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五章
第75話 いくつかの選択肢
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「レクシーは、俺がここで診た最後の患者なんだ」
自己紹介の後、意外にも最初に口を開いたのはセスだった。
「最後の患者…?」
「そう。ヨハンに命を助けられた対価として治癒術を提供した、最後の患者」
医術では手に負えないレベルの怪我人を助命するための治癒術、セスはそれを対価として支払うためにヨハンの元にいた。
まさかこのレクシーが、その最後の患者だったとは。
「あの時はちょーっとミスっちゃってねぇ。セスのお陰で何とか命は助かったけど、今度はあたしがここで働かされる羽目に…トホホー…」
「トホホー…じゃねーよ!金がないならその分きっちり働け!」
「ねぇ、シエル、酷いと思わない!?あたしの命を助けてくれたのはヨハンじゃなくてセスなのにヨハンに奉仕しなきゃならないなんて!!」
「黙れ!俺の手札を使ってお前を助けたんだから、俺に対価を支払うのは当然だろうが!!」
「…………」
私はコントか何かを見せられているのだろうか。
レクシーにとって割と深刻な状況なのではなかろうかと思うのだが、2人のやり取りからはまったくそれを感じられない。そればかりか、何だか楽しそうに見えてしまうほどだ。
「それにしても15年はないんじゃない!?あたしは明るい未来が待ってるピチピチの女の子だっていうのにー!!」
「なぁーにがピチピチの女の子だ!命ってのはなぁ、重いんだよ!雑用しかできねぇくせに文句言うな!!」
なるほど、セスがここで20年働かされたように、レクシーは15年という期間を科せられたようだ。
しかしレクシーはどう見ても私と同じか、それ以下の年齢くらいだ。それなのに15年というのは些か長すぎるのではないだろうか。
「そもそも明るい未来が待っている人間はこんな所に出入りしてないだろ…」
「セスてめぇ、こんな所ってのはどういうことだ!さり気なく俺を貶してんじゃねぇよ!!」
「ふえーん、2人ともひーどーいー」
「…………」
デッドライン討伐の時でもこんなに騒がしくなかった気がする。
大きい子供の集まりみたいで何だか笑えてくるな。いや、レクシーは見た目的にも私とそう変わらなそうではあるけれど。
「あーそういや、こいつのせいで話が逸れちまったが、まだ話の続きがあるみたいなこと言ってたよな。こいつ外に出したほうがいいか?」
「えー!?なになに、何の話?あたしだけのけ者にしようだなんてひどいよー」
「うるせーな、お前少し黙ってろよ」
「いや、むしろレクシーにも聞いてほしい。少しでも意見が欲しいところなんだ」
先ほどまでのノリのまま話していた2人が、少しでも意見が欲しいというセスの言葉で真剣な顔つきに変わった。
「夢、ねぇ…」
地下洞窟からここに至るまでの出来事を全て話すと、ヨハンはそう呟いて考え込んだ。
そのことを話すに当たって、レクシーにも私が転生者であることや女であること、セスと恋仲であることを話してある。
ちなみにレクシーはそれを聞いて、「女の子なんだぁ!後でいいことしようね☆」と意味深なことを口にしたためにヨハンに鉄槌を喰らっていた。
「その夢を見たのは今回が初めてか?」
「いいえ、迷路を彷徨う夢はこれで2回目です。似たような感じで深い森を彷徨う夢も見たことがあって…それは4~5回見たかな…」
「深い森…?」
ヨハンの質問に答えた私にセスが怪訝そうな表情を向けた。
森の夢のことはセスにも話したことがなかったので、疑問に思うのは当然だろう。
「迷路の夢に関係あるかはわからないんだけど…」
「まぁ、でもお前が似てると感じてるなら無関係って訳でもなさそうだけどな。そういう夢を見た時の共通点はあるのか?」
「共通点…」
ヨハンの質問に記憶を辿る。全てに共通する何かはあっただろうか。
「うーん…命に係わるような怪我をした時…?でも必ずしもそうじゃなくて、初めて見たのは成人の儀でお酒を飲みすぎて倒れた時だし…。あとはカルナの病院に入院していた時とか…」
「カルナの病院?ヒューイの依頼の時の?」
私の言葉に真っ先に反応したのはセスだった。
「うん…あの時は何度か森を彷徨う夢を見た」
「ファネルリーデの影響下にあった時か…」
「ファネルリーデってお前…」
それを聞いていたヨハンを顔を顰めて私を見た。
ファネルリーデという薬がずいぶんと危ないものだったということは後から聞いた。そんな薬を何故私が打たれたのかとヨハンとしては疑問なのだろう。
「あの時、シエルには刺激に対して何の反射も見せなかった時間が丸2日間もあった。それがファネルリーデの影響によるものなのか別の要因なのか特定できなかったが…その夢を見ていたからという可能性もあるな…。アンジェリカの術が干渉された時も体を揺さぶったくらいでは起きなかったし…」
「つまりは単純に言えば弱ってる時ってことだろ。そういう時じゃないとその"誰か"はシエルの夢に干渉できないんじゃねぇのか?今日はカムニ族が夢を誘発してくれたおかげで弱ってなくてもできたとか」
独り言のように呟いたセスを横目にヨハンが言った。
「なるほど…」
そうなのかもしれない。あの場所をずっと三途の川的な場所だと思っていたくらいだし。
「しかし…森を彷徨う夢、迷路を彷徨う夢、迷路を突破して白い空間に出る夢、そこにいた"誰か"。どうにも順を追ってるように思えてならねぇ」
ケーキをフォークで切りながら、ヨハンも独り言のように呟いた。
自分の話なので何となく手を付けづらいが、非常においしそうなチーズケーキだ。
「順?」
「迷路はそれ以上踏み込ませないための防御なんじゃないか、カムニ族はそう言ってたんだろ?だとしたら森を彷徨ってたのも同じなんじゃねぇの?二重に張られてた防御を突破したから白い空間に出た、そう考えると辻褄が合う」
「ということは、森も迷路も白い空間にいる少年を守るための防御だったってことですよね。じゃあ…何故僕はそこに呼ばれたんだろう…。防御を突破させたい別の誰かがいるってことでしょうか?」
「さぁな…。そこまでは分かんねぇ。ただ防御を突破しちまった以上、俺は一度そいつと話してみた方がいいんじゃねぇかと思うんだがな」
「えぇー!?危なくない?あたしはやめておいた方がいいと思うけどな…」
今まで黙々とケーキを食べていたレクシーが口を挟んだ。一応話は真面目に聞いていたようだ。
「そいつに会うだけで危険だっつーなら、もう遅いだろ。なら話をしてもう少し状況を理解しておいた方がいいんじゃねぇのか?」
「そうかなぁ?夢をどうこうするのって魔族の専門分野でしょ?だったらアルディナに逃げちゃえばいいんじゃないの?干渉してきてるのが誰であっても、さすがにアルディナにいれば大丈夫でしょ」
「…………」
レクシーの言葉に全員が沈黙した。
今までの態度からは考えられないほどまともな意見だ。おそらくレクシー以外の全員がそう思っていることだろう。
「え、なになに?なんでみんな黙っちゃったの?」
「……お前、たまにはまともなことも言うんだな」
「なっ!?たまにはって何よ、たまにはってー!!」
心から意外そうに発せられたヨハンの言葉に、レクシーが先ほどまでの調子で怒る。
「確かにそうかもしれないけど、じゃあこれから一生アルディナに居続けるのかって言ったら、それは少し難しい話だ」
そんな2人を茶化すこともなく、セスはどこか苦しげな表情でそう呟いた。
「何で?」
「俺が自由に動けないからだ。だからと言ってアルディナでシエルを1人にするつもりもない」
「それを決めるのはセスじゃなくてシエルなんじゃないの?それとも…シエルはセスの所有物だとでも言いたいの?」
「…………」
レクシーの言葉でセスが怒りの表情を見せた。が、そういう時にいつも見せる氷のような冷たい表情ではない。眉を寄せ、鋭い眼光でレクシーを睨むその様は、炎のような熱さを感じさせた。
