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激突 準決勝
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試合開始と同時にゼロは大盾装備のスケルトンナイトを1体とスペクターを2体を召喚した。
「スペクターは前進、目標を攻撃しなさい」
スペクター2体が飛び出し、ゼロはその場に留まって様子を見る。
エイリアがスペクターに向かって矢を放つが精神体のスペクターには通用しない、筈だったがゼロは僅かな異変を見逃さなかった。
矢がスペクターを通り抜ける際にスペクターの身体が僅かに歪む。
僅かながらダメージを受けたようだ。
「精霊魔法を乗せたか、矢の素材でしょうか?いずれにしても相手も様子見をしてますね」
スペクターが接近してもガンツは意に介さない。
直近まで接近したスペクターが衝撃魔法を叩き込むが、放たれた魔法がガンツの手前で霧散した。
「強力な魔法防御ですね。スペクターでは無理ですか。やはり物理技だけではありませんか」
どうやらエイリアの精霊魔法か、ガンツ自身が魔法を使うのか、どちらにせよ魔法戦に持ち込むだけ無駄なようだ。
レナの魔法ならば通用するかもしれないが、相手もそれには備えているだろう。
ゼロが状況を分析しているその隙にエイリアがゼロに向かって矢を放つが、スケルトンナイトが大盾を構えて射線上に割り込む。
ガキンッ!!
激しい音と共にエイリアの矢が大盾で弾かれたが、その音が尋常でなく受け止めたスケルトンナイトもバランスを崩した。
「これは、弓矢とは思えない重い一撃です。スケルトンウォリアー程度では吹き飛ばされそうですね」
ゼロは更に2体のスケルトンナイトを召喚した。
定番のサーベルと槍装備の2体だ。
「さて、始めますか」
ゼロの合図でゼロとスケルトンナイト3体が吶喊する。
エイリアが次々と矢を放つが、その射線上には常に大盾装備のスケルトンナイトがいて飛来する矢を受け止める。
弓矢の攻撃とは思えない重い一撃だが、レナの防御魔法とスペクターの幻惑魔法の援護下で辛うじて受け止めている。
サーベルと槍を装備したスケルトンナイト2体と剣を抜いたゼロがガンツを囲んだ。
ガンツはゆっくりと戦鎚を持ち直したかと思うと次の瞬間ゼロに向かって突進してきた。
「早い!」
ずんぐりとしたドワーフで重い鎧を着て戦鎚を持っているとは思えない早さでゼロに体当たりしてくる。
ゼロは身体を躱しながら剣を振り抜くも戦鎚でいなされた。
ゼロが僅かに体勢を崩したその時、頭上からガンツの戦鎚が振り下ろされる。
こちらも重い一撃だ、まともには受けられない!
ゼロは剣を斜めに構えて振り下ろされる戦鎚を斜め下に受け流した。
ガンツが戦鎚を構え直して笑みを浮かべた。
「力を逃がしたとはいえ、俺の戦鎚を受けたか。やはりその剣、いや刀はグラント師の打ったものだな。貴様と俺の勝負だけでなく俺の戦鎚とグラント師の刀の勝負までできるなんて嬉しい限りだ。礼を言うぞネクロマンサーよ!さあ、存分にやりあおうぞ!」
ガンツは嬉しそうに戦鎚を振りかざした。
「そう言われましても正面切っての勝負なんて願い下げですよ」
ゼロは戦鎚の攻撃を躱しながらスケルトンナイトと連携して戦いを運ぶ。
接近戦を展開しながらゼロはガンツを観察する。
ガンツの周囲には非常に強い魔力を感じる。
全身を強力な防御魔法で覆っている。
ゼロは自分の読みが正しかったことを実感した。
重戦士と弓士という物理攻撃に特化した冒険者が銀等級まで駆け上がったのである、特にエイリアはエルフであることから精霊魔法を扱える筈だが冒険者としてオールラウンダーなレンジャーでなく弓士の道を選んでいる。
その上で今まで生き残ってきたのだ、魔法攻撃に対する備えも万全なのだろう。
試しにレナに合図する。
レナがガンツに向けて複数の雷撃魔法を打ち込むがエイリアの矢に迎撃された。
それならばと必殺の魔法である雷光の槍を撃ち込んでみる。
流石にレナの必殺魔法である。
エイリアの迎撃の矢は弾き返すが、その魔法をガンツが戦鎚で叩き潰した。
