったか。
婚約者が他人のために一喜一憂するのは、やはりおもしろくなかった。
(それからギュスターブ! ベルの胸ばっかり見てるの、わかってるからな!!)
「……エマさん」
カトラリーを並べている婚約者の侍女に声をかけると、心得たように婚約者の首にナプキンを巻いた。これで胸元のガードは出来た。
まったくこれだから、男との食事は嫌だったのだ。
「あっ、こんなところにいたんだー!!」
にぎやかだった食堂が、一瞬で静まり返った。
メニューを見ながら婚約者のマリアベルが真剣な顔をしている。
いつもほわほわした笑顔なので、いつもとちがう婚約者の表情にときめいているのはナイショだ。
「ベル、なにを悩んでいるんだい?」
「今日はお魚にしたいのですが……」
「ふむ?」
食堂のランチメニューはA~Cセットとあって、Aセットは肉メイン、Bセットは魚メイン、Cセットはパスタセットだ。サイドメニューにはスープ、サラダ、デザートとあって、2つを選択する仕様となっている。
ちなみに、食後のコーヒー、紅茶、フレッシュジュースは別料金で付く。
――とすると、ベルの悩みはデザートか。
メニュー表を確認すれば、Aセットはバニラアイスクリーム、Bセットはクリームブリュレ、Cセットはパンナコッタである。
「アイスクリームが食べたいのかい?」
「え?」
婚約者が目を丸くしてシモンを見つめた。
「シモン様、すごい。どうしてわかったのですか?」
「もう夏だからな。では、私がAセットを頼もう。アイスクリームはベルにあげるよ」
「よいのですか? シモン様はCセットをお選びだったのに」
「ミートローフが急に食べたくなったんだ」
「ありがとうございます」
お礼を言う婚約者にシモンは機嫌よくうなずいた。
婚約者の笑顔を見るためなら、ランチくらいいくらだって譲歩してやる。
背後に控えているハンスを呼び、注文を告げる。
「ギュスターヴは決まったか?」
向かい側に腰かけるカップルに顔を向けると、ぽかーんと口を開けてこちらを見ている。
「おい、ギュスターヴ」
ひらひらと手のひらを振ってやったら、はっと我に返ったようだ。
「注文は決まったか?」
「あ、オレはAセット、スープとサラダで……フィオは?」
「わ、わたしはBセットで。サイドメニューはサラダとデザートでお願いしますわ」
「ハンス。では、AとBを2セットずつ、スープ1、サラダ4、デザート3だ」
「かしこまりました」
頭を下げたハンスが厨房に向かうのを見送って、シモンは正面を向いた。
「……まるっきり別人じゃないか。これは苦情もくるわ」
「モンテイエ様の笑顔なんて、初めて見ましたわ」
「明日は雨か」
「いいえ、槍という可能性も……」
「なんにせよヤバイな」
「まったくですわ」
カップルが顔を突き合わせて、なにやら話込んでいる。
こちらをちらちら見ているのが気になるが、婚約者がその様子を見て微笑んでいるので、シモンは気にしないことにした。
「わたしが心配することでもなかったようですね」
「元々、仲はよかったんだろ。ギュスターヴがめんどくさがりで、カッセル嬢が物わかりのいい振りをしていただけだ」
「おふたりにはおふたりの事情があるのですね」
婚約者がほっと息を吐いた。
――うーん、やめておくべきだったか。
婚約者が他人のために一喜一憂するのは、やはりおもしろくなかった。
(それからギュスターブ! ベルの胸ばっかり見てるの、わかってるからな!!)
「……エマさん」
カトラリーを並べている婚約者の侍女に声をかけると、心得たように婚約者の首にナプキンを巻いた。これで胸元のガードは出来た。
まったくこれだから、男との食事は嫌だったのだ。
「あっ、こんなところにいたんだー!!」
にぎやかだった食堂が、一瞬で静まり返った。
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