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五章
第74話 対面
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「シエル、待て!!」
全速力で走ったはずなのに、あっさり追いつかれた。
「……っ」
セスの足が速いのは今までを見ていて分かっていたし、撒けるとも思っていなかったが、こうもすぐに追いつかれると非常に気まずい。
怒っているのか、悲しんでいるのか、はたまた別の感情を持っているのか分からないが、何にせよ今の自分に直視できるだけの覚悟がなくて、私の腕をきつく掴むセスの顔を見ることはできなかった。
「俺を見ろ」
そんな私を見透かしたように、セスが言う。
「……っ」
怒っているかのような声色に心臓が跳ねたが、そう言われてしまえば見ざるを得ない。
恐る恐る顔を上げてみると、しかし予想に反してセスは真剣な眼差しで私を見下ろしていた。
「急にこんなことになって混乱しているのは分かる。俺だって事態を把握できているわけじゃない。でも俺は彼女たちとは違う。何があっても決して君を見捨てたりしない」
真っ直ぐに私を見据える瞳から、目を逸らすことができなかった。
空よりも深い青の双眸に吸い込まれそうな錯覚すら覚えながら、きつく掴まれた腕の痛みで意識を現実へと引きとめる。
「…セス……」
「…だから俺から逃げないでくれ」
しばらくの静寂の後に絞り出されたのは、泣きそうな声だった。
苦しげなその声と切なげに歪められた表情に、胸が締め付けられる。
「……ごめん」
じわりと視界が滲んて来て、そう返事をするのが精いっぱいだった。
あぁ、これじゃあまた「そうやって君はすぐに泣く」なんて言われてしまうな。そう思ってセスに見えないように俯くと、溢れた涙が地面に散った。
「…ヨハンのところに行こう。大丈夫、あの人はいい人だよ。きっと力になってくれる」
フッと力を抜いたような柔らかい声が降ってきた。
今まで聞いていた話からは想像もできない言葉に驚いて顔を上げると、セスは困ったように笑って視線を外した。
「本当はこんなこと、好きな女性の前で言いたくなかったんだけどね…」
そして私が口を開くより早くそう続けて、くるりと背を向けて歩き出した。一瞬垣間見えた拗ねたような、諦めたような可愛げの見える表情に、私の頬も思わず緩んだ。
ヨハンの診療所は初見ではどうやってもたどり着けないだろう場所にあった。狭い路地を入った奥のそのさらに奥という感じで、怪我人をここまで歩かせるのもどうかと思うくらい大通りからは離れている。しかも看板も何もなく、まるで勝手口を思わせるような簡素な入口があるだけだった。
ここに至るまで、セスは一度として振り返ることはなく、また話をすることもなかった。
私がついて来ているのはちゃんと分かっていたのだろうし、そうすることで心を整理する時間をくれたのだと思う。実際、それで私の心はだいぶ落ち着きを取り戻した。
「準備はいいかな?」
「う、うん」
笑みを浮かべて聞くセスを前に、私は硬い表情を崩せなかった。
自分以外の転生者に初めて会う緊張感と、気難しい人なのだろうという先入観がそうさせている。
そんな私を見てセスはまた困ったように笑って、何か不思議なリズムをつけて扉をノックした。
「……入れ」
扉の向こう側から、辛うじて聞き取れるくらいの小さい声が聞こえた。
この扉のすぐ向こう側にいるというのか。緊張が増したが、セスは躊躇うことなく扉を開いて中へと入ってしまった。そして中から扉が閉まらないように押さえたまま、私にも入るように促した。
「し、失礼します…」
一応そう挨拶しながら中へと足を踏み入れると、そこは紛れもない診察室だった。
壁際にある長机と、椅子と、それに座る白衣を来た人物、机の上の大量の紙類。反対側の壁際に置かれた白いシーツのベッド。鼻をつく消毒液の匂い。まるで現代の病院に来たかのような光景に、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなった。
「……お前か」
背もたれのついた黒い椅子に座っていた白衣の人物がくるりと椅子を回して言った。まず間違いなく彼がヨハンだろう。
1000年以上生きている、とは言うものの見た目は若い。20代半ばくらいだ。浅黒の肌に尖った耳、透き通るような金の髪、セスの髪色のような綺麗な水色の瞳、ミディアムヘアというのだろうか、肩にかからないくらいの髪をナチュラルにまとめたイケメンだった。
「貴方に会いたいという人を連れてきた」
「…へぇ。また珍しいこともあったもんだ」
セスの言葉にニヤリと笑って、ヨハンは私を見た。
セスがヨハンに対して"貴方"と言ったことも衝撃だが、ヨハンのイケボ具合にも衝撃が走った。セスの柔らかくて心地よい声とはまた違う、ワイルドさと色気が混じり合ったような声だった。
「初めまして、シエルです」
「知ってる上で来てるんだとは思うが、ヨハンだ。それで、俺に何の用?」
ずいぶんとフランクにヨハンが言う。
初見は門前払いされると聞いていたので頑固で寡黙な人なのかと思っていたけれど、そういう感じではなさそうだ。
「場所を変えたい。今患者はいないんだろう?」
私が答える前にセスが割り入るように言った。
「…パッと終わる話じゃねぇってことか。なら隣に移動するか」
そう言ってヨハンは気だるげに立ち上がって、奥にある出入り口のカーテンをくぐって向こう側へと消えて行った。
「おいで」
チラリと私を見てそう言って、セスも同様にカーテンをくぐって行く。
壁をドーム型にくり抜いて作られたようなその出入り口の先には左右に続く廊下があり、目前の壁には等間隔でドアが配置されている。
「こっちだ」
向かって左手側に立っていたセスが、私を手招きしてまたカーテンの奥に消えた。
どうやら、先ほどの診察室の左隣も同様にカーテンで仕切られた部屋になっているようだ。右手側を見てみると、診察室の右隣りにも同様にカーテンがかけられたドーム型の出入り口がある。
セスが入って行った側のカーテンをくぐると、そこは食堂だった。
部屋の中央には8人掛けのダイニングテーブルが置かれ、奥にはキッチン、左右の壁には食器棚や食材が入っていると思わしき棚がある。
「好きなとこに座ってろ」
奥のキッチンで何かを準備しているヨハンが、こちらを振り向くこともせずにそう言った。
入って手前側の椅子にセスが座っているので、私はその隣へと腰かける。
「レクシーはもういないのか?」
「あー…いるけど、今買い物に行ってる。もうすぐ帰ってきちまうかな」
セスの質問にやはり振り向くことなくヨハンが答える。
女性の名前のようだが、ヨハンの元に他の誰かがいるとは聞いていなかった。誰なのだろう。
「…なるほど」
若干顔を顰めてセスが呟いた。
何だろう。ヨハンの言い方も、セスの頷き方も、どことなくそのレクシーという人に"いてほしくない"という気持ちが垣間見える気がする。
「ジシ茶でいいよな?嫌だっつってももう入れちまったけど」
レクシーという人のことにはそれ以上触れず、ヨハンが私とセスの前にカップを置く。
「はい、ありがとうございます」
ジシ茶、というのは今まで飲んだこともなければ聞いたこともない。顔を近づけてみると、麦茶みたいな匂いがした。
「それで?」
自分の前にもカップを置いて、ヨハンはセスの向かいに座りながら聞いた。
「シエルは転生者なんだ。それで、同郷である貴方に会いたいと」
セスの言葉を聞いてヨハンが一瞬驚きに目を見開き、それから真剣な表情に直って私を見つめた。
『…俺の言葉が分かるか?』
そして少しの沈黙の後に、日本語でそう言った。
『はい、分かります。貴方も日本の方なのですね』
「……なるほど」
何がなるほどなのか分からないが、ヨハンは私の日本語を聞いてミトス語でそう呟いた。
