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四章
第58話 絶望
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不意に影が落ちた。
それを疑問に思う前に、何かの動物と思わしき足が視界に入る。
「……?」
何とか視線を上げると、見知った人物が白い獣に跨がって私を見下ろしていた。
「…ゲオルグ…さん…?」
なぜ、ここにゲオルグが。もしかして私たちを心配して後を追ってきてくれたのだろうか。そんな期待を込めて名前を呼んだ。
「…屍を拾いにきた」
至極感情の籠っていない声色でゲオルグが静かに言う。
告げられた内容と、私を見下ろす冷たい表情が希望を打ち砕いた。
「…貴方も、か…」
上げて落とされるとはこのことだ。もう魔族は全員信用するなということだろうか。
「天族は死体になっても餌として格別だからな。残念ながらここにはいないようだが」
自嘲するような言い方だった。
ゲオルグはセスのためにとカデム用の椅子まで作っておきながら、私たちが森で死ぬと予想してフェリシアと同じように後を追ってきたというのか。
意味が分からない。初めからそういう目で見ていたのなら、あの時に殺せばよかったのに。
「…ゲオルグさ…がはっ…!」
その理由を聞こうと思ったら、突然何かが喉に上がってきて咳き込んだ。
口から吐き出された赤いものが地面を濡らしていく。
もうあまり時間は残されていないようだ。
「あれだけセスに自分を犠牲にするなと言っていたお前が、まさかそれをやるとはな」
白い獣から降りてきてゲオルグが言う。
全てを見ていたかのような口ぶりだ。実際、本当に見ていたのかもしれない。
「…そう、ですね…。そのつもりは、ありませんでしたが…結果として、そうなってしまいました…。だから…どうせ、死ぬのなら…最後まで守りきりたい…!」
痛む体を何とか動かして、私はゲオルグの足に縋りついた。
「お願いします…。セスを、見逃してください…」
もうこれくらいしか自分にできることはなかった。何をどうやったって今の私ではゲオルグに敵わない。
縋って懇願する私を、ゲオルグは冷めた目で見下ろしている。
「…ごふっ…かはっ…」
夥しい量の血が口の中に溢れた。
ここで諦めるとゲオルグが言ってくれたとしても、本当に帰ってくれるのか確かめることすらできない。それでも諦めるという、その一言が欲しかった。
「安心しろ、ミトスまでセスを追いに行くつもりはない。ここは単独リンクだ。ミトスに行っても帰って来れないからな」
ゲオルグにはフェリシアみたいな転移能力はないということか。
でもよかった。それならセスだけは助かる。
「…よかった…」
「よかった、か。何がよかったと言うのだ。お前の命を犠牲にして生き延びたセスは、一生それを背負っていかねばならないんだぞ」
ゲオルグが憐れむような表情をして私を見下ろしている。以前に同じような経験をしたのだろうか。
もしそうなら、交渉の余地があるかもしれない。
「…なら…助けて、ください…。セスが、背負わなくてもいいように…」
「…シエル、エルフのお前だって魔族からしてみれば立派な餌になることを忘れてないか?天族を手に入れ損ねたんだ。せめてお前だけでも貰っていく」
そう言いながらゲオルグは私の服を捲り、深く抉られた脇腹に右手を押し付けた。
「…ぐっ…ああぁ…っ!」
痛みが爆発する。体を逃がそうとしたが、思うように動かなかった。
「悪いな、せっかく生きてるんなら生きたまま連れて帰りたいもんでな」
「うわああああああぁぁぁっ!!」
ジュウウウゥゥという肉が焼けるような音と共に先ほどとは比べ物にならない痛みが襲ってきた。
どういうからくりか分からないが、ゲオルグは私の傷口を焼いて止血している。
それによってもたらされる激痛に声の限り叫び、私の意識はそこでプツリと途切れた。
ふと気づいたら知らない場所にいた。
こういう時に来るようないつもの森ではない。2mくらいの生垣が迷路のように犇《ひし》めいている場所だった。
いよいよ本当に死んでしまったのか。
まぁ、私をどこかへ連れて行こうとしていたということは、きっとあの村に住む魔族に私を喰わせるつもりなんだろう。それならば死んだ方がマシだ。死んでから喰われる分には痛みも感じない。
さて、この迷路を抜けた先があの世なのだろうか。こんな面倒な真似事をしないでさっさと連れて行ってほしいのだが。
とりあえず左手の法則を使って迷路を進んでいく。
一体この生垣は誰が手入れしているのだろう。ずいぶんと綺麗に整えられている。魂が神の元に還るというのなら、神の御使い的な何かがやっているのだろうか。
「……」
もう結構な時間を歩いたと思うのだが、ちゃんとゴールに向かっているのかどうかわからない。
死ぬのも楽じゃないんだな。一体何の意味があって神はこんなことをさせているのだろう。迷路を抜けるタイムで次の転生先を決めているとでも言うのか?
