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第八話 女の人②
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「大体、貴方のようなブスで貧乏くさい娘を、ゼルバ様が本気で愛すると思って? 貴方、遊ばれているのよ」
「そんなことありません! ゼルバ――さんは優しい方です!」
「ふふ……。ブスが捨てられないよう必死ね。じゃあ言い方を変えるわ。貴方、ゼルバ様と並んだ時に鏡を見たことがある? 貴方達、まるで王族と卑しい売女が歩いているみたいよ? 釣り合いが取れてないわ。売女と歩かなければならないゼルバ様が気の毒よ」
キノルルがチッと舌打ちした。
「黙って聞いてりゃ、この女!」
「まぁ、怖い。この女ですって!? わたくしは客よ!」
「お前なんか客じゃ――」
「やめてキノルル!」
私はキノルルの言葉をさえぎって叫んだ。
もう一度キノルルの怒った表情を見ながら『やめて……』とつぶやく。
「で、てもよぉ……」
「いいの。ありがとうキノルル」
私はもう一度正面から女の人の顔を見つめた。
赤いロングヘアが美しい。魔女ハットと谷間の覗くセクシーな服装から見て、恐らくこの人は冒険者だろう。きっと……ゼルバとは私よりずっと前に知り合ったのだ。それで一緒に仕事をして仲を深めていった。この女性は、きっとゼルバのことが好きなのだ。確かに私のような冴えない女より、この華やかで美しい女性の方がゼルバの隣に相応しい。
私はゼルバとこの女性が並んで歩く姿を想像した。華やかで、誰もが振り返る美男美女カップルだ。悲しいけど、私よりずうっとお似合いのカップルだった。
私は悔しくてグッと唇を噛んだ。そのあとに落ち着こうと深呼吸する。
それから女性の瞳を真正面から見つめて静かに口を開いた。
「分かりました。ゼルバさんとはお別れします」
「な、何言ってるんだよ! レノン!」
「だって……私と一緒に歩いていたら、ゼルバの評判が落ちるもん。ゼルバさんって女の趣味悪いんだなーって笑われちゃう。私、そんなの嫌」
「そんなわけねーだろ! 考え直せ!」
「いいの! もう決めたの!」
「レノン……」
私が声を張り上げたので、キノルルはそれ以上なにも言わなかった。
反対に、私たちのやりとりを見ていた女性が嬉しそうにクスクスと笑った。
「よい判断ね。そうよ、貴方みたいなブスと付き合ったら、ゼルバ様の趣味が疑われてしまう。ゼルバ様のためにも、貴方は身を引きなさい」
「……はい」
「じゃあ、これで話は終わり」
女性はくるりと私たちに背を向けた。
「ブスだけど、頭は悪くないようで助かったわ。束の間の夢を見れて良かったわねぇ。――じゃあね」
そんなことを言いながら、来た時と同じようにカツカツブーツを鳴らしながら、その女性は去っていった。
その後キノルルに何度も『考え直せよ!』と説得されたが、私はそれを上の空で聞いていた。
だってしょうがないじゃない。
私みたいな貧乏くさい女は、ゼルバに相応しくないんだもの。
「そんなことありません! ゼルバ――さんは優しい方です!」
「ふふ……。ブスが捨てられないよう必死ね。じゃあ言い方を変えるわ。貴方、ゼルバ様と並んだ時に鏡を見たことがある? 貴方達、まるで王族と卑しい売女が歩いているみたいよ? 釣り合いが取れてないわ。売女と歩かなければならないゼルバ様が気の毒よ」
キノルルがチッと舌打ちした。
「黙って聞いてりゃ、この女!」
「まぁ、怖い。この女ですって!? わたくしは客よ!」
「お前なんか客じゃ――」
「やめてキノルル!」
私はキノルルの言葉をさえぎって叫んだ。
もう一度キノルルの怒った表情を見ながら『やめて……』とつぶやく。
「で、てもよぉ……」
「いいの。ありがとうキノルル」
私はもう一度正面から女の人の顔を見つめた。
赤いロングヘアが美しい。魔女ハットと谷間の覗くセクシーな服装から見て、恐らくこの人は冒険者だろう。きっと……ゼルバとは私よりずっと前に知り合ったのだ。それで一緒に仕事をして仲を深めていった。この女性は、きっとゼルバのことが好きなのだ。確かに私のような冴えない女より、この華やかで美しい女性の方がゼルバの隣に相応しい。
私はゼルバとこの女性が並んで歩く姿を想像した。華やかで、誰もが振り返る美男美女カップルだ。悲しいけど、私よりずうっとお似合いのカップルだった。
私は悔しくてグッと唇を噛んだ。そのあとに落ち着こうと深呼吸する。
それから女性の瞳を真正面から見つめて静かに口を開いた。
「分かりました。ゼルバさんとはお別れします」
「な、何言ってるんだよ! レノン!」
「だって……私と一緒に歩いていたら、ゼルバの評判が落ちるもん。ゼルバさんって女の趣味悪いんだなーって笑われちゃう。私、そんなの嫌」
「そんなわけねーだろ! 考え直せ!」
「いいの! もう決めたの!」
「レノン……」
私が声を張り上げたので、キノルルはそれ以上なにも言わなかった。
反対に、私たちのやりとりを見ていた女性が嬉しそうにクスクスと笑った。
「よい判断ね。そうよ、貴方みたいなブスと付き合ったら、ゼルバ様の趣味が疑われてしまう。ゼルバ様のためにも、貴方は身を引きなさい」
「……はい」
「じゃあ、これで話は終わり」
女性はくるりと私たちに背を向けた。
「ブスだけど、頭は悪くないようで助かったわ。束の間の夢を見れて良かったわねぇ。――じゃあね」
そんなことを言いながら、来た時と同じようにカツカツブーツを鳴らしながら、その女性は去っていった。
その後キノルルに何度も『考え直せよ!』と説得されたが、私はそれを上の空で聞いていた。
だってしょうがないじゃない。
私みたいな貧乏くさい女は、ゼルバに相応しくないんだもの。
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