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理想の異世界おじさんライフ?のはじまり
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「それにしても声と姿が合っていないな」
リコドにまじまじと見られてルナは顔を赤くした。
何故か、声だけは前世のままのようだった。
「あのー、私どんな顔なんでしょう」
「ほれ」
リコドはふう、とさっき葉っぱを出したみたいに息を吹きかけると、空中に水たまりを出した。その水たまりに映る姿を見て、ルナは目を丸くした。
「ほぼ裸のおじさんだ……」
そこに映っていたのは、眼鏡をかけた髪の薄い太ったおじさんだった。
モデルはおじさんだけど、ヴィーナスの誕生とか外国の絵画で描かれてるような格好だった。裸体に葉っぱと蔓が絡みついていて、彫刻の石像みたいだ。モデルはおじさんだけど。
前世の世界でこの格好で街を歩いていたら、確実にお巡りさんに捕まると思う。
声だけは女子高生のままなので、女子の声におじさんの見た目という謎の生き物感が良く出ている。
それにしても、葉っぱが最低限の量なので露出が多い。
「なんだ、大事なところは隠してやっただろ?」
「重ね重ね申し訳ありませんが、もう少し葉っぱ増量お願い出来ないでしょうか」
「仕方ないな」
リコドがふうと息を吐いて、おじさんの体に葉っぱがワサワサとたくさん絡みついた。
今度は腰周りと胸周りにびっしりと緑色の帯のように葉っぱが巻き付く。
これなら原始人レベルでは隠せてると思う。
「ありがとうございます。リコド」
「ふん」
ぽっと照れて頬を赤くしたリコドはツンとしたお姉さんだけど、ぶっきらぼうなだけで何だかんだお願いを聞いてくれて優しい。
それにしても。
この体、何歳くらいなんだろう?
お父さんくらいかな?
じーっとリコドの出してくれた水鏡を見る。
頭はツヤツヤした地肌が見える。
額や頬や鼻頭もまた、脂でツヤツヤしていた。
普通、転生したら生まれた時から人生が始まるんじゃないのかな?
しかしルナにはこのおじさんとして生まれて過ごしてきた記憶なんて欠片もなかった。
「お前、これからどうするんだ?」
リコドが怒った顔でルナに聞いた。
どうする、と聞かれても、右も左も解らない。
しかし、リコドの言う通り異世界におじさんとして転生したのだとしたら、せっかくだから前世で出来なかったことをやろうかな?
「猫ちゃんとまったり暮らしたい、です」
ルナがうーんと考えた後にそう言うと、リコドは、ほーと興味が無さそうに呟いた。
「家はあるのか?」
「家……たぶんないですね」
「仕方ないな」
「え」
リコドがまた、ふうと息を吹くとこじんまりとした赤い三角屋根のお家が目の前にドドンと出現した。
「やる」
リコド、親切すぎでは?
「ここに住んでもいいんですか?」
さっきは、森の主のリコドの許可なくここで寝るなと怒られた気がするけれど。
「やると言っただろ」
リコドは相変わらずツンだけれど、どうやら感謝されることに喜びを感じる性格みたいだ。背中の薄い羽根がプルプル震えていて、尻尾を振る犬みたいに見えた。
「何から何までありがとうございます、リコド」
「ふん」
その時、メルヘンなお家のメルヘンな扉がギィと開いて、中から黒猫が出てきた。
と、思ったらその黒猫は尻尾が三つ生えていて、私の所まで文字通り空中を飛んできた。猫じゃなかった。
でも、にゃーんと鳴いて腕の中に来てくれたそれは、仕草は完全に猫ちゃんだった。ふわふわの毛皮を優しく撫でて、抱きしめる。動画で見たことがあるみたいに、背中をスーハーと吸ってみたらお日様の匂いがした。猫ちゃんは犬みたいに三股の尻尾をグルングルン振って既に懐いてくれているようだった。
前世の私だったら、抱っこした瞬間にアレルギーでくしゃみが止まらなくなるけれど、おじさんはアレルギーじゃないみたい。
「やったー」
異世界最高だな!
私はおじさんの顔がにやけるのを止められなかった。
リコドにまじまじと見られてルナは顔を赤くした。
何故か、声だけは前世のままのようだった。
「あのー、私どんな顔なんでしょう」
「ほれ」
リコドはふう、とさっき葉っぱを出したみたいに息を吹きかけると、空中に水たまりを出した。その水たまりに映る姿を見て、ルナは目を丸くした。
「ほぼ裸のおじさんだ……」
そこに映っていたのは、眼鏡をかけた髪の薄い太ったおじさんだった。
モデルはおじさんだけど、ヴィーナスの誕生とか外国の絵画で描かれてるような格好だった。裸体に葉っぱと蔓が絡みついていて、彫刻の石像みたいだ。モデルはおじさんだけど。
前世の世界でこの格好で街を歩いていたら、確実にお巡りさんに捕まると思う。
声だけは女子高生のままなので、女子の声におじさんの見た目という謎の生き物感が良く出ている。
それにしても、葉っぱが最低限の量なので露出が多い。
「なんだ、大事なところは隠してやっただろ?」
「重ね重ね申し訳ありませんが、もう少し葉っぱ増量お願い出来ないでしょうか」
「仕方ないな」
リコドがふうと息を吐いて、おじさんの体に葉っぱがワサワサとたくさん絡みついた。
今度は腰周りと胸周りにびっしりと緑色の帯のように葉っぱが巻き付く。
これなら原始人レベルでは隠せてると思う。
「ありがとうございます。リコド」
「ふん」
ぽっと照れて頬を赤くしたリコドはツンとしたお姉さんだけど、ぶっきらぼうなだけで何だかんだお願いを聞いてくれて優しい。
それにしても。
この体、何歳くらいなんだろう?
お父さんくらいかな?
じーっとリコドの出してくれた水鏡を見る。
頭はツヤツヤした地肌が見える。
額や頬や鼻頭もまた、脂でツヤツヤしていた。
普通、転生したら生まれた時から人生が始まるんじゃないのかな?
しかしルナにはこのおじさんとして生まれて過ごしてきた記憶なんて欠片もなかった。
「お前、これからどうするんだ?」
リコドが怒った顔でルナに聞いた。
どうする、と聞かれても、右も左も解らない。
しかし、リコドの言う通り異世界におじさんとして転生したのだとしたら、せっかくだから前世で出来なかったことをやろうかな?
「猫ちゃんとまったり暮らしたい、です」
ルナがうーんと考えた後にそう言うと、リコドは、ほーと興味が無さそうに呟いた。
「家はあるのか?」
「家……たぶんないですね」
「仕方ないな」
「え」
リコドがまた、ふうと息を吹くとこじんまりとした赤い三角屋根のお家が目の前にドドンと出現した。
「やる」
リコド、親切すぎでは?
「ここに住んでもいいんですか?」
さっきは、森の主のリコドの許可なくここで寝るなと怒られた気がするけれど。
「やると言っただろ」
リコドは相変わらずツンだけれど、どうやら感謝されることに喜びを感じる性格みたいだ。背中の薄い羽根がプルプル震えていて、尻尾を振る犬みたいに見えた。
「何から何までありがとうございます、リコド」
「ふん」
その時、メルヘンなお家のメルヘンな扉がギィと開いて、中から黒猫が出てきた。
と、思ったらその黒猫は尻尾が三つ生えていて、私の所まで文字通り空中を飛んできた。猫じゃなかった。
でも、にゃーんと鳴いて腕の中に来てくれたそれは、仕草は完全に猫ちゃんだった。ふわふわの毛皮を優しく撫でて、抱きしめる。動画で見たことがあるみたいに、背中をスーハーと吸ってみたらお日様の匂いがした。猫ちゃんは犬みたいに三股の尻尾をグルングルン振って既に懐いてくれているようだった。
前世の私だったら、抱っこした瞬間にアレルギーでくしゃみが止まらなくなるけれど、おじさんはアレルギーじゃないみたい。
「やったー」
異世界最高だな!
私はおじさんの顔がにやけるのを止められなかった。
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