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婚約者と第1の攻略対象者
4.
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「わたしの今日のランチは、Bセットですの」
「――は?」
婚約者の言葉に、ゴングが鳴る寸前だったヒロイン対カッセル嬢が、ほぼ同時に振り向いた。
「だから、なに?」
「そうですわ、マリアベルさん」
「本日のBセットは、今が旬のキスを扱った魚料理です。キスといえば、白身魚。身はやわらかくあっさりしているので、熱した油でじゅわっと揚げてもよし、フライパンに引いたバターをたっぷり吸わせたソテーでもよし、どんな調理方法でも、上品な味わいを楽しめるのですわ」
何人かの生徒がメニュー表を開き、何人かの生徒が厨房へと向かう。
おそらく注文に向かったのだろう。
「そして、本日のメインは天ぷら! 天ぷらといえば、さくっと軽い食感、高温の油を吸ってきゅっとひきしまった白身。あっつあつの美味しいうちに、はふはふ言いながら食すもの。今日は活きのいい車海老も天ぷらにされていましてよ。毎朝、ランチメニューを知るのが、わたしの日課なのです。わたしは早く、それらをさくさくっと味わいたいのですわ!! ですから、ケンカをなさるなら、食堂のお外でお願いいたしますわ」
かたん、と椅子を鳴らして腰を下ろした婚約者の前に、婚約者の侍女によってBセットのランチが並べられた。
シモンの前にはAセットの肉料理だ。
「――ベル、ミートローフも食べるか?」
「ありがとうございます。んんーミートローフも美味しい!」
「よかったな」
「はい!」
ひと口食べるたびに、幸せの声をあげる婚約者に釣られ、食堂にいた生徒たちも食べ始めた。先ほどまでのぴりぴりした雰囲気はすでにない。
ぐきゅう、とだれかの腹の虫が鳴った。
「――お腹が空いたわ」
お腹を押さえたのはヒロインである。
「リリーティア嬢、向こうの景色のいい場所を取っておいたよ」
「あら、ありがとう。わたしも今日はBセットがいいわ」
「注文してこよう」
ヒロインととりまきたちがわいわい言いながら去って行く。
「なんだったの、いったい……」
なんだかタヌキに化かされたような、キツネにつままれたような面持ちなのはフィオーラ・カッセル嬢である。
「フィオ、座れ」
「え、あ、はい」
ギュスターヴがカッセル嬢の椅子を引いた。
「これだけは言っておく。オレがやさしくしたいのは、フィオだけだ」
「……グスタフ」
頬を染めたカッセル嬢の瞳が、うるうるしている。
朴念仁のギュスターヴだが、腐っても攻略対象者だ。やるときゃやるんだな、とシモンは感心した。
「フィオーラさん。あなたの天ぷら、早く食べないと冷めてしまいますよ」
「はい、マリアベルさん」
婚約者の言葉に、カッセル嬢が微笑んだ。澄み渡る蒼空のような晴れやかな笑顔だった。
――とりあえず、騎士団団長子息とその婚約者はうまくいったようだな。
ちらりと、婚約者を視線を向ける。
今回は、婚約者の機転でうまくいった。さすが、俺の嫁!!
「シモン様、アイスクリームをいただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、クリームブリュレもいいぞ」
「よろしいのですか?」
「ああ、褒美だ」
「ありがとうございます。いただきます」
マリアベルが、アイスクリームにスプーンを差した。
「――ところで、シモン様。リリーティアさんが毎回私たちに言っている、悪役令嬢ってなんですの?」
「――は?」
婚約者の言葉に、ゴングが鳴る寸前だったヒロイン対カッセル嬢が、ほぼ同時に振り向いた。
「だから、なに?」
「そうですわ、マリアベルさん」
「本日のBセットは、今が旬のキスを扱った魚料理です。キスといえば、白身魚。身はやわらかくあっさりしているので、熱した油でじゅわっと揚げてもよし、フライパンに引いたバターをたっぷり吸わせたソテーでもよし、どんな調理方法でも、上品な味わいを楽しめるのですわ」
何人かの生徒がメニュー表を開き、何人かの生徒が厨房へと向かう。
おそらく注文に向かったのだろう。
「そして、本日のメインは天ぷら! 天ぷらといえば、さくっと軽い食感、高温の油を吸ってきゅっとひきしまった白身。あっつあつの美味しいうちに、はふはふ言いながら食すもの。今日は活きのいい車海老も天ぷらにされていましてよ。毎朝、ランチメニューを知るのが、わたしの日課なのです。わたしは早く、それらをさくさくっと味わいたいのですわ!! ですから、ケンカをなさるなら、食堂のお外でお願いいたしますわ」
かたん、と椅子を鳴らして腰を下ろした婚約者の前に、婚約者の侍女によってBセットのランチが並べられた。
シモンの前にはAセットの肉料理だ。
「――ベル、ミートローフも食べるか?」
「ありがとうございます。んんーミートローフも美味しい!」
「よかったな」
「はい!」
ひと口食べるたびに、幸せの声をあげる婚約者に釣られ、食堂にいた生徒たちも食べ始めた。先ほどまでのぴりぴりした雰囲気はすでにない。
ぐきゅう、とだれかの腹の虫が鳴った。
「――お腹が空いたわ」
お腹を押さえたのはヒロインである。
「リリーティア嬢、向こうの景色のいい場所を取っておいたよ」
「あら、ありがとう。わたしも今日はBセットがいいわ」
「注文してこよう」
ヒロインととりまきたちがわいわい言いながら去って行く。
「なんだったの、いったい……」
なんだかタヌキに化かされたような、キツネにつままれたような面持ちなのはフィオーラ・カッセル嬢である。
「フィオ、座れ」
「え、あ、はい」
ギュスターヴがカッセル嬢の椅子を引いた。
「これだけは言っておく。オレがやさしくしたいのは、フィオだけだ」
「……グスタフ」
頬を染めたカッセル嬢の瞳が、うるうるしている。
朴念仁のギュスターヴだが、腐っても攻略対象者だ。やるときゃやるんだな、とシモンは感心した。
「フィオーラさん。あなたの天ぷら、早く食べないと冷めてしまいますよ」
「はい、マリアベルさん」
婚約者の言葉に、カッセル嬢が微笑んだ。澄み渡る蒼空のような晴れやかな笑顔だった。
――とりあえず、騎士団団長子息とその婚約者はうまくいったようだな。
ちらりと、婚約者を視線を向ける。
今回は、婚約者の機転でうまくいった。さすが、俺の嫁!!
「シモン様、アイスクリームをいただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、クリームブリュレもいいぞ」
「よろしいのですか?」
「ああ、褒美だ」
「ありがとうございます。いただきます」
マリアベルが、アイスクリームにスプーンを差した。
「――ところで、シモン様。リリーティアさんが毎回私たちに言っている、悪役令嬢ってなんですの?」
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