案外、本当にそうな気がしてきた。いちいち生前の行いがどうだったかなんていくら神と言えども確認するのは面倒だろうし。
「……っ!?うっ…ぐ…っ」
迷路を歩いていたら突然視界が切り替わり、同時に脇腹が激しく痛んで悶えたが、実際にはあまり体は動かなかった。
どうやら、ゲオルグが乗ってきた白い獣に乗せられて移動しているようだ。獣の背に体を預けるように、ぐったりと横たえられていた。森はもう抜けたらしく、あの草原を再び走っている。かなり長いこと意識を失っていたらしい。
また死ねなかった。今回ばかりは本当に死んでしまいたかった。
「起きたか」
私が獣から落ちないように支えながら、ゲオルグが冷たく見下ろして言った。
「…ゲオルグ、さん…どうして…最初に…僕たちを、殺さなかったんですか…」
「どうして、か…」
私の問いに自嘲気味に笑いながらゲオルグは白い獣を止まらせ、自分だけ降りた。
「飲め、水だ」
そして問いには答えないまま荷物の中から水袋を取り出し、私に差し出してそう言った。
確かに喉は乾いているが、敵から差し出されたものをそう簡単に信用して口にする気にはならない。
生かして連れて行きたいと言っていたから毒殺されることはないのだろうが、痺れ薬の1つでも入っているかもしれない。これ以上の苦痛を味わうのはごめんだ。
「いりません…水なら、自分で出せるので…」
「悪いがお前の神術は封じてある。そう警戒せずとも毒など入れていない。飲め」
「…封じてある…?」
首に手をやってみるが封力の首輪は着けられていない。
封じてあるとはどういうことだろう。
「ヴォルデマ族の呪術を使って封じた。俺が解くか、俺が死ぬかしないと解けない」
「……」
なるほど、封力の首輪にも使われているという呪術か。
まぁ、神術が使えたところでゲオルグと戦って勝てるとも思えないので封じることにあまり意味は感じられないが、ゲオルグにしてみたら私が反旗を翻す可能性を捨てきれないのだろう。
しょうがないのでゲオルグが差し出した水袋を受け取って中身を口に流し込んだ。
自分で作り出した純粋な水の味に慣れているのであまりおいしくはない。
「どうして最初に殺さなかったか、という問いの答えだが」
白い獣にも水を与えながらゲオルグが口を開いた。
「あの時、セスは最後まで隙を一切見せることなくずっと俺を警戒していた。俺がお前たちに何かをしようとすれば、捨て身で向かってきただろう。全てを投げ打つ覚悟を持った人間は強い。だから森で死ぬか弱るのを狙ったんだ」
「…なるほど…」
あの時セスがあからさまにゲオルグを避けていたのはそういうことだったのか。最初からゲオルグの思惑を見抜いていたのだろうか。
ならばセスの言う通り、ゲオルグに声などかけずに回り道をしていれば2人でミトスに帰れただろうか。
しかしカデムの椅子がなければセスがライムに乗ることは難しかったはずだ。それはそれで無理だったかもしれない。
「さぁ、走るぞ。落ちるなよ」
ゲオルグが再び獣に乗り、私を獣の背に押し付け走らせた。
私は抵抗する力もないままただそれに従い、この白い獣はカデムよりも早く走っているのに振動が全然来ないな、猫科の動物っぽいし肉球で衝撃を吸収しているのだろうか、とどうでもいいことをぼんやりと考えていた。
そういえば腕に着けていた触媒も、ローブも身に付けていない。きっとゲオルグが取ったのだろうが、それすらどうでもよかった。
あれから、どれくらい時間が経過したのだろうか。
ルブラは朝も昼も薄暗く、周りの景色から時間を判別することは難しい。
ただ森は抜けているのでおそらく1日以上は経過しているのだろう。それだけ時間が経過すればもう、セスは私が戻っては来ないと悟ったはずだ。他の魔族があのリンクからミトスに行く可能性もあるのだから、なるべく早く安全な場所に移動してほしい。無事に逃げ延びてくれなければ報われない。
どんな表情でセスは私を諦めるのだろうか。ふと、そんなことが気になった。
