ちょっくらやらかしたのでリセットします

夜うさᕱ⑅ᕱ

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2 積もるのは

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「俺には、誰にも晒していない秘密があってだなぁ……
前回のテストの点がどうだとか、朝の電車で隣の女子高生の匂いを嗅いだとか、そんな単純なものでは無くて、ええっとそのー」

やはり覚悟が出来ていなかったのか、ついつい、本題でないことから入ってしまう。
それでも、俺は元の世界に戻るために生きてると伝わるならばいいのだ。


1度目を瞑り、よしっ!目を開いた。


すると、先程から一転、明らかに変わった夏渚なぎさの顔が見えた。

おお、ちょっくらやらかしたみたいだ。ここは和ませなければ。

「いや、俺の人生が、かなりスレスレの擦れったーを攻めていることは、もちろんこの場で謝るよねぇぇー!ごめんピース!てか擦れったーってなんやねん!……そこは笑うとこじゃないぞ!って全然笑ってねぇ、なんで?」


…………沈黙。


「何考えてるの?変態のくせにこれまでよく警察に捕まらなかったね」


うーん。
これは、心配というのだろうか?
そのままの言葉として受け取っていいのだろか?
いや、誠に悔しいことに、軽蔑という類な意図が込められている気がするのだが。

とりあえず、この手の話はするべきじゃなかったと理解することができた。
すごい嬉しい成長だ。

それだけで、美女に頭を撫でられながら褒められてもいいくらいに偉い。


「こんなこと言うの君だけだからね?」


すると、すごい顔をしてこっちに来る。

「ってなになに?なんで近付いてくんの?え?とうとう好きになっちゃった?ああ、来ないで!ボコらないで下さい許してください、助けてぇぇぇー!!」

昨日、もう二度とあんな姿は見せまいと、必死に取り繕って、今日こそは、と思って用意しておいた、どんだけ暖めまくったか思い出したくない、そんな秘密の話には1ミリも掠らないまま、一蹴りを入れられた。

「痛ぇぇ!おまえの足、筋肉どうなってんの?」


もちろん痛かった。


だけど、楽しかった。あんな時間が続いて欲しいって思った。


けれど、そんなわけがなかった。


ふと、初めに突きつけられた選択肢を振り返る。
去るか粘るか。
選ぶ筈なのは、去る。
選ぼうとしたのは、去る。
実際選んだのはここの【世界】での目標達成。


でも、結局、心が折れそうな状況を作ってしまった。
多分俺のせいだ。
答えが分からない。


「これじゃ、違う。何してんだ。」


ここに来た初めの日に、少しだけ期待してしまった自分に嫌気が差す。

「ははっ、俺、やっぱ、だめだ。サイテーだな。ちょっと【世界】変わったとこで、意味なんて無いんだよ。始めから決まってたじゃねーか。簡単な事だった。全部無茶苦茶にして終わらせれば良かったんだ、そうすりゃ、俺だって、夏渚なぎさだって傷つかないで済んだのに、どうして俺は」

さっきからそんな考えばかりしている。

「でも、好きだよ、私。冬哉とうやが頑張るとこ」

その声聞くと安心しちゃうんだよ。

まだ進めるって思っちゃう。
唐突に逆戻りしたくなる。
白紙に戻してやり直したい。
でもそれをすると、もう君には会えない。

そう思った瞬間、睨みつけていた。
もう離れてくれ。


「今の俺には君が、」
邪魔なんだ。
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