「色々と試しているようだが、無駄だぞ」
「やはり、魔法は通用しませんね」
ゼロは再び三方からガンツを包囲した。
自らの最強魔法を物理的に叩き潰されたレナはそのプライドを砕かれ、自分自身の不甲斐なさに震えていた。
援護を任せると言われた筈なのに、エイリアの矢も自分の防御魔法とスケルトンナイトの大盾でやっと防いでいる。
むしろ、防御魔法は貫かれて矢の勢いを弱めているだけだ。
その上で攻撃魔法まで止められた。
このままでは闘技場にいるゼロを充分に援護できない。
「このままでは駄目!」
レナは決断した。
「ゼロ!少しの間、自分だけの力で凌ぎなさい!そうしたらそのドワーフとの戦いだけに専念させてあげるわ!」
レナは叫ぶと杖を立て、片膝をついて詠唱を始めた。
その様子を見たゼロはガンツの包囲を解いて距離を取ると大盾装備のスケルトンウォリアーを多数召喚して三重に盾を並べ、防御姿勢を取った。
その大盾の壁にエイリアの矢が撃ち込まれる。
直撃を受けた一枚目、二枚目のスケルトンウォリアーが吹き飛ばされ、三枚目のスケルトンウォリアーが辛うじて止める。
「予測していましたが、強烈ですね」
即座に防御壁を立て直したゼロが呟く。
脅威はエイリアの矢だけではない。
エイリアの矢に連携してガンツが突撃してくれば一溜まりもないだろう。
今それを防いでいるのはガンツの牽制に残した2体のスケルトンナイトだ。
ガンツの牽制に当たる彼等を守る壁は無いが、彼等は常にエイリアとガンツの直線の延長上に位置してエイリアに攻撃の機会を与えない。
その上で必要以上に勝ちに出ず、ひたすら牽制に徹していることで戦いを維持している。
ゼロは大盾の壁の中でレナの言葉を信じてただ待ち続けた。
「スペクターは前進、目標を攻撃しなさい」
スペクター2体が飛び出し、ゼロはその場に留まって様子を見る。
エイリアがスペクターに向かって矢を放つが精神体のスペクターには通用しない、筈だったがゼロは僅かな異変を見逃さなかった。
矢がスペクターを通り抜ける際にスペクターの身体が僅かに歪む。
僅かながらダメージを受けたようだ。
「精霊魔法を乗せたか、矢の素材でしょうか?いずれにしても相手も様子見をしてますね」
スペクターが接近してもガンツは意に介さない。
直近まで接近したスペクターが衝撃魔法を叩き込むが、放たれた魔法がガンツの手前で霧散した。
「強力な魔法防御ですね。スペクターでは無理ですか。やはり物理技だけではありませんか」
どうやらエイリアの精霊魔法か、ガンツ自身が魔法を使うのか、どちらにせよ魔法戦に持ち込むだけ無駄なようだ。
レナの魔法ならば通用するかもしれないが、相手もそれには備えているだろう。
ゼロが状況を分析しているその隙にエイリアがゼロに向かって矢を放つが、スケルトンナイトが大盾を構えて射線上に割り込む。
ガキンッ!!
激しい音と共にエイリアの矢が大盾で弾かれたが、その音が尋常でなく受け止めたスケルトンナイトもバランスを崩した。
「これは、弓矢とは思えない重い一撃です。スケルトンウォリアー程度では吹き飛ばされそうですね」
ゼロは更に2体のスケルトンナイトを召喚した。
定番のサーベルと槍装備の2体だ。
「さて、始めますか」
ゼロの合図でゼロとスケルトンナイト3体が吶喊する。
エイリアが次々と矢を放つが、その射線上には常に大盾装備のスケルトンナイトがいて飛来する矢を受け止める。
弓矢の攻撃とは思えない重い一撃だが、レナの防御魔法とスペクターの幻惑魔法の援護下で辛うじて受け止めている。
サーベルと槍を装備したスケルトンナイト2体と剣を抜いたゼロがガンツを囲んだ。
ガンツはゆっくりと戦鎚を持ち直したかと思うと次の瞬間ゼロに向かって突進してきた。
「早い!」
ずんぐりとしたドワーフで重い鎧を着て戦鎚を持っているとは思えない早さでゼロに体当たりしてくる。
ゼロは身体を躱しながら剣を振り抜くも戦鎚でいなされた。
ゼロが僅かに体勢を崩したその時、頭上からガンツの戦鎚が振り下ろされる。
こちらも重い一撃だ、まともには受けられない!
ゼロは剣を斜めに構えて振り下ろされる戦鎚を斜め下に受け流した。
ガンツが戦鎚を構え直して笑みを浮かべた。
「力を逃がしたとはいえ、俺の戦鎚を受けたか。やはりその剣、いや刀はグラント師の打ったものだな。貴様と俺の勝負だけでなく俺の戦鎚とグラント師の刀の勝負までできるなんて嬉しい限りだ。礼を言うぞネクロマンサーよ!さあ、存分にやりあおうぞ!」
ガンツは嬉しそうに戦鎚を振りかざした。
「そう言われましても正面切っての勝負なんて願い下げですよ」
ゼロは戦鎚の攻撃を躱しながらスケルトンナイトと連携して戦いを運ぶ。
接近戦を展開しながらゼロはガンツを観察する。
ガンツの周囲には非常に強い魔力を感じる。
全身を強力な防御魔法で覆っている。
ゼロは自分の読みが正しかったことを実感した。
重戦士と弓士という物理攻撃に特化した冒険者が銀等級まで駆け上がったのである、特にエイリアはエルフであることから精霊魔法を扱える筈だが冒険者としてオールラウンダーなレンジャーでなく弓士の道を選んでいる。
その上で今まで生き残ってきたのだ、魔法攻撃に対する備えも万全なのだろう。
試しにレナに合図する。
レナがガンツに向けて複数の雷撃魔法を打ち込むがエイリアの矢に迎撃された。
それならばと必殺の魔法である雷光の槍を撃ち込んでみる。
流石にレナの必殺魔法である。
エイリアの迎撃の矢は弾き返すが、その魔法をガンツが戦鎚で叩き潰した。
「色々と試しているようだが、無駄だぞ」
「やはり、魔法は通用しませんね」
ゼロは再び三方からガンツを包囲した。
自らの最強魔法を物理的に叩き潰されたレナはそのプライドを砕かれ、自分自身の不甲斐なさに震えていた。
援護を任せると言われた筈なのに、エイリアの矢も自分の防御魔法とスケルトンナイトの大盾でやっと防いでいる。
むしろ、防御魔法は貫かれて矢の勢いを弱めているだけだ。
その上で攻撃魔法まで止められた。
このままでは闘技場にいるゼロを充分に援護できない。
「このままでは駄目!」
レナは決断した。
「ゼロ!少しの間、自分だけの力で凌ぎなさい!そうしたらそのドワーフとの戦いだけに専念させてあげるわ!」
レナは叫ぶと杖を立て、片膝をついて詠唱を始めた。
その様子を見たゼロはガンツの包囲を解いて距離を取ると大盾装備のスケルトンウォリアーを多数召喚して三重に盾を並べ、防御姿勢を取った。
その大盾の壁にエイリアの矢が撃ち込まれる。
直撃を受けた一枚目、二枚目のスケルトンウォリアーが吹き飛ばされ、三枚目のスケルトンウォリアーが辛うじて止める。
「予測していましたが、強烈ですね」
即座に防御壁を立て直したゼロが呟く。
脅威はエイリアの矢だけではない。
エイリアの矢に連携してガンツが突撃してくれば一溜まりもないだろう。
今それを防いでいるのはガンツの牽制に残した2体のスケルトンナイトだ。
ガンツの牽制に当たる彼等を守る壁は無いが、彼等は常にエイリアとガンツの直線の延長上に位置してエイリアに攻撃の機会を与えない。
その上で必要以上に勝ちに出ず、ひたすら牽制に徹していることで戦いを維持している。
ゼロは大盾の壁の中でレナの言葉を信じてただ待ち続けた。
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