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二章
第32話 出立
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そして私は、朝食から昼食までの空いている時間で、リベリオのところに向かった。
「何しに来たの?」
開口一番嫌そうに言ったリベリオもこれで見納めなんだと思うと、不快な気分にもならなかった。
「お礼を言おうと思って。僕の処罰を望まないと言ってくださったので。それに、貴方はセスの処分を軽くするようにも言ってくれました。ありがとうございます」
何か要求でもされるんじゃないかとビクビクしていたけど、特に何もしてこなかったので本当に意外といい人なのかもしれない。
「何それ嫌味?僕が隊長に厳重注意を受けたのは知ってるんだろ?その僕が君の処罰を望めるわけないじゃないか。言ったはずだ、この件の責任の一端は僕にあると。だから君にも謝っただろ」
「はい。聞きました。でもいいじゃないですか、素直に聞いてくれても。これが最後なんですし」
「…はいはい、わかったよ。僕も悪かったね。あいつのことは嫌いなんだ」
えぇ…そんなはっきり言っちゃうの。
「治癒術師として中途半端なのは本当にそうだと思うけど、あいつの性格も気に入らない。僕の手を使わせないようにあいつは無理をしてでも現地で全部治してきたんだろ。君のことは別として、だけど」
「そういえば…そうですね」
私があんなことになるまで3班は誰1人としてここに来たことはなかった。そうしないようにセスが尽力をしていたということなのか。
ただ無理をして現地で治してきたと言うよりは、怪我をしないようにサポートに尽力していたと言ったほうが正しいかもしれない。
「何を言ったって表情一つ変えないし、何を考えているか本当にわからない。嫌いだ」
いや、何回嫌いって言うんだよ。それについてこれ以上何か言うつもりはないけどさ。
「だからこれでやっと終わりだ。気を付けて帰りなよ」
「はい、ありがとうございました」
最後に少し笑みを見せて、リベリオは言った。
顔はイケメンなのに本当にもったいない。そう思いながら私はリベリオの診療室を後にした。
昼食、全員が揃う最後の食事だ。
なのに朝とは打って変わってみんなの言葉は少ない。それが何だかとてつもない寂しさを醸し出しているように見えた。
ガヴェインやセスはそんな風に思ってないんだろうけど、残りの私たちは確実にそんな空気の中で食事している。
たぶん、レオンとはこれでお別れになるからだろう。3週間という期間ではあったけど、彼もまた私たちの仲間だ。
あの一件で提出された進言書はレオンの提案だったと後から聞いた。
私自身はあまり深く関わったりはしなかったけれど、いい人だな、という印象は持っている。
出発の前に、全員でヴィクトールの元へ挨拶へ行った。
ヴィクトールはただ、「ご苦労だった。気を付けて帰れ」と言うだけだったが、その顔は柔らかい笑みを浮かべていた。
帰りの保存食と今日の夕食分のお弁当を食堂の人たちから受け取って、いよいよ出発の時が来た。
「みんな、気を付けて帰ってな」
レオンがどこか名残惜しそうにそう口にした。
私たちも同様に名残惜しい気持ちを抑えられずに、レオンに別れを告げた。
森を抜けるまでは頻繁にモンスターが出てくるため、気を抜ける時間はあまりない。
リザードマンに比べればなんてことないモンスターたちなので苦戦はしないのだが、何せ数が多い。
そういえばこんな森の中にある駐屯地にはモンスターが出てくることはなかった。騎士見習いが見回りでもしているのか、それとも結界でも張ってあるのだろうか。
休憩を取らずに夜まで歩き続け、森の中で野宿をする。森の中なので暗いが、おそらくまだ18時くらいなのではないかと思う。
