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第1話 自由奔放な男
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「……ああ、寝てしまったのね」
都心から電車で一時間弱。実家に呼びつけられた幸恵が車内で見た夢は、これまでの人生の中で最低最悪の出来事の記憶だった。思わず独り言を零してから、段々都心とは雰囲気が変わってきている窓の外の景色を眺めながら自問自答する。
(どうして、あんな夢を見たのかしら?)
しかしすぐに、今春、自分と同じ会社に入社してきた父方の従妹とのトラブル絡みで、つい先程、二十何年ぶりかで騙し討ち的に再会した、従兄弟の事を思い出した。
(最近、あの人の顔を見たからか。全く……、没交渉だと思っていたのは私だけで、父親と次男は何回も家に出入りしてたって、何の冗談よ。しかも兄さんとあいつが、飲み友達って何? 人を馬鹿にして)
祖母の最期について拘っていたのは実は自分だけで、他の家族が既に君島と次男の和臣とは和解していた上、交流していたと知った時の幸恵の衝撃は半端では無く、その直後に電話で実家の両親を罵倒した程だった。しかし「お前が未だに君島家の事を口に出した途端大暴れするから、なかなか言えなかった」と言われれば、身に覚えの有り過ぎる身としては、それ以上強くは言えなかったのも仕方のない事ではあった。
その後、従妹である綾乃と和解した事もあり、幸恵はその事については蒸し返さない事にしていたが、その日、そうも言っていられない事態が発生した。
「ただいま……」
途中で見た夢のせいで、どんよりした気持ちのまま実家に帰り着いた幸恵は、兄嫁の香織に玄関の鍵を開けて貰って挨拶すると、エプロン姿の香織は明るく笑いながら、謝罪の言葉を口にした。
「幸恵さん、お帰りなさい。ごめんなさいね。正敏さんが待てないって言って、皆先に食べ始めちゃったの」
「良いですよ。もうお酒も入ってるんでしょう?」
「ええ。お肉と一緒に良いお酒も頂いちゃったから、お義父さんも喜んじゃって」
苦笑しながら頷いた幸恵に香織が笑って返した所で、廊下を歩き出した幸恵は、座敷の方から伝わってくる父や兄の笑い声に、思わず渋面になった。
「頂いたって……、お客様なの? それなのに『美味いものを食わせてやるから、偶には帰って来い』だなんて、何を考えているんだか」
「あ、幸恵さん、それでお客様って言うのが」
「ただいま戻りました……」
香織の話の途中で、座敷の襖を引き開けつつ帰宅の挨拶をした幸恵だったが、そこに本来居る筈の無い人間の姿を認めて、全身の動きを止めた。
「ああ、幸恵。一人暮らしだと碌なものを食ってないだろ。ちゃんと栄養をつけていけ!」
「おう! 今帰ったか、我が不肖の妹!」
「お帰りなさい、幸恵さん。お邪魔してます」
自分が不機嫌になっている原因の男が、ほろ酔い加減で上機嫌な父と兄と一緒に、違和感無く長方形の座卓を囲んでいた為、幸恵はひんやりとした声を出した。
「…………どうしてあんたが、ここに居るのよ?」
その問いに、本人が口を開く前に、幸恵の横から香織が口を挟んできた。
「今日のお肉とお酒は全部、和臣さんのお土産なの。凄いわよ? 但馬牛最高等級A5ランクのすき焼き用お肉を、三キロも頂いちゃったの! さっき食べたけど美味しかったわ~! こんな最高級品、うちのスーパーで取り扱え無いわよねぇ。高値過ぎて、下手したら売れ残るもの」
「香織さん……」
片頬を押さえながら香織がしみじみとそんな事を言った為、幸恵は顔を引き攣らせ、地域密着型のスーパーチェーン店を経営している一家は、苦笑いで応じた。
「香織さん、それは言わない約束だろう」
「そうそう。ちゃんと客層見て仕入れしないと、経営が成り立たないだろうが」
「でも確かにこういう物を、一度は置いてみたいわねぇ……」
そこで香織が思い出した様に幸恵に声をかけた。
「あ、幸恵さん、大丈夫よ? 幸恵さんの分はきちんと取り分けてあるから。さあ、座って食べて食べて」
「はぁ……」
兄嫁に向かって怒鳴るわけにもいかず、幸恵は勧められるまま和臣の隣の座布団に座った。そうして香織が手際よく運んできた茶碗や皿の中身で、夕飯を食べ始める。和臣が愛想を振り撒きつつも幸恵には話しかけずに静かに酒を飲んでいるのを幸い、幸恵は卓上コンロに置かれているすき焼き用の鍋に次々肉を放り込んで黙々と食べていたが、少しして両親が溜め息交じりに言い出した。
