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三章
第46話 転移石
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視界が一瞬で切り替わり、気づいたら先ほどとは別の場所にいた。
とはいっても病室であることには変わりがないので、あまり見栄え的な変化はない。
部屋の中央にベッドがあり、入口がある壁際に棚があって薬品が置かれていて、向こうの部屋と作りは同じだった。
「すごい…」
瞬間移動というものを身をもって体験して思わず声が漏れる。
「便利でしょ?まぁ、帰還点は一度使うと消えるし、ミトスとルブラみたいに界も跨げないんだけどね」
感心している私にリィンが肩をすくめて言った。
「むしろ、界を跨いだ移動ができる人もいるの?」
「種族によってはね。まぁ、あんまりいないけど。とりあえずベッドに横になっててよ。セス呼んでくるから」
そう言いながら私の返事も待たずにリィンは部屋を出て行ってしまった。
そもそも、界を跨ぐ正しい方法というものを私はよく知らない。
今私が知っているのはデッドラインのワープリンクでルブラに行ける、ということのみだ。それ以外にどうやってルブラやアルディナに行けるのだろう。
「大丈夫か?手伝おう」
リィンが出て行ってからも動かない私にヒューイが手を差し出して言う。
「ありがとうございます」
そういう訳で佇んでいた訳ではないが、差し出された手を無下にするのも悪いので、私は素直にその手を取った。
「ヒューイさんは何属性ですか?」
「…属性?俺は神属性だが、何故それを聞く?」
あまりにも脈絡のない質問にヒューイが質問を返す。
そりゃいきなりそんなことを聞けば不思議に思うのも当然だろう。
「ヒューイさんはミトス以外の界に行ったことがあるのかなぁって思って」
「ああ…なるほど。俺はアルディナには行ったことがない。学校を卒業してからずっと騎士団に属しているからな。ベリシアを離れることすら滅多にないくらいだ」
私の言葉に納得したようにヒューイは頷いて答えてくれた。
「そうですよね。ベリシアの騎士団ですもんね」
「おそらく俺は騎士団の人間として一生を終えるのだろう。だが冒険者として、世界を旅するような生き方にも正直憧れる」
「そうなんですか…」
何だか意外な言葉に思えた。ヒューイの性格的に、ニコラみたいに安定性を求めて騎士団に属しているのかと思っていたけどそうではないのだろうか。
「俺には騎士団に属するという選択肢しか与えられなかった。全てを捨てて家を出る、という選択肢もあったかもしれないが、17歳の俺にはそんな勇気もなかった。まぁ、これはこれで悪くはないしな」
「なるほど…」
それは家柄的なことだろうか。正直、軽率に口を挟んでいいことではないので何を言えばいいのかわからない。元はと言えば自分が聞いたことなのに。
「君はこれからどうするんだ?冒険者として世界を旅するのか?」
ヒューイが自分の話を切り上げて私に聞いた。
「そうですね。そのつもりです」
「セスと共に行くのか?」
「はい、当面は」
何故そんなことを聞かれたのかわからないが、エスタに行く目的を話す訳にもいかないので曖昧に頷いた。
「そうか…」
と、ヒューイが呟いた瞬間にノックが聞こえ、セスとリィンが入ってきた。
すぐ近くにいたようだ。
「おかえり」
私を見てセスが言った。
「ただいま」
おかえり、という表現が正しいのかはわからないが、私も一応ただいまを返す。
「食事は少し食べられたかな?」
セスは私がずっと持っていた点滴の瓶をホルダーにかけると、針がずれていないか確かめながら私に聞いた。
「うん、食べたよ。今のところまだ吐いてない」
「そう、よかった」
この瞬間移動の浮遊感によって今まさにちょっと吐きそうだけど。
「では俺はこれで失礼する。シエル、また来る。ゆっくり休んでくれ」
「私もまた後で来るね」
「はい、ありがとうございます」
そう言ってヒューイとリィンが部屋から出て行き、セスと2人取り残された。
