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第42話:魔族の街
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魔族
竜人族を除いた全ての種族より、強靭な肉体、膨大な魔力を誇り、人口も人族、獣人族に次ぐ多さを持つ、種族で考えると、一番力のある種族である。
だが、その内情は違う。
魔族は基本的に協調性を持たず、それゆえに大きな軍団ができあがることはあまりない。
精々、家族や大きくて村などのコミュニティだろう。
例外といえば、魔王の存在である。
魔王は、その代の魔族領最強を意味する名であり、その人物の元には多くの魔族が集う。たとえ、魔王城とは離れていようとも、魔王の呼びかけがあればそれに従う程度には、魔王という存在は魔族にとって重大なものである。
とはいえ、何事にも例外はあるのだが。
☆☆☆☆☆
「うぉー。ここが魔族の街か……」
検問を無事に通り、辺りを見回した。
「そ、そうだよ。ここはジャンダスっていって、魔族領のなかじゃ、ち、中規模くらいの街だよ」
俺とサニャクルシアは、彼女が人間領に行くときに使ったという抜け道を再び使って、あっさりと魔族領に侵入することができた。
ちなみに、カモフラージュとして俺はちっちゃいツノを付けている。
もちろんこれでいいのかと抗議したが、魔族には多種多様な特徴があり、案外通るらしい。
「まずは、宿からかな」
婆さんからお金はたんまりともらっているので、ケチらずに宿を取ることができる。
宿を取るといっても、長期間滞在するわけではない。
魔王と、その敵対勢力の情報を集めたらすぐに次の街へと移動するつもりだ。
それに、魔王城がある街は、魔族領で最大の都市らしい。そこに行けば、より多くの情報が集まるだろう。
……仮に、得た情報の内容が、魔王を悪とするものだったとしても、学校に害を与えた輩は許さないが。
「そ、そうだね」
「じゃあ、適当に探してみよっか」
俺たちは、気になる店に立ち寄ったりしながら、良い宿を探すことにした。
街中をぶらぶらと散策していると。
「そ、そういえば、シアン君はぶ、武器とかは使わないの?」
「あー……たしかに」
今までは魔法でゴリ押せていたが、魔法が効かない相手と戦うことになったら、俺の体格的にも素手は厳しいだろう。
「見ていってもいい?」
「も、もちろん!」
ということで、ちょうど目に入った武器屋に入る。
なかは、多種多様な武器や防具でごちゃごちゃしており、人とすれ違うのも厳しいくらいの圧迫感だった。
ざっとみる感じ、ここは初心者向けの店らしく、全体的に簡素なものが多い。
それに、子どもが装備するようなものは置いていないようだ。
「らっしゃーい……あ? こら、ここはガキが来るとこじゃねえぞ」
頭上を見上げると、元冒険者なのかがっしりとした体躯の男が俺たちを見下ろしていた。
「一応冒険者ですが。……俺たちでも装備できる武具はありますか?」
「む、そうか。それは悪かったな。……しかし、あいにくここはお前たちみたいな子ども向けの装備は取り揃えてないんだ。特注になるが、ウチから出て右のほうに腕のいい鍛冶屋がいるから、そこへ行ってくれ」
店員の間違いも、俺たちの容貌ならば仕方ない。
この歳で武具屋に来る者などごく少数に違いないからだ。
彼は俺が冒険者であることを聞くと、まず謝罪をしてくれ、その後に鍛冶屋の場所を教えてくれた。
「ありがとうございます。そこに行ってみます」
こちらも誠実に返し、店員の言う鍛冶屋へと向かう。
ちなみに、このときサニャクルシアは俺の後ろに隠れて一言も喋らなかった。
紹介された鍛冶屋は、店から五分もしない場所にあった。
大通りから路地へと向かわせる看板があり、それが目印だった。
路地に面するその鍛冶屋の外装を見ると、手入れがあまりしてあらず、さらになかが見えずらく鍛冶の音も聞こえない。初見には入るのに勇気がいる雰囲気だ。
金属を打つときに燃え移らないように、建築材はレンガらしい。
「こ、ここに入るの?」
俺の服の裾を掴んだサニャクルシアが、言外に入りたくないと伝えてくる。
入らないとわざわざここまで来た意味がないので却下するが。
「入るよ」
「で、でも、なかには大っきな包丁持った、か、顔に古傷のある大男がいるかもしれないよ……!?」
思った以上にビビっている。どうしてそこまで細かな人物像を思い描いてしまうんだ。
「なに言ってんの……そんなのいるわけ……いたっ!?」
「っ!? あっ……」
背後に気配を感じ、二人同時に振り返ると立っていたのはサニャクルシアが言ったとおりの大男。
俺は驚いて後ずさり、サニャクルシアに至っては失神してしまった。
「……店の前でなにしてる。冷やかしなら帰れ」
と、大男は言い残して店のなかへと入っていった。
あっけに取られて見ていた俺は、我に帰る。
「あ……。さ、サニャ。大丈夫?」
「ふぇ? ……わっ、だ、大丈夫っ!」
「よかった。じゃあ、入ろっか」
そう言って、サニャクルシアの腕を引き、店のなかへと入った。
余談だが、サニャ呼びになったのは道中、サニャクルシアに頼まれたからである。
竜人族を除いた全ての種族より、強靭な肉体、膨大な魔力を誇り、人口も人族、獣人族に次ぐ多さを持つ、種族で考えると、一番力のある種族である。
だが、その内情は違う。
魔族は基本的に協調性を持たず、それゆえに大きな軍団ができあがることはあまりない。
精々、家族や大きくて村などのコミュニティだろう。
例外といえば、魔王の存在である。
魔王は、その代の魔族領最強を意味する名であり、その人物の元には多くの魔族が集う。たとえ、魔王城とは離れていようとも、魔王の呼びかけがあればそれに従う程度には、魔王という存在は魔族にとって重大なものである。
とはいえ、何事にも例外はあるのだが。
☆☆☆☆☆
「うぉー。ここが魔族の街か……」
検問を無事に通り、辺りを見回した。
「そ、そうだよ。ここはジャンダスっていって、魔族領のなかじゃ、ち、中規模くらいの街だよ」
俺とサニャクルシアは、彼女が人間領に行くときに使ったという抜け道を再び使って、あっさりと魔族領に侵入することができた。
ちなみに、カモフラージュとして俺はちっちゃいツノを付けている。
もちろんこれでいいのかと抗議したが、魔族には多種多様な特徴があり、案外通るらしい。
「まずは、宿からかな」
婆さんからお金はたんまりともらっているので、ケチらずに宿を取ることができる。
宿を取るといっても、長期間滞在するわけではない。
魔王と、その敵対勢力の情報を集めたらすぐに次の街へと移動するつもりだ。
それに、魔王城がある街は、魔族領で最大の都市らしい。そこに行けば、より多くの情報が集まるだろう。
……仮に、得た情報の内容が、魔王を悪とするものだったとしても、学校に害を与えた輩は許さないが。
「そ、そうだね」
「じゃあ、適当に探してみよっか」
俺たちは、気になる店に立ち寄ったりしながら、良い宿を探すことにした。
街中をぶらぶらと散策していると。
「そ、そういえば、シアン君はぶ、武器とかは使わないの?」
「あー……たしかに」
今までは魔法でゴリ押せていたが、魔法が効かない相手と戦うことになったら、俺の体格的にも素手は厳しいだろう。
「見ていってもいい?」
「も、もちろん!」
ということで、ちょうど目に入った武器屋に入る。
なかは、多種多様な武器や防具でごちゃごちゃしており、人とすれ違うのも厳しいくらいの圧迫感だった。
ざっとみる感じ、ここは初心者向けの店らしく、全体的に簡素なものが多い。
それに、子どもが装備するようなものは置いていないようだ。
「らっしゃーい……あ? こら、ここはガキが来るとこじゃねえぞ」
頭上を見上げると、元冒険者なのかがっしりとした体躯の男が俺たちを見下ろしていた。
「一応冒険者ですが。……俺たちでも装備できる武具はありますか?」
「む、そうか。それは悪かったな。……しかし、あいにくここはお前たちみたいな子ども向けの装備は取り揃えてないんだ。特注になるが、ウチから出て右のほうに腕のいい鍛冶屋がいるから、そこへ行ってくれ」
店員の間違いも、俺たちの容貌ならば仕方ない。
この歳で武具屋に来る者などごく少数に違いないからだ。
彼は俺が冒険者であることを聞くと、まず謝罪をしてくれ、その後に鍛冶屋の場所を教えてくれた。
「ありがとうございます。そこに行ってみます」
こちらも誠実に返し、店員の言う鍛冶屋へと向かう。
ちなみに、このときサニャクルシアは俺の後ろに隠れて一言も喋らなかった。
紹介された鍛冶屋は、店から五分もしない場所にあった。
大通りから路地へと向かわせる看板があり、それが目印だった。
路地に面するその鍛冶屋の外装を見ると、手入れがあまりしてあらず、さらになかが見えずらく鍛冶の音も聞こえない。初見には入るのに勇気がいる雰囲気だ。
金属を打つときに燃え移らないように、建築材はレンガらしい。
「こ、ここに入るの?」
俺の服の裾を掴んだサニャクルシアが、言外に入りたくないと伝えてくる。
入らないとわざわざここまで来た意味がないので却下するが。
「入るよ」
「で、でも、なかには大っきな包丁持った、か、顔に古傷のある大男がいるかもしれないよ……!?」
思った以上にビビっている。どうしてそこまで細かな人物像を思い描いてしまうんだ。
「なに言ってんの……そんなのいるわけ……いたっ!?」
「っ!? あっ……」
背後に気配を感じ、二人同時に振り返ると立っていたのはサニャクルシアが言ったとおりの大男。
俺は驚いて後ずさり、サニャクルシアに至っては失神してしまった。
「……店の前でなにしてる。冷やかしなら帰れ」
と、大男は言い残して店のなかへと入っていった。
あっけに取られて見ていた俺は、我に帰る。
「あ……。さ、サニャ。大丈夫?」
「ふぇ? ……わっ、だ、大丈夫っ!」
「よかった。じゃあ、入ろっか」
そう言って、サニャクルシアの腕を引き、店のなかへと入った。
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