夜が来る前にあの村に着いた。
木でできた小屋が静かに立ち並んでいる集落の外には、相変わらず誰の姿も見受けられない。
ゲオルグはその内の1つの小屋の近くに白い獣を繋ぎ、私を担いでその建物の中へと入った。
入って最初の部屋はキッチン、テーブル、椅子が置かれていて、所謂ダイニングキッチンだった。ただその部屋は6畳くらいのこじんまりしたもので、あまり使われているような形跡はない。
そこを通過し、奥の部屋へと入るとそこは寝室だった。奥のベッドに誰かが寝ている。
「…ぐぁっ…!」
その人物を確認する前にゲオルグが乱暴に私を床へと下ろした。
体を打ち付けた痛みと、傷の痛みがダブルで襲ってきて思わず声を上げて悶えてしまった。
「餌だ。予定が狂って天族は手に入れられなかったが、生きたエルフを連れてきた」
ゲオルグが静かに言う。
「…本当に連れてきたのか…」
ベッドに寝ていた人物は上体を起こして静かに私を見下ろしながらそう言った。
真っ白な長いストレートの髪に深い緑の瞳をした綺麗な顔の男性だった。見た目だけを取って見れば、ヒューマとそう変わりはない。ゲオルグに餌として連れて行かれた時点で物理的に体を食べられるのだろうと思っていたのだが、この男はとてもじゃないが人肉を食すような人種には見えない。食べるの意味合いが違うのだろうか。
「…エルフ…このルブラでは辛いだろうに…」
憐れむように男が言う。
その表情も同様に憐れみに満ちていた。
「直に神力が尽きて死ぬだろうが、それまで廻《まわ》し餌《え》にできるだろう。いい加減、喰わぬとは言わせんぞ」
男の言葉を無視してゲオルグが苛立ったように言う。
そして私の両手首を後ろ手にして鉄枷を嵌め、鎖をベッドの足に括り付けた。
「神術は封じてある。明日の朝また来るからそれまでには喰えよ。いいな」
そう言い残してゲオルグは部屋から出て行った。
状況がいまいち把握できないがどっちにしろ私はここで死ぬのだろうし、考えるだけ無駄だ。
喰うというのであればできればその前に殺してほしい。それだけでも頼んでみよう。
「…勝手なことを…」
男がそう言いながらベッドを下り、私の側に屈みこんだ。
何故か少し息苦しそうで、顔色があまり良くない。まだ夜でもないのにベッドで寝ていたし、病人なのだろうか。
「神力が得られず苦しいだろう…。それに、ずいぶんと深手を負っているようだ」
「…貴方…は…」
予想外に優しい言葉をかけられ正直困惑する。
ゲオルグはこの男の餌とするためにセスの屍を拾いに来て、それが叶わなかったから私を連れ去った。となれば、この男は決して味方ではないはずだ。
「話は後にして、とりあえず傷を癒そう」
男が枕元に置いてあった短剣で自分の腕を切りつけ、傷口を私の口へと押し当てた。
「……!?」
「飲みなさい」
口の中に流れ込んだ男の血は、なぜかとても甘く感じた。
鉄の味ではなく、まるでジュースのように甘くて美味しい。一体どうなっているのだろう。
「…ん…っ!」
とは言え、血を飲むなんてさすがに抵抗がある。
拒もうと顔を背けようとしたが、しかし男はそれを許さなかった。
「飲みなさい。私の血には傷を癒す力がある。その傷では辛いだろう」
私の顎を強く掴み無理やり口に血を流しこまれる。
美味しい。他人の血を口にしてこんな風に感じる自分に嫌悪感を抱く。が、正直に言えばもっと欲しい。もっともっと、味わいたい。
どうせ男が強く押さえつけていて口を離すことは叶わないのだ。私は素直にその血を体に流し込んだ。
全身が温かい。まるで、治癒術をかけられたかのようにジワジワと傷が癒えていくのを感じる。あれだけの深手を負っていたのにも関わらず、男がやっと腕を離した時には傷の1つも見当たらず、痛みもなくなっていた。
すごい。魔族にもこんな風に傷を癒す力を持つ種族がいるとは。
