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一章
第7話 初めての依頼
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疲れていたのだろう、夜は夢を見ることもなくぐっすりだった。
この世界には街の目立つところに大時計があるだけで、個人が所有するための時計はない。なのでもちろん目覚ましもない。しかしその大時計を見て初めて1日が24時間で構成されていることが判明した。そこは前世と変わりがないようだ。
エルフの里ではマニという鳥が一斉に鳴くのでそれが目覚ましがわりだったけれど、この街ではそういうこともない。
つまり何が言いたいのかというと、朝起きられなかったのだ。父がいつまで寝ているのかと呆れ顔で起こしてきて、ずいぶんと寝過ごしたことに気づいた。
日本での生活とは違い、物事が始まる時間が定められているわけではないのだけれど、さすがに目覚ましがないというのは不便だ。冒険者を続けていけば自然と起きられるようになるのだろうか。
気を取り直して、父と共に下の食堂で朝食を摂り、宿を出た。
宿が面している通りを、来た時とは逆に進む。相変わらずこの通りには少し暗い雰囲気のお店が多い。出入りしているお客さんも、見るからに冒険者風の格好をしている人がほとんどだ。
しばらく道を歩くと、泊まっている宿ほどではないが、そこそこ大きい建物が目に付いた。
ゴシック調のその建物には、"ベリシアギルド シスタス西支部"と書かれている。ベリシア…国の名前だろうか。
父は自分の家に帰ってきたかのように、何一つ躊躇うことなく重そうな扉を開けて中に入っていった。
後を追って私も中に入る。
建物の1階部分は開けていた。奥にカウンターがあり、まるで前世で言う役所のように何人かが並んで受付をしている。壁にはびっしりと紙が貼られ、多くの人がそれらを眺めていた。あれが依頼なんだろうか。
「こっちだ」
父に言われるまま後に続く。
「ギルドに登録するとまずEランクから始まる。そしてこの辺がEランク用の依頼が貼られている場所だ」
なるほど。確かに私のギルドカードにはEランクと書かれていた。
Eランクの依頼にざっと目を通すと、荷物運びなどの雑用が多いように思える。
「自分のギルドランクより高いランクの依頼は受けられない。逆に自分のランク以下の依頼はすべて受けられる。今のお前はEランクだから、Eランクの依頼のみということになる」
「何ランクまであるんですか?」
「最高はSだな。E・D・C・B・A・S」
6段階もあるなんて。気が遠くなるような話だ。
「父さんは何ランクなんですか?」
「俺はAだな」
さすがに高ランクではあるようだ。
それなりの冒険者だったんだろうな。
「僕も早くそうなりたいです」
「そうだな。コンスタントに依頼を受け続けた場合の目安として、EからDへは2~3か月、DからCへは半年、CからBが1年、BからAへは3年~5年と言われている」
「なるほど」
ずいぶんとBからAになる期間に幅があるけれど、それだけ依頼の種類や報酬が豊富ということなのかな。
「Eランクが受けられる依頼は見てわかるようにほとんどが雑用だな。力仕事の方が報酬もポイントも高い。お前は男なんだからこういうので早くポイントを溜めてDになったほうがいいぞ。DになればE以上にモンスター討伐の依頼も増えてくる」
「はい」
EからDになるのに2か月間雑用をこなさなければいけないってことかぁ。
思ってた冒険者と違う。
「まぁ、俺が手伝ってやるさ。例えばこの依頼はシスタスのすぐ近くの森に生息するフィンキーというモンスターを討伐する依頼だ。フィンキーの尻尾を取ってギルドに収めることで討伐の証明になる」
父は壁から依頼の紙を取り、私に手渡した。
依頼主:シスタス領主
内容:フィンキーの討伐
討伐証明:フィンキーの尾
ランク:Eランク以上
討伐依頼数:20
報酬:銀貨5枚
報酬ポイント:30
「これはフィンキーの尻尾を20本持ってきたら銀貨5枚とポイントが20もらえる。この依頼は常にあるものだから、何もバカ正直に20匹だけ狩って帰ってくる必要がない。100や200尻尾を集めてからまとめて報告すればいい。しかも、依頼の達成条件は尻尾を持ってくることだから、自分で狩らなければいけない、という訳でもない。ポイントのためだけにフィンキーの尻尾を誰かから譲ってもらっても違反ではない」
「なるほど…」
ゲームで言うところのフリークエストってやつか。
前世のMMOで仲間と手分けしてアイテム収集クエストをやった記憶がよみがえる。
「これは俺が行ってくる。1週間くらい森に籠れば300は狩れるだろう」
ありがたいことだけれどもいいのだろうか。
自分でやってこそ意味がある!と言いそうな父であったのに。
まぁ、自分から言い出すということはいいのだろう。
「ありがとうございます。でもフィンキーがどんなモンスターかわかりませんが、尻尾300本って荷物の大きさとして問題ないんですか?」
この世界は現実だ。ゲームじゃない。ゲームだったらどんな大きさの荷物でも所持限度までならいくらでも持てるが、実際に手で運ぶとなると話は別だ。
普通に考えて尻尾が300本って相当の荷物になるのではなかろうか。
「そのために騎乗用の獣を借りていく。行くときには乗れるし、帰りは荷物を持たせられる」
「騎乗用の獣を借りることができるんですね」
それは便利だ。覚えておこう。
「お前は俺がフィンキーを狩っている間に、この中から討伐以外のできそうな依頼を受けてやってみろ。まだ街からは出るなよ」
「わかりました」
とりあえず今の自分でできそうな依頼を探してみる。
といってもほとんどが雑用なので、どれでもよさそうではある。
適当な依頼を手に取ってみた。
依頼主:ベリア・フランツ
内容:倉庫整理
目安時間:1日
ランク:Eランク以上
報酬:銀貨7枚
報酬ポイント:30
「これにしてみます」
「倉庫整理か。いいんじゃないか?じゃあこの紙を受付に持って行って受理してもらうんだ」
「はい」
受付に持って行く。
綺麗な女性がにこやかに迎えてくれた。
茶髪に同じ色の瞳をした、穏やかな雰囲気を纏っている女性だった。見たところヒューマに見える。
「紙とギルドカードをお預かりしますね」
「お願いします」
先ほどの依頼の紙と一緒にギルドカードも渡す。
「あら?初めての依頼でいらっしゃいますね?」
Eランクでポイントが0だからか、私が渡したカードを見て女性が言う。
「はい」
「では簡単に説明させていただきますね。この依頼は依頼主の元へ直接出向いて受ける依頼でございます。依頼が達成されますと依頼主より達成カードを手渡されますので、それをまたここの受付にお出しください。達成カードが確認されますと、ポイントが付与され報酬が支払われます。EランクからDランクへ上がるための必要ポイントは2000です」
今回の依頼でもらえるポイントは30.2000まで溜めるのは結構大変そう。このレベルの依頼を毎日こなせば2か月強くらいでDになれるってことか。
「街の地図は銀貨1枚になりますが必要ですか?」
「お願いします」
銀貨1枚と引き換えにこの街全体の見取り図のようなものを受け取る。繊細に描きこまれているが、手描きだ。
「こちらが依頼主の居住付近の地図でございます」
もう1枚手渡される。こちらの地図も手描きだ。先ほどの見取り図の一部分を拡大したような地図。ずいぶんと雑に描いてある。依頼主が描いたものなのだろうか。
「説明は以上になりますが、何かご質問は?」
「今からここに行けばいいんですか?」
「その通りでございます」
「ありがとうございます」
地図2枚と依頼の紙を手に受付を離れ、遠くで見ていたのであろう父の元へ行く。
「依頼受けてきました」
「ああ。じゃあ俺は一度宿に戻って支度してからフィンキー狩りに向かう。お前は俺が戻るまで依頼を何個か受けておけよ」
「はい。お願いします」
父はそう言うとすぐギルドを出て宿に向けて歩いて行った。
私はギルドに残り、地図をもう一度見返す。
銀貨1枚で買った地図。
これは街全体の見取り図が描いてある。
前世の地図と同じように、上が北のようだ。西、南、東に門があり、街を十字に走る大通りの周辺が商業区となっている。
冒険者ギルドは東西にそれぞれ一つずつあり、ギルドの看板に西とあったのでここは西側のギルドということになる。
つまり私たちは西側の門からシスタスに入ってきたということだ。
街の最北には領主が住む家がある。地図を見るに家というには敷地面積が大きいので、城くらいはありそうだ。
フィンキーの討伐依頼の依頼主がシスタス領主、という名目であったが、国王というわけではないのだろうか?この世界の国というシステムがいまいちまだよくわからないので、今は考えても仕方がないか。
今回の依頼主は北西に位置する居住区に住んでいるようだ。大まかな住所はこの全体の見取り図にも記載されている。その辺りについてから拡大地図を見てみることにしよう。
ギルドを出て、北を目指す。
大時計に目をやると、9時半くらいだった。人を訪ねる時間としてはちょうどよさそうだ。
酒場、宿、武器屋、防具屋、なんだかよく分からない雑貨屋のような店、様々な店を横目に街を歩く。
本当にRPGのゲームの中に入り込んだかのようだ。特に武器屋や防具屋から少し覗ける品物は、実際にゲームの中で目にしてきた物が現実となっていて非常に興味深い。
居住区に入ると道行く人もほとんどいなくなり、とても静かに感じた。
街は全体的にゴシック調の建物で統一されており、この居住区も例外ではなくヨーロッパの街並みを彷彿とさせる。
地名が書かれた看板と地図を照らし合わせながら記載された住所付近へと足を進め、1時間ほどで依頼主の家周辺までたどり着いた。あとはこの周辺地図を見ながら家を探すだけだ。
この辺りは領主の家に近いからなのか、どの家も大きく高級感が漂っている。富裕層が暮らしているのだろうか。
雑に描かれている地図だと思っていたが、それでも迷うことなく依頼主の家へたどりつけた。表札にフランツと書かれている。
前世の家みたいにインターホンはない。門を開け恐る恐る敷地に踏み込む。
庭は広く、色とりどりの花が植えられていた。手入れされているのが一目でわかる。
玄関まで続く石畳の道を歩き門の前まで来ると、音もなく突如足元が光った。
いきなりの出来事に思わず後ずさる。心臓が早打ちし、嫌な汗が噴き出した。
どうしよう。やばいことをしてしまったんだろうか。自分がここに足を踏み入れたことによって何かの術が発動したのは明らかだ。こんなの聞いてない。
でもさすがに逃げるわけにもいかない。大人しくここで待つことにしよう。
しばらく待つと静かに扉が開いた。
中から現れたのは、いかにも執事という感じの初老の男性だった。ヒューマのようだ。
「あ、あの、ギルドからの依頼で参りました。シエルと申すものですが…」
とりあえずまず怪しいものでないことを伝えなければ、と若干早口で名乗りつつ、ギルドカードを提示する。
初老の男性は私が差し出したギルドカードに軽く目をやり、穏やかに笑みを浮かべた。
「ようこそ、お待ちしておりました。どうぞ中へ」
特に怪しんでる様子もなさそうだった。
素直に従い中へ入る。
玄関から入ると、そこはホールという感じだった。床は乳白色の石でできており、歩くとカツンと音が響いた。正面には大きな階段があり、赤い絨毯が敷かれいる。いかにも洋館と言った雰囲気だ。
「こちらへどうぞ」
執事っぽい人の後へ続き歩く。
玄関から入って左手の部屋へと通された。部屋の中は全体に青い絨毯が敷かれており、ガラスでできたテーブルの四方を黒い革でできた豪華そうな椅子が並べられている。応接室なのだろうか。
壁にはガラス張りの棚が並んでおり、高級そうな食器が飾られていた。
そして奥に誰か立っていた。おそらく家主ではない。鎧を身に付け、腰に下げた剣に手をかけたままじっと動かない。SPということなのだろうか。
無骨そうな顔立ちの40代くらいの男性だ。ヒューマに見える。
その男性は私の動きを目で追っていた。何か怪しい動きをすれば容赦なく切り捨てられそうだ。緊張が増す。
「どうぞ、おかけください」
執事っぽい人に言われ、素直に腰かける。
高そうな椅子だけあってフワフワして座り心地は最高だった。
「しばらくお待ちください」
そう言って執事っぽい人は部屋を出て行った。
鎧を身に付けたSPっぽい人と2人きりだ。SPの男性は私から目を離さない。かと言って話しかけてくることもない。私も話しかけていいものかわからないし、目を合わせるのも気まずいのでひたすら目の前のテーブルを見つめて時が過ぎるのを待った。
しばらく待つと扉が開き、女性と先ほどの執事の男性が戻ってきた。
私は慌てて席を立ち、女性に頭を下げる。
「初めまして。ギルドから依頼を受けて参りました。シエルと申します」
「初めまして。私はエレノア・フランツです。主人のベリアは仕事で留守なので私が代わりに失礼いたしますね」
エレノアさんは50代くらいのヒューマらしき女性だ。見るからにセレブと言った感じで、所々に身に付けている煌びやかなアクセサリーが眩しい。
服装も上質な生地を使っているものだと一目でわかるくらいの、艶やかで肌触りがよさそうなドレスを纏っている。
「どうぞお座りになって」
言いながらエレノアさんは私の向かいに腰かける。
私も再び席に座ると、執事の男性が一礼した後、部屋を出て行った。
「依頼、受けていただきありがとう。人手が足りなくて困っていたの」
「いえ、よろしくお願いいたします。これが私のギルドカードです」
ギルドカードをエレノアさんに差し出す。
「まぁ、初めての依頼なのね。見たところあなたはまだ年若いエルフのようですものね。初めての依頼に選んでいただけて光栄だわ」
ポイントが0だから一目で初めてだとわかってしまう。まぁ、事実なのでそれについては何も言えることがない。
幸いにもエレノアさんもそれを気にする様子はないみたいなのでよかったかな。
「初めてで至らないところもあると思いますが、よろしくお願いいたします」
「そんなに堅苦しくしないでいいのよ。早速だけれどお願いしてもいいかしら?」
「はい」
エレノアさんが立ち上がるとSPの男性がすぐに側に寄った。さすがボディーガード。
私も立ち上がり、エレノアさんの後に続く。
先ほどのホールに戻り、中央の階段奥にある部屋へと入った。
そこが倉庫なのかと思いきや、長いテーブルにたくさんの椅子が並べられている部屋だった。映画などでよく見る貴族の屋敷の食堂のようだ。
食堂を通り越し、さらにいくつかの部屋を通過し、屋敷の裏手へと出た。
所謂裏庭にあたるのだろうけれど、ここも花々が丁寧に手入れされている。この裏庭にこじんまりとした蔵のようなものが建っており、おそらくそこが倉庫なのだろう。
エレノアさんは鍵を取り出しそこの扉を開け、中に入る。
倉庫の中は何を整理する必要があるのかわからないほど、きちんと物が整えられているように見えた。
ほとんどが箱にしまわれ、壁際に積まれている。
「いい加減この中のいらないものを処分したいのよ。私がいるいらないを判断するからあなたは箱を私の前に広げてくれるかしら」
「わかりました。では、始めますね」
まずは手前にある箱をエレノアさんの前まで運び、蓋を開く。
鏡や小物入れのようなものなど、細々とした雑貨が詰められていた。
「これは娘が嫁入りに持っていかなかったものね。処分しましょう。外に出してもらっていいかしら?」
「はい」
言われるまま蓋をし、倉庫の外へと出す。
その間SPは私の動きをずっと目で追いながら、剣から手を離さない。
わざわざギルドに依頼を出さなくても、この人にやらせればいいのではないかと思うのは私だけだろうか。
という疑問を頭に思い浮かべつつ、私はエレノアさんの指示に従ってひたすら箱を運んだ。
この世界には街の目立つところに大時計があるだけで、個人が所有するための時計はない。なのでもちろん目覚ましもない。しかしその大時計を見て初めて1日が24時間で構成されていることが判明した。そこは前世と変わりがないようだ。
エルフの里ではマニという鳥が一斉に鳴くのでそれが目覚ましがわりだったけれど、この街ではそういうこともない。
つまり何が言いたいのかというと、朝起きられなかったのだ。父がいつまで寝ているのかと呆れ顔で起こしてきて、ずいぶんと寝過ごしたことに気づいた。
日本での生活とは違い、物事が始まる時間が定められているわけではないのだけれど、さすがに目覚ましがないというのは不便だ。冒険者を続けていけば自然と起きられるようになるのだろうか。
気を取り直して、父と共に下の食堂で朝食を摂り、宿を出た。
宿が面している通りを、来た時とは逆に進む。相変わらずこの通りには少し暗い雰囲気のお店が多い。出入りしているお客さんも、見るからに冒険者風の格好をしている人がほとんどだ。
しばらく道を歩くと、泊まっている宿ほどではないが、そこそこ大きい建物が目に付いた。
ゴシック調のその建物には、"ベリシアギルド シスタス西支部"と書かれている。ベリシア…国の名前だろうか。
父は自分の家に帰ってきたかのように、何一つ躊躇うことなく重そうな扉を開けて中に入っていった。
後を追って私も中に入る。
建物の1階部分は開けていた。奥にカウンターがあり、まるで前世で言う役所のように何人かが並んで受付をしている。壁にはびっしりと紙が貼られ、多くの人がそれらを眺めていた。あれが依頼なんだろうか。
「こっちだ」
父に言われるまま後に続く。
「ギルドに登録するとまずEランクから始まる。そしてこの辺がEランク用の依頼が貼られている場所だ」
なるほど。確かに私のギルドカードにはEランクと書かれていた。
Eランクの依頼にざっと目を通すと、荷物運びなどの雑用が多いように思える。
「自分のギルドランクより高いランクの依頼は受けられない。逆に自分のランク以下の依頼はすべて受けられる。今のお前はEランクだから、Eランクの依頼のみということになる」
「何ランクまであるんですか?」
「最高はSだな。E・D・C・B・A・S」
6段階もあるなんて。気が遠くなるような話だ。
「父さんは何ランクなんですか?」
「俺はAだな」
さすがに高ランクではあるようだ。
それなりの冒険者だったんだろうな。
「僕も早くそうなりたいです」
「そうだな。コンスタントに依頼を受け続けた場合の目安として、EからDへは2~3か月、DからCへは半年、CからBが1年、BからAへは3年~5年と言われている」
「なるほど」
ずいぶんとBからAになる期間に幅があるけれど、それだけ依頼の種類や報酬が豊富ということなのかな。
「Eランクが受けられる依頼は見てわかるようにほとんどが雑用だな。力仕事の方が報酬もポイントも高い。お前は男なんだからこういうので早くポイントを溜めてDになったほうがいいぞ。DになればE以上にモンスター討伐の依頼も増えてくる」
「はい」
EからDになるのに2か月間雑用をこなさなければいけないってことかぁ。
思ってた冒険者と違う。
「まぁ、俺が手伝ってやるさ。例えばこの依頼はシスタスのすぐ近くの森に生息するフィンキーというモンスターを討伐する依頼だ。フィンキーの尻尾を取ってギルドに収めることで討伐の証明になる」
父は壁から依頼の紙を取り、私に手渡した。
依頼主:シスタス領主
内容:フィンキーの討伐
討伐証明:フィンキーの尾
ランク:Eランク以上
討伐依頼数:20
報酬:銀貨5枚
報酬ポイント:30
「これはフィンキーの尻尾を20本持ってきたら銀貨5枚とポイントが20もらえる。この依頼は常にあるものだから、何もバカ正直に20匹だけ狩って帰ってくる必要がない。100や200尻尾を集めてからまとめて報告すればいい。しかも、依頼の達成条件は尻尾を持ってくることだから、自分で狩らなければいけない、という訳でもない。ポイントのためだけにフィンキーの尻尾を誰かから譲ってもらっても違反ではない」
「なるほど…」
ゲームで言うところのフリークエストってやつか。
前世のMMOで仲間と手分けしてアイテム収集クエストをやった記憶がよみがえる。
「これは俺が行ってくる。1週間くらい森に籠れば300は狩れるだろう」
ありがたいことだけれどもいいのだろうか。
自分でやってこそ意味がある!と言いそうな父であったのに。
まぁ、自分から言い出すということはいいのだろう。
「ありがとうございます。でもフィンキーがどんなモンスターかわかりませんが、尻尾300本って荷物の大きさとして問題ないんですか?」
この世界は現実だ。ゲームじゃない。ゲームだったらどんな大きさの荷物でも所持限度までならいくらでも持てるが、実際に手で運ぶとなると話は別だ。
普通に考えて尻尾が300本って相当の荷物になるのではなかろうか。
「そのために騎乗用の獣を借りていく。行くときには乗れるし、帰りは荷物を持たせられる」
「騎乗用の獣を借りることができるんですね」
それは便利だ。覚えておこう。
「お前は俺がフィンキーを狩っている間に、この中から討伐以外のできそうな依頼を受けてやってみろ。まだ街からは出るなよ」
「わかりました」
とりあえず今の自分でできそうな依頼を探してみる。
といってもほとんどが雑用なので、どれでもよさそうではある。
適当な依頼を手に取ってみた。
依頼主:ベリア・フランツ
内容:倉庫整理
目安時間:1日
ランク:Eランク以上
報酬:銀貨7枚
報酬ポイント:30
「これにしてみます」
「倉庫整理か。いいんじゃないか?じゃあこの紙を受付に持って行って受理してもらうんだ」
「はい」
受付に持って行く。
綺麗な女性がにこやかに迎えてくれた。
茶髪に同じ色の瞳をした、穏やかな雰囲気を纏っている女性だった。見たところヒューマに見える。
「紙とギルドカードをお預かりしますね」
「お願いします」
先ほどの依頼の紙と一緒にギルドカードも渡す。
「あら?初めての依頼でいらっしゃいますね?」
Eランクでポイントが0だからか、私が渡したカードを見て女性が言う。
「はい」
「では簡単に説明させていただきますね。この依頼は依頼主の元へ直接出向いて受ける依頼でございます。依頼が達成されますと依頼主より達成カードを手渡されますので、それをまたここの受付にお出しください。達成カードが確認されますと、ポイントが付与され報酬が支払われます。EランクからDランクへ上がるための必要ポイントは2000です」
今回の依頼でもらえるポイントは30.2000まで溜めるのは結構大変そう。このレベルの依頼を毎日こなせば2か月強くらいでDになれるってことか。
「街の地図は銀貨1枚になりますが必要ですか?」
「お願いします」
銀貨1枚と引き換えにこの街全体の見取り図のようなものを受け取る。繊細に描きこまれているが、手描きだ。
「こちらが依頼主の居住付近の地図でございます」
もう1枚手渡される。こちらの地図も手描きだ。先ほどの見取り図の一部分を拡大したような地図。ずいぶんと雑に描いてある。依頼主が描いたものなのだろうか。
「説明は以上になりますが、何かご質問は?」
「今からここに行けばいいんですか?」
「その通りでございます」
「ありがとうございます」
地図2枚と依頼の紙を手に受付を離れ、遠くで見ていたのであろう父の元へ行く。
「依頼受けてきました」
「ああ。じゃあ俺は一度宿に戻って支度してからフィンキー狩りに向かう。お前は俺が戻るまで依頼を何個か受けておけよ」
「はい。お願いします」
父はそう言うとすぐギルドを出て宿に向けて歩いて行った。
私はギルドに残り、地図をもう一度見返す。
銀貨1枚で買った地図。
これは街全体の見取り図が描いてある。
前世の地図と同じように、上が北のようだ。西、南、東に門があり、街を十字に走る大通りの周辺が商業区となっている。
冒険者ギルドは東西にそれぞれ一つずつあり、ギルドの看板に西とあったのでここは西側のギルドということになる。
つまり私たちは西側の門からシスタスに入ってきたということだ。
街の最北には領主が住む家がある。地図を見るに家というには敷地面積が大きいので、城くらいはありそうだ。
フィンキーの討伐依頼の依頼主がシスタス領主、という名目であったが、国王というわけではないのだろうか?この世界の国というシステムがいまいちまだよくわからないので、今は考えても仕方がないか。
今回の依頼主は北西に位置する居住区に住んでいるようだ。大まかな住所はこの全体の見取り図にも記載されている。その辺りについてから拡大地図を見てみることにしよう。
ギルドを出て、北を目指す。
大時計に目をやると、9時半くらいだった。人を訪ねる時間としてはちょうどよさそうだ。
酒場、宿、武器屋、防具屋、なんだかよく分からない雑貨屋のような店、様々な店を横目に街を歩く。
本当にRPGのゲームの中に入り込んだかのようだ。特に武器屋や防具屋から少し覗ける品物は、実際にゲームの中で目にしてきた物が現実となっていて非常に興味深い。
居住区に入ると道行く人もほとんどいなくなり、とても静かに感じた。
街は全体的にゴシック調の建物で統一されており、この居住区も例外ではなくヨーロッパの街並みを彷彿とさせる。
地名が書かれた看板と地図を照らし合わせながら記載された住所付近へと足を進め、1時間ほどで依頼主の家周辺までたどり着いた。あとはこの周辺地図を見ながら家を探すだけだ。
この辺りは領主の家に近いからなのか、どの家も大きく高級感が漂っている。富裕層が暮らしているのだろうか。
雑に描かれている地図だと思っていたが、それでも迷うことなく依頼主の家へたどりつけた。表札にフランツと書かれている。
前世の家みたいにインターホンはない。門を開け恐る恐る敷地に踏み込む。
庭は広く、色とりどりの花が植えられていた。手入れされているのが一目でわかる。
玄関まで続く石畳の道を歩き門の前まで来ると、音もなく突如足元が光った。
いきなりの出来事に思わず後ずさる。心臓が早打ちし、嫌な汗が噴き出した。
どうしよう。やばいことをしてしまったんだろうか。自分がここに足を踏み入れたことによって何かの術が発動したのは明らかだ。こんなの聞いてない。
でもさすがに逃げるわけにもいかない。大人しくここで待つことにしよう。
しばらく待つと静かに扉が開いた。
中から現れたのは、いかにも執事という感じの初老の男性だった。ヒューマのようだ。
「あ、あの、ギルドからの依頼で参りました。シエルと申すものですが…」
とりあえずまず怪しいものでないことを伝えなければ、と若干早口で名乗りつつ、ギルドカードを提示する。
初老の男性は私が差し出したギルドカードに軽く目をやり、穏やかに笑みを浮かべた。
「ようこそ、お待ちしておりました。どうぞ中へ」
特に怪しんでる様子もなさそうだった。
素直に従い中へ入る。
玄関から入ると、そこはホールという感じだった。床は乳白色の石でできており、歩くとカツンと音が響いた。正面には大きな階段があり、赤い絨毯が敷かれいる。いかにも洋館と言った雰囲気だ。
「こちらへどうぞ」
執事っぽい人の後へ続き歩く。
玄関から入って左手の部屋へと通された。部屋の中は全体に青い絨毯が敷かれており、ガラスでできたテーブルの四方を黒い革でできた豪華そうな椅子が並べられている。応接室なのだろうか。
壁にはガラス張りの棚が並んでおり、高級そうな食器が飾られていた。
そして奥に誰か立っていた。おそらく家主ではない。鎧を身に付け、腰に下げた剣に手をかけたままじっと動かない。SPということなのだろうか。
無骨そうな顔立ちの40代くらいの男性だ。ヒューマに見える。
その男性は私の動きを目で追っていた。何か怪しい動きをすれば容赦なく切り捨てられそうだ。緊張が増す。
「どうぞ、おかけください」
執事っぽい人に言われ、素直に腰かける。
高そうな椅子だけあってフワフワして座り心地は最高だった。
「しばらくお待ちください」
そう言って執事っぽい人は部屋を出て行った。
鎧を身に付けたSPっぽい人と2人きりだ。SPの男性は私から目を離さない。かと言って話しかけてくることもない。私も話しかけていいものかわからないし、目を合わせるのも気まずいのでひたすら目の前のテーブルを見つめて時が過ぎるのを待った。
しばらく待つと扉が開き、女性と先ほどの執事の男性が戻ってきた。
私は慌てて席を立ち、女性に頭を下げる。
「初めまして。ギルドから依頼を受けて参りました。シエルと申します」
「初めまして。私はエレノア・フランツです。主人のベリアは仕事で留守なので私が代わりに失礼いたしますね」
エレノアさんは50代くらいのヒューマらしき女性だ。見るからにセレブと言った感じで、所々に身に付けている煌びやかなアクセサリーが眩しい。
服装も上質な生地を使っているものだと一目でわかるくらいの、艶やかで肌触りがよさそうなドレスを纏っている。
「どうぞお座りになって」
言いながらエレノアさんは私の向かいに腰かける。
私も再び席に座ると、執事の男性が一礼した後、部屋を出て行った。
「依頼、受けていただきありがとう。人手が足りなくて困っていたの」
「いえ、よろしくお願いいたします。これが私のギルドカードです」
ギルドカードをエレノアさんに差し出す。
「まぁ、初めての依頼なのね。見たところあなたはまだ年若いエルフのようですものね。初めての依頼に選んでいただけて光栄だわ」
ポイントが0だから一目で初めてだとわかってしまう。まぁ、事実なのでそれについては何も言えることがない。
幸いにもエレノアさんもそれを気にする様子はないみたいなのでよかったかな。
「初めてで至らないところもあると思いますが、よろしくお願いいたします」
「そんなに堅苦しくしないでいいのよ。早速だけれどお願いしてもいいかしら?」
「はい」
エレノアさんが立ち上がるとSPの男性がすぐに側に寄った。さすがボディーガード。
私も立ち上がり、エレノアさんの後に続く。
先ほどのホールに戻り、中央の階段奥にある部屋へと入った。
そこが倉庫なのかと思いきや、長いテーブルにたくさんの椅子が並べられている部屋だった。映画などでよく見る貴族の屋敷の食堂のようだ。
食堂を通り越し、さらにいくつかの部屋を通過し、屋敷の裏手へと出た。
所謂裏庭にあたるのだろうけれど、ここも花々が丁寧に手入れされている。この裏庭にこじんまりとした蔵のようなものが建っており、おそらくそこが倉庫なのだろう。
エレノアさんは鍵を取り出しそこの扉を開け、中に入る。
倉庫の中は何を整理する必要があるのかわからないほど、きちんと物が整えられているように見えた。
ほとんどが箱にしまわれ、壁際に積まれている。
「いい加減この中のいらないものを処分したいのよ。私がいるいらないを判断するからあなたは箱を私の前に広げてくれるかしら」
「わかりました。では、始めますね」
まずは手前にある箱をエレノアさんの前まで運び、蓋を開く。
鏡や小物入れのようなものなど、細々とした雑貨が詰められていた。
「これは娘が嫁入りに持っていかなかったものね。処分しましょう。外に出してもらっていいかしら?」
「はい」
言われるまま蓋をし、倉庫の外へと出す。
その間SPは私の動きをずっと目で追いながら、剣から手を離さない。
わざわざギルドに依頼を出さなくても、この人にやらせればいいのではないかと思うのは私だけだろうか。
という疑問を頭に思い浮かべつつ、私はエレノアさんの指示に従ってひたすら箱を運んだ。
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