『…知ってるかもしれねぇが、俺はこの世界で1000年以上生きてきた。今までに何人か転生者に会ったこともある。だが不思議なことに、お前も含めてそのすべてが日本人だった』
『…すべて日本人…?』
だからなるほど、という言葉が出たのか。
一体何人と会ってきたのかは分からないが、すべてが日本人だったというのは決して偶然ではないだろう。
それがどういう意味を持つのかまでは分からないが…。
『っていうか、まず最初に聞くけどお前そいつとどういう関係なの?俺が知る限りでは他人と慣れ合うようなやつじゃないんだけど』
セスの話と気づかれないようにだろう、あえて名前を出さずにヨハンが言った。視線もそちらに一切向けないという徹底ぶりだ。
私がセスからアルディナ語を教わる対価として日本語を教えるという約束ではあったが、実際私が教わるばかりで教えていなかったのが幸いだ。
『えっと…恋人…?』
「はあああぁぁぁ!?」
私の返答を聞いて、大声で叫びながらヨハンが勢いよく立ち上がった。
その拍子にテーブルが大きく揺れ、まだ手を付けていなかった私とヨハンのジシ茶が零れた。
『ち、違う!違うんです!!私、前の世界では女だったんで!!決してBLってわけじゃなくてっ!!』
『女!?んだよ、びっくりさせんな!!ついにやつもそっちの世界行にっちまったんかと思ったじゃねーか!!』
『違います!!あくまでも私たちはノーマルな関係性で!!』
『……』
"ついに"の意味も"やつも"の意味も分からないが、とりあえず必死に弁明する。が、ヨハンは神妙な面持ちで私を見つめていて、何を考えているのかいまいち読めない。これ以上説明のしようもないので、納得してほしいところなのだが。
『…まぁ、そういうことならとりあえず分かった』
長い沈黙の末に、ヨハンはそう呟いて静かに腰を下ろした。
ひとまず誤解は解けたようで安心したが、それにしてもこの人、普通の若者感が半端ないな。もっと長老感があるのかと思っていたが、1000年以上生きている貫禄は皆無だ。私としては話しやすいのでいいのだけど、想像していた人物像からはずいぶんとかけ離れている。
「あのさ、ずいぶん盛り上がってるみたいだけど、それ俺に聞かせたくない話なの?のけ者にされるとさすがに俺も傷つくんだけど」
あからさまに不機嫌そうにセスが口を挟む。
まったく分からない言語で話をされては、そりゃつまらないことだろう。
「うるせーな!てめぇの話してんだよ!!『リア充』は黙ってろ!!」
零れてしまったお茶を律儀にも布巾で拭きながら、ヨハンが苛立ちを露わにして言う。
「リアジュウ…?」
「待って、待って、ヨハンさん何で『リア充』って言葉知ってるんですか!?貴方は一体いつの時代からこっちの世界に!?」
ミトス語に混ざった"リア充"という言葉に、危うく持ち上げたカップを取り落としそうになった。
セスはまったく意味が分からないという感じで頭に「?」を浮かべているが、そこをフォローしている余裕はない。
「『2009年』だ。お前がこっちに来たのは『2019年』…そうだろ?」
冷静さを取り戻したのか、スッと声のトーンを落としてヨハンが言う。日本語とミトス語が織り交ぜられているのは、セスにも話の内容が分かるように配慮したからだろう。
「……何で…」
しかしなぜそれが断定できたのだろうか。自分が元の世界で死んだ年をずばり言い当てられ、ドクンと心臓が脈打つ音が聞こえた。
「今までに会った転生者から聞いた年を照らし合わせていくと、向こうの1年がこっちの100年に相当することがわかった。だからミハイル・リュミエールがこっちの世界に来たのは『1999年』だと思われる」
「ミハイル・リュミエール?」
「知らねぇか?この世界で最初に確認された転生者だ」
「あ、お風呂を広めた人…ですか」
「ああ」
確かアルディナ語、ミトス語、ルブラ語のすべてを習得した人だと以前セスが教えてくれた。名前までは知らなかったが、ミハイル・リュミエールというらしい。
