アラフィフΩは檻の中

きみいち

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アラフィフΩは檻の中

6.

 ベッドルームに引きこまれた伊織は身体をふるわせる。

「恐いのか?」
「恐いよ。初めてなんだぞ」
「知ってる」

 コイツ、もしかしなくとも処女厨? 目に見えて機嫌がよくなった友人を、うたがわしげに見てしまう。しかし、リチャードの次の言葉に驚愕した。

「俺もイオリが初めてだ」
「えっ、リックも童貞なの!?」
「おまえがαは必要ない、って言ったんだろ。だから、俺にもΩは必要ないと思ったまでだ」
「なんだ、それ……」

 このクオリティの高い31歳男性体αが、童貞っていいの? 世界の損失じゃない? 突っ込みつつも、本音はうれしい。思わずバンザイと両手をあげたくなる。

 ――リチャードには、番などいなかった!!

「それが今さらαが必要になったなんて、俺をもてあそぶのもいい加減にしろ」
「へ? そんなことしたっけ?」

 もてあそぶ、という言葉の意味くらい伊織にだってわかる。

 反論しようと口を開いたら、がぶりと唇をふさがれた。ファーストキスのはずなのに、色気もへったくれもない。

「んぅ……リッ、ふっ……」
「これからは、もう我慢しないからな」

 肉食獣に食われているような気分だった。心臓がぎゅんぎゅんオーバーヒートを起こしている。

 ひざをがくがくさせながら、友のお高そうなスーツにすがりつく。持っていた花束が友人との間でぐしゃりとつぶれてしまったけれども、気にする余裕など伊織にはなかった。


 最初はほぼ同時だった。リチャードの手の中でイったと同時に、腹の中が温かいものに満たされた。

 αのモノはΩを確実に孕ませられるように出来ている。すぐにリチャードのモノが、ふたたび中でかたくなるのがわかった。

 挿入されたときは異物感がすごくて吐き気までしたのに、こすられているうちにどんどん慣れてきた。身体をゆさゆさゆさぶられながら、それに合わせて腰を動かしてしまう始末だ。

 復活したリチャードの切っ先に、奥の狭い部分を何度も突かれ、伊織はきゅう、と泣いて果てた。初めてなのに中だけでイケるなんて、才能あるな……ってやかましいわ!

「おい、ちょ、まっ、待て!! ギブギブ! もお、ムリ!!」
「悪いな。なにしろ童貞だから、加減がわからないんだ」

 ――コイツ、まだ根に持っていやがった……。

 リチャードに外からも中からも責められ、伊織は年甲斐もなくひんひん泣いた。

 αだからか、年齢差によるものか、リチャードの体力は無尽蔵だ。もうほんと、付き合うほうの身にもなってくれ。

 もし、Ωの機能が回復して発情期が来たら、どうなってしまうんだろう?



 背後から伊織を抱きしめるリチャードの吐息が、耳朶をくすぐる。身体をふるわせ、男の腕から逃げようとすると、逃げないでくれ、と懇願された。

「逃げねえよ」

 伊織は今、リチャードの腕の中で、とっくの昔にこの男につかまっていることを告白すべきタイミングを狙っている。
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