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後日談ーもう一度あの時をー 双子の義弟15
しおりを挟む墓参りの後、また少し観光して、その夜はカナと郁の家に泊まった。
ノアの心臓は、墓参りで郁の笑顔を見てからずっとバクバクと早鐘を打っていた。性別検査を受ける前のウィリー、ノアは母親たちに勧められて郁と三人で風呂に入り、郁の部屋で寝ることになった。
整頓された部屋の中に、布団が敷き詰められていた。
「ここが俺の部屋だよ。布団でも眠れるかな?」
「俺はどこでも寝れるのが特技なんだ。それにノアもよくゲームしながら机で寝てるし大丈夫だと思うな……イテッ」
むすっと唇を引き結んだ顔のノアが、調子よく応えたウィリーの足を踏んだ。ウィリーは「なんだよ、本当のことじゃん」とノアを恨めしげに睨む。その様子を見て郁がくすりと笑った。
「二人とも仲がいいんだね。俺は兄弟がいないから、羨ましいよ」
その笑顔が寂しそうに見えて、ウィリーは慌ててフォローした。
「郁だって、もう俺たちと兄弟だから、仲良くしようよ!」
「そうか。そうだね」
郁の驚いた顔が、嬉しそうな顔に変わる。
そして……
「「わっ……?!」」
ぎゅうっと細い腕が二人を抱き締めた。
「ありがとう。my little bro」
郁に頬をすり寄せられて、ウィリーも、そしてノアもゆでダコのように顔を赤くしてしばらく硬直してしまった。
布団に入るとすぐに寝息が聞こえてきて、ノアはウィリーが羨ましいくらいだった。
こんな状況でなんで寝られるんだ。
布団の真ん中の郁の右腕をウィリーが、左腕をノアが抱き枕のように抱き締めて寝ていた。どんな状況でも寝られると豪語したウィリーの寝息が疎ましい。左右から体温の高い子供二人にくっつかれている郁の左腕はしっとりと汗ばんでいた。そのせいもあるのか、昼間は気づかなかった“良い匂い”が強く感じられた。呼吸と見せかけてその匂いを胸いっぱいに吸い込むと、なんとも言えない心地よさが身体中に走る。熱いような、痺れるような感覚が吸い込んだ胸から腰に、足の指先まで伝わっていく。
寝られない……。
ノアは、どくどくと何かが身体の中で脈打つのを感じながら、郁の顔を見上げた。
「ん……」
ノアの視線に気づいて、軽く閉じていた郁のガラス玉のような瞳が開く。
かわいい……。
思わずノアは心の中で呟いた。そしてはっとした。ああ、そうだ。もうこれは間違いないのだ。
俺は、こいつ……この人のことが、好きになってしまったんだ。
「Iku...I love you...」
うるさいくらい脈打つ心臓をおさえながら、ノアは告白した。それを聞いた郁は微笑んで迷いない様子で応えた。
「I love you,Noah.Good night.」
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