82 / 89
五章
第76話 過去に存在した転生者
しおりを挟む
「よぉ、疲れてるとこ悪ぃんだけど、ちょっと話さないか」
そうヨハンに声をかけられたのは夕食が終わってしばらく経った頃だった。
夕食の時、私とセスは部屋で話し合ったことをヨハンに告げた。それを聞いてヨハンは分かった、とだけ答えてそれ以上は何も聞かずに、しばらく滞在していくといいと勧めてくれた。
何でも、セスはエスタを訪れるたびにヨハンの元で2週間くらい過ごしているのが常らしく、ヨハンの手伝いをする代わりにタダで泊めてもらっているんだそうだ。
今回、私は客だから自由に過ごすといいとヨハンには言われたが、さすがにそれは心苦しいのでレクシーの手伝いをしたいと申し出たところ、「まぁ、好きにしていい」と呆れ顔で許可してくれた。
ちなみに、「やったぁー!一緒に頑張ろうね☆」と喜んだレクシーはしっかりヨハンに鉄槌を落とされていた。
「あいつもずいぶん変わったもんだな」
飲み物を用意してくれたヨハンが、私の向かいに腰かけながら口を開いた。
ちなみにここは食堂である。ヨハンの診療所は一応診療時間は決まっているものの、夜中に緊急で来る患者さんもいるからと、なるべく診療室から離れないようにしているんだとか。
「セスですか」
それ以外にはいないと分かってはいるが、話を繋げるためにそう答えるとヨハンは「ああ」と短く返事をしてお茶を口にした。
『お前、あいつが何でここに来たかっていう話は知ってんのか?』
しばらく沈黙が続いたが、やがてヨハンは日本語を使って私に問いかけた。
セスには聞かせたくない話だからなのだろうが、それでは逆にセスの話をしていると知らしめているようなものだ。セスに聞かれたらまた拗ねてしまうのではないのかと若干不安になる。
『ユスカさんの話なら聞きました』
『そっか。じゃあ遠慮なく話せるな』
そう言ってヨハンはまたお茶に口をつける。
今、セスは何をしているのだろう。おそらく部屋にいるのだろうが、ふらりと来てしまう可能性はないのだろうか。と思ったけれど口には出さなかった。
『正直、俺が知るあいつはいつだって感情が欠落した人形みたいだった。最初はユスカという存在をあんな形で失って心が壊れたんだと思ってたんだが、そうじゃなかった。あいつは、人の命が失くなることも、人の命を奪うことにも、特別な感情を持つことがない。最初から、命の価値観が狂ってたんだ』
私の心配を知ってか知らずかヨハンは構わずに話し続ける。
壊れている、狂っている、そうヨハンに言われたとセス自身も言っていたことを思い出す。
『そういう生き方しか選択肢がなかったのだと言っていました。好んで、そうしてきたわけではない、と』
『それはわかってる。わかってるからこそ俺はあいつをここに置いた。あいつが快楽殺人者だったなら、俺はあいつをここに置いたりはしなかった』
私の言葉に間髪入れず、ヨハンが答えた。
『ヨハンさんは、セスを…変えたかったんですか?』
『…まぁ、そうだな。生に拘ってほしいと思ってた。自分の生にも、他人の生にも。意外にもレクシーの時にはちょっとそういう素振りは見せたが、結局、ここにいる間では俺が望んだ結果にはならなかった』
今度は少しの沈黙を置いて、ヨハンは静かにそう答えた。
『なるほど…』
ヨハンの言いたいことは分かる。
セスは3班のみんなに出会うまで、他人の命に拘ることはなかった。人と物が一緒だとさえ思っていたくらいだ。医者であるヨハンからしたら、その意識を変えたいと思うのは当然だろう。20年という期間を科してまで、命を大切さを教えたかったんだな。
『でもあいつは変わった。お前の生に拘るようになった。あいつに1人でも失いたくないと思う命ができて、本当によかったと思ってる』
至極真面目な顔でヨハンが言う。
この人本当にすごいいい人だな。
『自分の命ももっと大事にしてくれるといいんですが』
『…そればっかりはどうもな。この世界は基本的に弱ければ殺されても仕方がないみたいなとこあるし、死ぬ覚悟決めてるやつが多すぎなんだよな』
『私たちの世界とはあまりに違って理解も難しいです』
『そうだな。それでも…俺たち転生者はこの世界で生きていかなきゃならねぇ。狂ってるのは俺たちの方なんだとしても、な』
『…そうですね』
ヨハンの言う通り、この世界にとっては私たちの方が異質な存在なのだ。郷に入っては郷に従えという言葉があるように、私たちの方がこの世界に合せて生きていくしかない。
『私たち転生者って何なんでしょうね。どうして私たちはこの世界に生まれ変わったんでしょう』
『…何なんだろうな。それはきっとこの世界の誰にもわからねぇんじゃねぇかな。おそらく転生者はこの世界にとって予期された存在じゃなかった』
おそらく、という言葉を使ってはいるが、ヨハンの言い方にはどこか確信めいたものを感じる。
『どうして…そう思うんですか?』
『その前にまずは歴史のお勉強といこうか。エルフであるお前は学校なんて行ってないよな。何年経ったってエルフの閉鎖的なところは変わらねぇからな』
そう言いながらヨハンは白衣の内ポケットから1枚の紙を取り出し、それを広げてテーブルの上に置いた。
『これは…年表?』
大きめの紙に書かれた表の中に、年数と出来事が書かれている。
これはヨハンが書いたのだろうか、意外と綺麗な字だ。
『ああ。俺が把握できただけの出来事を記載してある。この世界は天界も地界も魔界も、すべて3界が融合した日を紀元としたルーク歴が用いられていて、今年はルーク歴2054年。ここまでは知ってるか?』
『はい』
それは子供の頃に父や母から習った。
私はルーク歴2038年の生まれだ。
『ルーク歴元年1月1日と定められたこの日、突然アルディナ・ミトス間、ミトス・ルブラ間のリンクが出現した。このリンクが出現した際、その場にあった建物や物などは跡形もなく消え、人間や動物…モンスターだけがリンクを通って界を渡ったと伝えられている』
ルーク歴元年1月1日、と書かれた場所を指さしてヨハンが話し始めた。その横には3界融合、と記されている。
『生物だけってことですか?』
『正確に言えば"動物に当たるもの"だな。植物は建物や物と一緒に消えたと言われている』
『動物だけ…』
何故植物だけが除外されたのだろうか。考えても答えはでないのだろうけれど、気になる。
『例えばアルディナと相互リンクがあるアルセノのリンク出現位置にいた人間はその瞬間にアルディナへと飛び、逆にアルディナ側のリンク出現位置にいた人間はその瞬間アルセノへと飛んだ。他のリンクも同様だ』
『じゃあ単独リンクが出現した場所にいて、自分とは違う属性の界に飛ばされた地族の人は…』
『…まぁ、想像通りだな』
ヨハンは表情を変えずに視線だけ逸らしてそう言った。
私たちがルブラに落とされた時のような感じか。そこから脱出できなければいずれ…。
『突然現れたリンクはすべての者を混乱させた。が、どこが相互リンクでどこが単独リンクなのかっていうのは調査によって早々に判明したらしい。しかしそうと分かっても言葉が通じず、異界の者と話もできない。そこで当時アルセノの国王だったルーク・リュミエールは、ミトスに来た天族と魔族に生まれたばかりである自分の息子ミハイル・リュミエールに言葉を教え込ませた。まぁ、どうやってそういう手はずになったんだか謎だが、そこはジェスチャーとか使ったんだろうな。よくわかんねぇけど』
『ミハイル・リュミエールって最初の転生者…!?』
『そうだ。それを機に同じような取り組みは各所で行われ、数年後にはその子供たちが通訳となり3界の状況はかなり明白となった』
『ミハイルはアルセノの王子だったんですか…』
『3男だったから王になったわけじゃないけどな。でもルークは一国の王子である息子を天族と魔族に預けたことで、天界・魔界に対して敵意がないことを示した。それは天王や魔王が地族に干渉してはならない、という決まりができるきっかけになったことだ。その功績も奏してルークが提案した、3界が融合した日を紀元とするルーク歴が世界的に用いられている』
『なるほど……』
非常に勉強になる。本当に歴史の授業を受けている気分だ。
学校に通えばこういうことは教えてもらえたのだろうな。エルフも子供を学校に行かせた方がいい。
『その後、ミハイルは3界の橋渡し的な存在のリーダーとして、父であるルークと共にミトスの礎を築いていった。そんなミハイルが転生者だと明かしたのは、ルークが死んで次代の王に変わった時、30代の中ごろだったと伝えられている』
『30代の中ごろ…意外と遅かったんですね』
『王が変わったことと関係があるのかも知れねぇし、他の思惑があったのかも知れねぇけど、3界以外の世界から転生してきた人物の存在は、世界を震撼させた。しかしそれが今まで3界の橋渡しをしてきたミハイルであったこと、ミハイルがもたらす異世界の知識は3界のどこにとっても有益となったことで、まるで神のように崇められたと聞く。風呂が世界的に広まったのもこのころだな。そうなってくると面白くないのはミトスで一番の強国であるアルセノの王、カール・リュミエールだ。ミハイルの兄であるカールはミハイルを異質なものとして排除しようとし、それから逃れるようにミハイルはアルディナに渡り、晩年を静かに過ごしたと言われている』
『それだけ世界に貢献してきた人なのに、そんな最期だったなんて物悲しいですね…』
自分の兄から命を狙われ、逃げるように故郷を去ったなんてあまりにも悲しすぎる。
『…どうだかな。案外、ミハイル自身がそう望んでたのかも知れねぇし』
同意が得られるかと思っていたが、ヨハンからは真逆の答えが返ってきた。
そしてその言葉で、ヨハンもまたミハイルと同じような人生を歩んできたのだと思い返した。
この世界の医術を確立したヨハンは色々な人間から利用され人間不信になり、今こうして隠れるように静かに診療所を開いている。同じような境遇のミハイルの気持ちが一番分かるのかもしれない。
『お前はゼノ・カールトンという人物の話を聞いたことはあるか?』
私から外していた視線をスッと戻し、ヨハンは話を変えた。
男性の名前のようだが誰だろう。ヨハンが私にそう聞くということはある程度有名な人物なのだろうか。
『すみません、聞いたことないです』
『ゼノはルーク歴200年前後に生まれたヒューマで、後世まで名が残っている転生者の内の1人だ』
ヨハンは年表に記載されている、ルーク歴200年の項目を指さして言った。
『ヒューマでありながら4大元素を全て扱うことができ、なおかつ剣の扱いにも気の扱いにも長けていて、天王や魔王よりも強いんじゃねぇかって言われていたやつなんだが…ある日突然、こいつは恋人の魔族に殺された』
言いながらスッとヨハンが一段指をずらすと、そこには"ゼノ、恋人の魔族に突然命を奪われる(年数不明)"と書いてあった。
『…あっ…名前までは知らなかったんですが、天王や魔王をも凌ぐ力を持っていた転生者がいたってことはセスから聞いたことがあります。確か、恋人だった魔族の少女は、その人を殺した後に泣きながら命を絶ったって…』
ある日突然その人は恋人に殺され、そしてその恋人も後を追うように自ら命を絶った。セスが以前話してくれたその話は記憶に深く残っている。
『ああ、そうだ。俺は…ゼノがこの世界にとって都合が悪いと判断されて、消されたんじゃねぇかと思ってる』
『……え?』
ヨハンから思いもよらない言葉が発せられて思考が停止する。
世界にとって都合が悪いと消される?どういうこと?