「あ、あのっ…」
「へー、そういう顔もできるんだ」
自分でも何を言おうと思ったのか分からないまま発した言葉は、あざ笑うかのようなレクシーの言葉に掻き消された。
レクシー、何てことを言うんだ。怒りの矛先を向けられているのにそんな態度を取るなど、まさしく火に油ではないだろうか。
「やめとけレクシー、アルディナの事情なんて俺らにはわからねぇし、その辺はセスとシエルが話し合って決めることだ。とりあえず一旦お開きにしようぜ。お前ら地下洞窟から帰ってきたばかりなんだろ?飯の時間まで少し休めよ。今は入院してる患者もいねーし、部屋も風呂も好きに使っていいから」
セスが何かを返すよりも早くヨハンが立ち上がって言った。
このままだとより険悪な雰囲気になると察してそうしてくれたのだろう。非常に空気の読める人だ。
「んじゃ、そういうことでー。あ、あたしの部屋は一番奥だからそれ以外使ってね!」
「そういうことでー、じゃねぇ!!お前はちゃんと飯作れよ!4人分だかんな!!」
ちゃっかり出て行こうとするレクシーの首根っこを掴み、ヨハンが怒る。
「うわーん、あたしだってちょっとくらい休んだっていいじゃーん!!」
それに対してレクシーもわざとらしく泣く真似をして返す。
セスを見るとそんな2人からは視線を外して、痛みを耐えるような表情で何かを考えていた。
「セス、あの、」
「案内するよ、シエル。おいで」
私の言葉を遮ってセスが立ち上がりながらそう言った。
先ほどとは打って変わった穏やかな笑みが、逆に私の不安を掻き立てた。
ヨハンの診療所は、入院患者用の個室が5部屋完備されている。
廊下の向かい側に5部屋並んでいるその個室の、左奥にある部屋がレクシーの部屋だ。レクシーの部屋の向かいには倉庫として使っている部屋があり、その隣が食堂、その隣が診察室、その隣がヨハンの仮眠室となっている。
仮眠室、と呼んではいるがそこ以外にヨハンが寝るための部屋はないらしいので、実質そこがヨハンの寝室のようだ。
で、その隣にお風呂とトイレ。さらにその隣に洗濯室。必要最低限の設備が整った診療所だ。
「君はここを使うといいよ。俺は隣を使うから」
そう言ってセスに案内されたのはレクシーの隣の部屋だった。
診察室やトイレに近い部屋は患者が来た時のために空けておくというのがこの診療所に泊まる時のルールらしい。そりゃあそうだろうが、そもそも5部屋ある個室のうち、3部屋も元気な人間が使ってしまっていいのだろうか。
「大丈夫だよ。同時に5人も入院患者がくることなんてないから」
聞くと、セスはそう答えて笑った。
他の部屋も同様なのだろうが、私に割り当てられた部屋は本当に病室だった。
白いシーツのベッド、小さなサイドテーブル、簡易的なロッカー、ベッド横の丸椅子。水の触媒が付けられた小さな洗面所。ただそれだけがある殺風景な個室だ。まぁ、寝るだけと考えるなら何も不自由はない。
夕飯までまだ時間があるから、ということで私とセスは順にお風呂に入り、その後話をしたいというセスが部屋を訪ねてきて今に至る。
「さっきは気分を害してしまったかな。さすがに所有物だなんて思ってないけど、俺が君を手放したくないのは事実だから図星を突かれたようで何も言い返せなかった」
セスは私と視線を合わせずにそう言って、ベッド横の椅子へと腰かけた。
「大丈夫だよ。それだけ僕を大切に思ってくれてるのは嬉しい。だから相談したいんだ。どうするのが一番いいのかを…」
手放したくない、という言葉に心臓が跳ねたが、それを悟られないようにセスの近くのベッドへと腰かける。そんな私をセスはどこか悲しそうな目で見て、すぐにまた逸らした。
「…どうするのが一番いいのか、という問いに答えるなら、レクシーの言うようにアルディナに行くのがいいと思う」
私とは視線を合わせないまま、セスは静かにそう言った。
アルディナで私を1人にするつもりはないとレクシーにも言っていたし、本意ではないのだろう。
