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第33話 それぞれの道(2)
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「では、次のお話に移りましょう」
紗良が切り出した。
「ルードヴィッヒのおじいちゃんが、不知火さんの身元保証人を引き受けてくれました。身分証明証も発行してくれます。錬金術ギルドに在籍して、そちらから身分証明書を発行してもらう方がいいのでしたら、それも可能だと聞いています」
「それは助かるよ。改めてお礼を言う。ありがとう」
「バカ、友だちだろ。それくらいは当たり前だ。それに、俺と紗良はそれなりの地位になるみたいだから、その後も色々と手助けできる。何でも相談してくれ」
「特に図南はカッセル神殿の神聖騎士団団長よりも階級が上になりますから、あたし以上に便宜が図れるはずです」
自分よりも図南の方が拓光も頼み易いだろう、と紗良が図南の言葉を補足した。
「実はさ、カッセル市に着いたら美女に変身して、別人の振りをして生活をしようと思っていたんだ」
話の展開に図南と紗良がポカンとする。
「……別人の振り?」
「女性になるんですか……」
かろうじて図南と紗良がそれだけ返すと、拓光が怪しげな笑みを浮かべて必要もないのに声をひそめた。
「リアル姫プレイだ」
「マジか」
図南も釣られて声をひそめる。
互いに声をひそめる図南と拓光とは対照的に紗良が前のめりで食いついた。
「女性として生きようだなんて……。不知火さん、この三日間に何があったんですか? あたしが居るところで話しづらいなら席を外しましょうか?」
その様子はとても席を外す気があるようには見えない。
瞳が妖しく輝いていた。
そんな紗良に拓光が呆れたように返す。
「闇雲……。お前、俺をどういう目で見てるんだ?」
「そうですね、何だか見る目が変わりそうな予感がしています」
頬を染めた紗良が図南を気にするように視線を向ける。だが、図南の方は何も聞こえなかった振りをして黙々と肉にかぶり付いていた。
拓光は軽く首を振って話しだす。
「姫プレイをしようというのは、変身能力が使えることが分かった時点から考えていたことだ。それに、森の中でもそんな話をしたと思ったけど?」
拓光が図南に視線を向けると、図南も肉を傍らにおいて答える。
「いや、聞かされてはいたけど、本当にやるとは思わなかった。それもカッセル市に到着早々とか、色々と大丈夫なのか?」
「決断させたのは錬金術だけどな」
拓光が不敵な笑みを浮かべた。
「錬金術も、やっぱり普通じゃないのか?」
「錬金術を使って生きていけそうなのでしょうか?」
図南も紗良も、拓光の錬金術がチートクラスだと予想はしていたが、得意満面に本人の口から語られるとなると期待感が煽られる。
「俺の錬金術、やっぱりチートだったわ」
紗良が切り出した。
「ルードヴィッヒのおじいちゃんが、不知火さんの身元保証人を引き受けてくれました。身分証明証も発行してくれます。錬金術ギルドに在籍して、そちらから身分証明書を発行してもらう方がいいのでしたら、それも可能だと聞いています」
「それは助かるよ。改めてお礼を言う。ありがとう」
「バカ、友だちだろ。それくらいは当たり前だ。それに、俺と紗良はそれなりの地位になるみたいだから、その後も色々と手助けできる。何でも相談してくれ」
「特に図南はカッセル神殿の神聖騎士団団長よりも階級が上になりますから、あたし以上に便宜が図れるはずです」
自分よりも図南の方が拓光も頼み易いだろう、と紗良が図南の言葉を補足した。
「実はさ、カッセル市に着いたら美女に変身して、別人の振りをして生活をしようと思っていたんだ」
話の展開に図南と紗良がポカンとする。
「……別人の振り?」
「女性になるんですか……」
かろうじて図南と紗良がそれだけ返すと、拓光が怪しげな笑みを浮かべて必要もないのに声をひそめた。
「リアル姫プレイだ」
「マジか」
図南も釣られて声をひそめる。
互いに声をひそめる図南と拓光とは対照的に紗良が前のめりで食いついた。
「女性として生きようだなんて……。不知火さん、この三日間に何があったんですか? あたしが居るところで話しづらいなら席を外しましょうか?」
その様子はとても席を外す気があるようには見えない。
瞳が妖しく輝いていた。
そんな紗良に拓光が呆れたように返す。
「闇雲……。お前、俺をどういう目で見てるんだ?」
「そうですね、何だか見る目が変わりそうな予感がしています」
頬を染めた紗良が図南を気にするように視線を向ける。だが、図南の方は何も聞こえなかった振りをして黙々と肉にかぶり付いていた。
拓光は軽く首を振って話しだす。
「姫プレイをしようというのは、変身能力が使えることが分かった時点から考えていたことだ。それに、森の中でもそんな話をしたと思ったけど?」
拓光が図南に視線を向けると、図南も肉を傍らにおいて答える。
「いや、聞かされてはいたけど、本当にやるとは思わなかった。それもカッセル市に到着早々とか、色々と大丈夫なのか?」
「決断させたのは錬金術だけどな」
拓光が不敵な笑みを浮かべた。
「錬金術も、やっぱり普通じゃないのか?」
「錬金術を使って生きていけそうなのでしょうか?」
図南も紗良も、拓光の錬金術がチートクラスだと予想はしていたが、得意満面に本人の口から語られるとなると期待感が煽られる。
「俺の錬金術、やっぱりチートだったわ」
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