「幸恵、お前もうちょっとマメに顔を出せ。来いと言わないと来やしないんだから」
「そうよ。お正月の他はお盆とお彼岸位しか顔を出さないで。同じ都内に住んでいるって言うのに」
その愚痴っぽい響きに、幸恵は思わず箸の動きを止め、皮肉っぽく言い返す。
「そう思っているなら、自然に帰ろうかなと思える様に、もう少しこの家の環境整備をして貰いたいんだけど?」
「何の事だ?」
そこで眉を寄せた父親に向かって、幸恵は苛立たしげに叫んだ。
「とぼけないでよ! 毎回帰る度に『良い人は居ないのか』とか『良い縁談が有るんだ』とか、一々しつこいし五月蠅いのよ! 自分の将来は自分で決めるわ! …………ちょっと。人の頭で何してんのよ?」
文句を言っている途中で、何故か頭を撫でられているのが分かった幸恵は隣に座っている和臣を睨み付けたが、和臣は自分の行為を真顔で告げた。
「うん? 幸恵さんをいい子いい子って宥めているだけ」
「酔ってるの? それとも、もの凄い馬鹿なの?」
「幸恵さんがもの凄く謝りたそうだったから、『気にしないで良いよ』って言いたかったんだ。やっと言えたなぁ……」
「はぁ?」
唐突に、何やら訳が分からない事を感慨深く言われた為、幸恵は毒気を抜かれて首を傾げた。
(やっと言えたって……、何の事を言ってるわけ? この人と接点なんて……)
思わず考え込んだ幸恵だったが、すぐにある事に思い至った。
(ひょっとして……、昔、泥水を浴びせかけた時の事? 確かに悪い事をしたと思ったし、謝りそびれていたけど……。でもこの人の立場なら、私に文句を言うのが妥当じゃないの?)
そう考えた幸恵が当惑していると、いつの間にか和臣は幸恵の頭から手を離し、真剣な顔で年長者達に向き直った。
「伯父さん、伯母さん。正敏さん、香織さんも聞いて下さい」
「あら、何? 和臣君」
「どうかしたのかい?」
姿勢を正して呼びかけてきた和臣に、皆怪訝な顔を向けつつ話を聞く態勢になる。すると和臣は切々と訴えてきた。
「毎回実家に帰る度に、幸恵さんが気の進まない縁談の話を聞かされるのは気の毒です。そっとしておいてあげて貰えませんか? 幸恵さんも気持ち良く、実家に帰りたいでしょうし」
「……ちょっと。そんな事、あんたに言われる筋合いないわよ?」
流石にむかっ腹を立てながら幸恵が会話に割り込んだが、家族は顔を見合わせつつ、弁解じみた台詞を口にする。
「まあ、それはなぁ」
「私達もねぇ、嫌な思いはさせたくは無いんだけど」
「三十近いんだからな、仕方がないだろ」
「幸恵さんはお仕事を頑張ってるから、ちょっとお義父さん達が気にしているだけなのよ」
「ええ、それは重々分かっていますから」
(何でこいつにしたり顔で、家族間の問題に口を挟まれなくちゃならないわけ!?)
こめかみに青筋を浮かべつつ、幸恵は他の者達のやり取りを無視して食事に集中しようとしたが、ここで和臣が静かな口調で言い切った。
「大丈夫です。幸恵さんが嫁き遅れる心配はありません。安心して下さい」
その口調に、正敏が不思議そうに問いかけた。
「はあ? 和臣、お前何でそんなに自信満々なんだよ?」
「俺がマザコンだからです」
「…………はぁ?」
今度は正敏のみならず、幸恵を含めた荒川家全員がきょとんとした顔を和臣に向けたが、そんな当惑した視線を一身に浴びながら、和臣はすこぶる冷静に話を続けた。
「今まで出会った女性の中で、幸恵さんが一番母に似ているので、彼女の事を好きになれると思います。ですから幸恵さんの事は俺が引き受けますので、皆さん安心して下さい」
「…………」
真顔でそんな事を言われた荒川家の面々は、一体どういう反応をすれば良いのか咄嗟に判断が付かず、無言で互いに顔を見合わせた。そんな戸惑いを知ってか知らずか和臣がスマホを取り出し、何かのデータを開きながら他の面々に声をかける。
「因みに、やっぱり俺の歴代彼女より、幸恵さんの方が美人ですよ? 見ますか?」
「おう、見せろ見せろ。どんな綺麗どころと付き合ってやがったんだお前」
「えっと……、こんな感じですが」
真っ先にいつもの調子を取り戻し、和臣に体を寄せてその手元を覗き込んだ正敏は、素直に感嘆の声を上げた。
「おぉ、色々なタイプの美人が揃ってんじゃねぇか、羨ましすぎるぞこの色男!」
「本当に美人さんばっかり。自信なくすわ~」
正敏が笑いながら和臣を小突き、香織が残念そうに溜め息を吐くと、すかさず和臣がフォローした。
「いえ、確かに彼女達は表面上は美人かもしれませんが、香織さんの内面から滲み出る人格や気品には、彼女達では太刀打ちできません。自信を持って下さい。本当に、香織さんの様な素敵な女性と結婚できた正敏さんが、羨ましいです」
「もう~、本当に口が上手いんだから!」
「全くだ。他人の女房を口説くなよ」
そう言って和臣相手に和気藹々と会話している息子夫婦を眺めながら、親達も好き勝手な事を言い始めた。
「そうか……、夢乃がタイプなら、確かに幸恵はストライクゾーンだな」
「性格だって、気が強くて面倒見が良い所は同じだし。良かったわ~、嫁入り先の心配が無くなって」
「ああ、和臣君なら安心だ。和臣君、ふつつかな娘だが宜しく頼む」
「任せて下さい。必ず幸恵さんを」
「ふざけんじゃ無いわよっ!! 本人の意向丸無視で、何寝言ほざいてんのよっ!!」
自分に断り無く、嫁に貰う云々の話を両親相手にし始めた和臣に、とうとう堪忍袋の緒が切れた幸恵は座卓を拳で叩きながら叱りつけたが、和臣は驚いた表情で幸恵を見詰めた。
「幸恵さん? 俺が結婚相手では不満ですか?」
「不満も何も、あんたから何も言われて無いわよ! それ以前に、私はあんたの勤め先すら、知らないんだけど!?」
自然に声を荒げてしまった幸恵だったが、和臣は少し考えてから納得した様に軽く頷いてみせた。
「……ああ、そうか。もうプロポーズして、了承を貰った気になっていた」
あっさりとそう言ってのけた和臣に、幸恵は握った拳を震わせながらも、何とか自制しながら問いかけた。
「……っ! それって要は、自分がプロポーズすれば、断られる筈がないとか思ってるわけ?」
「あれ? まさか断る気?」
その如何にも理解できないと言いたそうな声を聞いた瞬間、何かが幸恵の中で、盛大に音を立てて弾け飛んだ。
「いっぺん死んでこい! このど阿呆がっ!!」
「うわっ!?」
幸恵が怒声と発すると共に、目の前にあった器を掴んで中身を和臣に向かって振りかけたが、和臣は昔とは違いちゃんと腕で顔を庇った為、溶き卵は殆ど袖にかかっただけで済んだ。そして幸恵が腕を払った勢いで倒したお銚子も、座卓を静かに転がり落ちて、中身が和臣の膝辺りを濡らした程度で済む。
「和臣君、大丈夫か!?」
「はい、大丈夫です。ご心配無く」
「まあまあ和臣君、お酒と卵が服にかかっちゃったわ。ごめんなさいね? 年を取っても乱暴な娘で」
「いえ、いきなり結婚云々の話を出すなんて、俺の配慮が欠けていました。幸恵さんが怒るのは当然です」
「いやいや、和臣君はさすがに人ができているなぁ」
「大手都市銀行勤めは伊達じゃないわねぇ」
「あっ、あのねえぇっ!! まず私に頭を下げるべきでしょうがっ!」
心配そうに声をかけ、謝罪の言葉を口にする両親に神妙に頭を下げる和臣に、そもそもの原因はお前だろうと非難しかけた幸恵だったが、そんな幸恵を半ば無視して事態が推移した。
「取り敢えず、今日は泊まっていきなさい」
「そうね、正敏。着替えを貸してあげて。服を洗濯して明日までに乾かすから」
「分かった。和臣、ちょっと待ってろ」
「すみません」
「幸恵、あんたは台所で食べてなさい。香織さん、卓上コンロと鍋は持って行って良いから。あと他の料理も持って行って」
「はい。じゃあ幸恵さん、行きましょうか」
「……分かったわよ」
(何なのよ、人を馬鹿にして……。そもそも頭を撫でたのだって、上から目線で気に入らないし……)
すっかり悪者、邪魔者扱いされてしまった幸恵は、ふてくされて座敷をあとにして台所へと向かった。そして苦笑気味に支度を整えてくれた香織に礼を言って、一人で再び食べ始める。しかしそれは先程までとは違い、些か味気ないものとなった。
「……ごちそうさまでした」
(お肉、美味しかったけど……)
せっかく実家に帰って来たのに、普段と同様に一人で食べる羽目になってしまったせいか、幸恵は(もう少し楽しく食べたかった)と、何となく悔いが残ってしまった。そして椅子に座ったまま鬱々と黙り込んでいると、頃合いを見計らって来たであろう香織が、ドアを開けて顔を覗かせる。
「あ、幸恵さん、食べ終わった?」
「はい。あの……、すみません香織さん。後始末させてしまって……」
兄嫁が畳に零れた料理や酒の後始末をした事が容易に推察できた為、幸恵が神妙に頭を下げると、香織は笑って歩み寄り、隣の椅子に腰掛けながら幸恵を宥めた。