9人いるので3人ずつ4時間を目安に交代で見張りを行うこととした。
私は一番最初、フィリオ、リーゼロッテと共に見張りを担当したが、ちょこちょこと現れるモンスターに落ち着いて話などもできない。
「これはデッドライン討伐よりも疲れますね」
合間にフィリオが苦い笑みを浮かべて呟いた。
「行きも同じことをしたはずなのにね。ずいぶんと大変に感じるよ」
行きの時は見張りの人数も4人だったというのもあるかもしれないが、30分に一度くらいのペースで出てきていたデッドライン討伐に比べ、こちらは10分もしないうちに次が出てくる。あの感覚に慣れてしまった私たちには頻度が高く感じてしまう。
「でも2人がすぐに倒してしまうので何もできずにすみません」
リーゼロッテが申し訳なさそうに言った。
フィリオと無詠唱の私で出てきたモンスターは瞬時に狩っているような感じなので、そう感じさせてしまっているのだろう。
「大丈夫だよ。間に合わないこともあるんだし、その時はリーゼロッテの神術が頼りだ」
実際、フィリオと私の手が塞がっている時にはリーゼロッテが倒しているモンスターもいる。言うほど何もしていないわけではない。
「それにしてもこんなに狩ってるのによくいなくならないよね」
狩っても狩っても尽きることはない。ゲームのように次から次へと湧いて出てくる。
「モンスターの繁殖スピードは異常ですからね。誰にも狩られることのない増えすぎたモンスターは同士討ちを始めるらしいですよ」
「へぇ…そうなんだ」
まるで一定の数になるように調整されているかのような。考えすぎか。
そうして4時間ちょこちょこと出てくるモンスターをひたすら狩り続け、次の組と交代した。
そこからの8時間、休めたかと言われれば大して休めてはいないと思う。
絶えず見張りの人たちが戦っている音がするし、硬い地面だし。せいぜいウトウトとしたくらいだろうか。
昨日は朝まで任務で少しの仮眠しか取ってなかったのでさすがに疲れは残る。
が、とにかく早く森を抜けるために朝ごはんもそこそこに私たちは歩き出し、昼前(体感)には何とか森から抜け出すことができた。
森から少し離れたところで全員で昼休憩を取る。
「ここからカルナまであと1日くらいか」
「ここから先はモンスターなどそうは出てこないし、休憩を減らして先を急ぐ手もあるぞ。帰りは3班しかいないからな、どうするか自由に決められる」
アイゼンの言葉を聞いて、ガヴェインが提案した。
多数決を取った結果、多数どころか満場一致で先を急ぐという意見に纏まった。
夜ご飯を食べたらまたしばらく歩いて、睡眠時間を減らす。日が昇る前にまた歩き出して朝方にはカルナに到着することができた。
「帰ってきたな…」
「全員で、帰ってきたかったですね…」
アイゼンの言葉にフィリオが悲しそうな顔をして言った。
本来ならここには10人で帰ってくる予定だった。帰ってきたかった。みんなも同じことを考えているのだろう、その顔色は晴れなかったが久しぶりに踏みしめるカルナの地は明るかった。
最初に集合した場所に帰ってきた。
ここから始まった3か月という長い討伐任務もこれで本当に終わりとなる。
「皆ご苦労だったな。これですべてが終了だ。達成カードを受け取りに来い」
そうか、達成カード。久しぶりに聞いた単語だ。これはギルドからの依頼なんだったっけ。
達成カードを受け取る時にガヴェインは、騎士団からの依頼を詳しく説明するからと日付と時間と場所が書かれた紙を一緒に渡してきた。
明後日の13時。ここからそう遠くない場所のようだ。
「お前たち、もしよかったら今日の夜集まれるか。最後の晩餐といこう。俺の奢りだ」
俺の奢り、という言葉に3班のメンバーは一斉に沸いた。
「ほんとですか班長!行きます!!」
一番喜んでいるのはアイゼンだったが、他のみんなも嬉しそうだ。これで終わりというのも寂しいし、私も最後にみんなと食事をしたい。
