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五章
第68話 アンジェリカと愉快な仲間たち
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「約束通り見つけてきたわ。明日時間をもらえるかしら?」
アンジェリカが再び声をかけて来たのはそれから2日後のことだった。
セスと共に宿の食堂で夕食を食べていたらアンジェリカが連れの天族と思わしき人物と一緒に現れたのだ。ちなみに、最初に声をかけられてから今まで、一度もこの宿でアンジェリカの姿は目にしていない。ずいぶんと都合よく私たちを発見できたものだと感心してしまう。
この2日間、私たちは特に何かをするでもなくのんびりと過ごしていた。
転移陣で駐屯地まで飛んで訓練場みたいなところで軽く訓練をしたり、討伐の準備をしてみたりといった感じだ。
「…どんな構成?」
「剣士が1人、鎖鎌を使う中衛が1人という感じね」
「なるほど」
セスはアンジェリカの背後に立つ天族を気にすることもなく普通に話している。が、私は気になって仕方がない。
なぜなら、アンジェリカが連れてきたその人物が女性だったからだ。
その人と愛し合っているとかってアンジェリカは言っていなかったっけ?どういうことなんだ。愛に性別は関係ない系?
一瞬、私みたいに中身の性別が違うのかと考えたが、転生者は地族にしか生まれないはずだし、やはりそういうことなのだろうか。
「紹介するわね。クロエよ。先日話した、ルミアス族」
私の視線を感じたのか、アンジェリカが背後に立つ天族を前に出して言った。やはりこの女性がアンジェリカが愛していると言っていた人物で間違いがないようだ。
このクロエという人はウェーブ掛かった薄い金の髪に、橙色の瞳、羽のような耳を持っている女性だった。父と初めてシスタスに来た時にも門の所で羽のような耳を持つ人を目にしたことがあった。あの人もきっとルミアス族だったのだろう。
白いフリフリの服を着ていて、まるでアンジェリカと対になっているようだ。ゴスロリとロリ、そんな感じ。クロエも儚げで綺麗な女性なので、とても様になっている。
「初めまして。ルミアス族のクロエです。クルヴァンの討伐をお手伝いしていただいた暁には、私が責任を持ってヴェデュールまで送ります。よろしくお願い致しますね」
クロエが可愛らしく笑って言う。透き通るような綺麗な声だった。
「よろしく」
「シエルです。よろしくお願いします」
セスも私も挨拶を返したが、クロエはセスを一度チラリと見ただけで、それ以降ずっと私を見つめている。何だろう。
「あの、僕が何か…?」
「いえ、何でもありません。すみません、不躾に」
「はぁ…別に、構いませんが…」
私の問いにクロエは申し訳なさそうに視線を外し、頭を下げた。
あまりにもジッと見つめられていたので思わず聞いてしまったのだが、求めていた答えは返ってこなかった。
「それで、明日はどうすればいいのかな?」
まるで話を無理やり切り替えたみたいにセスがアンジェリカに問うた。
「明日の朝7時にギルド集合で。そこでパーティー登録するから」
アンジェリカも別段気にした様子も見せずに答えた。
パーティー登録?そんなものがあるのか。よくわからないから後でセスに聞いてみよう。
「クロエは、君の神力量が不思議だったんだろうね」
アンジェリカとクロエが去ってから、私の疑問を見透かしたようにセスが言った。
あぁ、そうか。クロエも天族だからそれがわかってしまうんだった。以前セスも不自然、と言っていたように、クロエから見ても同様だったというわけか。
「そうだった。セス以外の天族と話すのは初めてだから失念していたよ」
「まぁ、天族はあまりミトスにはいないからね」
思えば魔族とはちょこちょこ会っていたが、セス以外の天族とは全く会う機会がなかった。セスの言うように、ミトスでは天族よりも圧倒的に魔族が多い。街でそれっぽい人を見かける機会はあっても話す機会などなかった。
「俺も君を初めて見た時にはずいぶん驚いたものだよ。明らかに今まで見てきたエルフとは違ったからね」
「自己紹介の時?そんな感じには見えなかったけどな」