さすがに神力が減っていることによる体力の低下は回復しないようで、相変わらず息は苦しく体がだるいが、傷が癒え痛みがなくなっただけでもかなり楽だ。
逆に男は私に血を与えたことによって、さらに具合が悪くなったように見える。苦しそうに蹲り、呼吸を整えている。
「どうして…僕の傷を治したんですか?僕は、餌としてここに連れてこられたのではないんですか?」
どうせ死ぬのだから何がどうなろうが何でもいいと先ほどまでは思っていたが、ここまで来たらさすがにそうは言っていられない。
私の傷を癒したということは、この男に今すぐ私をどうこうするつもりはないということだ。状況を把握しておかねば。
「…君がここに来ることになったのは…私の意思ではないからだ…」
そう言いながら男はゆっくりと立ち上がってベッドへ腰かけた。自分でつけた腕の傷に口をつけ血を吸うと、その傷はたちまちに癒えた。自身の血で自身を癒すことも可能なようだ。
「…どういう、ことですか?」
「順を追って話そうか。私の名はヘルムート。君は?」
「…シエルです」
ヘルムートと名乗った男からは敵意を全く感じないので、私は素直に答えた。
「シエル、君はクビト族を知っているか?」
聞いたことはない。血を与えて傷を癒すことができる種族がいたことも知らなかったくらいだ。
「…知りません。すみません…」
「いや、謝る必要はない。クビト族は先ほどのように、自身の血を与えることで高い治癒効果をもたらすことができる種族で、人肉を餌とする」
人を食べるのに人を癒す力を持っているなんて、なんだか矛盾している。
しかしやはりこの人は人間を物理的に食す人種だったのか。人は見かけによらないな。
「人肉を餌とする魔族にとって至高の餌となるのは天族だ。次に神属性の地族。魔属性の地族や魔族では大した糧とはならないが、天族や神属性の地族を餌として得ることは難しい。だからゲオルグは私のために天族を追い、それが手に入らなかったから君を連れ返ってきた」
「…僕は…久しぶりの神属性の餌、というわけですね…」
きっとしばらく神属性の人間を食べていないからヘルムートは具合が悪そうなのだろう。だからゲオルグはヘルムートにとって至高の餌である天族を手に入れたかったのだ。
2人が一体どういう関係なのかはわからないが、ずいぶん熱い友情物語だ。
「私は人間を食べるつもりはない。このままではそう遠くない内に命が尽きるだろうが、それで構わない…。もう、死にたいのだ。ゲオルグにもそれは再三言っているのだが、どうしても許せないようでね。こんな風に余計な世話を焼く」
「どう、して…?」
告げられた予想外の言葉に驚きを隠せない。
ゲオルグは弱っているヘルムートのために人間を餌として連れて来たというのに、当の本人がそれを拒否している。
ずいぶんと行き違った話だし、それで連れて来られた私はとばっちりを受けたようなものだ。
まぁ、もしヘルムートの意思をゲオルグが尊重したとしてもフェリシアとの戦いで致命傷を負った私がミトスに帰れたわけではないが、あんな苦痛を味わうのならあそこで死にたかった。
「私は愛する者を失ったのだ。もう生きている意味などないんだよ」
ヘルムートは静かにそう言って、目を伏せた。
それを疑問に思う前に、何かの動物と思わしき足が視界に入る。
「……?」
何とか視線を上げると、見知った人物が白い獣に跨がって私を見下ろしていた。
「…ゲオルグ…さん…?」
なぜ、ここにゲオルグが。もしかして私たちを心配して後を追ってきてくれたのだろうか。そんな期待を込めて名前を呼んだ。
「…屍を拾いにきた」
至極感情の籠っていない声色でゲオルグが静かに言う。
告げられた内容と、私を見下ろす冷たい表情が希望を打ち砕いた。
「…貴方も、か…」
上げて落とされるとはこのことだ。もう魔族は全員信用するなということだろうか。
「天族は死体になっても餌として格別だからな。残念ながらここにはいないようだが」
自嘲するような言い方だった。