「夢は魂が見せる記憶であり、最も神に近づく場所だと言われている。それはつまり、死に近い場所にいるという意味だ。誰かに干渉されているという状況がいいことではないのは確実だろう」
「死に近い場所?」
「人は死んだら魂が神の元へと還る。神はその魂を手に取り、次の転生先へと宿す。だから魂が神に近いということは、死にも近いということなんだ」
「なるほど…?」
夢=魂が神に近づく=死に近い。何だかこじつけのような気もするけど、この世界では本当にそうなのだろうか。
「でもアルディナだと俺は一族に縛られて君の側にいられない。だから…ミトスにいてくれないか。君のことは俺が守るから」
「……っ!」
今日のセスはずいぶんと積極的だ。さっきは何とか動揺を隠せたけど、こうも連続で不意打ちされると困る。
こんなことを考えている場合でないのは分かっているが、どうにも心臓の高鳴りを抑えきれない。
「ぼっ…僕だって、1人でアルディナに行くつもりなんてないよ。セスの側にいたいし…」
「…ありがとう。じゃあ俺から提案があるんだけど」
おそらく見て分かるほどに顔が赤くなっていただろうが、セスはそんな私を茶化すこともなく柔らかい笑みを浮かべてそう口にした。
「俺はあえて夢の中の人物に会う必要はないと思うんだ。その人物に会うためには君の命を危険に晒さなければならないのだろう?そんなことはさせたくないし、逆に言えばそういう状況に陥らなければ干渉されることもないはずだ」
「なるほど…現状維持ってことだね」
「ああ。何か動きがあるまで様子を見てもいいんじゃないかと思う。それでもしミトスにいるのが危険だってなったなら、その時は転移石でアルディナに逃げればいい」
確かにあの少年がどういう立場の者か分からない以上、むやみに接触しない方がいいという意見は最もに思える。今まで、自分が元気な時にあの夢を見たことはない。セスの言う通り、理論上はこれから先そういう状況に陥らなければ干渉されないということだ。
「うん、じゃあそうしよう」
あの少年は誰なのか、自分の置かれている状況がどうなっているのか気にならない訳ではないが、無理に知ろうとして取り返しのつかないことになるくらいなら、現状維持の方がいい。
夢に干渉されるために重傷を負わなければならないというのも、好んでやりたいとは思えないし。
そう思ってセスの言葉に頷くと、セスはまた柔らかく笑って「ありがとう」と小さく呟いた。
レクシーが作った夕食は、予想に反してお店で出てくるようなメニューだった。
肉、パン、サラダにスープと非常にバランスが良く、盛り付けにも非の打ちどころがない。
「すごいね、レクシー、料理上手なんだね」
「まぁね~!味もちゃーんと保証するよ♪」
感想を素直に口にすると、レクシーは謙遜することなく嬉しそうに頷いた。
「セスの料理は酷かったからなー。それを思えばこいつの料理は中々のもんだ」
「食べられれば何でもいいと言ったのは貴方だろう」
呆れたように呟いたヨハンの言葉に、すぐさまセスが反論した。
料理はできない、というのは本人から聞いたことがあるが、一体どんな料理を作ったと言うのだろう。
「そうだな。あれは俺が悪かった。むやみやたらに"何でもいい"という言葉は使うもんじゃねぇ」
「どんな料理だったんですか?」
「最初は味が全くついてなくてな。肉は焼くだけ、野菜は切るだけ、って感じで。さすがに味付けしてくれって頼んだら、次の日はやたらと色々なスパイス使いまくってめちゃくちゃ激辛な料理を出しやがった。しかもこいつ、それを平気な顔して食べてたんだぜ。味覚障害あるんだろうな、きっと」
「…な、なるほど…」
「もういいだろう、昔の話は。それに俺は味覚障害じゃない。食べられれば何でもいいだけだ」
不満そうに反論するセスの言葉はいまいち的を得ていない。
しかしそうか、セスは味覚音痴だったのか…。じゃあ私が作る料理をおいしいと言ってくれてたのはお世辞だったのかな?