もうはっきりと覚えていないが、駐屯地で自己紹介をした時にはセスに訝しんでいる様子はなかったように思う。
「そりゃあ…あの時に君1人をジロジロ見ている訳にもいかないだろう」
セスが苦い笑みを浮かべて言葉を返す。
それもそうか。
「それにしてもクロエがアンジェリカの愛している人…なんだよね」
「そうなのだろうね」
私の言葉に何の感情も込めずにセスは頷いた。
「女性同士…で…?」
「別にいいのではないかな。他人がとやかく言うようなことではないしね」
「うん、まぁ…そうだよね…」
同性愛はこの世界で割と一般的なことなのだろうか。セスの口ぶりからは別段特別なことのようには感じられない。
だとしたら、セスは私のことをどう思っているのだろう。
"私自身"を好きでいてくれているというのはわかる。でもだからと言って、触れてきたりすることはないし、私からもそうすることはない。
それは、"シエル"が男であるからそうなのだと思っているし、実際男であるから私からそうするのもどうかと思っているのだが、実のところはどうなのだろう。
私がもし、ちゃんと女として生まれて、今こういう関係になっていたとしたら…セスは私に触れてくれるのだろうか。まぁ、女であったら今一緒にいることはないのだろうけど…。
「ねぇ、パーティー登録って何?」
もしそれを聞いて"触れたくない"などと言われてしまったら立ち直れないので、私はあえて話題を変えた。
「例えばクルヴァンは1体でギルドポイントを1000もらえるんだけど、パーティー登録をしておけば全員に1000ポイントずつ付与されるんだ。それをやっておかないと、核を納品した人間だけにしかポイントがつかない」
「なるほど…」
先ほどの私は割と長考だったかもしれないが、セスに気にした様子は見られない。じゃあ一体その間で何を考えていたのかと気になるところではあるが、ひとまず今はセスの話に集中しよう。
「じゃあ実際に討伐していなくても討伐してきた人のパーティーに入れてもらえさえすれば、ポイントだけもらうことができるということだよね」
まぁ、討伐の証を金で買って用意してもいいのだから、ギルド的には問題はなさそうだけど。
「そういうことになるね。ただまぁ、ポイントを貯める利点はランクしかないわけだから、他人の力でランクだけを上げたところで意味はないと思うけどね。身の丈に合わない依頼を受けてしまえば辛いのは自分だ」
「だとしたら、僕がヒューイさんの依頼だけでBに上がったのも同様だ。僕は多分、Bに相当する実力は持っていない」
「君は報酬に見合うだけの依頼を熟したんだ。他人の力で上がったわけじゃない。大丈夫だ。実力だけを見ればAに相当するくらいだと思うよ」
「そうかなぁ…」
セスは慰めるかのように優しく微笑んで言ってくれたが、あの依頼で実際にやったことと言えば囮だけだ。掴まって、助けを待っていただけ。エルフである自分が適材だったに過ぎない。
それなのに、Aに相当するなんて何を根拠に言っているのだろう。
「君にとって危険な依頼だったら俺が受けさせない。だからそんなことは心配しなくていい」
「……っ」
物思いに耽っているところに急にそんなことを言われたもんだから、思わず言葉に詰まった。
間接的に"俺が守る"と言われたみたいで、一瞬で胸が高鳴り、体が火照る。
「……俺、何か変なこと言った?」
その動揺は思いっきり伝わったのだろう、セスが訝しむように問う。
「う、ううん…ありがとう…」
私が動揺している理由が分からないといった様子から、セスは自然にそう思ってくれたのだということが分かる。それは純粋に嬉しかった。
次の日、7時少し前にギルドに行くとアンジェリカが1人で待っていた。
「クロエさんは?」
「クロエは来ないわ。だって戦えないもの」
「そっか…」
確かに戦いに参加しないのならいる意味もないのか。でもだからこそ、ポイントだけでも貯めた方がいいのではなかろうかと思うのだが。高ランクの依頼が討伐だけということはないだろうし。
「アンジェリカ、いつ討伐に発つつもりでいる?登録が終わったらすぐ?」
「さすがにすぐとは言わないわ。準備もあるでしょうし。まぁ、それは残りの2人が来たら決めましょう」
セスの質問にアンジェリカが首を振って答えた。
集合時間が朝の7時であったことから、すぐに発つつもりであろうことを想定して、大体の準備は済ませてある。後は、シリウスを引き取ってくるだけだ。
「よぉ、待たせたな」
それから10分くらい経った頃、背後から不意に声がかかった。
振り向くと、大柄ないかにも戦士という感じの男性と、私よりも背が高いいかにも女戦士という感じの女性が立っていた。つまり、いかつい2人組だ。
男性の方は、30代半ばくらいのがっちりとした体型のヒューマ(推測)で、大剣を背負っている。袖が捲られた腕からは傷跡がいくつも見えた。
女性の方は年齢を推測するのが難しいが、こちらもおそらくヒューマで、30歳くらいだろうか。背が高く、長い黒髪を高い位置で1本に縛っている。男性が大剣を背負っていることから、鎖鎌を使うのはこちらの女性だろう。確かに似合っている。それが鞭だったらもっと似合いそうな感じだ。
「俺はガレン。剣士だ。よろしくな」
「私はヴィレッタ。鎖鎌使いだけど、前衛もできるよ。よろしくね」
ガレンとヴィレッタと名乗った2人に私とセスも自己紹介を返して、早速パーティー登録に移った。
「さて、アンジェリカ。あんたがパーティーリーダーだろ。パーティー名は何にするんだ?」
ギルドカードを出しながらガレンが切り出した。
なるほど、人を集めたアンジェリカがリーダーになるのか。しかしパーティーリーダーとか、パーティー名とかまるでゲームのようだな。
「そうね。"アンジェリカと愉快な仲間たち"でいいわ」
至極真面目な顔でアンジェリカが言い放つ。
それを聞いたガレンがブフォッと噴き出し、一方のヴィレッタは声を上げて笑った。
ガレンの気持ちは分かる。私も若干噴きかけた。それを聞いて表情を変えなかったのはセスだけだ。
「あんた面白い女だな!!」
ガハハと豪快に笑いながらガレンがアンジェリカにギルドカードを手渡した。ヴィレッタもセスも同じようにしているので、私もそれに習ってカードを渡す。
「いい女、の間違いでしょう?」
と、妖艶な笑みを湛えてアンジェリカはカードを持って受付へと向かって行った。
アンジェリカ怖い。
そしてこの一連の流れに全く表情も変えないセスも怖い。
「登録完了よ」
戻ってきたアンジェリカはそう言ってギルドの所々に置かれている小さなテーブルの上に全員分のカードを並べた。
「あぁ、ちょっと待って」
それをすぐ手に取ろうとして、セスに制された。
「臨時でパーティーを組む時は全員が全員のカードを確認するのが決まりなんだ」
「あ、そうなんだ」
「なるほど、シエル、お前はBランクになりたてか。臨時は初めてか?」
私とセスのやり取りを聞きながら私のカードを見て、ガレンが言う。
「はい、至らぬこともあるかもしれませんが」
「ああ、いい、いい。そういう堅苦しいのは」
ガレンが面倒くさそうに私の言葉を遮った。
「パーティーである以上、俺たちは全員対等な仲間だ。種族も歳もランクも関係ねぇ。だから畏まるな。よろしく、でいいんだよ」
言いながら差し出されたガレンの手を握る。何ともフランクな人だ。
「…わかった。よろしく」
頷くと、満足そうに笑ってガレンは手を離した。
しかしそういう関係性ならば気は楽だ。
「それにしてもセス、あんたはリュシュナ族なんだね。これは相当期待できそうだ」
「……」
ギルドカードを覗き込んで言うヴィレッタに、セスは何も返さなかった。
しかし今になって意外そうに言うということは、アンジェリカは2人に声をかけた段階で私たちのことを詳しく話していなかったのだろうか。前衛1人と後衛1人くらいしか話してなさそうだな。
斯く言うガレンとヴィレッタはやはりヒューマだ。2人ともAランクと書いてある。
ちなみにアンジェリカもAランクだ。ますますクロエがパーティー登録しなかった理由がわからなくなった。
「さて、ガレンとヴィレッタ。準備ができてるのならこのまま出発してしまいたいのだが」
各人にギルドカードを返しているアンジェリカを横目にそう聞いたのはセスだ。確かにガレンたちも武器に鞄と準備はできているように見える。
「今すぐかい?ずいぶんと急いてるじゃないか。少し準備の時間がほしいんだけどね」
しかし目を丸くしてヴィレッタがそう返した。
準備ができているように見えたけれどもそうではなかったらしい。