「『1999年』っつったら向こうの世界で世界滅亡だ何だのって騒がれた年だ。ミハイルが最初の1人目だと仮定したら、何かしらの因果関係があるんじゃねぇかって思ってるんだけどな」
「すみません、その時僕まだ1歳で…出来事としては記憶にないんですが、確かにその話を聞く限り無関係とも言えないですよね」
「……そうか。ずいぶんと若かったんだな。死んだ時の年齢はまちまちだったが、俺自身も他の転生者もすべてが事故死だった。お前もそうなんだろ?」
ヨハンが一瞬哀れむように私を見てから視線を外した。
「そうですね。その通りです。全員が事故死だなんて…偶然ではないですよね」
「だろうな。それが分かったところで何が変わるわけでもねぇんだけどな…」
どこか諦めたような言い方だった。
それでも不明瞭なままよりいいと思うのだが。いくつかの事実が判明したのは、ヨハンが転生者の情報を元に統計を取っていたからに他ならないわけだし。
「でも僕は救われました。同じような状況でこの世界に来たのが自分だけじゃなかったんだって。貴方とお会いできて、よかった」
「……そうか」
私の言葉に視線を外したまま、ヨハンは柔らかい笑みを見せた。
「ヨハン、話はそれだけじゃなくて」
「たっだいまー!!」
今までずっと黙って話を聞いていたセスが口を開いたのと、場違いなほど明るく元気な声が聞こえたのはほぼ同時だった。
「あー…うるせぇのが帰ってきやがった…」
あからさまに顔を顰めてヨハンが呟いた。
「あっれー!?この匂い…」
と言いながらカーテンを勢いよく開けて、少女が食堂へと入ってきた。
「…………」
犬だ。
正確には犬の獣人だ。
年の頃は私と同じくらいだろうか、肩くらいまで伸ばした茶色の髪、茶色に先が白くなった犬耳、モフモフした同色の尻尾。ベルナデットを犬にしましたみたいな感じの獣人だ。白いパーカーに赤いチェックのミニスカートと、まるで休みの日の女子高生みたいな恰好をしている。
「セスじゃないかぁ!ひっさしぶりー!!」
一瞬の間の後、高らかに叫びながらその少女がセスに抱き付いた。
「…っ離れろ、レクシー…!」
すぐにセスがレクシ―と呼ばれた少女を無理やり引き離した。
なるほど、この少女が先ほど話に出てきた人物か。
「なんだよぉ!相変わらず冷たいなぁ…って君はだぁれ?かーわいいっ!!」
「ぅぇえっ!?」
レクシ―が頬を膨らませて拗ねたかと思えば、その瞬間今度は私に抱き付いてきた。肩越しに見えるモフモフの尻尾が、引きちぎれんばかりに激しく振られている。イチゴのような甘い香りがして、思わず心臓が高鳴った。
「黙れ。離れろ」
犬の首根っこを掴むようにして、セスがレクシーを引き離す。
その冷たい声と表情に、私の背筋が凍った。
「いたたたたっ暴力はんたーい!!」
そんな雰囲気を微塵も感じ取っていないらしいレクシーが、ジタバタと暴れる。
「てめぇ、帰って来るなりうるせーんだよ!!少しは大人しくしてろ!!」
「キャンっ!」
ヨハンが投げた布巾が顔にペシンと当たり、レクシーは犬みたいな声を上げて私の背後へとサッと身を隠した。
「えっ…え!?」
私の肩を掴み背後で身を丸くするレクシーを前に、私はどうしていいか分からず助けを求めるようにセスとヨハンを見た。が、背後のレクシーに対して向けている忌々しそうな目が私にも突き刺さり、今すぐこの場を離れたい気分になった。
「初めましてっ!レクシーだよ!よろしくねー!」
結局、ヨハンによってレクシーは無理やり引き離され、強制的にヨハンの隣へと座らされた。
つまりは私の目の前に座ることになったレクシーが、先ほどの抗争を反省する素振りもなく明るく自己紹介を始める。
「初めまして…シエルです…」
目の前には切り分けられたチーズケーキが置かれている。これは「美味しそうだったからつい買ってきちゃった☆」とレクシーがヨハンのお金で買ってきたものらしい。当然、「余計なモン買ってんじゃねぇ!!」とヨハンに怒られていたが、レクシーは「お客さんいるならちょうどよかったじゃん!」と開き直ってルンルン気分で切り分けていた。
