ふたりの灯台ラブストーリー

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第四話 灯台でハートがとけるほど恋しちゃった話

§5 - 午前十一時から午後一時(その二)

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 おれは普段からこんな感じで話がピョイピョイ飛んでしまう。

 それが原因で、小学校の時は先生にしょっちゅう怒られていたし、中学では「あ~ハイハイ、磯上は空気読めないもんね」って相手にされないことが多かった。

 今まで出会った中で、怒りもせず、適当にあしらったりもしなかった人は、高校の大賀先生と真里ちゃん先生くらいだ。ただ、この二人は一流の大学を卒業しているエリート教師なので、変な生徒への対応に慣れてるだけかもしれない。

 家族はおれがそういう性質だって分かっているから、あんまり突拍子も無いことを言うと、「今は違う話をしてる」って注意してくれる。でも、他人はそこまで親切ではない。だから基本的におれの話は受け流されたり、無かったことにされる方が多い。

 物心ついた頃からそんな感じだったので、おれは自分の話を誰かに聞いてもらえなくても仕方ないと考えていた。

 だけど、兵頭さんは違っていた。おれの話をちゃんと聞いてくれて、「そうなんだ」とか「オレはこう思う」って反応を返してくれる。言葉遣いも丁寧で、口調も穏やかで、おれを否定したりバカにしたりしない人だった。

 K市までの約二時間。車の中でいっぱい話をして、たくさん笑って、話が飛んでも又それで盛り上がって……そんな経験は初めてで、おれはどんどん兵頭さんを好きになっていった。


■  ■  ■


 楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、午後一時にはK駅のロータリーに着いた。残念だなあ……と内心で嘆いた時、おれは自分がまたやらかしたことに気がついた。

「あの、兵頭さん……」

 あああああ。昨日といい今日といい、どうしておれは……ビクビクしながら謝罪の言葉を口にする。

「おれ、兵頭さんのコート着たまま車に乗っちゃってました。すみません」

 そもそも今日はこのモッズコートを返しに来たはずなのに、と猛反省していたら、兵頭さんは微笑みながら、おれをかばってくれた。

「別に平気だよ。気にしてないし」

 や……優しい。これで何回目だ? いや、しかし、兵頭さんの優しさに甘えすぎてはいけない!!

「このコート、一度クリーニングしてからお返しします!」
「ええっ? い、いや、そこまでしなくてもいいって!!」

 押し問答の末、兵頭さんのモッズコートをもらうことになってしまった。なんだか、おれの一生分の幸運を使い果たしたような気も……いやいや、そんな弱気ではいけない!! 幸運は自らつかみに行くものだってジョージが言ってた。それに、もらいっぱなしってのは良くない!! 今度はデートに誘って、おれがエスコートするんだ!!

「あの、受験終わったら兵頭さんにお礼したいです。それで……どこか一緒に行きませんか?」

 またしても脳直で言葉を発してしまった。いや、でも他の言い方なんて無いし、まあいいや。それより兵頭さんが断ってきたらどうしよう。

「う、うん。オッケーです」

 戸惑いがちな声だけど、笑顔を向けられる。こ、これはバッチリ好印象?

「やった!」

 思わず左手の拳で小さくガッツポーズを取る。マジで嬉しい。よし、押せ押せだあっ!!
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