「2時間くらいあればいいかしら?」
「そうだな。それくらいあればいいだろう」
アンジェリカの問いかけに今度はガレンが頷く。
「では9時に西転移陣の前に集合で」
アンジェリカの一声で一度解散となった。
「ねぇ、クルヴァンってどんなモンスターなの?」
シリウスを引き取ってから、私とセスは特に当てもなくアドルドの街を歩いた。
準備は終わっているので、やることがない。
「巨像、と言えば一番分かりやすいかな。前衛が引き付けている間に後衛に核を割ってもらうことになる。でもだからと言って近づきすぎないようにね。大きい割には素早いし、一撃が重いから危険だ」
「わかった」
今まで見てきたモンスターはどれも生き物という感じがしていたのだが、ついに巨像と来たか。
「アンジェリカは幻術師だから、君に頼ることになると思う」
「どうしてアンジェリカが幻術師だと僕に頼ることになるの?」
「そうか、君は幻術のことをあまり知らないのか」
そう言ってセスは大通りに設置してあるベンチに腰をかけた。
それに習って私もセスの横へと腰かけ、道行く冒険者を眺める。こうしてわずかな時間眺めているだけでも、多種多様な人種が目の前を通って行く。シスタスの街で同じように大通りを眺めた時とはだいぶ雰囲気が異なっていて面白い。
「幻術はその名の通り幻なんだ。例えば炎を作り出したとしても、幻術の場合はその炎で身体的ダメージを与えることはできない。でも熱さを感じさせることはできる。精神にダメージを与えると言えばいいのかな」
「身体的ダメージは受けないけど、実際に炎で焼かれているのと同じ痛みを感じるってこと?」
「そういうことだね。そして幻術の怖いところは、実際に身体的ダメージを受けているわけじゃないのに、死ぬほどの傷を負ったと思ってしまえば本当に死んでしまうことだ」
「思い込みで死んじゃうってこと…?何それ怖い…」
身体的ダメージを受けたわけじゃないのに、一体どういう原理で心臓が止まるというのだろう。飛び降り自殺者は地面につく前に死んでしまうことがあると聞いたことがあるけど、それに近い感じなのかな。
「でも幻術だと思えれば無効化することができる。この炎は幻だ、熱くないと思えれば、触っても熱さは感じない」
「そう簡単にできるのかな」
本物そっくりの炎を"熱くないですよ"と言われたところで信じられるだろうか。疑う心はそう簡単に消せない気がする。
「難しいけどね。でも幻術だから死なない、と思うことは大事だ。無理にでもそう言い聞かせていれば、恐らく死は免れる」
「なるほどなぁ…」
「まぁ、アンジェリカは味方なのだからそんな心配はひとまず置いておいて、クルヴァンの話をしよう」
苦い笑みを浮かべてセスが言った。
確かに幻術を使うのはアンジェリカなのだから、幻術をかけられたらどうしようという心配はする必要はないのだ。
「君が一番に考えるのは、クルヴァンの間合いに入らないこと。その次に考えるのが核を割ることだ。シリウスに掴まって空から攻撃するのも有効手段ではあるけれど、その状態では緊急回避が難しいと思うから近づきすぎないように気を付けて。今回は囮役が3人いるから、後衛まで行かせることはないと思うけど」
「うん、わかった」
アンジェリカが再び声をかけて来たのはそれから2日後のことだった。
セスと共に宿の食堂で夕食を食べていたらアンジェリカが連れの天族と思わしき人物と一緒に現れたのだ。ちなみに、最初に声をかけられてから今まで、一度もこの宿でアンジェリカの姿は目にしていない。ずいぶんと都合よく私たちを発見できたものだと感心してしまう。
この2日間、私たちは特に何かをするでもなくのんびりと過ごしていた。
転移陣で駐屯地まで飛んで訓練場みたいなところで軽く訓練をしたり、討伐の準備をしてみたりといった感じだ。
「…どんな構成?」
「剣士が1人、鎖鎌を使う中衛が1人という感じね」
「なるほど」
セスはアンジェリカの背後に立つ天族を気にすることもなく普通に話している。が、私は気になって仕方がない。
なぜなら、アンジェリカが連れてきたその人物が女性だったからだ。
その人と愛し合っているとかってアンジェリカは言っていなかったっけ?どういうことなんだ。愛に性別は関係ない系?