拗ねたような顔で夕食を食べ始めたセスを横目に、私は静かに心の中で泣いた。
自己紹介の後、意外にも最初に口を開いたのはセスだった。
「最後の患者…?」
「そう。ヨハンに命を助けられた対価として治癒術を提供した、最後の患者」
医術では手に負えないレベルの怪我人を助命するための治癒術、セスはそれを対価として支払うためにヨハンの元にいた。
まさかこのレクシーが、その最後の患者だったとは。
「あの時はちょーっとミスっちゃってねぇ。セスのお陰で何とか命は助かったけど、今度はあたしがここで働かされる羽目に…トホホー…」
「トホホー…じゃねーよ!金がないならその分きっちり働け!」
「ねぇ、シエル、酷いと思わない!?あたしの命を助けてくれたのはヨハンじゃなくてセスなのにヨハンに奉仕しなきゃならないなんて!!」
「黙れ!俺の手札を使ってお前を助けたんだから、俺に対価を支払うのは当然だろうが!!」
「…………」
私はコントか何かを見せられているのだろうか。
レクシーにとって割と深刻な状況なのではなかろうかと思うのだが、2人のやり取りからはまったくそれを感じられない。そればかりか、何だか楽しそうに見えてしまうほどだ。
「それにしても15年はないんじゃない!?あたしは明るい未来が待ってるピチピチの女の子だっていうのにー!!」
「なぁーにがピチピチの女の子だ!命ってのはなぁ、重いんだよ!雑用しかできねぇくせに文句言うな!!」
なるほど、セスがここで20年働かされたように、レクシーは15年という期間を科せられたようだ。
しかしレクシーはどう見ても私と同じか、それ以下の年齢くらいだ。それなのに15年というのは些か長すぎるのではないだろうか。
「そもそも明るい未来が待っている人間はこんな所に出入りしてないだろ…」
「セスてめぇ、こんな所ってのはどういうことだ!さり気なく俺を貶してんじゃねぇよ!!」
「ふえーん、2人ともひーどーいー」
「…………」
デッドライン討伐の時でもこんなに騒がしくなかった気がする。
大きい子供の集まりみたいで何だか笑えてくるな。いや、レクシーは見た目的にも私とそう変わらなそうではあるけれど。
「あーそういや、こいつのせいで話が逸れちまったが、まだ話の続きがあるみたいなこと言ってたよな。こいつ外に出したほうがいいか?」
「えー!?なになに、何の話?あたしだけのけ者にしようだなんてひどいよー」
「うるせーな、お前少し黙ってろよ」
「いや、むしろレクシーにも聞いてほしい。少しでも意見が欲しいところなんだ」
先ほどまでのノリのまま話していた2人が、少しでも意見が欲しいというセスの言葉で真剣な顔つきに変わった。
「夢、ねぇ…」
地下洞窟からここに至るまでの出来事を全て話すと、ヨハンはそう呟いて考え込んだ。
そのことを話すに当たって、レクシーにも私が転生者であることや女であること、セスと恋仲であることを話してある。
ちなみにレクシーはそれを聞いて、「女の子なんだぁ!後でいいことしようね☆」と意味深なことを口にしたためにヨハンに鉄槌を喰らっていた。
「その夢を見たのは今回が初めてか?」
「いいえ、迷路を彷徨う夢はこれで2回目です。似たような感じで深い森を彷徨う夢も見たことがあって…それは4~5回見たかな…」
「深い森…?」
ヨハンの質問に答えた私にセスが怪訝そうな表情を向けた。
森の夢のことはセスにも話したことがなかったので、疑問に思うのは当然だろう。
「迷路の夢に関係あるかはわからないんだけど…」
「まぁ、でもお前が似てると感じてるなら無関係って訳でもなさそうだけどな。そういう夢を見た時の共通点はあるのか?」
「共通点…」
ヨハンの質問に記憶を辿る。全てに共通する何かはあっただろうか。
「うーん…命に係わるような怪我をした時…?でも必ずしもそうじゃなくて、初めて見たのは成人の儀でお酒を飲みすぎて倒れた時だし…。あとはカルナの病院に入院していた時とか…」
「カルナの病院?ヒューイの依頼の時の?」
私の言葉に真っ先に反応したのはセスだった。
「うん…あの時は何度か森を彷徨う夢を見た」
「ファネルリーデの影響下にあった時か…」
「ファネルリーデってお前…」
それを聞いていたヨハンを顔を顰めて私を見た。
ファネルリーデという薬がずいぶんと危ないものだったということは後から聞いた。そんな薬を何故私が打たれたのかとヨハンとしては疑問なのだろう。
「あの時、シエルには刺激に対して何の反射も見せなかった時間が丸2日間もあった。それがファネルリーデの影響によるものなのか別の要因なのか特定できなかったが…その夢を見ていたからという可能性もあるな…。アンジェリカの術が干渉された時も体を揺さぶったくらいでは起きなかったし…」
「つまりは単純に言えば弱ってる時ってことだろ。そういう時じゃないとその"誰か"はシエルの夢に干渉できないんじゃねぇのか?今日はカムニ族が夢を誘発してくれたおかげで弱ってなくてもできたとか」
独り言のように呟いたセスを横目にヨハンが言った。
「なるほど…」
そうなのかもしれない。あの場所をずっと三途の川的な場所だと思っていたくらいだし。
「しかし…森を彷徨う夢、迷路を彷徨う夢、迷路を突破して白い空間に出る夢、そこにいた"誰か"。どうにも順を追ってるように思えてならねぇ」
ケーキをフォークで切りながら、ヨハンも独り言のように呟いた。
自分の話なので何となく手を付けづらいが、非常においしそうなチーズケーキだ。
「順?」
「迷路はそれ以上踏み込ませないための防御なんじゃないか、カムニ族はそう言ってたんだろ?だとしたら森を彷徨ってたのも同じなんじゃねぇの?二重に張られてた防御を突破したから白い空間に出た、そう考えると辻褄が合う」
「ということは、森も迷路も白い空間にいる少年を守るための防御だったってことですよね。じゃあ…何故僕はそこに呼ばれたんだろう…。防御を突破させたい別の誰かがいるってことでしょうか?」
「さぁな…。そこまでは分かんねぇ。ただ防御を突破しちまった以上、俺は一度そいつと話してみた方がいいんじゃねぇかと思うんだがな」
「えぇー!?危なくない?あたしはやめておいた方がいいと思うけどな…」
今まで黙々とケーキを食べていたレクシーが口を挟んだ。一応話は真面目に聞いていたようだ。
「そいつに会うだけで危険だっつーなら、もう遅いだろ。なら話をしてもう少し状況を理解しておいた方がいいんじゃねぇのか?」
「そうかなぁ?夢をどうこうするのって魔族の専門分野でしょ?だったらアルディナに逃げちゃえばいいんじゃないの?干渉してきてるのが誰であっても、さすがにアルディナにいれば大丈夫でしょ」
「…………」
レクシーの言葉に全員が沈黙した。
今までの態度からは考えられないほどまともな意見だ。おそらくレクシー以外の全員がそう思っていることだろう。
「え、なになに?なんでみんな黙っちゃったの?」
「……お前、たまにはまともなことも言うんだな」
「なっ!?たまにはって何よ、たまにはってー!!」
心から意外そうに発せられたヨハンの言葉に、レクシーが先ほどまでの調子で怒る。
「確かにそうかもしれないけど、じゃあこれから一生アルディナに居続けるのかって言ったら、それは少し難しい話だ」
そんな2人を茶化すこともなく、セスはどこか苦しげな表情でそう呟いた。
「何で?」
「俺が自由に動けないからだ。だからと言ってアルディナでシエルを1人にするつもりもない」
「それを決めるのはセスじゃなくてシエルなんじゃないの?それとも…シエルはセスの所有物だとでも言いたいの?」
「…………」
レクシーの言葉でセスが怒りの表情を見せた。が、そういう時にいつも見せる氷のような冷たい表情ではない。眉を寄せ、鋭い眼光でレクシーを睨むその様は、炎のような熱さを感じさせた。
「あ、あのっ…」
「へー、そういう顔もできるんだ」
自分でも何を言おうと思ったのか分からないまま発した言葉は、あざ笑うかのようなレクシーの言葉に掻き消された。
レクシー、何てことを言うんだ。怒りの矛先を向けられているのにそんな態度を取るなど、まさしく火に油ではないだろうか。
「やめとけレクシー、アルディナの事情なんて俺らにはわからねぇし、その辺はセスとシエルが話し合って決めることだ。とりあえず一旦お開きにしようぜ。お前ら地下洞窟から帰ってきたばかりなんだろ?飯の時間まで少し休めよ。今は入院してる患者もいねーし、部屋も風呂も好きに使っていいから」
セスが何かを返すよりも早くヨハンが立ち上がって言った。
このままだとより険悪な雰囲気になると察してそうしてくれたのだろう。非常に空気の読める人だ。
「んじゃ、そういうことでー。あ、あたしの部屋は一番奥だからそれ以外使ってね!」
「そういうことでー、じゃねぇ!!お前はちゃんと飯作れよ!4人分だかんな!!」
ちゃっかり出て行こうとするレクシーの首根っこを掴み、ヨハンが怒る。
「うわーん、あたしだってちょっとくらい休んだっていいじゃーん!!」
それに対してレクシーもわざとらしく泣く真似をして返す。
セスを見るとそんな2人からは視線を外して、痛みを耐えるような表情で何かを考えていた。
「セス、あの、」
「案内するよ、シエル。おいで」
私の言葉を遮ってセスが立ち上がりながらそう言った。
先ほどとは打って変わった穏やかな笑みが、逆に私の不安を掻き立てた。
ヨハンの診療所は、入院患者用の個室が5部屋完備されている。
廊下の向かい側に5部屋並んでいるその個室の、左奥にある部屋がレクシーの部屋だ。レクシーの部屋の向かいには倉庫として使っている部屋があり、その隣が食堂、その隣が診察室、その隣がヨハンの仮眠室となっている。
仮眠室、と呼んではいるがそこ以外にヨハンが寝るための部屋はないらしいので、実質そこがヨハンの寝室のようだ。
で、その隣にお風呂とトイレ。さらにその隣に洗濯室。必要最低限の設備が整った診療所だ。
「君はここを使うといいよ。俺は隣を使うから」
そう言ってセスに案内されたのはレクシーの隣の部屋だった。
診察室やトイレに近い部屋は患者が来た時のために空けておくというのがこの診療所に泊まる時のルールらしい。そりゃあそうだろうが、そもそも5部屋ある個室のうち、3部屋も元気な人間が使ってしまっていいのだろうか。
「大丈夫だよ。同時に5人も入院患者がくることなんてないから」
聞くと、セスはそう答えて笑った。
他の部屋も同様なのだろうが、私に割り当てられた部屋は本当に病室だった。
白いシーツのベッド、小さなサイドテーブル、簡易的なロッカー、ベッド横の丸椅子。水の触媒が付けられた小さな洗面所。ただそれだけがある殺風景な個室だ。まぁ、寝るだけと考えるなら何も不自由はない。
夕飯までまだ時間があるから、ということで私とセスは順にお風呂に入り、その後話をしたいというセスが部屋を訪ねてきて今に至る。
「さっきは気分を害してしまったかな。さすがに所有物だなんて思ってないけど、俺が君を手放したくないのは事実だから図星を突かれたようで何も言い返せなかった」
セスは私と視線を合わせずにそう言って、ベッド横の椅子へと腰かけた。
「大丈夫だよ。それだけ僕を大切に思ってくれてるのは嬉しい。だから相談したいんだ。どうするのが一番いいのかを…」
手放したくない、という言葉に心臓が跳ねたが、それを悟られないようにセスの近くのベッドへと腰かける。そんな私をセスはどこか悲しそうな目で見て、すぐにまた逸らした。
「…どうするのが一番いいのか、という問いに答えるなら、レクシーの言うようにアルディナに行くのがいいと思う」
私とは視線を合わせないまま、セスは静かにそう言った。
アルディナで私を1人にするつもりはないとレクシーにも言っていたし、本意ではないのだろう。
「夢は魂が見せる記憶であり、最も神に近づく場所だと言われている。それはつまり、死に近い場所にいるという意味だ。誰かに干渉されているという状況がいいことではないのは確実だろう」
「死に近い場所?」
「人は死んだら魂が神の元へと還る。神はその魂を手に取り、次の転生先へと宿す。だから魂が神に近いということは、死にも近いということなんだ」
「なるほど…?」
夢=魂が神に近づく=死に近い。何だかこじつけのような気もするけど、この世界では本当にそうなのだろうか。
「でもアルディナだと俺は一族に縛られて君の側にいられない。だから…ミトスにいてくれないか。君のことは俺が守るから」
「……っ!」
今日のセスはずいぶんと積極的だ。さっきは何とか動揺を隠せたけど、こうも連続で不意打ちされると困る。
こんなことを考えている場合でないのは分かっているが、どうにも心臓の高鳴りを抑えきれない。
「ぼっ…僕だって、1人でアルディナに行くつもりなんてないよ。セスの側にいたいし…」
「…ありがとう。じゃあ俺から提案があるんだけど」
おそらく見て分かるほどに顔が赤くなっていただろうが、セスはそんな私を茶化すこともなく柔らかい笑みを浮かべてそう口にした。
「俺はあえて夢の中の人物に会う必要はないと思うんだ。その人物に会うためには君の命を危険に晒さなければならないのだろう?そんなことはさせたくないし、逆に言えばそういう状況に陥らなければ干渉されることもないはずだ」
「なるほど…現状維持ってことだね」
「ああ。何か動きがあるまで様子を見てもいいんじゃないかと思う。それでもしミトスにいるのが危険だってなったなら、その時は転移石でアルディナに逃げればいい」
確かにあの少年がどういう立場の者か分からない以上、むやみに接触しない方がいいという意見は最もに思える。今まで、自分が元気な時にあの夢を見たことはない。セスの言う通り、理論上はこれから先そういう状況に陥らなければ干渉されないということだ。
「うん、じゃあそうしよう」
あの少年は誰なのか、自分の置かれている状況がどうなっているのか気にならない訳ではないが、無理に知ろうとして取り返しのつかないことになるくらいなら、現状維持の方がいい。
夢に干渉されるために重傷を負わなければならないというのも、好んでやりたいとは思えないし。
そう思ってセスの言葉に頷くと、セスはまた柔らかく笑って「ありがとう」と小さく呟いた。
レクシーが作った夕食は、予想に反してお店で出てくるようなメニューだった。
肉、パン、サラダにスープと非常にバランスが良く、盛り付けにも非の打ちどころがない。
「すごいね、レクシー、料理上手なんだね」
「まぁね~!味もちゃーんと保証するよ♪」
感想を素直に口にすると、レクシーは謙遜することなく嬉しそうに頷いた。
「セスの料理は酷かったからなー。それを思えばこいつの料理は中々のもんだ」
「食べられれば何でもいいと言ったのは貴方だろう」
呆れたように呟いたヨハンの言葉に、すぐさまセスが反論した。
料理はできない、というのは本人から聞いたことがあるが、一体どんな料理を作ったと言うのだろう。
「そうだな。あれは俺が悪かった。むやみやたらに"何でもいい"という言葉は使うもんじゃねぇ」
「どんな料理だったんですか?」
「最初は味が全くついてなくてな。肉は焼くだけ、野菜は切るだけ、って感じで。さすがに味付けしてくれって頼んだら、次の日はやたらと色々なスパイス使いまくってめちゃくちゃ激辛な料理を出しやがった。しかもこいつ、それを平気な顔して食べてたんだぜ。味覚障害あるんだろうな、きっと」
「…な、なるほど…」
「もういいだろう、昔の話は。それに俺は味覚障害じゃない。食べられれば何でもいいだけだ」
不満そうに反論するセスの言葉はいまいち的を得ていない。
しかしそうか、セスは味覚音痴だったのか…。じゃあ私が作る料理をおいしいと言ってくれてたのはお世辞だったのかな?
拗ねたような顔で夕食を食べ始めたセスを横目に、私は静かに心の中で泣いた。
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