ガヴェインが指定した場所は宿が併設された酒場で、カルナに居住地を持たない者は全員そこで宿を取ることにして一度解散した。
今この宿に残っているのは、私、フィリオ、ニコラ、セス、エレンの5人だ。さすがに1人部屋が5部屋というのは空いておらず、2人部屋を2部屋、エレン用に1人部屋を1部屋取ることになった。
フィリオとニコラはこの後騎士見習いとして登用されるまでしばらく滞在するから同室がいいと言うので、私はセスと同室になった。私とセスもこの後一緒に仕事をするかもしれないのでちょうどいい。
「お風呂溜めるから先に入っちゃって。僕みんなの部屋のお風呂入れてくるから」
「あぁ、ありがとう」
火と水の両方を使えるのは私だけなので、他の部屋のお風呂係りも必然的に任されることとなった。
お風呂を済ませ、洗濯を宿に頼み、夜ここの宿で食べるんだから別の場所へ行ってみようということで、セスおすすめの料理屋さんに5人で来ている。
「セスはカルナに長くいたの?」
この店に来るにあたりセスは候補を3つほど出しそれを私たちに選ばせるという方法を取ったので、ある程度カルナに詳しくなければできないのではないかと思い料理を待つ間に聞いてみる。
「カルナには何度も訪れたことがあるというだけだよ。でももうそろそろベリシアからは離れるつもりでいる」
「ベリシアを離れてどこへ?」
フィリオも私に便乗して質問を重ねた。
「どこ、と決めているわけじゃないけど、アルセノの方に行こうかとは思ってる」
「自由気ままな旅をしているの?」
さらにニコラが質問を重ねる。
みんなセスのこと相当気になってるんだな。
「…まぁ、そんなところかな」
きっと違う。
ヴィクトールの話だと、セスはミトスに来て秘石を狙われたり誰かに裏切られたりと辛い思いをしてきたという。それでもミトスに居続けるのには何かの理由があるはずだ。何かの理由がなければ、ミトスにいる必要がない。
「シエルは?この後どうするの?」
「んー、決めてない。でもシスタスからカルナまで来たから、このままアルセノ方面に行くか、ネリスからルーマスに渡るかかなぁ」
ニコラの質問に思いついた案をそのまま答えた。
目的もあるわけじゃないし、アルセノからもルーマスに渡れるならアルセノを経由してルーマスに行ってもいいかもしれない。そうなるとセスと目的地は一緒だし、1人だと寂しいから一緒に行きたいところなんだけど、何かセスにも旅の目的があるんだろうし言いづらい。それに次の仕事を私が受けるかどうかは決まってないからな…。
「ならセスとシエルで一緒にアルセノに行けばいいんじゃないの?2人仲良しじゃない」
エレンの言葉に心臓が跳ねた。
おいぃ!人が言いづらいことをズバッと言うな!しかも仲良しってなんだ。あの一件のことを言ってるのか。
「いや、それは…セスがいいって言うならそうしたいけど…」
って言うしかないじゃん!!
これで断られたらメンタルやばいよ私!この後の仕事一緒にできないかもしれない。
「俺は別に構わないよ」
「ええ!?」
あっさりと承諾したセスに思わず上ずった声を出してしまった。
「そんなに驚かなくても…断る理由もないし…」
断る理由もないのか。
何か目的はあるはずなのに…。
ということはアルセノまでセスと一緒に行けるってことか。
なんだろう、すごい嬉しいと思った。ここで仲間を失うのが怖かったのかもしれない。
「そ、そうなんだ…。じゃあその話はまた後でしよう」
「ああ」
「よかったわね、シエル」
とりあえず後に回した私にエレンが和やかに笑う。
エレン様!!女神!!ありがとう!!
「僕はベリシアから出たこともないし、今後も出ることはないんだろうなぁ」
「どうでしょう。国外要請の仕事もあるかもしれませんよ」
ニコラの呟きに答えるようにフィリオが言った。
国外要請なんてあるのか。前世でいう海外派遣、みたいな感じかな?
