ふたりの灯台ラブストーリー

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第三話 灯台に住むロマンスの神様どうもありがとうの話

§3 - 午前九時三十分(その二)

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 灯台の周辺は公園になっていて、あちこちにベンチがある。昨日と違って海からの風も穏やかな上、よく晴れて日差しも温かい。この天気なら屋外で話をしても平気だろうと判断し、海沿いにあるベンチに座った。

(そうだ、自販機で飲み物を買えば良かった)

 二十六歳にもなった成人男性のくせに、今までマトモなデートをしたことがないので、こういう時にどう振る舞えば良いか分からない。せっかく好みのタイプと一緒にいるにも関わらず、妙なところで挙動不審になってしまう。

「あ、あのさ……その……」

 うわあダサいぞオレ! 見合いかよ! 早く名乗れよ! と内心でツッコミを入れていたら、

「おれは磯上皐月いそがみ さつきっていいます。もうすぐ卒業するけど高校三年生で、十八歳です」

 笑顔の少年が先に自己紹介してくれた。いそがみ……さつき……っていうのか。なんか名前も爽やかだ。十八歳か……昨日のフェラはギリギリセーフ……あ、いや、まだ学生なんだよな。それに、同意したかも微妙だし、どのみちアウト!?

「えっと、オレの名前は兵頭睦月ひょうとう むつき。年は……二十六……」

 改めて口にすると、年の差が八歳って……恋愛相手としてはキツいよな。いや、磯上くんがノンケだったらそもそも無意味だし。ええいバカバカ期待するなって! まずは昨日の話をするんだ!

「それで、昨日のことなんだけど……」

 運命の瞬間。こうなりゃヤケだとばかりにオレが先に切り出したところ、

「助けてもらった上に、帰りの交通費まで出してもらっちゃってすみません。本当にありがとうございました」

 磯上くんがぺこりと頭を下げた。へ?

「交通費……?」
「一万円……」

 あ、あああああっつ! 良かった! 交通費として認識してくれたんだ! うわあ助かった!! 安堵のあまり、オレは思わず妙なことを口走ってしまった。

「あ、あのさ、その、交通費として受け取ってくれてありがとう」
「え? お礼を言うのはおれの方ですよ」

 磯上くんが怪訝な顔でこちらを向く。眉を寄せた表情がちょっと幼くて可愛いな……って、違う違う! まずは昨日のことをどう思っているのか確認しないと!!

「いや、あんなことしちゃったし、そっちの代金と思われたら困るなあって……」
「えっ! それはっ! こっちこそありがとうございましたというか……」
「!!!」

 まさかのそっち。いや、まだ磯上くんがゲイだと判明したわけではない。

「い……嫌じゃ……なかった?」
「あっ、ハイ! むしろ、なんていうか、良かったっていうか……」

 磯上くんが茹でダコみたいに真っ赤になってモジモジしている。そうなんだ。嫌じゃなかったのか。

「よっ……良かった~!!」

 安堵のあまり、両手で顔を抑えて突っ伏してしまった。すると隣に座る磯上くんが驚いた様子で、

「なんで脱力してるんですか?!」
「いやもうオレ社会的に死ぬかと思って」
「???」

 もう、本当に首の皮一枚な感じだった。よかった。本当に良かった。
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