教科書通りの恋を教えて

14.強制発情 3

　何度も股の間に擦りつけてじゅうぶんに滾る自身を、室見はゆっくりと郁の後孔に埋め込んでいった。質量のある室見のものが狭い肉壁を擦りあげながら進入し、その後ろに与えられる感覚で郁はまた達した。
「あっ……、あぁっ……！　はあっ、はっ」
「ん……っ、郁……すごく……気持ちいいね……」
　びくんと痙攣した郁の身体を抱き締めながら四つん這いにさせると、後ろから覆い被さった形の室見は自身を根本まで深く中におさめる。二度目は少しだけ精液がこぼれただけの郁の陰茎を優しく握りながら、室見は腰を揺すって奥を突いた。
「あっ、あっ、や、ぁあっ、も……やっ……めぇっ」
「ん……やめ……ない……っは、ん……っ」
「あっ……あー……っ」
　中を深く穿って、少し動きを止めてまた穿つ。やがてカクンと力が抜けてベッドに沈みそうになる郁の身体を支えながら、室見は何度も腰を揺らした。頭の中が霞がかったようにぼうっとする郁は、呼吸をするだけで精一杯になる。
「はっ、はっ、はあっ、あっ、はっ……」
「郁っ……郁……、愛、してる……愛してる……」
　室見が耳元で何度も囁く。そのたびに耳から身体中に熱い血が巡るようだった。やがて中のものが膨張する感覚があって、室見が動きを止める。長い吐精の快感に浸る室見が、首の後ろで短い呼吸を繰り返す。急に、うなじに鋭い痛みが走り、すぐにその場所をねっとりと生暖かいものが這う。そしてまた、吐息まじりの告白が聞こえた。

　愛してる……。

　室見にそう囁かれるたびに、心臓が高鳴り体温があがる。そして、胸が疼き、“ほしく”なる。室見が郁のことを言うのと同じ、“全部”としか言い表せない。室見のすべてがほしいという欲望に支配される。けれど。

「ち……がう……」

「……な……に……？　郁……？」