一瞬、私みたいに中身の性別が違うのかと考えたが、転生者は地族にしか生まれないはずだし、やはりそういうことなのだろうか。
「紹介するわね。クロエよ。先日話した、ルミアス族」
私の視線を感じたのか、アンジェリカが背後に立つ天族を前に出して言った。やはりこの女性がアンジェリカが愛していると言っていた人物で間違いがないようだ。
このクロエという人はウェーブ掛かった薄い金の髪に、橙色の瞳、羽のような耳を持っている女性だった。父と初めてシスタスに来た時にも門の所で羽のような耳を持つ人を目にしたことがあった。あの人もきっとルミアス族だったのだろう。
白いフリフリの服を着ていて、まるでアンジェリカと対になっているようだ。ゴスロリとロリ、そんな感じ。クロエも儚げで綺麗な女性なので、とても様になっている。
「初めまして。ルミアス族のクロエです。クルヴァンの討伐をお手伝いしていただいた暁には、私が責任を持ってヴェデュールまで送ります。よろしくお願い致しますね」
クロエが可愛らしく笑って言う。透き通るような綺麗な声だった。
「よろしく」
「シエルです。よろしくお願いします」
セスも私も挨拶を返したが、クロエはセスを一度チラリと見ただけで、それ以降ずっと私を見つめている。何だろう。
「あの、僕が何か…?」
「いえ、何でもありません。すみません、不躾に」
「はぁ…別に、構いませんが…」
私の問いにクロエは申し訳なさそうに視線を外し、頭を下げた。
あまりにもジッと見つめられていたので思わず聞いてしまったのだが、求めていた答えは返ってこなかった。
「それで、明日はどうすればいいのかな?」
まるで話を無理やり切り替えたみたいにセスがアンジェリカに問うた。
「明日の朝7時にギルド集合で。そこでパーティー登録するから」
アンジェリカも別段気にした様子も見せずに答えた。
パーティー登録?そんなものがあるのか。よくわからないから後でセスに聞いてみよう。
「クロエは、君の神力量が不思議だったんだろうね」
アンジェリカとクロエが去ってから、私の疑問を見透かしたようにセスが言った。
あぁ、そうか。クロエも天族だからそれがわかってしまうんだった。以前セスも不自然、と言っていたように、クロエから見ても同様だったというわけか。
「そうだった。セス以外の天族と話すのは初めてだから失念していたよ」
「まぁ、天族はあまりミトスにはいないからね」
思えば魔族とはちょこちょこ会っていたが、セス以外の天族とは全く会う機会がなかった。セスの言うように、ミトスでは天族よりも圧倒的に魔族が多い。街でそれっぽい人を見かける機会はあっても話す機会などなかった。
「俺も君を初めて見た時にはずいぶん驚いたものだよ。明らかに今まで見てきたエルフとは違ったからね」
「自己紹介の時?そんな感じには見えなかったけどな」
もうはっきりと覚えていないが、駐屯地で自己紹介をした時にはセスに訝しんでいる様子はなかったように思う。
「そりゃあ…あの時に君1人をジロジロ見ている訳にもいかないだろう」
セスが苦い笑みを浮かべて言葉を返す。
それもそうか。
「それにしてもクロエがアンジェリカの愛している人…なんだよね」
「そうなのだろうね」
私の言葉に何の感情も込めずにセスは頷いた。
「女性同士…で…?」
「別にいいのではないかな。他人がとやかく言うようなことではないしね」
「うん、まぁ…そうだよね…」
同性愛はこの世界で割と一般的なことなのだろうか。セスの口ぶりからは別段特別なことのようには感じられない。
だとしたら、セスは私のことをどう思っているのだろう。
"私自身"を好きでいてくれているというのはわかる。でもだからと言って、触れてきたりすることはないし、私からもそうすることはない。
それは、"シエル"が男であるからそうなのだと思っているし、実際男であるから私からそうするのもどうかと思っているのだが、実のところはどうなのだろう。
私がもし、ちゃんと女として生まれて、今こういう関係になっていたとしたら…セスは私に触れてくれるのだろうか。まぁ、女であったら今一緒にいることはないのだろうけど…。
「ねぇ、パーティー登録って何?」
もしそれを聞いて"触れたくない"などと言われてしまったら立ち直れないので、私はあえて話題を変えた。
「例えばクルヴァンは1体でギルドポイントを1000もらえるんだけど、パーティー登録をしておけば全員に1000ポイントずつ付与されるんだ。それをやっておかないと、核を納品した人間だけにしかポイントがつかない」
「なるほど…」
先ほどの私は割と長考だったかもしれないが、セスに気にした様子は見られない。じゃあ一体その間で何を考えていたのかと気になるところではあるが、ひとまず今はセスの話に集中しよう。
「じゃあ実際に討伐していなくても討伐してきた人のパーティーに入れてもらえさえすれば、ポイントだけもらうことができるということだよね」
まぁ、討伐の証を金で買って用意してもいいのだから、ギルド的には問題はなさそうだけど。
「そういうことになるね。ただまぁ、ポイントを貯める利点はランクしかないわけだから、他人の力でランクだけを上げたところで意味はないと思うけどね。身の丈に合わない依頼を受けてしまえば辛いのは自分だ」
「だとしたら、僕がヒューイさんの依頼だけでBに上がったのも同様だ。僕は多分、Bに相当する実力は持っていない」
「君は報酬に見合うだけの依頼を熟したんだ。他人の力で上がったわけじゃない。大丈夫だ。実力だけを見ればAに相当するくらいだと思うよ」
「そうかなぁ…」
セスは慰めるかのように優しく微笑んで言ってくれたが、あの依頼で実際にやったことと言えば囮だけだ。掴まって、助けを待っていただけ。エルフである自分が適材だったに過ぎない。
それなのに、Aに相当するなんて何を根拠に言っているのだろう。
「君にとって危険な依頼だったら俺が受けさせない。だからそんなことは心配しなくていい」
「……っ」
物思いに耽っているところに急にそんなことを言われたもんだから、思わず言葉に詰まった。
間接的に"俺が守る"と言われたみたいで、一瞬で胸が高鳴り、体が火照る。
「……俺、何か変なこと言った?」
その動揺は思いっきり伝わったのだろう、セスが訝しむように問う。
「う、ううん…ありがとう…」
私が動揺している理由が分からないといった様子から、セスは自然にそう思ってくれたのだということが分かる。それは純粋に嬉しかった。
次の日、7時少し前にギルドに行くとアンジェリカが1人で待っていた。
「クロエさんは?」
「クロエは来ないわ。だって戦えないもの」
「そっか…」
確かに戦いに参加しないのならいる意味もないのか。でもだからこそ、ポイントだけでも貯めた方がいいのではなかろうかと思うのだが。高ランクの依頼が討伐だけということはないだろうし。
「アンジェリカ、いつ討伐に発つつもりでいる?登録が終わったらすぐ?」
「さすがにすぐとは言わないわ。準備もあるでしょうし。まぁ、それは残りの2人が来たら決めましょう」
セスの質問にアンジェリカが首を振って答えた。
集合時間が朝の7時であったことから、すぐに発つつもりであろうことを想定して、大体の準備は済ませてある。後は、シリウスを引き取ってくるだけだ。
「よぉ、待たせたな」
それから10分くらい経った頃、背後から不意に声がかかった。
振り向くと、大柄ないかにも戦士という感じの男性と、私よりも背が高いいかにも女戦士という感じの女性が立っていた。つまり、いかつい2人組だ。
男性の方は、30代半ばくらいのがっちりとした体型のヒューマ(推測)で、大剣を背負っている。袖が捲られた腕からは傷跡がいくつも見えた。
女性の方は年齢を推測するのが難しいが、こちらもおそらくヒューマで、30歳くらいだろうか。背が高く、長い黒髪を高い位置で1本に縛っている。男性が大剣を背負っていることから、鎖鎌を使うのはこちらの女性だろう。確かに似合っている。それが鞭だったらもっと似合いそうな感じだ。
「俺はガレン。剣士だ。よろしくな」
「私はヴィレッタ。鎖鎌使いだけど、前衛もできるよ。よろしくね」
ガレンとヴィレッタと名乗った2人に私とセスも自己紹介を返して、早速パーティー登録に移った。
「さて、アンジェリカ。あんたがパーティーリーダーだろ。パーティー名は何にするんだ?」
ギルドカードを出しながらガレンが切り出した。
なるほど、人を集めたアンジェリカがリーダーになるのか。しかしパーティーリーダーとか、パーティー名とかまるでゲームのようだな。
「そうね。"アンジェリカと愉快な仲間たち"でいいわ」
至極真面目な顔でアンジェリカが言い放つ。
それを聞いたガレンがブフォッと噴き出し、一方のヴィレッタは声を上げて笑った。
ガレンの気持ちは分かる。私も若干噴きかけた。それを聞いて表情を変えなかったのはセスだけだ。
「あんた面白い女だな!!」
ガハハと豪快に笑いながらガレンがアンジェリカにギルドカードを手渡した。ヴィレッタもセスも同じようにしているので、私もそれに習ってカードを渡す。
「いい女、の間違いでしょう?」
と、妖艶な笑みを湛えてアンジェリカはカードを持って受付へと向かって行った。
アンジェリカ怖い。
そしてこの一連の流れに全く表情も変えないセスも怖い。
「登録完了よ」
戻ってきたアンジェリカはそう言ってギルドの所々に置かれている小さなテーブルの上に全員分のカードを並べた。
「あぁ、ちょっと待って」
それをすぐ手に取ろうとして、セスに制された。
「臨時でパーティーを組む時は全員が全員のカードを確認するのが決まりなんだ」
「あ、そうなんだ」
「なるほど、シエル、お前はBランクになりたてか。臨時は初めてか?」
私とセスのやり取りを聞きながら私のカードを見て、ガレンが言う。
「はい、至らぬこともあるかもしれませんが」
「ああ、いい、いい。そういう堅苦しいのは」
ガレンが面倒くさそうに私の言葉を遮った。
「パーティーである以上、俺たちは全員対等な仲間だ。種族も歳もランクも関係ねぇ。だから畏まるな。よろしく、でいいんだよ」
言いながら差し出されたガレンの手を握る。何ともフランクな人だ。
「…わかった。よろしく」
頷くと、満足そうに笑ってガレンは手を離した。
しかしそういう関係性ならば気は楽だ。
「それにしてもセス、あんたはリュシュナ族なんだね。これは相当期待できそうだ」
「……」
ギルドカードを覗き込んで言うヴィレッタに、セスは何も返さなかった。
しかし今になって意外そうに言うということは、アンジェリカは2人に声をかけた段階で私たちのことを詳しく話していなかったのだろうか。前衛1人と後衛1人くらいしか話してなさそうだな。
斯く言うガレンとヴィレッタはやはりヒューマだ。2人ともAランクと書いてある。
ちなみにアンジェリカもAランクだ。ますますクロエがパーティー登録しなかった理由がわからなくなった。
「さて、ガレンとヴィレッタ。準備ができてるのならこのまま出発してしまいたいのだが」
各人にギルドカードを返しているアンジェリカを横目にそう聞いたのはセスだ。確かにガレンたちも武器に鞄と準備はできているように見える。
「今すぐかい?ずいぶんと急いてるじゃないか。少し準備の時間がほしいんだけどね」
しかし目を丸くしてヴィレッタがそう返した。
準備ができているように見えたけれどもそうではなかったらしい。
「2時間くらいあればいいかしら?」
「そうだな。それくらいあればいいだろう」
アンジェリカの問いかけに今度はガレンが頷く。
「では9時に西転移陣の前に集合で」
アンジェリカの一声で一度解散となった。
「ねぇ、クルヴァンってどんなモンスターなの?」
シリウスを引き取ってから、私とセスは特に当てもなくアドルドの街を歩いた。
準備は終わっているので、やることがない。
「巨像、と言えば一番分かりやすいかな。前衛が引き付けている間に後衛に核を割ってもらうことになる。でもだからと言って近づきすぎないようにね。大きい割には素早いし、一撃が重いから危険だ」
「わかった」
今まで見てきたモンスターはどれも生き物という感じがしていたのだが、ついに巨像と来たか。
「アンジェリカは幻術師だから、君に頼ることになると思う」
「どうしてアンジェリカが幻術師だと僕に頼ることになるの?」
「そうか、君は幻術のことをあまり知らないのか」
そう言ってセスは大通りに設置してあるベンチに腰をかけた。
それに習って私もセスの横へと腰かけ、道行く冒険者を眺める。こうしてわずかな時間眺めているだけでも、多種多様な人種が目の前を通って行く。シスタスの街で同じように大通りを眺めた時とはだいぶ雰囲気が異なっていて面白い。
「幻術はその名の通り幻なんだ。例えば炎を作り出したとしても、幻術の場合はその炎で身体的ダメージを与えることはできない。でも熱さを感じさせることはできる。精神にダメージを与えると言えばいいのかな」
「身体的ダメージは受けないけど、実際に炎で焼かれているのと同じ痛みを感じるってこと?」
「そういうことだね。そして幻術の怖いところは、実際に身体的ダメージを受けているわけじゃないのに、死ぬほどの傷を負ったと思ってしまえば本当に死んでしまうことだ」
「思い込みで死んじゃうってこと…?何それ怖い…」
身体的ダメージを受けたわけじゃないのに、一体どういう原理で心臓が止まるというのだろう。飛び降り自殺者は地面につく前に死んでしまうことがあると聞いたことがあるけど、それに近い感じなのかな。
「でも幻術だと思えれば無効化することができる。この炎は幻だ、熱くないと思えれば、触っても熱さは感じない」
「そう簡単にできるのかな」
本物そっくりの炎を"熱くないですよ"と言われたところで信じられるだろうか。疑う心はそう簡単に消せない気がする。
「難しいけどね。でも幻術だから死なない、と思うことは大事だ。無理にでもそう言い聞かせていれば、恐らく死は免れる」
「なるほどなぁ…」
「まぁ、アンジェリカは味方なのだからそんな心配はひとまず置いておいて、クルヴァンの話をしよう」
苦い笑みを浮かべてセスが言った。
確かに幻術を使うのはアンジェリカなのだから、幻術をかけられたらどうしようという心配はする必要はないのだ。
「君が一番に考えるのは、クルヴァンの間合いに入らないこと。その次に考えるのが核を割ることだ。シリウスに掴まって空から攻撃するのも有効手段ではあるけれど、その状態では緊急回避が難しいと思うから近づきすぎないように気を付けて。今回は囮役が3人いるから、後衛まで行かせることはないと思うけど」
「うん、わかった」
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