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第十七話 ま、負けないわ!②
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次の日。
いつも通り職場へ行き接客をしていたら、その合間にキノルルがニコニコと話しかけてきた。
「なんだよレノン。今日はご機嫌だな。昨日は死にそうな顔してたのに」
「えへへ。分かる?」
私は昨日ゼルバと思う存分イチャイチャして、不安な気持ちが綺麗さっぱりなくなったことを話した。私の話を聞き終えたキノルルは、『甘過ぎて胸焼けすんぜ』と言いながら、ニヤニヤ笑った。
「良かったじゃねーか。昨日の女のおかげで、お前らの愛は更に深まったってわけだ。こりゃああの女に感謝しなきゃいけねーなぁ!」
そう茶化しながら、私の肩をバンバン叩いた。
か、感謝なんかしないわ。だって昨日は本当に落ち込んでたんですもの。
でも、結局のところキノルルの言う通りね。
あの女性のおかげで、私たちは今までよりもっと親密になれた。
それと、少しだけ心が強くなれた気がする。
もし、またあの女性になにか言われたとしても、今度は負けないわ!
そんなことを思いながら、私は強気で仕事に励んだ。
だけど、その強気はすぐに終わる。
なぜなら再びあの女性が来店したからだ。
女性は昨日来た時と同じように、カツカツブーツを鳴らしながら、私の目の前に立った。
「ちょっとアンタ! 約束破ったわね!!」
私は先程までの強気が吹き飛んで、自分でも笑っちゃうくらいオドオドしながら口を開いた。
「な、なんのことでしょう?」
女性はバンっとレジのカウンターを叩いた。
「昨日、ゼルバ様がアンタをお姫様抱っこしながら街中の人にこの子は俺の恋人だって自慢したらしいじゃない! ふざけんじゃないわよ! アンタ、別れるって言ってたじゃない!」
「!!」
そ、そう言えば、そんなこともあったわね。
確かにゼルバは昨日私を抱っこしながら自慢げに歩いていた。
この女性が知っていると言うことは、おそらく街中の噂になっているのだろう。さ、さすがはゼルバだわ。有名人だから恋人と紹介しただけで話題になってしまうのね……。
よ、よし! 良い機会だからこの女性に私の気持ちを伝えておこう。
「ごめんなさい。やっぱり私、ゼルバが好きなんです。だから、別れたくない……」
「アンタの気持ちなんてどうでもいいのよ!! アンタは昨日別れるってわたくしと約束したのよ!? 約束を破るなんて最低の女ね!!」
「ご、ごめんなさい……」
私は女性の勢いに負けて、半泣きになってうつむいた。
ちょっと! さっきまでの強気はどうしたのよ!?
自分が情けないわ!!
『ゼルバのことが好きなので別れるつもりはありません!』ってハッキリ言いなさいよ!
……でも、この女性怖い。
そんなことを言ったら烈火の如く怒りそう。
結局臆病なところは変わらないのだ。
情けない……。本当に情けない。
私に今出来ることと言ったら、エプロンの裾をギュッと握りしめて、涙をこらえていることだけだった。
こんな自分が嫌い! 大っ嫌い!!
そんなことを思いながら唇を噛んだ時だった。
「ちょっと君さぁ、俺のレノンを虐めないでくれない?」
突然ゼルバの声が聞こえたので、私は勢いよく顔を上げた。
そこには黒髪メガネで地味な服装をしたゼルバが立っていた。
さっきまで怒鳴り散らしていた女性があんぐりと口を開けている。私も驚いて目を丸くした。
「ゼ、ゼルバ!? なんでここにいるの!? それに、その格好はどうしたの!?」
ゼルバは今日お仕事だと言っていた。ここにいるはずがないのだ。
それにこの格好……。金髪から黒髪に染めてメガネまでかけている。
これじゃあ誰だか分からないわ。なぜこんな格好をしているのかしら?
私が呆然とゼルバを見つめていたら、ゼルバはメガネをずらしていたずらっ子のように笑った。
「変装してこの女が店に現れるのを待ってたんだ」
「え!? どういうこと?」
「昨日あれだけ派手に立ち回ったら、絶対今日噂になってると思ったんだよねー。その噂を聞きつけて、また女がレノンに会いに来るんじゃないかと思ってたんだ。予想が的中して良かったよ」
「!?」
な、なんてこと!!
さすがはSランク冒険者様だわ。
私の百倍頭がキレるのね。
でも、なぜそんなことを?
ゼルバの真意が分からず、私は口を開けてバカみたいにぽかーんと突っ立っていたのだった。
いつも通り職場へ行き接客をしていたら、その合間にキノルルがニコニコと話しかけてきた。
「なんだよレノン。今日はご機嫌だな。昨日は死にそうな顔してたのに」
「えへへ。分かる?」
私は昨日ゼルバと思う存分イチャイチャして、不安な気持ちが綺麗さっぱりなくなったことを話した。私の話を聞き終えたキノルルは、『甘過ぎて胸焼けすんぜ』と言いながら、ニヤニヤ笑った。
「良かったじゃねーか。昨日の女のおかげで、お前らの愛は更に深まったってわけだ。こりゃああの女に感謝しなきゃいけねーなぁ!」
そう茶化しながら、私の肩をバンバン叩いた。
か、感謝なんかしないわ。だって昨日は本当に落ち込んでたんですもの。
でも、結局のところキノルルの言う通りね。
あの女性のおかげで、私たちは今までよりもっと親密になれた。
それと、少しだけ心が強くなれた気がする。
もし、またあの女性になにか言われたとしても、今度は負けないわ!
そんなことを思いながら、私は強気で仕事に励んだ。
だけど、その強気はすぐに終わる。
なぜなら再びあの女性が来店したからだ。
女性は昨日来た時と同じように、カツカツブーツを鳴らしながら、私の目の前に立った。
「ちょっとアンタ! 約束破ったわね!!」
私は先程までの強気が吹き飛んで、自分でも笑っちゃうくらいオドオドしながら口を開いた。
「な、なんのことでしょう?」
女性はバンっとレジのカウンターを叩いた。
「昨日、ゼルバ様がアンタをお姫様抱っこしながら街中の人にこの子は俺の恋人だって自慢したらしいじゃない! ふざけんじゃないわよ! アンタ、別れるって言ってたじゃない!」
「!!」
そ、そう言えば、そんなこともあったわね。
確かにゼルバは昨日私を抱っこしながら自慢げに歩いていた。
この女性が知っていると言うことは、おそらく街中の噂になっているのだろう。さ、さすがはゼルバだわ。有名人だから恋人と紹介しただけで話題になってしまうのね……。
よ、よし! 良い機会だからこの女性に私の気持ちを伝えておこう。
「ごめんなさい。やっぱり私、ゼルバが好きなんです。だから、別れたくない……」
「アンタの気持ちなんてどうでもいいのよ!! アンタは昨日別れるってわたくしと約束したのよ!? 約束を破るなんて最低の女ね!!」
「ご、ごめんなさい……」
私は女性の勢いに負けて、半泣きになってうつむいた。
ちょっと! さっきまでの強気はどうしたのよ!?
自分が情けないわ!!
『ゼルバのことが好きなので別れるつもりはありません!』ってハッキリ言いなさいよ!
……でも、この女性怖い。
そんなことを言ったら烈火の如く怒りそう。
結局臆病なところは変わらないのだ。
情けない……。本当に情けない。
私に今出来ることと言ったら、エプロンの裾をギュッと握りしめて、涙をこらえていることだけだった。
こんな自分が嫌い! 大っ嫌い!!
そんなことを思いながら唇を噛んだ時だった。
「ちょっと君さぁ、俺のレノンを虐めないでくれない?」
突然ゼルバの声が聞こえたので、私は勢いよく顔を上げた。
そこには黒髪メガネで地味な服装をしたゼルバが立っていた。
さっきまで怒鳴り散らしていた女性があんぐりと口を開けている。私も驚いて目を丸くした。
「ゼ、ゼルバ!? なんでここにいるの!? それに、その格好はどうしたの!?」
ゼルバは今日お仕事だと言っていた。ここにいるはずがないのだ。
それにこの格好……。金髪から黒髪に染めてメガネまでかけている。
これじゃあ誰だか分からないわ。なぜこんな格好をしているのかしら?
私が呆然とゼルバを見つめていたら、ゼルバはメガネをずらしていたずらっ子のように笑った。
「変装してこの女が店に現れるのを待ってたんだ」
「え!? どういうこと?」
「昨日あれだけ派手に立ち回ったら、絶対今日噂になってると思ったんだよねー。その噂を聞きつけて、また女がレノンに会いに来るんじゃないかと思ってたんだ。予想が的中して良かったよ」
「!?」
な、なんてこと!!
さすがはSランク冒険者様だわ。
私の百倍頭がキレるのね。
でも、なぜそんなことを?
ゼルバの真意が分からず、私は口を開けてバカみたいにぽかーんと突っ立っていたのだった。
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