セスは棚の方で何かの作業をしているようで、特に話しかけても来ない。沈黙が若干気まずい。でもそう思っているのはきっと私だけなのだろう。
というかそもそも、セスが私の治療を行うことは契約として入っていないことだ。本来であれば騎士団の医術師や治癒術師がやるべきことのはずなのに、無償でそれをやってくれているのだろうか。
「ねぇ、セス」
「んー?」
呼んで返ってきた返事は完全に上の空だ。こちらを振り向くこともなく、何かを書いている。忙しいだろうか。
「いつ、帰れるかな」
帰るといっても宿はいったん出て来たのでまた取り直しではあるのだけれども、とりあえず早く病人を脱したい。
デッドライン討伐の時といい、短期間に入院してばっかりで心が滅入りそうだ。
「君に薬が必要なくなったら」
こちらを振り向いてセスが言う。
「……」
予想とは違ったその一言に閉口する。
それはきっと食事面だけではない。眠るための薬が必要なくなったら、ということも含まれている。
眠りたい。夢も見ずに朝まで。
昼食は、朝と同じくらいは食べることができた。
若干吐き気はしたが、我慢できる範囲だ。
セスは、いたりいなかったりした。いたところでそこまでお互いに多弁ではないのでずっと話している訳でもないし、休憩や食事も必要だろうから別にいいのだけど、暇すぎる。かと言って眠るのも怖い。そもそも動いていないのでそんなに眠気もないし。
ちなみにセスは今いない。
私が食べたところを見届けた後、自分も食べてくると言ってどこかへと行った。
「シエル、今いいか?」
ノックと共にガヴェインの声がした。
ガヴェイン、いつの間にかこっちに来ていたのか。
「どうぞ」
ガヴェインは昨日目が覚めた時にも来てくれたが、ヒューイやリィンがいる時で、立場的に個別に話をすることもなく立ち去ってしまい、それから顔を見せることはなかった。
「昨日はろくに話もできずにすまなかったな。調子はどうだ」
「少しずつ、食べられるようになってきました」
「そうか、よかった」
そう言いながらガヴェインはベッドの横にある椅子に腰かけた。
ということは、少しは時間があるということだろうか。
「班長、僕が眠っている間に何度か来てくれたみたいで、すみませんでした」
「いや、目が覚めてよかった。ピクリとも動かなかったからみんな本当に心配していた」
「すみません…」
「お前のせいじゃないだろう。むしろお前は大変な目にあったんだ…そうなる可能性があることは分かっていたとはいえ、実際そうなったお前を見た時は俺も…胸が痛かった」
苦しげに顔を歪めてガヴェインが言った。
目を背けたくなるほどの状態だった、それはあの時の私を見た人が共通して感じたことだったらしい。
「お前をあそこに置いて立ち去った後に、1人であんなに苦しんだんだと思うと…」
そこでガヴェインは言葉を切った。
顔を伏せて、膝の上で強く手を握っている。
「すみません、班長には嫌な役回りをお願いしてしまいました。でも僕は、あの時班長が側にいてくれてとても嬉しかったです。ありがとうございました」
「…以前から思っていたが、お前は年齢の割に他人を気遣いすぎる。もっと、弱音を吐いたっていいんだぞ…」
「班長…」
そうか、15歳にしては不自然な発言だったか。確かに今まであまり年齢を意識して発言してこなかったかもしれない。気を付けないと。
「弱音なら、たくさん吐きました。たくさん泣いて、逃げて、暴れて、みんなにたくさん迷惑をかけてしまいました。それはもう、恥ずかしいくらいに」
小さい子供みたいに泣きわめいて暴れて迷惑をかけた。大丈夫だ、とみんなは言ってくれたけど。
「そうか、お前が弱音を吐ける場所があるならばよかった。辛かったらたくさん泣いていいんだ。みんなお前の味方だからな」
そう言ってガヴェインはいつぞやと同じように私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「はい、ありがとうございます」
優しい。その優しさに甘えてしまいそうになる。いや、もう十分甘えているか。