「良いのよ。確かに和臣さんも酔った勢いでつい口が滑ったみたいだし。流石にあれは拙かったと、反省しているみたいよ? 本格的に潰れてきたから、そろそろ客間で休んで貰うけど」
「酔った勢いって……」
思わず顔を顰めた幸恵を、香織が再度宥める。
「手土産もね、確かにお酒はお義父さんと正敏さん用だけど、予め『お肉を三キロ持参します』なんて言ったら、絶対正敏さんが幸恵さんを呼び寄せると思ったからじゃない? だから幸恵さんに美味しく食べて貰いたくて、良いお肉を調達してきたと思うんだけど」
「……穿ち過ぎじゃないですか?」
もの凄く懐疑的な眼差しを向けられた香織は、座敷から持ってきたバッグを幸恵に渡しつつ、苦笑しながら立ち上がった。
「結構、勘は良い方なんだけど。じゃあ、幸恵さんの部屋にお布団を敷いておいたから、お風呂に入って好きな時に休んでね? 使った食器は流しに入れておいてくれれば良いから」
「はい、ありがとうございます」
恐縮して頭を下げた幸恵に、香織は小さく手を振って台所から消えて行った。そして再び一人になった幸恵は溜め息を吐いて立ち上がり、バッグ片手にかつての自室へと向かう。そして部屋に入ってバッグから手早くパジャマや小物類など必要な物を取り出した幸恵は、風呂場へと向かった。
(私の部屋、かあ……。まだ兄さん達に子供はいないけど、生まれたらその子供の部屋になるんだろうな。それを考えれば、大手を振って帰って来れるのも今のうちか)
そして浴槽に浸かってリラックスした幸恵は、先程の室内を思い浮かべながら多少感傷的な事を考えた。それに引き続いて、かなり現実的な事を考える。
(この際もう少しお金を貯めて、職場に近い場所にワンルームマンションを買う事を、真剣に考えようかしら?)
生涯独身を念頭にした様な考えに、幸恵は自分自身でうんざりしながら幸恵は風呂を上がり、着替えを済ませて先程の部屋に戻った。そしてドアを開けて部屋の照明を点けた瞬間、信じられない事態に遭遇する。
「さて、寝ようかな…………。え?」
目の前に自分用に敷かれていた布団の中には、和臣が既に横たわってすやすやと気持ちよさそうに寝息を立てていた。それを無言で一分近く凝視していても全く起きる気配が無い為、幸恵は枕元に両膝を付いて和臣に声をかける。
「……ちょっと」
「…………」
相手が熟睡している為、一応控え目に声をかけてみた幸恵だったが、当然と言えば当然の如く和臣は全く反応しなかった。
「起きなさいよ」
「…………」
今度は幾分声を大きくして軽く肩を揺すってみたが、和臣は煩わしそうに眉を寄せて体を捻って横を向いた。そして背中を向けられた幸恵のこめかみに、青筋が浮かぶ。
「あのね……、客間は他の部屋なんだけど?」
「…………」
懸命に怒りを堪えつつ再度声をかけた幸恵だったが、無反応に加えて枕元にきちんと畳まれて重ねられている衣類一式を見て、とうとう我慢の限界に達した。
「何、人の部屋で、人の布団で爆睡してるのよ!? この馬鹿ぁぁっ!! しかも脱いだ服をきちんと畳めるなら、状況判断位しなさいよ!?」
「…………」
そう絶叫しつつ、幸恵は和臣の身体にかかっていた毛布や布団を勢い良く剥ぎ取ったが、和臣はシャツにトランクス姿のまま、特に寒そうな気配も見せずに眠り続けていた。そして幸恵の叫び声を耳にした家族が、次々にその部屋に集まって来る。
「うるさいわよ、どうしたの?」
「相変わらず騒々しい奴だな」
「幸恵さん? あら、どうして和臣さんがここで寝てるの?」
「それは私が聞きたいわよ!!」
「幸恵……、お前、酔い潰れてる男の寝込みを襲うなよ」
「誰が襲うかっ!!」
「でも、この騒々しさでも目を醒まさないなんて、さすがあの君島さんの息子さんねぇ」
「動じなさっぷりは夢乃の息子とも言えるがな。あいつはいつでもどこでも、平気で寝れるタイプの人間だった」
「へえ? 叔母さんってそうだったんだ」
「凄いですね。でも火事とか地震とか起きた時、逃げ遅れないんでしょうか」
兄嫁には不思議そうな顔をされ、和臣と交互に見られながら兄には呆れた様に溜め息を吐かれた幸恵は、反射的に和臣を蹴り起こそうとしたが、それを家族総出で押し止められ、その夜は客間の布団で休む事になった。
都心から電車で一時間弱。実家に呼びつけられた幸恵が車内で見た夢は、これまでの人生の中で最低最悪の出来事の記憶だった。思わず独り言を零してから、段々都心とは雰囲気が変わってきている窓の外の景色を眺めながら自問自答する。
(どうして、あんな夢を見たのかしら?)