ゲオルグはセスのためにとカデム用の椅子まで作っておきながら、私たちが森で死ぬと予想してフェリシアと同じように後を追ってきたというのか。
意味が分からない。初めからそういう目で見ていたのなら、あの時に殺せばよかったのに。
「…ゲオルグさ…がはっ…!」
その理由を聞こうと思ったら、突然何かが喉に上がってきて咳き込んだ。
口から吐き出された赤いものが地面を濡らしていく。
もうあまり時間は残されていないようだ。
「あれだけセスに自分を犠牲にするなと言っていたお前が、まさかそれをやるとはな」
白い獣から降りてきてゲオルグが言う。
全てを見ていたかのような口ぶりだ。実際、本当に見ていたのかもしれない。
「…そう、ですね…。そのつもりは、ありませんでしたが…結果として、そうなってしまいました…。だから…どうせ、死ぬのなら…最後まで守りきりたい…!」
痛む体を何とか動かして、私はゲオルグの足に縋りついた。
「お願いします…。セスを、見逃してください…」
もうこれくらいしか自分にできることはなかった。何をどうやったって今の私ではゲオルグに敵わない。
縋って懇願する私を、ゲオルグは冷めた目で見下ろしている。
「…ごふっ…かはっ…」
夥しい量の血が口の中に溢れた。
ここで諦めるとゲオルグが言ってくれたとしても、本当に帰ってくれるのか確かめることすらできない。それでも諦めるという、その一言が欲しかった。
「安心しろ、ミトスまでセスを追いに行くつもりはない。ここは単独リンクだ。ミトスに行っても帰って来れないからな」
ゲオルグにはフェリシアみたいな転移能力はないということか。
でもよかった。それならセスだけは助かる。
「…よかった…」
「よかった、か。何がよかったと言うのだ。お前の命を犠牲にして生き延びたセスは、一生それを背負っていかねばならないんだぞ」
ゲオルグが憐れむような表情をして私を見下ろしている。以前に同じような経験をしたのだろうか。
もしそうなら、交渉の余地があるかもしれない。
「…なら…助けて、ください…。セスが、背負わなくてもいいように…」
「…シエル、エルフのお前だって魔族からしてみれば立派な餌になることを忘れてないか?天族を手に入れ損ねたんだ。せめてお前だけでも貰っていく」
そう言いながらゲオルグは私の服を捲り、深く抉られた脇腹に右手を押し付けた。
「…ぐっ…ああぁ…っ!」
痛みが爆発する。体を逃がそうとしたが、思うように動かなかった。
「悪いな、せっかく生きてるんなら生きたまま連れて帰りたいもんでな」
「うわああああああぁぁぁっ!!」
ジュウウウゥゥという肉が焼けるような音と共に先ほどとは比べ物にならない痛みが襲ってきた。
どういうからくりか分からないが、ゲオルグは私の傷口を焼いて止血している。
それによってもたらされる激痛に声の限り叫び、私の意識はそこでプツリと途切れた。
ふと気づいたら知らない場所にいた。
こういう時に来るようないつもの森ではない。2mくらいの生垣が迷路のように犇《ひし》めいている場所だった。
いよいよ本当に死んでしまったのか。
まぁ、私をどこかへ連れて行こうとしていたということは、きっとあの村に住む魔族に私を喰わせるつもりなんだろう。それならば死んだ方がマシだ。死んでから喰われる分には痛みも感じない。
さて、この迷路を抜けた先があの世なのだろうか。こんな面倒な真似事をしないでさっさと連れて行ってほしいのだが。
とりあえず左手の法則を使って迷路を進んでいく。
一体この生垣は誰が手入れしているのだろう。ずいぶんと綺麗に整えられている。魂が神の元に還るというのなら、神の御使い的な何かがやっているのだろうか。
「……」
もう結構な時間を歩いたと思うのだが、ちゃんとゴールに向かっているのかどうかわからない。
死ぬのも楽じゃないんだな。一体何の意味があって神はこんなことをさせているのだろう。迷路を抜けるタイムで次の転生先を決めているとでも言うのか?