「俺はこれでヴィクトール中佐の元へと戻ることになる。ヒューイ中佐から与えられた役割は、終わったからな」
「そうなんですか…ありがとうございました」
元々取引時にバルミンドを見張るためにガヴェインは呼ばれていたんだもんな。その後にバルミンドを捕えにきた男を捕え返して、第2待機施設で見張っていたりと色々と忙しそうではあったけどついに戻るのか。
「もう会うことはないのかもしれないが、お前とセスのことは忘れない。いつかまたカルナに来た時には騎士団の詰所にも顔を出してみてくれ」
そう言いながらガヴェインは私に手を差し出した。
「ありがとうございます。僕も忘れません。ガヴェイン大尉、また会いましょう」
これで最後かもしれないので、班長ではなくちゃんと名前を呼んで、ガヴェインの手を握り返した。
ガヴェインは優しく微笑んで、またなと返して部屋を出て行った。
「班長に会った?」
「ああ。ヴィクトールの所に戻ると言っていたね。最後に少し話をしたよ」
戻ってきたセスに聞くと、頷いてそう答えた。
「3班のみんなもそうだけど、もう会えないかもしれないと考えると途端に寂しくなるね」
「…そうだね」
私の言葉に少し間を置いてセスは同意した。
相変わらず抑揚のない言い方で、本当にそう思っているのか怪しい。
セスにしてみたら人との別れなんて、感情を揺り動かされることではないのかもしれない。
「シエル、この後の話をしてもいいかな」
「うん?」
唐突にセスがそう切り出した。
この後、がいつのことを指しているのかよくわからない。
「ヴェデュールに行くための方法なんだけど、ネリスからルーマスに渡って北上するか、アルセノの最北まで北上してからルーマスに渡るかの2種類がある。どちらで行きたい?」
予想以上に後のことの話だった。
ルーマスに渡る方法は以前にも父から聞いたことがあったが、そんな話を今されるとは思っていなかったので、突然それを聞かれてもどちらがいいのかさっぱりわからない。
「ヴェデュールは、ルーマスの北にあるの?」
「そう。ルーマスの最北に位置する国だ。そしてエスタはヴェデュールでも最北に位置する街だね」
「そうなんだ。どっちの方法でもセス的にはいいの?」
「俺はどちらでも構わないよ。距離的にもどちらを選んでもそう変わらないから、シエルの好きな方でいい」
なるほど。といってもその二つの違いがまったくわからないので判断のしようもない。単純に好みで決めよう。
「じゃあアルセノ経由で」
シスタスからカルナとベリシアを北上しているので、このままレガンテ大陸を縦断してルーマスに渡ろう。そしてルーマス大陸を南下していけば世界一周的に旅をすることができそうだ。
「わかった。じゃあそれで行こう」
「そういえばさ、ちょっと聞きたいんだけど、アルディナにはどうやって行くの?」
ちょうど経路的な話になったので聞いてみる。アルディナから来たセスなら正当な行き方を知っているはずだ。
「ミトスからアルディナに行く方法はいくつかある。一つ目はこちら側、向こう側共に安全な場所にあるリンクを通る方法、二つ目はどちらか片方、もしくは両方が安全ではないリンクを通る方法。このリンクには種類があって、互いに同じ場所へと行き来できる相互リンクと、同じ場所へ行けるけど出た場所から帰っては来れない一方通行の単独リンクがある」
どちらか片方、もしくは両方が安全ではないリンクというのは、デッドラインにあったルブラへのワープリンクと同等のものだろう。
確かにそんなところからアルディナに行こうとは思えない。
「三つ目としてアルディナのどこに出るかわからないランダムリンクを通る方法もあるんだけど、これはやめておいた方がいい」
「確かにランダムは危険そうだね」
出た先がモンスターだらけ、ということだってあるのだし、そんな賭けに出てまでアルディナに行こうとは思わない。
「安全なリンクはどこにあるの?」
「ミトス、アルディナ間を結ぶ安全なリンクは二つで、一つはアルセノにある相互リンク、もう一つはルーマスにあるヘレンシスカという国にある単独リンクだ。どちらのリンクも国が管理していて、渡る際には通行料を取られる」
「そうなんだ…」
どうせこれからアルセノにも行くのだから、ちょっとだけアルディナを覗きに行ってみたいような気もする。それを提案したらセスは反対するだろうか。
「ちなみにルブラとの安全なリンクもアルセノにあるよ。単独だけどね」
「へぇ…アルセノってすごい国なんだね」
「そうだね」
安全なリンクを二つ所有しているともなれば、通行料は大きな利益だろうな。いくら取ってるのかわからないけど。
「それともう一つ、転移石を使ってアルディナに行くという方法がある」
そう言いながらセスはこの部屋に置いてあった自分のカバンから何かを取り出して、私の側へと歩いてきた。
「これが、転移石だ」
そう言ってセスから手渡されたものは半透明の綺麗な青い石だった。5cm×10cmくらいの細長い多角形の石で、中央に魔法陣みたいな模様が刻み込まれている。
「一族が管理する転移陣に繋がるもので、一度使うと壊れる。これを使えばここからでもすぐアルディナに行けるけど、転移石を使っての転移は生死に係わるから、正直この方法では戻りたくない」
「生死に係わる?」
どういうことだろう。失敗したら死ぬとかそういうことだろうか。
「石の大きさにもよるんだけど、神力の消耗が激しすぎるんだ。俺の場合、この大きさの転移石でもリミッターは確実に超える。そしてリミッターを超えたことによる身体的ダメージで生きるか死ぬかの瀬戸際になる。これがもっと小さい転移石なら転移もできずにその場で死ぬ」
「そんなに消費するの…」
転移してもその先で生きるか死ぬかになってしまうのなら、使う意味なんてないような。
「俺の場合は、ね。君なら余裕で行けるよ。まぁ、この石で飛んだ先は一族が管理する場所だから、君が1人で行ったら別の意味で危ないけど」
「なるほど」
確かに見ず知らずのエルフがいきなりリュシュナ族の管理する場所に現れたら敵視されるかもしれない。
「これ、一回で壊れるということは、封力の首輪の触媒とは種類が違うってこと?」
「そうだね。これはとあるモンスターの核となっているもので、膨大な神力を蓄えている結晶だ。これに触媒としての役割を持たせ、決められた場所へと転移するように陣を刻むことで、足りない分の神力なり魔力なりを補えば誰でもそこへ転移できるようになる」
「へぇ…?」
またもや言っていることが難しすぎてよくわからない。
「膨大な神力を蓄えた石なのに、魔力でも発動できるの?」
「できるよ。要は、転移するために必要な力量を満たせばいい。神力も魔力も本質的には同じものだからね」
「なるほど…」
そういえば父もそんなようなことを言っていた。
神力と魔力は本質が同じで性質が異なるために、どちらでも発動できるものとできないものがあると。この転移石はどちらでも発動できるもの、ということか。
「転移する、ということだけを考えるなら、転移術の触媒さえあれば術は成り立つ。ただ、適性がない人間が転移術を使う場合には膨大な力が必要になるから、結晶に蓄えられた力を代償とすることで自分の負担を減らすんだ」
「それを代償としてもセスは生死に係わるの?」
「界を跨ぐからね。でも君なら転移術の触媒さえあれば結晶を使わなくてもアルディナまで転移できるよ」
「え、そうなの?」
膨大な力、って言うから人間の手に負えないくらいのものかと思ってたけどそうでもないのか。
「この結晶には君の神力量の半分くらいの力がこもっている。それに俺の全神力を合わせた量が1回の転移に必要な消費量だ。普通の地族には無理だけど、君なら余裕でいける」
確か数値で表すと私の神力量が300で、セスは40だっけ。この石が私の半分くらいということは150相当。それにセスの全量を加えると転移に必要な消費量は190。一般的なエルフの神力総量は160くらいだから私じゃなければ無理ということか。
「ただ世に出回っている触媒は結晶に役割を持たせているものがほとんどだから、触媒のみは手に入らないかもしれないけどね」
「なるほどなぁ…。この世界はまだまだ僕が知らないことがたくさんあるんだな…」
「まぁ、ゆっくり知っていけばいいさ。君には時間がたっぷりあるんだから」
そう言ってセスはどこか寂しそうに笑った。
とはいっても病室であることには変わりがないので、あまり見栄え的な変化はない。
部屋の中央にベッドがあり、入口がある壁際に棚があって薬品が置かれていて、向こうの部屋と作りは同じだった。
「すごい…」
瞬間移動というものを身をもって体験して思わず声が漏れる。
「便利でしょ?まぁ、帰還点は一度使うと消えるし、ミトスとルブラみたいに界も跨げないんだけどね」
感心している私にリィンが肩をすくめて言った。
「むしろ、界を跨いだ移動ができる人もいるの?」
「種族によってはね。まぁ、あんまりいないけど。とりあえずベッドに横になっててよ。セス呼んでくるから」
そう言いながら私の返事も待たずにリィンは部屋を出て行ってしまった。
そもそも、界を跨ぐ正しい方法というものを私はよく知らない。
今私が知っているのはデッドラインのワープリンクでルブラに行ける、ということのみだ。それ以外にどうやってルブラやアルディナに行けるのだろう。
「大丈夫か?手伝おう」
リィンが出て行ってからも動かない私にヒューイが手を差し出して言う。
「ありがとうございます」
そういう訳で佇んでいた訳ではないが、差し出された手を無下にするのも悪いので、私は素直にその手を取った。
「ヒューイさんは何属性ですか?」
「…属性?俺は神属性だが、何故それを聞く?」
あまりにも脈絡のない質問にヒューイが質問を返す。
そりゃいきなりそんなことを聞けば不思議に思うのも当然だろう。
「ヒューイさんはミトス以外の界に行ったことがあるのかなぁって思って」
「ああ…なるほど。俺はアルディナには行ったことがない。学校を卒業してからずっと騎士団に属しているからな。ベリシアを離れることすら滅多にないくらいだ」
私の言葉に納得したようにヒューイは頷いて答えてくれた。
「そうですよね。ベリシアの騎士団ですもんね」
「おそらく俺は騎士団の人間として一生を終えるのだろう。だが冒険者として、世界を旅するような生き方にも正直憧れる」
「そうなんですか…」
何だか意外な言葉に思えた。ヒューイの性格的に、ニコラみたいに安定性を求めて騎士団に属しているのかと思っていたけどそうではないのだろうか。
「俺には騎士団に属するという選択肢しか与えられなかった。全てを捨てて家を出る、という選択肢もあったかもしれないが、17歳の俺にはそんな勇気もなかった。まぁ、これはこれで悪くはないしな」
「なるほど…」
それは家柄的なことだろうか。正直、軽率に口を挟んでいいことではないので何を言えばいいのかわからない。元はと言えば自分が聞いたことなのに。
「君はこれからどうするんだ?冒険者として世界を旅するのか?」
ヒューイが自分の話を切り上げて私に聞いた。
「そうですね。そのつもりです」
「セスと共に行くのか?」
「はい、当面は」
何故そんなことを聞かれたのかわからないが、エスタに行く目的を話す訳にもいかないので曖昧に頷いた。
「そうか…」
と、ヒューイが呟いた瞬間にノックが聞こえ、セスとリィンが入ってきた。
すぐ近くにいたようだ。
「おかえり」
私を見てセスが言った。
「ただいま」
おかえり、という表現が正しいのかはわからないが、私も一応ただいまを返す。
「食事は少し食べられたかな?」
セスは私がずっと持っていた点滴の瓶をホルダーにかけると、針がずれていないか確かめながら私に聞いた。
「うん、食べたよ。今のところまだ吐いてない」
「そう、よかった」
この瞬間移動の浮遊感によって今まさにちょっと吐きそうだけど。
「では俺はこれで失礼する。シエル、また来る。ゆっくり休んでくれ」
「私もまた後で来るね」
「はい、ありがとうございます」
そう言ってヒューイとリィンが部屋から出て行き、セスと2人取り残された。
セスは棚の方で何かの作業をしているようで、特に話しかけても来ない。沈黙が若干気まずい。でもそう思っているのはきっと私だけなのだろう。