しかしすぐに、今春、自分と同じ会社に入社してきた父方の従妹とのトラブル絡みで、つい先程、二十何年ぶりかで騙し討ち的に再会した、従兄弟の事を思い出した。
(最近、あの人の顔を見たからか。全く……、没交渉だと思っていたのは私だけで、父親と次男は何回も家に出入りしてたって、何の冗談よ。しかも兄さんとあいつが、飲み友達って何? 人を馬鹿にして)
祖母の最期について拘っていたのは実は自分だけで、他の家族が既に君島と次男の和臣とは和解していた上、交流していたと知った時の幸恵の衝撃は半端では無く、その直後に電話で実家の両親を罵倒した程だった。しかし「お前が未だに君島家の事を口に出した途端大暴れするから、なかなか言えなかった」と言われれば、身に覚えの有り過ぎる身としては、それ以上強くは言えなかったのも仕方のない事ではあった。
その後、従妹である綾乃と和解した事もあり、幸恵はその事については蒸し返さない事にしていたが、その日、そうも言っていられない事態が発生した。
「ただいま……」
途中で見た夢のせいで、どんよりした気持ちのまま実家に帰り着いた幸恵は、兄嫁の香織に玄関の鍵を開けて貰って挨拶すると、エプロン姿の香織は明るく笑いながら、謝罪の言葉を口にした。
「幸恵さん、お帰りなさい。ごめんなさいね。正敏さんが待てないって言って、皆先に食べ始めちゃったの」
「良いですよ。もうお酒も入ってるんでしょう?」
「ええ。お肉と一緒に良いお酒も頂いちゃったから、お義父さんも喜んじゃって」
苦笑しながら頷いた幸恵に香織が笑って返した所で、廊下を歩き出した幸恵は、座敷の方から伝わってくる父や兄の笑い声に、思わず渋面になった。
「頂いたって……、お客様なの? それなのに『美味いものを食わせてやるから、偶には帰って来い』だなんて、何を考えているんだか」
「あ、幸恵さん、それでお客様って言うのが」
「ただいま戻りました……」
香織の話の途中で、座敷の襖を引き開けつつ帰宅の挨拶をした幸恵だったが、そこに本来居る筈の無い人間の姿を認めて、全身の動きを止めた。
「ああ、幸恵。一人暮らしだと碌なものを食ってないだろ。ちゃんと栄養をつけていけ!」
「おう! 今帰ったか、我が不肖の妹!」
「お帰りなさい、幸恵さん。お邪魔してます」
自分が不機嫌になっている原因の男が、ほろ酔い加減で上機嫌な父と兄と一緒に、違和感無く長方形の座卓を囲んでいた為、幸恵はひんやりとした声を出した。
「…………どうしてあんたが、ここに居るのよ?」
その問いに、本人が口を開く前に、幸恵の横から香織が口を挟んできた。
「今日のお肉とお酒は全部、和臣さんのお土産なの。凄いわよ? 但馬牛最高等級A5ランクのすき焼き用お肉を、三キロも頂いちゃったの! さっき食べたけど美味しかったわ~! こんな最高級品、うちのスーパーで取り扱え無いわよねぇ。高値過ぎて、下手したら売れ残るもの」
「香織さん……」
片頬を押さえながら香織がしみじみとそんな事を言った為、幸恵は顔を引き攣らせ、地域密着型のスーパーチェーン店を経営している一家は、苦笑いで応じた。
「香織さん、それは言わない約束だろう」
「そうそう。ちゃんと客層見て仕入れしないと、経営が成り立たないだろうが」
「でも確かにこういう物を、一度は置いてみたいわねぇ……」
そこで香織が思い出した様に幸恵に声をかけた。
「あ、幸恵さん、大丈夫よ? 幸恵さんの分はきちんと取り分けてあるから。さあ、座って食べて食べて」
「はぁ……」
兄嫁に向かって怒鳴るわけにもいかず、幸恵は勧められるまま和臣の隣の座布団に座った。そうして香織が手際よく運んできた茶碗や皿の中身で、夕飯を食べ始める。和臣が愛想を振り撒きつつも幸恵には話しかけずに静かに酒を飲んでいるのを幸い、幸恵は卓上コンロに置かれているすき焼き用の鍋に次々肉を放り込んで黙々と食べていたが、少しして両親が溜め息交じりに言い出した。
「幸恵、お前もうちょっとマメに顔を出せ。来いと言わないと来やしないんだから」
「そうよ。お正月の他はお盆とお彼岸位しか顔を出さないで。同じ都内に住んでいるって言うのに」
その愚痴っぽい響きに、幸恵は思わず箸の動きを止め、皮肉っぽく言い返す。
「そう思っているなら、自然に帰ろうかなと思える様に、もう少しこの家の環境整備をして貰いたいんだけど?」