案外、本当にそうな気がしてきた。いちいち生前の行いがどうだったかなんていくら神と言えども確認するのは面倒だろうし。
「……っ!?うっ…ぐ…っ」
迷路を歩いていたら突然視界が切り替わり、同時に脇腹が激しく痛んで悶えたが、実際にはあまり体は動かなかった。
どうやら、ゲオルグが乗ってきた白い獣に乗せられて移動しているようだ。獣の背に体を預けるように、ぐったりと横たえられていた。森はもう抜けたらしく、あの草原を再び走っている。かなり長いこと意識を失っていたらしい。
また死ねなかった。今回ばかりは本当に死んでしまいたかった。
「起きたか」
私が獣から落ちないように支えながら、ゲオルグが冷たく見下ろして言った。
「…ゲオルグ、さん…どうして…最初に…僕たちを、殺さなかったんですか…」
「どうして、か…」
私の問いに自嘲気味に笑いながらゲオルグは白い獣を止まらせ、自分だけ降りた。
「飲め、水だ」
そして問いには答えないまま荷物の中から水袋を取り出し、私に差し出してそう言った。
確かに喉は乾いているが、敵から差し出されたものをそう簡単に信用して口にする気にはならない。
生かして連れて行きたいと言っていたから毒殺されることはないのだろうが、痺れ薬の1つでも入っているかもしれない。これ以上の苦痛を味わうのはごめんだ。
「いりません…水なら、自分で出せるので…」
「悪いがお前の神術は封じてある。そう警戒せずとも毒など入れていない。飲め」
「…封じてある…?」
首に手をやってみるが封力の首輪は着けられていない。
封じてあるとはどういうことだろう。
「ヴォルデマ族の呪術を使って封じた。俺が解くか、俺が死ぬかしないと解けない」
「……」
なるほど、封力の首輪にも使われているという呪術か。
まぁ、神術が使えたところでゲオルグと戦って勝てるとも思えないので封じることにあまり意味は感じられないが、ゲオルグにしてみたら私が反旗を翻す可能性を捨てきれないのだろう。
しょうがないのでゲオルグが差し出した水袋を受け取って中身を口に流し込んだ。
自分で作り出した純粋な水の味に慣れているのであまりおいしくはない。
「どうして最初に殺さなかったか、という問いの答えだが」
白い獣にも水を与えながらゲオルグが口を開いた。
「あの時、セスは最後まで隙を一切見せることなくずっと俺を警戒していた。俺がお前たちに何かをしようとすれば、捨て身で向かってきただろう。全てを投げ打つ覚悟を持った人間は強い。だから森で死ぬか弱るのを狙ったんだ」
「…なるほど…」
あの時セスがあからさまにゲオルグを避けていたのはそういうことだったのか。最初からゲオルグの思惑を見抜いていたのだろうか。
ならばセスの言う通り、ゲオルグに声などかけずに回り道をしていれば2人でミトスに帰れただろうか。
しかしカデムの椅子がなければセスがライムに乗ることは難しかったはずだ。それはそれで無理だったかもしれない。
「さぁ、走るぞ。落ちるなよ」
ゲオルグが再び獣に乗り、私を獣の背に押し付け走らせた。
私は抵抗する力もないままただそれに従い、この白い獣はカデムよりも早く走っているのに振動が全然来ないな、猫科の動物っぽいし肉球で衝撃を吸収しているのだろうか、とどうでもいいことをぼんやりと考えていた。
そういえば腕に着けていた触媒も、ローブも身に付けていない。きっとゲオルグが取ったのだろうが、それすらどうでもよかった。
あれから、どれくらい時間が経過したのだろうか。
ルブラは朝も昼も薄暗く、周りの景色から時間を判別することは難しい。
