デモンズ・ゲート

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第1章

キャンディ

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 大きな歓声が上がった。
2人の戦いに、観客から賞賛の拍手が送られる。

  担架で運ばれるアレンとアンジを見たマナは、急いで階段を降りていく。


  魔法学校を卒業したばかりの者とは思えぬ戦闘能力を披露した二人に、ケイムは満足気な表情を浮かべる。

 「やはり、私の発明品は凄いな」

  腰に手を回し、空を仰ぐ。
首から下げている魔法石が、太陽に照らされキラリと光った。


  暫くし、目が覚めたアレンは椅子に腰掛ける。マナが回復魔法のヒールで治療していた。

 「あんた達、無茶し過ぎじゃない?」

 「えっ? ああ。あれほどやるつもりは無かったんだけどな」

 「そうだ! 試合の結果はどうなったんだ?」

 「試合じゃなくて、試験でしょ。」

  怒った顔でマナが見る。そういうのいいから、結果を教えてくれよとアレンは思っていた。

 「両者気絶によって、引き分け!」

 「なぁに~!」

  寝起きとは思えない声を出しながら、奥のベットで横になっていたアンジがこちらを見ている。

 「完っっ全にアレンの方が、気を失うの早かったからな! 俺、気絶するアレン見たし!」

  どうやら結果に不服の様だ。
さっきまで寝ていたのに、元気の化身かお前は? とアレンは思った。

 「そんな瞬間的な事は知らないわよ。観客席から見てたら、二人同時に倒れたんだから仕方ないんじゃない?」
  
 「くそ~! 審判、ちゃんと見てろよ~」

  頭をクシャクシャにしながら悔しがる。

  肘が何かにぶつかった。
  なんだ? と思い横を見る。

  薄紫色の髪をした、人が立っていた。

 「うわぁあ! キャンディ! 居るなら居るって言えよ!」

  アンジより、自分に向けられたらその太い声にビックリするキャンディ。

 「あ……いや……え? ご、ごめんなさい!」

  キャンディはそのまま、部屋から飛び出した。

 「ちょっとアンジ! 何やってるのよ! あんたの治療をずっとやってくれたのよ」

 「えっ? そうなのか?」

  慌てふためくアンジ。お礼を言わなければと、追って部屋を出る。

  キャンディ・ディ・ディンベル
150cmくらいの小柄で、マナと同じく水魔法が得意だ。しかし、気が弱い事もあり、軍に入ってやっていけるのか? アレンは心配になった。

  ドアが開く音と共に、ケイムが入って来た。

 「やぁアレン。2人きりの所、お邪魔するよ」

 「な、なに言っているのケイム」

 「まぁまぁ、落ち着け。傍から見れば誰だってお前が……ん? あ、あぁ、すまん、いやごめんなさい」

  アレンからはマナの表情をうかがい知る事は出来ないが、たぶん恐ろしい顔をしているのだろう。ケイムの怯える顔を見れば分かる。

  広間に集合だと、連絡事項を伝えるとそそくさと出ていった。

  ずいぶんと遅れたが、軍の任命式なのかな? アレンはマナと共に広間へと向かった。
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