「何の事だ?」
そこで眉を寄せた父親に向かって、幸恵は苛立たしげに叫んだ。
「とぼけないでよ! 毎回帰る度に『良い人は居ないのか』とか『良い縁談が有るんだ』とか、一々しつこいし五月蠅いのよ! 自分の将来は自分で決めるわ! …………ちょっと。人の頭で何してんのよ?」
文句を言っている途中で、何故か頭を撫でられているのが分かった幸恵は隣に座っている和臣を睨み付けたが、和臣は自分の行為を真顔で告げた。
「うん? 幸恵さんをいい子いい子って宥めているだけ」
「酔ってるの? それとも、もの凄い馬鹿なの?」
「幸恵さんがもの凄く謝りたそうだったから、『気にしないで良いよ』って言いたかったんだ。やっと言えたなぁ……」
「はぁ?」
唐突に、何やら訳が分からない事を感慨深く言われた為、幸恵は毒気を抜かれて首を傾げた。
(やっと言えたって……、何の事を言ってるわけ? この人と接点なんて……)
思わず考え込んだ幸恵だったが、すぐにある事に思い至った。
(ひょっとして……、昔、泥水を浴びせかけた時の事? 確かに悪い事をしたと思ったし、謝りそびれていたけど……。でもこの人の立場なら、私に文句を言うのが妥当じゃないの?)
そう考えた幸恵が当惑していると、いつの間にか和臣は幸恵の頭から手を離し、真剣な顔で年長者達に向き直った。
「伯父さん、伯母さん。正敏さん、香織さんも聞いて下さい」
「あら、何? 和臣君」
「どうかしたのかい?」
姿勢を正して呼びかけてきた和臣に、皆怪訝な顔を向けつつ話を聞く態勢になる。すると和臣は切々と訴えてきた。
「毎回実家に帰る度に、幸恵さんが気の進まない縁談の話を聞かされるのは気の毒です。そっとしておいてあげて貰えませんか? 幸恵さんも気持ち良く、実家に帰りたいでしょうし」
「……ちょっと。そんな事、あんたに言われる筋合いないわよ?」
流石にむかっ腹を立てながら幸恵が会話に割り込んだが、家族は顔を見合わせつつ、弁解じみた台詞を口にする。
「まあ、それはなぁ」
「私達もねぇ、嫌な思いはさせたくは無いんだけど」
「三十近いんだからな、仕方がないだろ」
「幸恵さんはお仕事を頑張ってるから、ちょっとお義父さん達が気にしているだけなのよ」
「ええ、それは重々分かっていますから」
(何でこいつにしたり顔で、家族間の問題に口を挟まれなくちゃならないわけ!?)
こめかみに青筋を浮かべつつ、幸恵は他の者達のやり取りを無視して食事に集中しようとしたが、ここで和臣が静かな口調で言い切った。
「大丈夫です。幸恵さんが嫁き遅れる心配はありません。安心して下さい」
その口調に、正敏が不思議そうに問いかけた。
「はあ? 和臣、お前何でそんなに自信満々なんだよ?」
「俺がマザコンだからです」
「…………はぁ?」
今度は正敏のみならず、幸恵を含めた荒川家全員がきょとんとした顔を和臣に向けたが、そんな当惑した視線を一身に浴びながら、和臣はすこぶる冷静に話を続けた。
「今まで出会った女性の中で、幸恵さんが一番母に似ているので、彼女の事を好きになれると思います。ですから幸恵さんの事は俺が引き受けますので、皆さん安心して下さい」
「…………」
真顔でそんな事を言われた荒川家の面々は、一体どういう反応をすれば良いのか咄嗟に判断が付かず、無言で互いに顔を見合わせた。そんな戸惑いを知ってか知らずか和臣がスマホを取り出し、何かのデータを開きながら他の面々に声をかける。
「因みに、やっぱり俺の歴代彼女より、幸恵さんの方が美人ですよ? 見ますか?」
「おう、見せろ見せろ。どんな綺麗どころと付き合ってやがったんだお前」
「えっと……、こんな感じですが」
真っ先にいつもの調子を取り戻し、和臣に体を寄せてその手元を覗き込んだ正敏は、素直に感嘆の声を上げた。
「おぉ、色々なタイプの美人が揃ってんじゃねぇか、羨ましすぎるぞこの色男!」
「本当に美人さんばっかり。自信なくすわ~」
正敏が笑いながら和臣を小突き、香織が残念そうに溜め息を吐くと、すかさず和臣がフォローした。
「いえ、確かに彼女達は表面上は美人かもしれませんが、香織さんの内面から滲み出る人格や気品には、彼女達では太刀打ちできません。自信を持って下さい。本当に、香織さんの様な素敵な女性と結婚できた正敏さんが、羨ましいです」