ただ森は抜けているのでおそらく1日以上は経過しているのだろう。それだけ時間が経過すればもう、セスは私が戻っては来ないと悟ったはずだ。他の魔族があのリンクからミトスに行く可能性もあるのだから、なるべく早く安全な場所に移動してほしい。無事に逃げ延びてくれなければ報われない。
どんな表情でセスは私を諦めるのだろうか。ふと、そんなことが気になった。
夜が来る前にあの村に着いた。
木でできた小屋が静かに立ち並んでいる集落の外には、相変わらず誰の姿も見受けられない。
ゲオルグはその内の1つの小屋の近くに白い獣を繋ぎ、私を担いでその建物の中へと入った。
入って最初の部屋はキッチン、テーブル、椅子が置かれていて、所謂ダイニングキッチンだった。ただその部屋は6畳くらいのこじんまりしたもので、あまり使われているような形跡はない。
そこを通過し、奥の部屋へと入るとそこは寝室だった。奥のベッドに誰かが寝ている。
「…ぐぁっ…!」
その人物を確認する前にゲオルグが乱暴に私を床へと下ろした。
体を打ち付けた痛みと、傷の痛みがダブルで襲ってきて思わず声を上げて悶えてしまった。
「餌だ。予定が狂って天族は手に入れられなかったが、生きたエルフを連れてきた」
ゲオルグが静かに言う。
「…本当に連れてきたのか…」
ベッドに寝ていた人物は上体を起こして静かに私を見下ろしながらそう言った。
真っ白な長いストレートの髪に深い緑の瞳をした綺麗な顔の男性だった。見た目だけを取って見れば、ヒューマとそう変わりはない。ゲオルグに餌として連れて行かれた時点で物理的に体を食べられるのだろうと思っていたのだが、この男はとてもじゃないが人肉を食すような人種には見えない。食べるの意味合いが違うのだろうか。
「…エルフ…このルブラでは辛いだろうに…」
憐れむように男が言う。
その表情も同様に憐れみに満ちていた。
「直に神力が尽きて死ぬだろうが、それまで廻《まわ》し餌《え》にできるだろう。いい加減、喰わぬとは言わせんぞ」
男の言葉を無視してゲオルグが苛立ったように言う。
そして私の両手首を後ろ手にして鉄枷を嵌め、鎖をベッドの足に括り付けた。
「神術は封じてある。明日の朝また来るからそれまでには喰えよ。いいな」
そう言い残してゲオルグは部屋から出て行った。
状況がいまいち把握できないがどっちにしろ私はここで死ぬのだろうし、考えるだけ無駄だ。
喰うというのであればできればその前に殺してほしい。それだけでも頼んでみよう。
「…勝手なことを…」
男がそう言いながらベッドを下り、私の側に屈みこんだ。
何故か少し息苦しそうで、顔色があまり良くない。まだ夜でもないのにベッドで寝ていたし、病人なのだろうか。
「神力が得られず苦しいだろう…。それに、ずいぶんと深手を負っているようだ」
「…貴方…は…」
予想外に優しい言葉をかけられ正直困惑する。
ゲオルグはこの男の餌とするためにセスの屍を拾いに来て、それが叶わなかったから私を連れ去った。となれば、この男は決して味方ではないはずだ。
「話は後にして、とりあえず傷を癒そう」
男が枕元に置いてあった短剣で自分の腕を切りつけ、傷口を私の口へと押し当てた。
「……!?」
「飲みなさい」
口の中に流れ込んだ男の血は、なぜかとても甘く感じた。
鉄の味ではなく、まるでジュースのように甘くて美味しい。一体どうなっているのだろう。
「…ん…っ!」
とは言え、血を飲むなんてさすがに抵抗がある。
拒もうと顔を背けようとしたが、しかし男はそれを許さなかった。
「飲みなさい。私の血には傷を癒す力がある。その傷では辛いだろう」
私の顎を強く掴み無理やり口に血を流しこまれる。
美味しい。他人の血を口にしてこんな風に感じる自分に嫌悪感を抱く。が、正直に言えばもっと欲しい。もっともっと、味わいたい。
どうせ男が強く押さえつけていて口を離すことは叶わないのだ。私は素直にその血を体に流し込んだ。