というかそもそも、セスが私の治療を行うことは契約として入っていないことだ。本来であれば騎士団の医術師や治癒術師がやるべきことのはずなのに、無償でそれをやってくれているのだろうか。
「ねぇ、セス」
「んー?」
呼んで返ってきた返事は完全に上の空だ。こちらを振り向くこともなく、何かを書いている。忙しいだろうか。
「いつ、帰れるかな」
帰るといっても宿はいったん出て来たのでまた取り直しではあるのだけれども、とりあえず早く病人を脱したい。
デッドライン討伐の時といい、短期間に入院してばっかりで心が滅入りそうだ。
「君に薬が必要なくなったら」
こちらを振り向いてセスが言う。
「……」
予想とは違ったその一言に閉口する。
それはきっと食事面だけではない。眠るための薬が必要なくなったら、ということも含まれている。
眠りたい。夢も見ずに朝まで。
昼食は、朝と同じくらいは食べることができた。
若干吐き気はしたが、我慢できる範囲だ。
セスは、いたりいなかったりした。いたところでそこまでお互いに多弁ではないのでずっと話している訳でもないし、休憩や食事も必要だろうから別にいいのだけど、暇すぎる。かと言って眠るのも怖い。そもそも動いていないのでそんなに眠気もないし。
ちなみにセスは今いない。
私が食べたところを見届けた後、自分も食べてくると言ってどこかへと行った。
「シエル、今いいか?」
ノックと共にガヴェインの声がした。
ガヴェイン、いつの間にかこっちに来ていたのか。
「どうぞ」
ガヴェインは昨日目が覚めた時にも来てくれたが、ヒューイやリィンがいる時で、立場的に個別に話をすることもなく立ち去ってしまい、それから顔を見せることはなかった。
「昨日はろくに話もできずにすまなかったな。調子はどうだ」
「少しずつ、食べられるようになってきました」
「そうか、よかった」
そう言いながらガヴェインはベッドの横にある椅子に腰かけた。
ということは、少しは時間があるということだろうか。
「班長、僕が眠っている間に何度か来てくれたみたいで、すみませんでした」
「いや、目が覚めてよかった。ピクリとも動かなかったからみんな本当に心配していた」
「すみません…」
「お前のせいじゃないだろう。むしろお前は大変な目にあったんだ…そうなる可能性があることは分かっていたとはいえ、実際そうなったお前を見た時は俺も…胸が痛かった」
苦しげに顔を歪めてガヴェインが言った。
目を背けたくなるほどの状態だった、それはあの時の私を見た人が共通して感じたことだったらしい。
「お前をあそこに置いて立ち去った後に、1人であんなに苦しんだんだと思うと…」
そこでガヴェインは言葉を切った。
顔を伏せて、膝の上で強く手を握っている。
「すみません、班長には嫌な役回りをお願いしてしまいました。でも僕は、あの時班長が側にいてくれてとても嬉しかったです。ありがとうございました」
「…以前から思っていたが、お前は年齢の割に他人を気遣いすぎる。もっと、弱音を吐いたっていいんだぞ…」
「班長…」
そうか、15歳にしては不自然な発言だったか。確かに今まであまり年齢を意識して発言してこなかったかもしれない。気を付けないと。
「弱音なら、たくさん吐きました。たくさん泣いて、逃げて、暴れて、みんなにたくさん迷惑をかけてしまいました。それはもう、恥ずかしいくらいに」
小さい子供みたいに泣きわめいて暴れて迷惑をかけた。大丈夫だ、とみんなは言ってくれたけど。
「そうか、お前が弱音を吐ける場所があるならばよかった。辛かったらたくさん泣いていいんだ。みんなお前の味方だからな」
そう言ってガヴェインはいつぞやと同じように私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「はい、ありがとうございます」
優しい。その優しさに甘えてしまいそうになる。いや、もう十分甘えているか。
「俺はこれでヴィクトール中佐の元へと戻ることになる。ヒューイ中佐から与えられた役割は、終わったからな」
「そうなんですか…ありがとうございました」
元々取引時にバルミンドを見張るためにガヴェインは呼ばれていたんだもんな。その後にバルミンドを捕えにきた男を捕え返して、第2待機施設で見張っていたりと色々と忙しそうではあったけどついに戻るのか。
「もう会うことはないのかもしれないが、お前とセスのことは忘れない。いつかまたカルナに来た時には騎士団の詰所にも顔を出してみてくれ」
そう言いながらガヴェインは私に手を差し出した。
「ありがとうございます。僕も忘れません。ガヴェイン大尉、また会いましょう」
これで最後かもしれないので、班長ではなくちゃんと名前を呼んで、ガヴェインの手を握り返した。
ガヴェインは優しく微笑んで、またなと返して部屋を出て行った。
「班長に会った?」
「ああ。ヴィクトールの所に戻ると言っていたね。最後に少し話をしたよ」
戻ってきたセスに聞くと、頷いてそう答えた。
「3班のみんなもそうだけど、もう会えないかもしれないと考えると途端に寂しくなるね」
「…そうだね」
私の言葉に少し間を置いてセスは同意した。
相変わらず抑揚のない言い方で、本当にそう思っているのか怪しい。
セスにしてみたら人との別れなんて、感情を揺り動かされることではないのかもしれない。
「シエル、この後の話をしてもいいかな」
「うん?」
唐突にセスがそう切り出した。
この後、がいつのことを指しているのかよくわからない。
「ヴェデュールに行くための方法なんだけど、ネリスからルーマスに渡って北上するか、アルセノの最北まで北上してからルーマスに渡るかの2種類がある。どちらで行きたい?」
予想以上に後のことの話だった。
ルーマスに渡る方法は以前にも父から聞いたことがあったが、そんな話を今されるとは思っていなかったので、突然それを聞かれてもどちらがいいのかさっぱりわからない。
「ヴェデュールは、ルーマスの北にあるの?」
「そう。ルーマスの最北に位置する国だ。そしてエスタはヴェデュールでも最北に位置する街だね」
「そうなんだ。どっちの方法でもセス的にはいいの?」
「俺はどちらでも構わないよ。距離的にもどちらを選んでもそう変わらないから、シエルの好きな方でいい」
なるほど。といってもその二つの違いがまったくわからないので判断のしようもない。単純に好みで決めよう。
「じゃあアルセノ経由で」
シスタスからカルナとベリシアを北上しているので、このままレガンテ大陸を縦断してルーマスに渡ろう。そしてルーマス大陸を南下していけば世界一周的に旅をすることができそうだ。
「わかった。じゃあそれで行こう」
「そういえばさ、ちょっと聞きたいんだけど、アルディナにはどうやって行くの?」
ちょうど経路的な話になったので聞いてみる。アルディナから来たセスなら正当な行き方を知っているはずだ。
「ミトスからアルディナに行く方法はいくつかある。一つ目はこちら側、向こう側共に安全な場所にあるリンクを通る方法、二つ目はどちらか片方、もしくは両方が安全ではないリンクを通る方法。このリンクには種類があって、互いに同じ場所へと行き来できる相互リンクと、同じ場所へ行けるけど出た場所から帰っては来れない一方通行の単独リンクがある」
どちらか片方、もしくは両方が安全ではないリンクというのは、デッドラインにあったルブラへのワープリンクと同等のものだろう。
確かにそんなところからアルディナに行こうとは思えない。
「三つ目としてアルディナのどこに出るかわからないランダムリンクを通る方法もあるんだけど、これはやめておいた方がいい」
「確かにランダムは危険そうだね」
出た先がモンスターだらけ、ということだってあるのだし、そんな賭けに出てまでアルディナに行こうとは思わない。
「安全なリンクはどこにあるの?」
「ミトス、アルディナ間を結ぶ安全なリンクは二つで、一つはアルセノにある相互リンク、もう一つはルーマスにあるヘレンシスカという国にある単独リンクだ。どちらのリンクも国が管理していて、渡る際には通行料を取られる」
「そうなんだ…」
どうせこれからアルセノにも行くのだから、ちょっとだけアルディナを覗きに行ってみたいような気もする。それを提案したらセスは反対するだろうか。
「ちなみにルブラとの安全なリンクもアルセノにあるよ。単独だけどね」
「へぇ…アルセノってすごい国なんだね」
「そうだね」
安全なリンクを二つ所有しているともなれば、通行料は大きな利益だろうな。いくら取ってるのかわからないけど。
「それともう一つ、転移石を使ってアルディナに行くという方法がある」
そう言いながらセスはこの部屋に置いてあった自分のカバンから何かを取り出して、私の側へと歩いてきた。
「これが、転移石だ」
そう言ってセスから手渡されたものは半透明の綺麗な青い石だった。5cm×10cmくらいの細長い多角形の石で、中央に魔法陣みたいな模様が刻み込まれている。
「一族が管理する転移陣に繋がるもので、一度使うと壊れる。これを使えばここからでもすぐアルディナに行けるけど、転移石を使っての転移は生死に係わるから、正直この方法では戻りたくない」
「生死に係わる?」
どういうことだろう。失敗したら死ぬとかそういうことだろうか。
「石の大きさにもよるんだけど、神力の消耗が激しすぎるんだ。俺の場合、この大きさの転移石でもリミッターは確実に超える。そしてリミッターを超えたことによる身体的ダメージで生きるか死ぬかの瀬戸際になる。これがもっと小さい転移石なら転移もできずにその場で死ぬ」
「そんなに消費するの…」
転移してもその先で生きるか死ぬかになってしまうのなら、使う意味なんてないような。
「俺の場合は、ね。君なら余裕で行けるよ。まぁ、この石で飛んだ先は一族が管理する場所だから、君が1人で行ったら別の意味で危ないけど」
「なるほど」
確かに見ず知らずのエルフがいきなりリュシュナ族の管理する場所に現れたら敵視されるかもしれない。
「これ、一回で壊れるということは、封力の首輪の触媒とは種類が違うってこと?」
「そうだね。これはとあるモンスターの核となっているもので、膨大な神力を蓄えている結晶だ。これに触媒としての役割を持たせ、決められた場所へと転移するように陣を刻むことで、足りない分の神力なり魔力なりを補えば誰でもそこへ転移できるようになる」
「へぇ…?」
またもや言っていることが難しすぎてよくわからない。
「膨大な神力を蓄えた石なのに、魔力でも発動できるの?」
「できるよ。要は、転移するために必要な力量を満たせばいい。神力も魔力も本質的には同じものだからね」
「なるほど…」
そういえば父もそんなようなことを言っていた。
神力と魔力は本質が同じで性質が異なるために、どちらでも発動できるものとできないものがあると。この転移石はどちらでも発動できるもの、ということか。
「転移する、ということだけを考えるなら、転移術の触媒さえあれば術は成り立つ。ただ、適性がない人間が転移術を使う場合には膨大な力が必要になるから、結晶に蓄えられた力を代償とすることで自分の負担を減らすんだ」
「それを代償としてもセスは生死に係わるの?」
「界を跨ぐからね。でも君なら転移術の触媒さえあれば結晶を使わなくてもアルディナまで転移できるよ」
「え、そうなの?」
膨大な力、って言うから人間の手に負えないくらいのものかと思ってたけどそうでもないのか。
「この結晶には君の神力量の半分くらいの力がこもっている。それに俺の全神力を合わせた量が1回の転移に必要な消費量だ。普通の地族には無理だけど、君なら余裕でいける」
確か数値で表すと私の神力量が300で、セスは40だっけ。この石が私の半分くらいということは150相当。それにセスの全量を加えると転移に必要な消費量は190。一般的なエルフの神力総量は160くらいだから私じゃなければ無理ということか。
「ただ世に出回っている触媒は結晶に役割を持たせているものがほとんどだから、触媒のみは手に入らないかもしれないけどね」
「なるほどなぁ…。この世界はまだまだ僕が知らないことがたくさんあるんだな…」
「まぁ、ゆっくり知っていけばいいさ。君には時間がたっぷりあるんだから」
そう言ってセスはどこか寂しそうに笑った。
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