2 / 4
2 積もるのは
しおりを挟む
「俺には、誰にも晒していない秘密があってだなぁ……
前回のテストの点がどうだとか、朝の電車で隣の女子高生の匂いを嗅いだとか、そんな単純なものでは無くて、ええっとそのー」
やはり覚悟が出来ていなかったのか、ついつい、本題でないことから入ってしまう。
それでも、俺は元の世界に戻るために生きてると伝わるならばいいのだ。
1度目を瞑り、よしっ!目を開いた。
すると、先程から一転、明らかに変わった夏渚の顔が見えた。
おお、ちょっくらやらかしたみたいだ。ここは和ませなければ。
「いや、俺の人生が、かなりスレスレの擦れったーを攻めていることは、もちろんこの場で謝るよねぇぇー!ごめんピース!てか擦れったーってなんやねん!……そこは笑うとこじゃないぞ!って全然笑ってねぇ、なんで?」
…………沈黙。
「何考えてるの?変態のくせにこれまでよく警察に捕まらなかったね」
うーん。
これは、心配というのだろうか?
そのままの言葉として受け取っていいのだろか?
いや、誠に悔しいことに、軽蔑という類な意図が込められている気がするのだが。
とりあえず、この手の話はするべきじゃなかったと理解することができた。
すごい嬉しい成長だ。
それだけで、美女に頭を撫でられながら褒められてもいいくらいに偉い。
「こんなこと言うの君だけだからね?」
すると、すごい顔をしてこっちに来る。
「ってなになに?なんで近付いてくんの?え?とうとう好きになっちゃった?ああ、来ないで!ボコらないで下さい許してください、助けてぇぇぇー!!」
昨日、もう二度とあんな姿は見せまいと、必死に取り繕って、今日こそは、と思って用意しておいた、どんだけ暖めまくったか思い出したくない、そんな秘密の話には1ミリも掠らないまま、一蹴りを入れられた。
「痛ぇぇ!おまえの足、筋肉どうなってんの?」
もちろん痛かった。
だけど、楽しかった。あんな時間が続いて欲しいって思った。
けれど、そんなわけがなかった。
ふと、初めに突きつけられた選択肢を振り返る。
去るか粘るか。
選ぶ筈なのは、去る。
選ぼうとしたのは、去る。
実際選んだのはここの【世界】での目標達成。
でも、結局、心が折れそうな状況を作ってしまった。
多分俺のせいだ。
答えが分からない。
「これじゃ、違う。何してんだ。」
ここに来た初めの日に、少しだけ期待してしまった自分に嫌気が差す。
「ははっ、俺、やっぱ、だめだ。サイテーだな。ちょっと【世界】変わったとこで、意味なんて無いんだよ。始めから決まってたじゃねーか。簡単な事だった。全部無茶苦茶にして終わらせれば良かったんだ、そうすりゃ、俺だって、夏渚だって傷つかないで済んだのに、どうして俺は」
さっきからそんな考えばかりしている。
「でも、好きだよ、私。冬哉が頑張るとこ」
その声聞くと安心しちゃうんだよ。
まだ進めるって思っちゃう。
唐突に逆戻りしたくなる。
白紙に戻してやり直したい。
でもそれをすると、もう君には会えない。
そう思った瞬間、睨みつけていた。
もう離れてくれ。
「今の俺には君が、」
邪魔なんだ。
前回のテストの点がどうだとか、朝の電車で隣の女子高生の匂いを嗅いだとか、そんな単純なものでは無くて、ええっとそのー」
やはり覚悟が出来ていなかったのか、ついつい、本題でないことから入ってしまう。
それでも、俺は元の世界に戻るために生きてると伝わるならばいいのだ。
1度目を瞑り、よしっ!目を開いた。
すると、先程から一転、明らかに変わった夏渚の顔が見えた。
おお、ちょっくらやらかしたみたいだ。ここは和ませなければ。
「いや、俺の人生が、かなりスレスレの擦れったーを攻めていることは、もちろんこの場で謝るよねぇぇー!ごめんピース!てか擦れったーってなんやねん!……そこは笑うとこじゃないぞ!って全然笑ってねぇ、なんで?」
…………沈黙。
「何考えてるの?変態のくせにこれまでよく警察に捕まらなかったね」
うーん。
これは、心配というのだろうか?
そのままの言葉として受け取っていいのだろか?
いや、誠に悔しいことに、軽蔑という類な意図が込められている気がするのだが。
とりあえず、この手の話はするべきじゃなかったと理解することができた。
すごい嬉しい成長だ。
それだけで、美女に頭を撫でられながら褒められてもいいくらいに偉い。
「こんなこと言うの君だけだからね?」
すると、すごい顔をしてこっちに来る。
「ってなになに?なんで近付いてくんの?え?とうとう好きになっちゃった?ああ、来ないで!ボコらないで下さい許してください、助けてぇぇぇー!!」
昨日、もう二度とあんな姿は見せまいと、必死に取り繕って、今日こそは、と思って用意しておいた、どんだけ暖めまくったか思い出したくない、そんな秘密の話には1ミリも掠らないまま、一蹴りを入れられた。
「痛ぇぇ!おまえの足、筋肉どうなってんの?」
もちろん痛かった。
だけど、楽しかった。あんな時間が続いて欲しいって思った。
けれど、そんなわけがなかった。
ふと、初めに突きつけられた選択肢を振り返る。
去るか粘るか。
選ぶ筈なのは、去る。
選ぼうとしたのは、去る。
実際選んだのはここの【世界】での目標達成。
でも、結局、心が折れそうな状況を作ってしまった。
多分俺のせいだ。
答えが分からない。
「これじゃ、違う。何してんだ。」
ここに来た初めの日に、少しだけ期待してしまった自分に嫌気が差す。
「ははっ、俺、やっぱ、だめだ。サイテーだな。ちょっと【世界】変わったとこで、意味なんて無いんだよ。始めから決まってたじゃねーか。簡単な事だった。全部無茶苦茶にして終わらせれば良かったんだ、そうすりゃ、俺だって、夏渚だって傷つかないで済んだのに、どうして俺は」
さっきからそんな考えばかりしている。
「でも、好きだよ、私。冬哉が頑張るとこ」
その声聞くと安心しちゃうんだよ。
まだ進めるって思っちゃう。
唐突に逆戻りしたくなる。
白紙に戻してやり直したい。
でもそれをすると、もう君には会えない。
そう思った瞬間、睨みつけていた。
もう離れてくれ。
「今の俺には君が、」
邪魔なんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる