きみを見つけた

山鳩由真

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 ユタさん、これで良かったんでしょうか。成井田は、すぐにつらい気持ちから解放されるでしょうか。
 とん、と肩に置かれた手に、さつきは咄嗟にしがみついた。顔を上げると、優しい顔のユタがさつきを見ていた。周囲の雑音のボリュームが、一気に遠ざかる。
 ユタさん。ユタさん。
 さつきは泣きながらユタの手の甲にキスを落とした。
 ユタさん、俺、断ったんです。
 成井田に、何十年後でもいいから、誰とも付き合っていなくなったら、付き合うと約束して欲しいと言われて。
 曖昧な約束だから、受けても良かったかもしれない。でも、断った。成井田を引き留め続けるのはだめだと思いました。それに何より、何十年後かに、ユタさんとの繋がりがなくなって生きている自分を想像出来なかったんです。
 ユタさんと、ずっと一緒に居たいと思うこと、許してくれますか。そのためにだったら、……。

✳︎

「あっ……?!」
 ビクッと身体が勝手に大きく揺れて、さつきの意識は強制的に戻された。
「はあっ……?! あっ……?」
 強烈な快感が全身に広がるが、自分の置かれた状況が解らず、さつきは瞬きを繰り返す。瞳に溜まっていた涙が流れ落ちると、自分の顔を覗き込む秀麗な男の顔の輪郭が徐々にはっきりと見えてきた。ユタは美しく、優しい笑みを浮かべていた。
 しかしその唇からは、容赦なくさつきを辱める言葉が紡がれる。
「二週間出来なかったから、溜まってたかな?」
 さつきの全身に快感を広げる元となった性器が、ユタの手に握られていた。それは息づくように震えながら、身体の中心で先端から残滓をたらりと溢している。そして腹の上には、ぶち撒けられた精のにおいが漂っていた。
「あ……ユ、ユタさんっ……?」
「今、前でイった? 中触ってないけど後ろかな? すごく疼いてる」
 ユタは微笑みながら、さつきの息づくペニスを緩く扱き続け、後ろの窄まりを指で円を描くようになぞった。
「あ、や、いや……っ」
 ユタの眼前に大きく足を開いて全てを曝け出す自分の姿に、さつきは慌てて上半身を起こす。
「あっ……」
 しかし、勢いよく飛び起きた身体は、背後からグンと首を引かれベッドの上に押し戻された。
「柔らかいラバー製だから痕にはなりにくい筈だけど、あまり暴れないで」
 さつきの首に巻かれた太く黒いベルトは、ベッドヘッドの柱に厳重に繋がれており、両腕は背中の後ろで肘から下を布のような物で包み込むように一つに縛って纏められていた。
 ユタは子供の悪戯を咎める大人のように、けれど優しくさつきを宥めると、中心で勃ちあがったままのものの根元を扱きながら、先の窪みを丁寧に舐めてさつきを上目で見る。
「あ! あぁっ、ユタさんっ、やめてっ……! やめてくださいっ!」
 出したばかりのペニスを弄られ続けると、下腹部の内臓がきゅううと絞られるような痛みと、堰き止めきれない何かが内部から強制的にせり上がってくるような感覚がした。
 この感覚は二度目だった。
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