全身が温かい。まるで、治癒術をかけられたかのようにジワジワと傷が癒えていくのを感じる。あれだけの深手を負っていたのにも関わらず、男がやっと腕を離した時には傷の1つも見当たらず、痛みもなくなっていた。
すごい。魔族にもこんな風に傷を癒す力を持つ種族がいるとは。
さすがに神力が減っていることによる体力の低下は回復しないようで、相変わらず息は苦しく体がだるいが、傷が癒え痛みがなくなっただけでもかなり楽だ。
逆に男は私に血を与えたことによって、さらに具合が悪くなったように見える。苦しそうに蹲り、呼吸を整えている。
「どうして…僕の傷を治したんですか?僕は、餌としてここに連れてこられたのではないんですか?」
どうせ死ぬのだから何がどうなろうが何でもいいと先ほどまでは思っていたが、ここまで来たらさすがにそうは言っていられない。
私の傷を癒したということは、この男に今すぐ私をどうこうするつもりはないということだ。状況を把握しておかねば。
「…君がここに来ることになったのは…私の意思ではないからだ…」
そう言いながら男はゆっくりと立ち上がってベッドへ腰かけた。自分でつけた腕の傷に口をつけ血を吸うと、その傷はたちまちに癒えた。自身の血で自身を癒すことも可能なようだ。
「…どういう、ことですか?」
「順を追って話そうか。私の名はヘルムート。君は?」
「…シエルです」
ヘルムートと名乗った男からは敵意を全く感じないので、私は素直に答えた。
「シエル、君はクビト族を知っているか?」
聞いたことはない。血を与えて傷を癒すことができる種族がいたことも知らなかったくらいだ。
「…知りません。すみません…」
「いや、謝る必要はない。クビト族は先ほどのように、自身の血を与えることで高い治癒効果をもたらすことができる種族で、人肉を餌とする」
人を食べるのに人を癒す力を持っているなんて、なんだか矛盾している。
しかしやはりこの人は人間を物理的に食す人種だったのか。人は見かけによらないな。
「人肉を餌とする魔族にとって至高の餌となるのは天族だ。次に神属性の地族。魔属性の地族や魔族では大した糧とはならないが、天族や神属性の地族を餌として得ることは難しい。だからゲオルグは私のために天族を追い、それが手に入らなかったから君を連れ返ってきた」
「…僕は…久しぶりの神属性の餌、というわけですね…」
きっとしばらく神属性の人間を食べていないからヘルムートは具合が悪そうなのだろう。だからゲオルグはヘルムートにとって至高の餌である天族を手に入れたかったのだ。
2人が一体どういう関係なのかはわからないが、ずいぶん熱い友情物語だ。
「私は人間を食べるつもりはない。このままではそう遠くない内に命が尽きるだろうが、それで構わない…。もう、死にたいのだ。ゲオルグにもそれは再三言っているのだが、どうしても許せないようでね。こんな風に余計な世話を焼く」
「どう、して…?」
告げられた予想外の言葉に驚きを隠せない。
ゲオルグは弱っているヘルムートのために人間を餌として連れて来たというのに、当の本人がそれを拒否している。
ずいぶんと行き違った話だし、それで連れて来られた私はとばっちりを受けたようなものだ。
まぁ、もしヘルムートの意思をゲオルグが尊重したとしてもフェリシアとの戦いで致命傷を負った私がミトスに帰れたわけではないが、あんな苦痛を味わうのならあそこで死にたかった。
「私は愛する者を失ったのだ。もう生きている意味などないんだよ」
ヘルムートは静かにそう言って、目を伏せた。
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