「もう~、本当に口が上手いんだから!」
「全くだ。他人の女房を口説くなよ」
そう言って和臣相手に和気藹々と会話している息子夫婦を眺めながら、親達も好き勝手な事を言い始めた。
「そうか……、夢乃がタイプなら、確かに幸恵はストライクゾーンだな」
「性格だって、気が強くて面倒見が良い所は同じだし。良かったわ~、嫁入り先の心配が無くなって」
「ああ、和臣君なら安心だ。和臣君、ふつつかな娘だが宜しく頼む」
「任せて下さい。必ず幸恵さんを」
「ふざけんじゃ無いわよっ!! 本人の意向丸無視で、何寝言ほざいてんのよっ!!」
自分に断り無く、嫁に貰う云々の話を両親相手にし始めた和臣に、とうとう堪忍袋の緒が切れた幸恵は座卓を拳で叩きながら叱りつけたが、和臣は驚いた表情で幸恵を見詰めた。
「幸恵さん? 俺が結婚相手では不満ですか?」
「不満も何も、あんたから何も言われて無いわよ! それ以前に、私はあんたの勤め先すら、知らないんだけど!?」
自然に声を荒げてしまった幸恵だったが、和臣は少し考えてから納得した様に軽く頷いてみせた。
「……ああ、そうか。もうプロポーズして、了承を貰った気になっていた」
あっさりとそう言ってのけた和臣に、幸恵は握った拳を震わせながらも、何とか自制しながら問いかけた。
「……っ! それって要は、自分がプロポーズすれば、断られる筈がないとか思ってるわけ?」
「あれ? まさか断る気?」
その如何にも理解できないと言いたそうな声を聞いた瞬間、何かが幸恵の中で、盛大に音を立てて弾け飛んだ。
「いっぺん死んでこい! このど阿呆がっ!!」
「うわっ!?」
幸恵が怒声と発すると共に、目の前にあった器を掴んで中身を和臣に向かって振りかけたが、和臣は昔とは違いちゃんと腕で顔を庇った為、溶き卵は殆ど袖にかかっただけで済んだ。そして幸恵が腕を払った勢いで倒したお銚子も、座卓を静かに転がり落ちて、中身が和臣の膝辺りを濡らした程度で済む。
「和臣君、大丈夫か!?」
「はい、大丈夫です。ご心配無く」
「まあまあ和臣君、お酒と卵が服にかかっちゃったわ。ごめんなさいね? 年を取っても乱暴な娘で」
「いえ、いきなり結婚云々の話を出すなんて、俺の配慮が欠けていました。幸恵さんが怒るのは当然です」
「いやいや、和臣君はさすがに人ができているなぁ」
「大手都市銀行勤めは伊達じゃないわねぇ」
「あっ、あのねえぇっ!! まず私に頭を下げるべきでしょうがっ!」
心配そうに声をかけ、謝罪の言葉を口にする両親に神妙に頭を下げる和臣に、そもそもの原因はお前だろうと非難しかけた幸恵だったが、そんな幸恵を半ば無視して事態が推移した。
「取り敢えず、今日は泊まっていきなさい」
「そうね、正敏。着替えを貸してあげて。服を洗濯して明日までに乾かすから」
「分かった。和臣、ちょっと待ってろ」
「すみません」
「幸恵、あんたは台所で食べてなさい。香織さん、卓上コンロと鍋は持って行って良いから。あと他の料理も持って行って」
「はい。じゃあ幸恵さん、行きましょうか」
「……分かったわよ」
(何なのよ、人を馬鹿にして……。そもそも頭を撫でたのだって、上から目線で気に入らないし……)
すっかり悪者、邪魔者扱いされてしまった幸恵は、ふてくされて座敷をあとにして台所へと向かった。そして苦笑気味に支度を整えてくれた香織に礼を言って、一人で再び食べ始める。しかしそれは先程までとは違い、些か味気ないものとなった。
「……ごちそうさまでした」
(お肉、美味しかったけど……)
せっかく実家に帰って来たのに、普段と同様に一人で食べる羽目になってしまったせいか、幸恵は(もう少し楽しく食べたかった)と、何となく悔いが残ってしまった。そして椅子に座ったまま鬱々と黙り込んでいると、頃合いを見計らって来たであろう香織が、ドアを開けて顔を覗かせる。
「あ、幸恵さん、食べ終わった?」
「はい。あの……、すみません香織さん。後始末させてしまって……」
兄嫁が畳に零れた料理や酒の後始末をした事が容易に推察できた為、幸恵が神妙に頭を下げると、香織は笑って歩み寄り、隣の椅子に腰掛けながら幸恵を宥めた。
「良いのよ。確かに和臣さんも酔った勢いでつい口が滑ったみたいだし。流石にあれは拙かったと、反省しているみたいよ? 本格的に潰れてきたから、そろそろ客間で休んで貰うけど」
「酔った勢いって……」
思わず顔を顰めた幸恵を、香織が再度宥める。
「手土産もね、確かにお酒はお義父さんと正敏さん用だけど、予め『お肉を三キロ持参します』なんて言ったら、絶対正敏さんが幸恵さんを呼び寄せると思ったからじゃない? だから幸恵さんに美味しく食べて貰いたくて、良いお肉を調達してきたと思うんだけど」
「……穿ち過ぎじゃないですか?」
もの凄く懐疑的な眼差しを向けられた香織は、座敷から持ってきたバッグを幸恵に渡しつつ、苦笑しながら立ち上がった。
「結構、勘は良い方なんだけど。じゃあ、幸恵さんの部屋にお布団を敷いておいたから、お風呂に入って好きな時に休んでね? 使った食器は流しに入れておいてくれれば良いから」
「はい、ありがとうございます」
恐縮して頭を下げた幸恵に、香織は小さく手を振って台所から消えて行った。そして再び一人になった幸恵は溜め息を吐いて立ち上がり、バッグ片手にかつての自室へと向かう。そして部屋に入ってバッグから手早くパジャマや小物類など必要な物を取り出した幸恵は、風呂場へと向かった。
(私の部屋、かあ……。まだ兄さん達に子供はいないけど、生まれたらその子供の部屋になるんだろうな。それを考えれば、大手を振って帰って来れるのも今のうちか)
そして浴槽に浸かってリラックスした幸恵は、先程の室内を思い浮かべながら多少感傷的な事を考えた。それに引き続いて、かなり現実的な事を考える。
(この際もう少しお金を貯めて、職場に近い場所にワンルームマンションを買う事を、真剣に考えようかしら?)
生涯独身を念頭にした様な考えに、幸恵は自分自身でうんざりしながら幸恵は風呂を上がり、着替えを済ませて先程の部屋に戻った。そしてドアを開けて部屋の照明を点けた瞬間、信じられない事態に遭遇する。
「さて、寝ようかな…………。え?」
目の前に自分用に敷かれていた布団の中には、和臣が既に横たわってすやすやと気持ちよさそうに寝息を立てていた。それを無言で一分近く凝視していても全く起きる気配が無い為、幸恵は枕元に両膝を付いて和臣に声をかける。
「……ちょっと」
「…………」
相手が熟睡している為、一応控え目に声をかけてみた幸恵だったが、当然と言えば当然の如く和臣は全く反応しなかった。
「起きなさいよ」
「…………」
今度は幾分声を大きくして軽く肩を揺すってみたが、和臣は煩わしそうに眉を寄せて体を捻って横を向いた。そして背中を向けられた幸恵のこめかみに、青筋が浮かぶ。
「あのね……、客間は他の部屋なんだけど?」
「…………」
懸命に怒りを堪えつつ再度声をかけた幸恵だったが、無反応に加えて枕元にきちんと畳まれて重ねられている衣類一式を見て、とうとう我慢の限界に達した。
「何、人の部屋で、人の布団で爆睡してるのよ!? この馬鹿ぁぁっ!! しかも脱いだ服をきちんと畳めるなら、状況判断位しなさいよ!?」
「…………」
そう絶叫しつつ、幸恵は和臣の身体にかかっていた毛布や布団を勢い良く剥ぎ取ったが、和臣はシャツにトランクス姿のまま、特に寒そうな気配も見せずに眠り続けていた。そして幸恵の叫び声を耳にした家族が、次々にその部屋に集まって来る。
「うるさいわよ、どうしたの?」
「相変わらず騒々しい奴だな」
「幸恵さん? あら、どうして和臣さんがここで寝てるの?」
「それは私が聞きたいわよ!!」
「幸恵……、お前、酔い潰れてる男の寝込みを襲うなよ」
「誰が襲うかっ!!」
「でも、この騒々しさでも目を醒まさないなんて、さすがあの君島さんの息子さんねぇ」
「動じなさっぷりは夢乃の息子とも言えるがな。あいつはいつでもどこでも、平気で寝れるタイプの人間だった」
「へえ? 叔母さんってそうだったんだ」
「凄いですね。でも火事とか地震とか起きた時、逃げ遅れないんでしょうか」
兄嫁には不思議そうな顔をされ、和臣と交互に見られながら兄には呆れた様に溜め息を吐かれた幸恵は、反射的に和臣を蹴り起こそうとしたが、それを家族総出で押し止められ、その夜は客間の布団で休む事になった。
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