何だろうこれ。何か想像していたヨハンの出会いとはあまりにも違いすぎた。
全速力で走ったはずなのに、あっさり追いつかれた。
「……っ」
セスの足が速いのは今までを見ていて分かっていたし、撒けるとも思っていなかったが、こうもすぐに追いつかれると非常に気まずい。
怒っているのか、悲しんでいるのか、はたまた別の感情を持っているのか分からないが、何にせよ今の自分に直視できるだけの覚悟がなくて、私の腕をきつく掴むセスの顔を見ることはできなかった。
「俺を見ろ」
そんな私を見透かしたように、セスが言う。
「……っ」
怒っているかのような声色に心臓が跳ねたが、そう言われてしまえば見ざるを得ない。
恐る恐る顔を上げてみると、しかし予想に反してセスは真剣な眼差しで私を見下ろしていた。
「急にこんなことになって混乱しているのは分かる。俺だって事態を把握できているわけじゃない。でも俺は彼女たちとは違う。何があっても決して君を見捨てたりしない」
真っ直ぐに私を見据える瞳から、目を逸らすことができなかった。
空よりも深い青の双眸に吸い込まれそうな錯覚すら覚えながら、きつく掴まれた腕の痛みで意識を現実へと引きとめる。
「…セス……」
「…だから俺から逃げないでくれ」
しばらくの静寂の後に絞り出されたのは、泣きそうな声だった。
苦しげなその声と切なげに歪められた表情に、胸が締め付けられる。
「……ごめん」
じわりと視界が滲んて来て、そう返事をするのが精いっぱいだった。
あぁ、これじゃあまた「そうやって君はすぐに泣く」なんて言われてしまうな。そう思ってセスに見えないように俯くと、溢れた涙が地面に散った。
「…ヨハンのところに行こう。大丈夫、あの人はいい人だよ。きっと力になってくれる」
フッと力を抜いたような柔らかい声が降ってきた。
今まで聞いていた話からは想像もできない言葉に驚いて顔を上げると、セスは困ったように笑って視線を外した。
「本当はこんなこと、好きな女性の前で言いたくなかったんだけどね…」
そして私が口を開くより早くそう続けて、くるりと背を向けて歩き出した。一瞬垣間見えた拗ねたような、諦めたような可愛げの見える表情に、私の頬も思わず緩んだ。
ヨハンの診療所は初見ではどうやってもたどり着けないだろう場所にあった。狭い路地を入った奥のそのさらに奥という感じで、怪我人をここまで歩かせるのもどうかと思うくらい大通りからは離れている。しかも看板も何もなく、まるで勝手口を思わせるような簡素な入口があるだけだった。
ここに至るまで、セスは一度として振り返ることはなく、また話をすることもなかった。
私がついて来ているのはちゃんと分かっていたのだろうし、そうすることで心を整理する時間をくれたのだと思う。実際、それで私の心はだいぶ落ち着きを取り戻した。
「準備はいいかな?」
「う、うん」
笑みを浮かべて聞くセスを前に、私は硬い表情を崩せなかった。
自分以外の転生者に初めて会う緊張感と、気難しい人なのだろうという先入観がそうさせている。
そんな私を見てセスはまた困ったように笑って、何か不思議なリズムをつけて扉をノックした。
「……入れ」
扉の向こう側から、辛うじて聞き取れるくらいの小さい声が聞こえた。
この扉のすぐ向こう側にいるというのか。緊張が増したが、セスは躊躇うことなく扉を開いて中へと入ってしまった。そして中から扉が閉まらないように押さえたまま、私にも入るように促した。
「し、失礼します…」
一応そう挨拶しながら中へと足を踏み入れると、そこは紛れもない診察室だった。
壁際にある長机と、椅子と、それに座る白衣を来た人物、机の上の大量の紙類。反対側の壁際に置かれた白いシーツのベッド。鼻をつく消毒液の匂い。まるで現代の病院に来たかのような光景に、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなった。
「……お前か」
背もたれのついた黒い椅子に座っていた白衣の人物がくるりと椅子を回して言った。まず間違いなく彼がヨハンだろう。
1000年以上生きている、とは言うものの見た目は若い。20代半ばくらいだ。浅黒の肌に尖った耳、透き通るような金の髪、セスの髪色のような綺麗な水色の瞳、ミディアムヘアというのだろうか、肩にかからないくらいの髪をナチュラルにまとめたイケメンだった。
「貴方に会いたいという人を連れてきた」
「…へぇ。また珍しいこともあったもんだ」
セスの言葉にニヤリと笑って、ヨハンは私を見た。
セスがヨハンに対して"貴方"と言ったことも衝撃だが、ヨハンのイケボ具合にも衝撃が走った。セスの柔らかくて心地よい声とはまた違う、ワイルドさと色気が混じり合ったような声だった。
「初めまして、シエルです」
「知ってる上で来てるんだとは思うが、ヨハンだ。それで、俺に何の用?」
ずいぶんとフランクにヨハンが言う。
初見は門前払いされると聞いていたので頑固で寡黙な人なのかと思っていたけれど、そういう感じではなさそうだ。
「場所を変えたい。今患者はいないんだろう?」
私が答える前にセスが割り入るように言った。
「…パッと終わる話じゃねぇってことか。なら隣に移動するか」
そう言ってヨハンは気だるげに立ち上がって、奥にある出入り口のカーテンをくぐって向こう側へと消えて行った。
「おいで」
チラリと私を見てそう言って、セスも同様にカーテンをくぐって行く。
壁をドーム型にくり抜いて作られたようなその出入り口の先には左右に続く廊下があり、目前の壁には等間隔でドアが配置されている。
「こっちだ」
向かって左手側に立っていたセスが、私を手招きしてまたカーテンの奥に消えた。
どうやら、先ほどの診察室の左隣も同様にカーテンで仕切られた部屋になっているようだ。右手側を見てみると、診察室の右隣りにも同様にカーテンがかけられたドーム型の出入り口がある。
セスが入って行った側のカーテンをくぐると、そこは食堂だった。
部屋の中央には8人掛けのダイニングテーブルが置かれ、奥にはキッチン、左右の壁には食器棚や食材が入っていると思わしき棚がある。
「好きなとこに座ってろ」
奥のキッチンで何かを準備しているヨハンが、こちらを振り向くこともせずにそう言った。
入って手前側の椅子にセスが座っているので、私はその隣へと腰かける。
「レクシーはもういないのか?」
「あー…いるけど、今買い物に行ってる。もうすぐ帰ってきちまうかな」
セスの質問にやはり振り向くことなくヨハンが答える。
女性の名前のようだが、ヨハンの元に他の誰かがいるとは聞いていなかった。誰なのだろう。
「…なるほど」
若干顔を顰めてセスが呟いた。
何だろう。ヨハンの言い方も、セスの頷き方も、どことなくそのレクシーという人に"いてほしくない"という気持ちが垣間見える気がする。
「ジシ茶でいいよな?嫌だっつってももう入れちまったけど」
レクシーという人のことにはそれ以上触れず、ヨハンが私とセスの前にカップを置く。
「はい、ありがとうございます」
ジシ茶、というのは今まで飲んだこともなければ聞いたこともない。顔を近づけてみると、麦茶みたいな匂いがした。
「それで?」
自分の前にもカップを置いて、ヨハンはセスの向かいに座りながら聞いた。
「シエルは転生者なんだ。それで、同郷である貴方に会いたいと」
セスの言葉を聞いてヨハンが一瞬驚きに目を見開き、それから真剣な表情に直って私を見つめた。
『…俺の言葉が分かるか?』
そして少しの沈黙の後に、日本語でそう言った。
『はい、分かります。貴方も日本の方なのですね』
「……なるほど」
何がなるほどなのか分からないが、ヨハンは私の日本語を聞いてミトス語でそう呟いた。
『…知ってるかもしれねぇが、俺はこの世界で1000年以上生きてきた。今までに何人か転生者に会ったこともある。だが不思議なことに、お前も含めてそのすべてが日本人だった』
『…すべて日本人…?』
だからなるほど、という言葉が出たのか。