「ネリスからの国外要請はよく聞くね」
フィリオの言葉にセスも頷く。
ネリスは確か隣のエルゴニアと紛争状態にあるんだったよね。
「ネリスで騎士団が何をするの?エルゴニアとの戦争の手伝い?」
「直接2国の紛争に加担することはないですよ。エルゴニアとの紛争で人手が足りなくなるネリスの国内安定を図るための支援ですかね。まぁ、それは名目でネリスとしてはベリシアの後ろ盾を得ているとエルゴニアに主張したいのでしょうが」
「へぇ…」
なんだかよくわからない。行ってみればわかるのだろうか。
「そもそもネリスとエルゴニアはなんで紛争状態にあるの?領地争い?」
「まぁ、そのようなものね。エルゴニアは内陸にしか領地がないから航路を欲してるのよ。アルセノにもベリシアにも手を出せないから航路が欲しいならネリスを潰すしかない」
「なるほど…」
私の疑問にエレンが答えてくれた。
航路か。エルゴニアは航路を手に入れてルーマスのどこかの国と貿易をしたいってことかな?ルーマスのことはあんまり把握してないからどういう分布なのかわからないけど。
アルセノもベリシアも大きい国だしエルゴニアくらいの規模の国だとそれは手を出せないだろう。
でもまぁ、どこの世界でも領土争いはあるんだな。それで犠牲になるのは一般市民だったりするのに…。
考え込んでいると料理が運ばれてきた。
料理屋で仕事をしていた時によく作っていたような料理がいくつか並ぶ。そういえばこの3ヶ月は料理をすることもなかったな。
さすがに忘れてはないと思うけど、腕が鈍ってそうだ。
皆でいただきますをして食べ始める。
この世界には当然だけど箸がない。箸があれば食べやすいのに、という料理も全部スプーンとフォークとナイフで食べることになる。しょうがないんだけど箸が欲しい。自分で作ってみようかとも思ったけど、そんな見慣れないものを使ってたら完全に不審がられる。
逆を言えばもしこの世界で箸を見かけたら同郷の異世界人がいるということになるんだけどな…。
「駐屯地での食事も美味しかったけど、ここのも美味しいね」
「そう。それはよかった」
ニコラの言葉にセスが安心したように言った。勧めた手前気になっていたのだろう。
しかもここでの食事代は全てセスが出してくれた。さすがにそれは、と私たちも言ったけれどセスもいいから、と言って譲らなかった。
年長者が奢るような風潮はどこの世界も変わらないのだろうか。
あまりしつこく言うのもあれなのでお言葉に甘えてご馳走になった。
食事を終え宿に戻り、ガヴェインとの約束の時間まで各々自由行動となった。
と言っても私もセスも部屋に戻ってきている。
「さすがに眠い…少し寝ようかな」
お腹が満たされたこともあり、急激に眠気が襲ってきた。ベッドに横になると瞼が重くなってくるのを感じる。
「疲れただろう。時間になったら起こしてあげるからゆっくり寝るといい」
心地よいセスの声が聞こえる。
セスはどうするんだろう。その言い方だと寝ないように聞こえる。
でもそれを確かめる前に私は深い眠りへと落ちていった。
「シエル、そろそろ起きるんだ。時間だよ」
肩を揺さぶられ、私は思い瞼を開けた。
「え、時間…?」
「もうすぐ18時だよ」
まじか。ものすごい寝てしまった。多分14時くらいにベッドに入った気がする。
しかしよく寝たからか、起こした体は軽かった。
「起こしてくれてありがと。支度しないと…」
支度と言っても髪も短いし服装を整えるくらいなのだが。
「ずいぶん熟睡していたね」
「疲れてたのかな」
「戻ってきたばかりだしね」
短い会話をしながら私たちは宿の1階にある食堂へと下りた。
まだ時間的には少し早いので誰もいないかと思ったらガヴェインはもう来ていた。
今までとは違いずいぶんとラフな格好をしている。
「班長、早いですね」
「そりゃ、主催者だからな」
私の言葉に苦い笑みを浮かべてガヴェインが答えた。
