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もっと身体を労ろう
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「カップ麺、出来ましたよ」
「…………」
「起きてください! カップ麺、できたんですから!」
「…………」
「カップ麺、伸びちゃいますよ!?」
「…………」
あぁぁぁ、どうしよう! 麺が伸びちゃうと思って、思い切って声をかけたのに熟睡してる! どうして三分も経たないうちに、熟睡しちゃうのよ!
勇気を振り絞って声をかけたのにもかかわらず、目の前で机に突っ伏したまま爆睡している男を見て、彼女は地団駄を踏んだ。
こうしているうちにも、美味しくなくなっちゃう! 食べ物を粗末にしたらいけないんだから! よし、こうなったら実力行使!
躊躇ったのはほんの僅かな間だけで、蓋を閉じたままのカップ麺の容器を横目で見ながら、彼女は行動に出た。
※※※
「こぉらぁあぁぁ――っ! さっさと起きろ――っ!!」
「……んぁ?」
何だ? 今、変な叫び声と、頭に変な感覚がしたような……。
「あ、やっと起きた。さっき作ったカップ麺が、もう出来ているわよ」
「え? あ、どうも……、いや、すっかり寝ちまったなぁ……、って、へ?」
半ば寝ぼけながら上半身を起こし、自分がいつの間にか寝ていたのと、少し離れた所に置いてあったカップ麺の容器を認めた彼は、小さくあくびをした。次いで反射的に、声のした方に目を向ける。
「ほら、いつまでも寝ぼけてないで、さっさと食べなさい」
「……はい? バッ、バケモノ――ッ!!」
「何ですって!? 失礼極まりないわね!!」
目の前の信じられない光景に、彼は思わず座ったまま驚愕の叫びを上げた。その瞬間、顔面に新たな衝撃を受けた彼は、再び意識を失ったのだった。
※※※
「うっ、うわぁあぁぁぁ――っ!」
自分の絶叫で覚醒した彼は、勢いよく上半身を起こして周囲を見回した。深夜に近い時間帯に残業しているのは自分だけであり、特に異常は見当たらずに安堵の溜め息を漏らす。時刻を確認すると、先程カップ麺の容器に熱湯を注いでから三分強が経過しており、彼はそれでいくらか平静を取り戻した。
「いつの間にか寝ちまったのか……、ちょうど良い頃合いで目が覚めて良かったな。カップ麺を一つ、無駄にしなくて済んだのは良かっ……」
早速食べようとカップ麺の容器に手を伸ばした彼の視線の先に、先程自分に説教を垂れた挙げ句、顔面に激突してきた手乗りサイズのぬいぐるみがあった。
同僚が出張先で複数貰って来たと言って数日前に押しつけられたそれは、ご当地ゆるキャラの桜の妖精をイメージしたぬいぐるみだった。迂闊に捨てたらなんとなく呪われそうで机の上になんとなくそのままにしていたそれを、彼は顔を強張らせて凝視する。
「いや、うん……、夢だよな。夢で偶然だ。これはただの、ゆるキャラぬいぐるみ……」
自分自身に言い聞かせるようにブツブツと呟きながら、彼は慎重に両手でそのぬいぐるみを抱え持ち、それを自分に押しつけた同僚の机に運んだ。それから彼は未だ手つかずのカップ麺を放置し、急いで家路についたのだった。
「…………」
「起きてください! カップ麺、できたんですから!」
「…………」
「カップ麺、伸びちゃいますよ!?」
「…………」
あぁぁぁ、どうしよう! 麺が伸びちゃうと思って、思い切って声をかけたのに熟睡してる! どうして三分も経たないうちに、熟睡しちゃうのよ!
勇気を振り絞って声をかけたのにもかかわらず、目の前で机に突っ伏したまま爆睡している男を見て、彼女は地団駄を踏んだ。
こうしているうちにも、美味しくなくなっちゃう! 食べ物を粗末にしたらいけないんだから! よし、こうなったら実力行使!
躊躇ったのはほんの僅かな間だけで、蓋を閉じたままのカップ麺の容器を横目で見ながら、彼女は行動に出た。
※※※
「こぉらぁあぁぁ――っ! さっさと起きろ――っ!!」
「……んぁ?」
何だ? 今、変な叫び声と、頭に変な感覚がしたような……。
「あ、やっと起きた。さっき作ったカップ麺が、もう出来ているわよ」
「え? あ、どうも……、いや、すっかり寝ちまったなぁ……、って、へ?」
半ば寝ぼけながら上半身を起こし、自分がいつの間にか寝ていたのと、少し離れた所に置いてあったカップ麺の容器を認めた彼は、小さくあくびをした。次いで反射的に、声のした方に目を向ける。
「ほら、いつまでも寝ぼけてないで、さっさと食べなさい」
「……はい? バッ、バケモノ――ッ!!」
「何ですって!? 失礼極まりないわね!!」
目の前の信じられない光景に、彼は思わず座ったまま驚愕の叫びを上げた。その瞬間、顔面に新たな衝撃を受けた彼は、再び意識を失ったのだった。
※※※
「うっ、うわぁあぁぁぁ――っ!」
自分の絶叫で覚醒した彼は、勢いよく上半身を起こして周囲を見回した。深夜に近い時間帯に残業しているのは自分だけであり、特に異常は見当たらずに安堵の溜め息を漏らす。時刻を確認すると、先程カップ麺の容器に熱湯を注いでから三分強が経過しており、彼はそれでいくらか平静を取り戻した。
「いつの間にか寝ちまったのか……、ちょうど良い頃合いで目が覚めて良かったな。カップ麺を一つ、無駄にしなくて済んだのは良かっ……」
早速食べようとカップ麺の容器に手を伸ばした彼の視線の先に、先程自分に説教を垂れた挙げ句、顔面に激突してきた手乗りサイズのぬいぐるみがあった。
同僚が出張先で複数貰って来たと言って数日前に押しつけられたそれは、ご当地ゆるキャラの桜の妖精をイメージしたぬいぐるみだった。迂闊に捨てたらなんとなく呪われそうで机の上になんとなくそのままにしていたそれを、彼は顔を強張らせて凝視する。
「いや、うん……、夢だよな。夢で偶然だ。これはただの、ゆるキャラぬいぐるみ……」
自分自身に言い聞かせるようにブツブツと呟きながら、彼は慎重に両手でそのぬいぐるみを抱え持ち、それを自分に押しつけた同僚の机に運んだ。それから彼は未だ手つかずのカップ麺を放置し、急いで家路についたのだった。
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