一体何人と会ってきたのかは分からないが、すべてが日本人だったというのは決して偶然ではないだろう。
それがどういう意味を持つのかまでは分からないが…。
『っていうか、まず最初に聞くけどお前そいつとどういう関係なの?俺が知る限りでは他人と慣れ合うようなやつじゃないんだけど』
セスの話と気づかれないようにだろう、あえて名前を出さずにヨハンが言った。視線もそちらに一切向けないという徹底ぶりだ。
私がセスからアルディナ語を教わる対価として日本語を教えるという約束ではあったが、実際私が教わるばかりで教えていなかったのが幸いだ。
『えっと…恋人…?』
「はあああぁぁぁ!?」
私の返答を聞いて、大声で叫びながらヨハンが勢いよく立ち上がった。
その拍子にテーブルが大きく揺れ、まだ手を付けていなかった私とヨハンのジシ茶が零れた。
『ち、違う!違うんです!!私、前の世界では女だったんで!!決してBLってわけじゃなくてっ!!』
『女!?んだよ、びっくりさせんな!!ついにやつもそっちの世界行にっちまったんかと思ったじゃねーか!!』
『違います!!あくまでも私たちはノーマルな関係性で!!』
『……』
"ついに"の意味も"やつも"の意味も分からないが、とりあえず必死に弁明する。が、ヨハンは神妙な面持ちで私を見つめていて、何を考えているのかいまいち読めない。これ以上説明のしようもないので、納得してほしいところなのだが。
『…まぁ、そういうことならとりあえず分かった』
長い沈黙の末に、ヨハンはそう呟いて静かに腰を下ろした。
ひとまず誤解は解けたようで安心したが、それにしてもこの人、普通の若者感が半端ないな。もっと長老感があるのかと思っていたが、1000年以上生きている貫禄は皆無だ。私としては話しやすいのでいいのだけど、想像していた人物像からはずいぶんとかけ離れている。
「あのさ、ずいぶん盛り上がってるみたいだけど、それ俺に聞かせたくない話なの?のけ者にされるとさすがに俺も傷つくんだけど」
あからさまに不機嫌そうにセスが口を挟む。
まったく分からない言語で話をされては、そりゃつまらないことだろう。
「うるせーな!てめぇの話してんだよ!!『リア充』は黙ってろ!!」
零れてしまったお茶を律儀にも布巾で拭きながら、ヨハンが苛立ちを露わにして言う。
「リアジュウ…?」
「待って、待って、ヨハンさん何で『リア充』って言葉知ってるんですか!?貴方は一体いつの時代からこっちの世界に!?」
ミトス語に混ざった"リア充"という言葉に、危うく持ち上げたカップを取り落としそうになった。
セスはまったく意味が分からないという感じで頭に「?」を浮かべているが、そこをフォローしている余裕はない。
「『2009年』だ。お前がこっちに来たのは『2019年』…そうだろ?」
冷静さを取り戻したのか、スッと声のトーンを落としてヨハンが言う。日本語とミトス語が織り交ぜられているのは、セスにも話の内容が分かるように配慮したからだろう。
「……何で…」
しかしなぜそれが断定できたのだろうか。自分が元の世界で死んだ年をずばり言い当てられ、ドクンと心臓が脈打つ音が聞こえた。
「今までに会った転生者から聞いた年を照らし合わせていくと、向こうの1年がこっちの100年に相当することがわかった。だからミハイル・リュミエールがこっちの世界に来たのは『1999年』だと思われる」
「ミハイル・リュミエール?」
「知らねぇか?この世界で最初に確認された転生者だ」
「あ、お風呂を広めた人…ですか」
「ああ」
確かアルディナ語、ミトス語、ルブラ語のすべてを習得した人だと以前セスが教えてくれた。名前までは知らなかったが、ミハイル・リュミエールというらしい。
「『1999年』っつったら向こうの世界で世界滅亡だ何だのって騒がれた年だ。ミハイルが最初の1人目だと仮定したら、何かしらの因果関係があるんじゃねぇかって思ってるんだけどな」
「すみません、その時僕まだ1歳で…出来事としては記憶にないんですが、確かにその話を聞く限り無関係とも言えないですよね」
「……そうか。ずいぶんと若かったんだな。死んだ時の年齢はまちまちだったが、俺自身も他の転生者もすべてが事故死だった。お前もそうなんだろ?」
ヨハンが一瞬哀れむように私を見てから視線を外した。
「そうですね。その通りです。全員が事故死だなんて…偶然ではないですよね」
「だろうな。それが分かったところで何が変わるわけでもねぇんだけどな…」
どこか諦めたような言い方だった。
それでも不明瞭なままよりいいと思うのだが。いくつかの事実が判明したのは、ヨハンが転生者の情報を元に統計を取っていたからに他ならないわけだし。
「でも僕は救われました。同じような状況でこの世界に来たのが自分だけじゃなかったんだって。貴方とお会いできて、よかった」
「……そうか」
私の言葉に視線を外したまま、ヨハンは柔らかい笑みを見せた。
「ヨハン、話はそれだけじゃなくて」
「たっだいまー!!」
今までずっと黙って話を聞いていたセスが口を開いたのと、場違いなほど明るく元気な声が聞こえたのはほぼ同時だった。
「あー…うるせぇのが帰ってきやがった…」
あからさまに顔を顰めてヨハンが呟いた。
「あっれー!?この匂い…」
と言いながらカーテンを勢いよく開けて、少女が食堂へと入ってきた。
「…………」
犬だ。
正確には犬の獣人だ。
年の頃は私と同じくらいだろうか、肩くらいまで伸ばした茶色の髪、茶色に先が白くなった犬耳、モフモフした同色の尻尾。ベルナデットを犬にしましたみたいな感じの獣人だ。白いパーカーに赤いチェックのミニスカートと、まるで休みの日の女子高生みたいな恰好をしている。
「セスじゃないかぁ!ひっさしぶりー!!」
一瞬の間の後、高らかに叫びながらその少女がセスに抱き付いた。
「…っ離れろ、レクシー…!」
すぐにセスがレクシ―と呼ばれた少女を無理やり引き離した。
なるほど、この少女が先ほど話に出てきた人物か。
「なんだよぉ!相変わらず冷たいなぁ…って君はだぁれ?かーわいいっ!!」
「ぅぇえっ!?」
レクシ―が頬を膨らませて拗ねたかと思えば、その瞬間今度は私に抱き付いてきた。肩越しに見えるモフモフの尻尾が、引きちぎれんばかりに激しく振られている。イチゴのような甘い香りがして、思わず心臓が高鳴った。
「黙れ。離れろ」
犬の首根っこを掴むようにして、セスがレクシーを引き離す。
その冷たい声と表情に、私の背筋が凍った。
「いたたたたっ暴力はんたーい!!」
そんな雰囲気を微塵も感じ取っていないらしいレクシーが、ジタバタと暴れる。
「てめぇ、帰って来るなりうるせーんだよ!!少しは大人しくしてろ!!」
「キャンっ!」
ヨハンが投げた布巾が顔にペシンと当たり、レクシーは犬みたいな声を上げて私の背後へとサッと身を隠した。
「えっ…え!?」
私の肩を掴み背後で身を丸くするレクシーを前に、私はどうしていいか分からず助けを求めるようにセスとヨハンを見た。が、背後のレクシーに対して向けている忌々しそうな目が私にも突き刺さり、今すぐこの場を離れたい気分になった。
「初めましてっ!レクシーだよ!よろしくねー!」
結局、ヨハンによってレクシーは無理やり引き離され、強制的にヨハンの隣へと座らされた。
つまりは私の目の前に座ることになったレクシーが、先ほどの抗争を反省する素振りもなく明るく自己紹介を始める。
「初めまして…シエルです…」
目の前には切り分けられたチーズケーキが置かれている。これは「美味しそうだったからつい買ってきちゃった☆」とレクシーがヨハンのお金で買ってきたものらしい。当然、「余計なモン買ってんじゃねぇ!!」とヨハンに怒られていたが、レクシーは「お客さんいるならちょうどよかったじゃん!」と開き直ってルンルン気分で切り分けていた。
何だろうこれ。何か想像していたヨハンの出会いとはあまりにも違いすぎた。
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