「考えてみればリーゼロッテの家からは結構遠かったかもしれんな。オルコット家の分家はいくつもあるだろうが、だからと言ってさすがにこの辺にあるということはないだろうし」
ここは討伐隊が集合した噴水の近くだ。南のギルドの近くにある。
「帰り大丈夫かな?」
今から食事をするのだから帰りは暗い夜道を歩いて帰らなければならない。ここから家までどれくらいかかるのかわからないが、ベルナじゃあるまいしさすがにリーゼロッテ1人だと危なそうだ。
「誰かが送っていけばいいだろう」
「そうだね」
提案するセスの言葉に同意しつつも、できれば自分が1人で行く選択肢は除外したい。帰り道が1人とか怖すぎる。
「何しに来たの?」
開口一番嫌そうに言ったリベリオもこれで見納めなんだと思うと、不快な気分にもならなかった。
「お礼を言おうと思って。僕の処罰を望まないと言ってくださったので。それに、貴方はセスの処分を軽くするようにも言ってくれました。ありがとうございます」
何か要求でもされるんじゃないかとビクビクしていたけど、特に何もしてこなかったので本当に意外といい人なのかもしれない。
「何それ嫌味?僕が隊長に厳重注意を受けたのは知ってるんだろ?その僕が君の処罰を望めるわけないじゃないか。言ったはずだ、この件の責任の一端は僕にあると。だから君にも謝っただろ」
「はい。聞きました。でもいいじゃないですか、素直に聞いてくれても。これが最後なんですし」
「…はいはい、わかったよ。僕も悪かったね。あいつのことは嫌いなんだ」
えぇ…そんなはっきり言っちゃうの。
「治癒術師として中途半端なのは本当にそうだと思うけど、あいつの性格も気に入らない。僕の手を使わせないようにあいつは無理をしてでも現地で全部治してきたんだろ。君のことは別として、だけど」
「そういえば…そうですね」
私があんなことになるまで3班は誰1人としてここに来たことはなかった。そうしないようにセスが尽力をしていたということなのか。
ただ無理をして現地で治してきたと言うよりは、怪我をしないようにサポートに尽力していたと言ったほうが正しいかもしれない。
「何を言ったって表情一つ変えないし、何を考えているか本当にわからない。嫌いだ」
いや、何回嫌いって言うんだよ。それについてこれ以上何か言うつもりはないけどさ。
「だからこれでやっと終わりだ。気を付けて帰りなよ」
「はい、ありがとうございました」
最後に少し笑みを見せて、リベリオは言った。
顔はイケメンなのに本当にもったいない。そう思いながら私はリベリオの診療室を後にした。
昼食、全員が揃う最後の食事だ。
なのに朝とは打って変わってみんなの言葉は少ない。それが何だかとてつもない寂しさを醸し出しているように見えた。
ガヴェインやセスはそんな風に思ってないんだろうけど、残りの私たちは確実にそんな空気の中で食事している。
たぶん、レオンとはこれでお別れになるからだろう。3週間という期間ではあったけど、彼もまた私たちの仲間だ。
あの一件で提出された進言書はレオンの提案だったと後から聞いた。
私自身はあまり深く関わったりはしなかったけれど、いい人だな、という印象は持っている。
出発の前に、全員でヴィクトールの元へ挨拶へ行った。
ヴィクトールはただ、「ご苦労だった。気を付けて帰れ」と言うだけだったが、その顔は柔らかい笑みを浮かべていた。
帰りの保存食と今日の夕食分のお弁当を食堂の人たちから受け取って、いよいよ出発の時が来た。
「みんな、気を付けて帰ってな」
レオンがどこか名残惜しそうにそう口にした。
私たちも同様に名残惜しい気持ちを抑えられずに、レオンに別れを告げた。
森を抜けるまでは頻繁にモンスターが出てくるため、気を抜ける時間はあまりない。
リザードマンに比べればなんてことないモンスターたちなので苦戦はしないのだが、何せ数が多い。
そういえばこんな森の中にある駐屯地にはモンスターが出てくることはなかった。騎士見習いが見回りでもしているのか、それとも結界でも張ってあるのだろうか。
休憩を取らずに夜まで歩き続け、森の中で野宿をする。森の中なので暗いが、おそらくまだ18時くらいなのではないかと思う。
9人いるので3人ずつ4時間を目安に交代で見張りを行うこととした。
私は一番最初、フィリオ、リーゼロッテと共に見張りを担当したが、ちょこちょこと現れるモンスターに落ち着いて話などもできない。
「これはデッドライン討伐よりも疲れますね」
合間にフィリオが苦い笑みを浮かべて呟いた。
「行きも同じことをしたはずなのにね。ずいぶんと大変に感じるよ」
行きの時は見張りの人数も4人だったというのもあるかもしれないが、30分に一度くらいのペースで出てきていたデッドライン討伐に比べ、こちらは10分もしないうちに次が出てくる。あの感覚に慣れてしまった私たちには頻度が高く感じてしまう。
「でも2人がすぐに倒してしまうので何もできずにすみません」
リーゼロッテが申し訳なさそうに言った。
フィリオと無詠唱の私で出てきたモンスターは瞬時に狩っているような感じなので、そう感じさせてしまっているのだろう。
「大丈夫だよ。間に合わないこともあるんだし、その時はリーゼロッテの神術が頼りだ」
実際、フィリオと私の手が塞がっている時にはリーゼロッテが倒しているモンスターもいる。言うほど何もしていないわけではない。
「それにしてもこんなに狩ってるのによくいなくならないよね」
狩っても狩っても尽きることはない。ゲームのように次から次へと湧いて出てくる。
「モンスターの繁殖スピードは異常ですからね。誰にも狩られることのない増えすぎたモンスターは同士討ちを始めるらしいですよ」
「へぇ…そうなんだ」
まるで一定の数になるように調整されているかのような。考えすぎか。
そうして4時間ちょこちょこと出てくるモンスターをひたすら狩り続け、次の組と交代した。
そこからの8時間、休めたかと言われれば大して休めてはいないと思う。
絶えず見張りの人たちが戦っている音がするし、硬い地面だし。せいぜいウトウトとしたくらいだろうか。
昨日は朝まで任務で少しの仮眠しか取ってなかったのでさすがに疲れは残る。
が、とにかく早く森を抜けるために朝ごはんもそこそこに私たちは歩き出し、昼前(体感)には何とか森から抜け出すことができた。
森から少し離れたところで全員で昼休憩を取る。
「ここからカルナまであと1日くらいか」
「ここから先はモンスターなどそうは出てこないし、休憩を減らして先を急ぐ手もあるぞ。帰りは3班しかいないからな、どうするか自由に決められる」
アイゼンの言葉を聞いて、ガヴェインが提案した。
多数決を取った結果、多数どころか満場一致で先を急ぐという意見に纏まった。
夜ご飯を食べたらまたしばらく歩いて、睡眠時間を減らす。日が昇る前にまた歩き出して朝方にはカルナに到着することができた。
「帰ってきたな…」
「全員で、帰ってきたかったですね…」
アイゼンの言葉にフィリオが悲しそうな顔をして言った。
本来ならここには10人で帰ってくる予定だった。帰ってきたかった。みんなも同じことを考えているのだろう、その顔色は晴れなかったが久しぶりに踏みしめるカルナの地は明るかった。
最初に集合した場所に帰ってきた。
ここから始まった3か月という長い討伐任務もこれで本当に終わりとなる。
「皆ご苦労だったな。これですべてが終了だ。達成カードを受け取りに来い」
そうか、達成カード。久しぶりに聞いた単語だ。これはギルドからの依頼なんだったっけ。
達成カードを受け取る時にガヴェインは、騎士団からの依頼を詳しく説明するからと日付と時間と場所が書かれた紙を一緒に渡してきた。
明後日の13時。ここからそう遠くない場所のようだ。
「お前たち、もしよかったら今日の夜集まれるか。最後の晩餐といこう。俺の奢りだ」
俺の奢り、という言葉に3班のメンバーは一斉に沸いた。
「ほんとですか班長!行きます!!」
一番喜んでいるのはアイゼンだったが、他のみんなも嬉しそうだ。これで終わりというのも寂しいし、私も最後にみんなと食事をしたい。
ガヴェインが指定した場所は宿が併設された酒場で、カルナに居住地を持たない者は全員そこで宿を取ることにして一度解散した。
今この宿に残っているのは、私、フィリオ、ニコラ、セス、エレンの5人だ。さすがに1人部屋が5部屋というのは空いておらず、2人部屋を2部屋、エレン用に1人部屋を1部屋取ることになった。
フィリオとニコラはこの後騎士見習いとして登用されるまでしばらく滞在するから同室がいいと言うので、私はセスと同室になった。私とセスもこの後一緒に仕事をするかもしれないのでちょうどいい。
「お風呂溜めるから先に入っちゃって。僕みんなの部屋のお風呂入れてくるから」
「あぁ、ありがとう」
火と水の両方を使えるのは私だけなので、他の部屋のお風呂係りも必然的に任されることとなった。
お風呂を済ませ、洗濯を宿に頼み、夜ここの宿で食べるんだから別の場所へ行ってみようということで、セスおすすめの料理屋さんに5人で来ている。
「セスはカルナに長くいたの?」
この店に来るにあたりセスは候補を3つほど出しそれを私たちに選ばせるという方法を取ったので、ある程度カルナに詳しくなければできないのではないかと思い料理を待つ間に聞いてみる。
「カルナには何度も訪れたことがあるというだけだよ。でももうそろそろベリシアからは離れるつもりでいる」
「ベリシアを離れてどこへ?」
フィリオも私に便乗して質問を重ねた。
「どこ、と決めているわけじゃないけど、アルセノの方に行こうかとは思ってる」
「自由気ままな旅をしているの?」
さらにニコラが質問を重ねる。
みんなセスのこと相当気になってるんだな。
「…まぁ、そんなところかな」
きっと違う。
ヴィクトールの話だと、セスはミトスに来て秘石を狙われたり誰かに裏切られたりと辛い思いをしてきたという。それでもミトスに居続けるのには何かの理由があるはずだ。何かの理由がなければ、ミトスにいる必要がない。
「シエルは?この後どうするの?」
「んー、決めてない。でもシスタスからカルナまで来たから、このままアルセノ方面に行くか、ネリスからルーマスに渡るかかなぁ」
ニコラの質問に思いついた案をそのまま答えた。
目的もあるわけじゃないし、アルセノからもルーマスに渡れるならアルセノを経由してルーマスに行ってもいいかもしれない。そうなるとセスと目的地は一緒だし、1人だと寂しいから一緒に行きたいところなんだけど、何かセスにも旅の目的があるんだろうし言いづらい。それに次の仕事を私が受けるかどうかは決まってないからな…。
「ならセスとシエルで一緒にアルセノに行けばいいんじゃないの?2人仲良しじゃない」
エレンの言葉に心臓が跳ねた。
おいぃ!人が言いづらいことをズバッと言うな!しかも仲良しってなんだ。あの一件のことを言ってるのか。
「いや、それは…セスがいいって言うならそうしたいけど…」
って言うしかないじゃん!!
これで断られたらメンタルやばいよ私!この後の仕事一緒にできないかもしれない。
「俺は別に構わないよ」
「ええ!?」
あっさりと承諾したセスに思わず上ずった声を出してしまった。
「そんなに驚かなくても…断る理由もないし…」
断る理由もないのか。
何か目的はあるはずなのに…。
ということはアルセノまでセスと一緒に行けるってことか。
なんだろう、すごい嬉しいと思った。ここで仲間を失うのが怖かったのかもしれない。
「そ、そうなんだ…。じゃあその話はまた後でしよう」
「ああ」
「よかったわね、シエル」
とりあえず後に回した私にエレンが和やかに笑う。
エレン様!!女神!!ありがとう!!
「僕はベリシアから出たこともないし、今後も出ることはないんだろうなぁ」
「どうでしょう。国外要請の仕事もあるかもしれませんよ」
ニコラの呟きに答えるようにフィリオが言った。
国外要請なんてあるのか。前世でいう海外派遣、みたいな感じかな?
「ネリスからの国外要請はよく聞くね」
フィリオの言葉にセスも頷く。
ネリスは確か隣のエルゴニアと紛争状態にあるんだったよね。
「ネリスで騎士団が何をするの?エルゴニアとの戦争の手伝い?」
「直接2国の紛争に加担することはないですよ。エルゴニアとの紛争で人手が足りなくなるネリスの国内安定を図るための支援ですかね。まぁ、それは名目でネリスとしてはベリシアの後ろ盾を得ているとエルゴニアに主張したいのでしょうが」
「へぇ…」
なんだかよくわからない。行ってみればわかるのだろうか。
「そもそもネリスとエルゴニアはなんで紛争状態にあるの?領地争い?」
「まぁ、そのようなものね。エルゴニアは内陸にしか領地がないから航路を欲してるのよ。アルセノにもベリシアにも手を出せないから航路が欲しいならネリスを潰すしかない」
「なるほど…」
私の疑問にエレンが答えてくれた。
航路か。エルゴニアは航路を手に入れてルーマスのどこかの国と貿易をしたいってことかな?ルーマスのことはあんまり把握してないからどういう分布なのかわからないけど。
アルセノもベリシアも大きい国だしエルゴニアくらいの規模の国だとそれは手を出せないだろう。
でもまぁ、どこの世界でも領土争いはあるんだな。それで犠牲になるのは一般市民だったりするのに…。
考え込んでいると料理が運ばれてきた。
料理屋で仕事をしていた時によく作っていたような料理がいくつか並ぶ。そういえばこの3ヶ月は料理をすることもなかったな。
さすがに忘れてはないと思うけど、腕が鈍ってそうだ。
皆でいただきますをして食べ始める。
この世界には当然だけど箸がない。箸があれば食べやすいのに、という料理も全部スプーンとフォークとナイフで食べることになる。しょうがないんだけど箸が欲しい。自分で作ってみようかとも思ったけど、そんな見慣れないものを使ってたら完全に不審がられる。
逆を言えばもしこの世界で箸を見かけたら同郷の異世界人がいるということになるんだけどな…。
「駐屯地での食事も美味しかったけど、ここのも美味しいね」
「そう。それはよかった」
ニコラの言葉にセスが安心したように言った。勧めた手前気になっていたのだろう。
しかもここでの食事代は全てセスが出してくれた。さすがにそれは、と私たちも言ったけれどセスもいいから、と言って譲らなかった。
年長者が奢るような風潮はどこの世界も変わらないのだろうか。
あまりしつこく言うのもあれなのでお言葉に甘えてご馳走になった。
食事を終え宿に戻り、ガヴェインとの約束の時間まで各々自由行動となった。
と言っても私もセスも部屋に戻ってきている。
「さすがに眠い…少し寝ようかな」
お腹が満たされたこともあり、急激に眠気が襲ってきた。ベッドに横になると瞼が重くなってくるのを感じる。
「疲れただろう。時間になったら起こしてあげるからゆっくり寝るといい」
心地よいセスの声が聞こえる。
セスはどうするんだろう。その言い方だと寝ないように聞こえる。
でもそれを確かめる前に私は深い眠りへと落ちていった。
「シエル、そろそろ起きるんだ。時間だよ」
肩を揺さぶられ、私は思い瞼を開けた。
「え、時間…?」
「もうすぐ18時だよ」
まじか。ものすごい寝てしまった。多分14時くらいにベッドに入った気がする。
しかしよく寝たからか、起こした体は軽かった。
「起こしてくれてありがと。支度しないと…」
支度と言っても髪も短いし服装を整えるくらいなのだが。
「ずいぶん熟睡していたね」
「疲れてたのかな」
「戻ってきたばかりだしね」
短い会話をしながら私たちは宿の1階にある食堂へと下りた。
まだ時間的には少し早いので誰もいないかと思ったらガヴェインはもう来ていた。
今までとは違いずいぶんとラフな格好をしている。
「班長、早いですね」
「そりゃ、主催者だからな」
私の言葉に苦い笑みを浮かべてガヴェインが答えた。
「考えてみればリーゼロッテの家からは結構遠かったかもしれんな。オルコット家の分家はいくつもあるだろうが、だからと言ってさすがにこの辺にあるということはないだろうし」
ここは討伐隊が集合した噴水の近くだ。南のギルドの近くにある。
「帰り大丈夫かな?」
今から食事をするのだから帰りは暗い夜道を歩いて帰らなければならない。ここから家までどれくらいかかるのかわからないが、ベルナじゃあるまいしさすがにリーゼロッテ1人だと危なそうだ。
「誰かが送っていけばいいだろう」
「そうだね」
提案するセスの言葉に同意しつつも、できれば自分が1人で行く選択肢は除外したい。帰り道が1人とか怖すぎる。
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魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
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