『け、消されたって誰に?』
『それはわかんねぇ。まぁ、言うなれば神か、それに等しい存在か。アルディナやルブラは実際に存在するわけだから、地界に神がいてもおかしくはないし、魔王や天王に準ずる存在がいたっておかしくない』
『どうしてゼノが消されたって思ってるんですか?それが確信できる何かがあったんですか?』
『…ルーク歴1805年、ガスパルという名のドワーフが生まれた。こいつは俺が出会った転生者の1人だ」
私の質問には答えず、ヨハンは1805年の項目まで指をずらして言った。
『このガスパルも、お前と同じように俺が転生者だと知って自分もそうだと来た人間の1人だった。以前からここによく来ていた魔族の紹介でな。俺が転生者について調べてるって言ったら協力してくれて、ガスパル自身の転生前と後のことを色々と教えてくれた』
私の焦りとは対照的に、落ち着いた様子でヨハンは淡々と話す。それが良くないことの前触れのようで、私の胸は酷くざわついた。
『ガスパルは元の世界でヘビースモーカーだったらしくてな。こっちの世界に煙草がないってんで自分で作っちまうようなやつだった。煙草に適した草を求めてルブラにまで行ったりして、何度も失敗して…何年もかかってやっといいのが出来たって俺のところに嬉しそうに持ってきたんだよ。それで、作った煙草を量産してヴェデュールの各都市で売り出し始めて…徐々に買い手もつくようになってきた』
懐かしむような、どこか悲しげにも見えるような表情でヨハンが言う。
きっとこの話は私がした質問と関係があるのだろうが、その答えを早く聞きたいような聞きたくないような複雑な気分だ。
『だがある日ガスパルは、突然殺された。ガスパルだけじゃねぇ、量産や販売に関わった人間も全員。もちろん、作った煙草も諸共に消し炭だ』
『えっ…だ、誰に?』
『俺にガスパルを紹介した魔族だ。やつもまたガスパルの作る煙草に感銘を受けて量産や販売に関わっていた1人だった。だが突然関係者を殺して回り、最後に自分の命を絶った。どうにもおかしい話だ。やつはそんなことをするような人間じゃなかった。だから、誰かの手によって操られてたんじゃねぇかと思うんだよ』
『…じゃあゼノを殺した魔族の少女もそうだった…ってことですか?』
ゼノはある日突然、恋人である魔族に殺され、その魔族は泣きながら自分の命を絶った。ガスパルもまた、一緒に煙草を作って売っていた魔族に突然殺された。そしてまた、その魔族も最後に自分の命を絶っている。共通点は多い。
『おそらくな。天王や魔王を凌ぐほどの力を持っていたゼノと、煙草という、誰にとっても害でしかない物を作って広めようとしていたガスパル…この2人は確かに世界に影響を与えた。でもミハイルや俺のように、他にもこの世界に影響を与えた転生者は存在する。なのに何故ゼノとガスパルだけが同じような事象によって命を奪われたのか。俺は神…もしくはそれに等しい何かにとって、この2人は都合が悪かったから消されたんじゃねぇかと考えている』
『…確かに辻褄は合うと思います。でも都合が悪かったというには、この2人のベクトルはあまりに違いすぎる気も…』
天王や魔王を凌ぐほどの力を持っていたゼノが、この世界にとって都合が悪いというのはまだわかる。だが、煙草を量産して売ったというガスパルが同レベルで世界的に危険視されたというのはあまりに強引ではなかろうか。吸ったら即死するくらいのものならばともかく、命のやり取りが日常的に行われているこの世界において、煙草などそこまで危険なものではないような気がする。
『お前の言う通りこれは俺の憶測に過ぎない話で、実際の所関連性はないのかもしれない。だがこの仮説が正しいと思っておいても損はないはずだ。俺たち転生者はこの世界の管理者に監視されていて、世界的に悪い影響を与えると判断されれば、消されるんだと』
『…なるほど……』
『それで本題だ。お前は、一体どんな能力を持ってるんだ?』
『…………えっ?』
突然問われた質問の意味が理解できず目を丸くする私とは裏腹に、ヨハンは真剣な表情で私を見つめていた。
そうヨハンに声をかけられたのは夕食が終わってしばらく経った頃だった。
夕食の時、私とセスは部屋で話し合ったことをヨハンに告げた。それを聞いてヨハンは分かった、とだけ答えてそれ以上は何も聞かずに、しばらく滞在していくといいと勧めてくれた。
何でも、セスはエスタを訪れるたびにヨハンの元で2週間くらい過ごしているのが常らしく、ヨハンの手伝いをする代わりにタダで泊めてもらっているんだそうだ。
今回、私は客だから自由に過ごすといいとヨハンには言われたが、さすがにそれは心苦しいのでレクシーの手伝いをしたいと申し出たところ、「まぁ、好きにしていい」と呆れ顔で許可してくれた。
ちなみに、「やったぁー!一緒に頑張ろうね☆」と喜んだレクシーはしっかりヨハンに鉄槌を落とされていた。
「あいつもずいぶん変わったもんだな」
飲み物を用意してくれたヨハンが、私の向かいに腰かけながら口を開いた。
ちなみにここは食堂である。ヨハンの診療所は一応診療時間は決まっているものの、夜中に緊急で来る患者さんもいるからと、なるべく診療室から離れないようにしているんだとか。
「セスですか」
それ以外にはいないと分かってはいるが、話を繋げるためにそう答えるとヨハンは「ああ」と短く返事をしてお茶を口にした。
『お前、あいつが何でここに来たかっていう話は知ってんのか?』
しばらく沈黙が続いたが、やがてヨハンは日本語を使って私に問いかけた。
セスには聞かせたくない話だからなのだろうが、それでは逆にセスの話をしていると知らしめているようなものだ。セスに聞かれたらまた拗ねてしまうのではないのかと若干不安になる。
『ユスカさんの話なら聞きました』
『そっか。じゃあ遠慮なく話せるな』
そう言ってヨハンはまたお茶に口をつける。
今、セスは何をしているのだろう。おそらく部屋にいるのだろうが、ふらりと来てしまう可能性はないのだろうか。と思ったけれど口には出さなかった。
『正直、俺が知るあいつはいつだって感情が欠落した人形みたいだった。最初はユスカという存在をあんな形で失って心が壊れたんだと思ってたんだが、そうじゃなかった。あいつは、人の命が失くなることも、人の命を奪うことにも、特別な感情を持つことがない。最初から、命の価値観が狂ってたんだ』
私の心配を知ってか知らずかヨハンは構わずに話し続ける。
壊れている、狂っている、そうヨハンに言われたとセス自身も言っていたことを思い出す。
『そういう生き方しか選択肢がなかったのだと言っていました。好んで、そうしてきたわけではない、と』
『それはわかってる。わかってるからこそ俺はあいつをここに置いた。あいつが快楽殺人者だったなら、俺はあいつをここに置いたりはしなかった』
私の言葉に間髪入れず、ヨハンが答えた。
『ヨハンさんは、セスを…変えたかったんですか?』
『…まぁ、そうだな。生に拘ってほしいと思ってた。自分の生にも、他人の生にも。意外にもレクシーの時にはちょっとそういう素振りは見せたが、結局、ここにいる間では俺が望んだ結果にはならなかった』
今度は少しの沈黙を置いて、ヨハンは静かにそう答えた。
『なるほど…』
ヨハンの言いたいことは分かる。
セスは3班のみんなに出会うまで、他人の命に拘ることはなかった。人と物が一緒だとさえ思っていたくらいだ。医者であるヨハンからしたら、その意識を変えたいと思うのは当然だろう。20年という期間を科してまで、命を大切さを教えたかったんだな。
『でもあいつは変わった。お前の生に拘るようになった。あいつに1人でも失いたくないと思う命ができて、本当によかったと思ってる』
至極真面目な顔でヨハンが言う。
この人本当にすごいいい人だな。
『自分の命ももっと大事にしてくれるといいんですが』
『…そればっかりはどうもな。この世界は基本的に弱ければ殺されても仕方がないみたいなとこあるし、死ぬ覚悟決めてるやつが多すぎなんだよな』
『私たちの世界とはあまりに違って理解も難しいです』
『そうだな。それでも…俺たち転生者はこの世界で生きていかなきゃならねぇ。狂ってるのは俺たちの方なんだとしても、な』
『…そうですね』
ヨハンの言う通り、この世界にとっては私たちの方が異質な存在なのだ。郷に入っては郷に従えという言葉があるように、私たちの方がこの世界に合せて生きていくしかない。
『私たち転生者って何なんでしょうね。どうして私たちはこの世界に生まれ変わったんでしょう』
『…何なんだろうな。それはきっとこの世界の誰にもわからねぇんじゃねぇかな。おそらく転生者はこの世界にとって予期された存在じゃなかった』
おそらく、という言葉を使ってはいるが、ヨハンの言い方にはどこか確信めいたものを感じる。
『どうして…そう思うんですか?』
『その前にまずは歴史のお勉強といこうか。エルフであるお前は学校なんて行ってないよな。何年経ったってエルフの閉鎖的なところは変わらねぇからな』
そう言いながらヨハンは白衣の内ポケットから1枚の紙を取り出し、それを広げてテーブルの上に置いた。
『これは…年表?』
大きめの紙に書かれた表の中に、年数と出来事が書かれている。
これはヨハンが書いたのだろうか、意外と綺麗な字だ。
『ああ。俺が把握できただけの出来事を記載してある。この世界は天界も地界も魔界も、すべて3界が融合した日を紀元としたルーク歴が用いられていて、今年はルーク歴2054年。ここまでは知ってるか?』
『はい』
それは子供の頃に父や母から習った。
私はルーク歴2038年の生まれだ。
『ルーク歴元年1月1日と定められたこの日、突然アルディナ・ミトス間、ミトス・ルブラ間のリンクが出現した。このリンクが出現した際、その場にあった建物や物などは跡形もなく消え、人間や動物…モンスターだけがリンクを通って界を渡ったと伝えられている』
ルーク歴元年1月1日、と書かれた場所を指さしてヨハンが話し始めた。その横には3界融合、と記されている。
『生物だけってことですか?』
『正確に言えば"動物に当たるもの"だな。植物は建物や物と一緒に消えたと言われている』
『動物だけ…』
何故植物だけが除外されたのだろうか。考えても答えはでないのだろうけれど、気になる。
『例えばアルディナと相互リンクがあるアルセノのリンク出現位置にいた人間はその瞬間にアルディナへと飛び、逆にアルディナ側のリンク出現位置にいた人間はその瞬間アルセノへと飛んだ。他のリンクも同様だ』
『じゃあ単独リンクが出現した場所にいて、自分とは違う属性の界に飛ばされた地族の人は…』
『…まぁ、想像通りだな』
ヨハンは表情を変えずに視線だけ逸らしてそう言った。
私たちがルブラに落とされた時のような感じか。そこから脱出できなければいずれ…。
『突然現れたリンクはすべての者を混乱させた。が、どこが相互リンクでどこが単独リンクなのかっていうのは調査によって早々に判明したらしい。しかしそうと分かっても言葉が通じず、異界の者と話もできない。そこで当時アルセノの国王だったルーク・リュミエールは、ミトスに来た天族と魔族に生まれたばかりである自分の息子ミハイル・リュミエールに言葉を教え込ませた。まぁ、どうやってそういう手はずになったんだか謎だが、そこはジェスチャーとか使ったんだろうな。よくわかんねぇけど』
『ミハイル・リュミエールって最初の転生者…!?』
『そうだ。それを機に同じような取り組みは各所で行われ、数年後にはその子供たちが通訳となり3界の状況はかなり明白となった』
『ミハイルはアルセノの王子だったんですか…』
『3男だったから王になったわけじゃないけどな。でもルークは一国の王子である息子を天族と魔族に預けたことで、天界・魔界に対して敵意がないことを示した。それは天王や魔王が地族に干渉してはならない、という決まりができるきっかけになったことだ。その功績も奏してルークが提案した、3界が融合した日を紀元とするルーク歴が世界的に用いられている』
『なるほど……』
非常に勉強になる。本当に歴史の授業を受けている気分だ。
学校に通えばこういうことは教えてもらえたのだろうな。エルフも子供を学校に行かせた方がいい。
『その後、ミハイルは3界の橋渡し的な存在のリーダーとして、父であるルークと共にミトスの礎を築いていった。そんなミハイルが転生者だと明かしたのは、ルークが死んで次代の王に変わった時、30代の中ごろだったと伝えられている』
『30代の中ごろ…意外と遅かったんですね』
『王が変わったことと関係があるのかも知れねぇし、他の思惑があったのかも知れねぇけど、3界以外の世界から転生してきた人物の存在は、世界を震撼させた。しかしそれが今まで3界の橋渡しをしてきたミハイルであったこと、ミハイルがもたらす異世界の知識は3界のどこにとっても有益となったことで、まるで神のように崇められたと聞く。風呂が世界的に広まったのもこのころだな。そうなってくると面白くないのはミトスで一番の強国であるアルセノの王、カール・リュミエールだ。ミハイルの兄であるカールはミハイルを異質なものとして排除しようとし、それから逃れるようにミハイルはアルディナに渡り、晩年を静かに過ごしたと言われている』
『それだけ世界に貢献してきた人なのに、そんな最期だったなんて物悲しいですね…』
自分の兄から命を狙われ、逃げるように故郷を去ったなんてあまりにも悲しすぎる。
『…どうだかな。案外、ミハイル自身がそう望んでたのかも知れねぇし』
同意が得られるかと思っていたが、ヨハンからは真逆の答えが返ってきた。
そしてその言葉で、ヨハンもまたミハイルと同じような人生を歩んできたのだと思い返した。
この世界の医術を確立したヨハンは色々な人間から利用され人間不信になり、今こうして隠れるように静かに診療所を開いている。同じような境遇のミハイルの気持ちが一番分かるのかもしれない。
『お前はゼノ・カールトンという人物の話を聞いたことはあるか?』
私から外していた視線をスッと戻し、ヨハンは話を変えた。
男性の名前のようだが誰だろう。ヨハンが私にそう聞くということはある程度有名な人物なのだろうか。
『すみません、聞いたことないです』
『ゼノはルーク歴200年前後に生まれたヒューマで、後世まで名が残っている転生者の内の1人だ』
ヨハンは年表に記載されている、ルーク歴200年の項目を指さして言った。
『ヒューマでありながら4大元素を全て扱うことができ、なおかつ剣の扱いにも気の扱いにも長けていて、天王や魔王よりも強いんじゃねぇかって言われていたやつなんだが…ある日突然、こいつは恋人の魔族に殺された』
言いながらスッとヨハンが一段指をずらすと、そこには"ゼノ、恋人の魔族に突然命を奪われる(年数不明)"と書いてあった。
『…あっ…名前までは知らなかったんですが、天王や魔王をも凌ぐ力を持っていた転生者がいたってことはセスから聞いたことがあります。確か、恋人だった魔族の少女は、その人を殺した後に泣きながら命を絶ったって…』
ある日突然その人は恋人に殺され、そしてその恋人も後を追うように自ら命を絶った。セスが以前話してくれたその話は記憶に深く残っている。
『ああ、そうだ。俺は…ゼノがこの世界にとって都合が悪いと判断されて、消されたんじゃねぇかと思ってる』
『……え?』
ヨハンから思いもよらない言葉が発せられて思考が停止する。
世界にとって都合が悪いと消される?どういうこと?
『け、消されたって誰に?』
『それはわかんねぇ。まぁ、言うなれば神か、それに等しい存在か。アルディナやルブラは実際に存在するわけだから、地界に神がいてもおかしくはないし、魔王や天王に準ずる存在がいたっておかしくない』
『どうしてゼノが消されたって思ってるんですか?それが確信できる何かがあったんですか?』
『…ルーク歴1805年、ガスパルという名のドワーフが生まれた。こいつは俺が出会った転生者の1人だ」
私の質問には答えず、ヨハンは1805年の項目まで指をずらして言った。
『このガスパルも、お前と同じように俺が転生者だと知って自分もそうだと来た人間の1人だった。以前からここによく来ていた魔族の紹介でな。俺が転生者について調べてるって言ったら協力してくれて、ガスパル自身の転生前と後のことを色々と教えてくれた』
私の焦りとは対照的に、落ち着いた様子でヨハンは淡々と話す。それが良くないことの前触れのようで、私の胸は酷くざわついた。
『ガスパルは元の世界でヘビースモーカーだったらしくてな。こっちの世界に煙草がないってんで自分で作っちまうようなやつだった。煙草に適した草を求めてルブラにまで行ったりして、何度も失敗して…何年もかかってやっといいのが出来たって俺のところに嬉しそうに持ってきたんだよ。それで、作った煙草を量産してヴェデュールの各都市で売り出し始めて…徐々に買い手もつくようになってきた』
懐かしむような、どこか悲しげにも見えるような表情でヨハンが言う。
きっとこの話は私がした質問と関係があるのだろうが、その答えを早く聞きたいような聞きたくないような複雑な気分だ。
『だがある日ガスパルは、突然殺された。ガスパルだけじゃねぇ、量産や販売に関わった人間も全員。もちろん、作った煙草も諸共に消し炭だ』
『えっ…だ、誰に?』
『俺にガスパルを紹介した魔族だ。やつもまたガスパルの作る煙草に感銘を受けて量産や販売に関わっていた1人だった。だが突然関係者を殺して回り、最後に自分の命を絶った。どうにもおかしい話だ。やつはそんなことをするような人間じゃなかった。だから、誰かの手によって操られてたんじゃねぇかと思うんだよ』
『…じゃあゼノを殺した魔族の少女もそうだった…ってことですか?』
ゼノはある日突然、恋人である魔族に殺され、その魔族は泣きながら自分の命を絶った。ガスパルもまた、一緒に煙草を作って売っていた魔族に突然殺された。そしてまた、その魔族も最後に自分の命を絶っている。共通点は多い。
『おそらくな。天王や魔王を凌ぐほどの力を持っていたゼノと、煙草という、誰にとっても害でしかない物を作って広めようとしていたガスパル…この2人は確かに世界に影響を与えた。でもミハイルや俺のように、他にもこの世界に影響を与えた転生者は存在する。なのに何故ゼノとガスパルだけが同じような事象によって命を奪われたのか。俺は神…もしくはそれに等しい何かにとって、この2人は都合が悪かったから消されたんじゃねぇかと考えている』
『…確かに辻褄は合うと思います。でも都合が悪かったというには、この2人のベクトルはあまりに違いすぎる気も…』
天王や魔王を凌ぐほどの力を持っていたゼノが、この世界にとって都合が悪いというのはまだわかる。だが、煙草を量産して売ったというガスパルが同レベルで世界的に危険視されたというのはあまりに強引ではなかろうか。吸ったら即死するくらいのものならばともかく、命のやり取りが日常的に行われているこの世界において、煙草などそこまで危険なものではないような気がする。
『お前の言う通りこれは俺の憶測に過ぎない話で、実際の所関連性はないのかもしれない。だがこの仮説が正しいと思っておいても損はないはずだ。俺たち転生者はこの世界の管理者に監視されていて、世界的に悪い影響を与えると判断されれば、消されるんだと』
『…なるほど……』
『それで本題だ。お前は、一体どんな能力を持ってるんだ?』
『…………えっ?』
突然問われた質問の意味が理解できず目を丸くする私とは裏腹に、ヨハンは真剣な表情で私を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
スキル買います
モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」
ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。
見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。
婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。
レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。
そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。
かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる