デモンズ・ゲート

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第1章

エリート

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  広間の扉を開けると、20~30人くらいだろうか? 先ほどの実技試験に参加していた人たちが集まっていた。

  10分ほどすると、厳格そうな軍の人が入って来る。

 「揃ったか! では今から、お前達の所属する部隊を発表する!」

  アレンは緊張していた。
これからの人生と言うか、将来みたいなものがここで大体決まってしまうからだ。

  名前が呼ばれ、厳格な軍人の前に立つと配属先が発表され、各々の上司の前へと並び直す。

 「っ以上! ホーストン配備22名!」

  思わぬ言葉が飛び出す。俺やマナ
アンジ等の名前は呼ばれていない。まさか……
 「不合格」この文字が頭によぎった。

  
 「続いて、キャスタル王国研究部、ケイム・ホグナー大尉より発表頂く」

  王国? 研究部に入れられるのか?
  いや、それよりケイムの奴「大尉」になっていたのか。色々な思いが頭を駆け巡る。

  
 「えー、紹介に預かりましたケイム・ホグナーです。私に名前が呼ばれた方は、王国の部隊に配備となります」

  珍しくも改まった口調で、ケイムが次々と名前を呼んでいく。


  アレン・ライオネット
  マナ・ナックドール
  アンジ・グレバー
  ダートン・グレイス
  ナオ・フォースタ
  キャンディ・ディ・ディンベル
  ユウ・フィッシャー
  ジャオシンジャ・インスウ
  グリーヴァ・バラーチ


 「以上9名は明日、私と共にキャスタルへと向かう。本日中に準備をしておくように」

  遠くに居たアンジが雄叫びを上げている。
  それもそうだ、王国配備とはエリートコースの事だ。

 マナが袖を引っ張っているのに気が付く。ケイムの所へ行こうと言っているみたいなので、前の方へと移動する。


 「ケイムゥゥゥ!」

  満面の笑みでケイムに駆け寄り、抱きつこうとしているアンジ。それを見たケイムがビー玉の様な物を投げたと思うと、閃光が放たれる。
  アンジは抱きつく事なく転けた。

 「私は男と抱き合う趣味はないんだよ」


  気が付くと、ケイムに名前を呼ばれた者が集まって来ている。

 「おいおい、ホグナー。王国に行って何処に配備されるんだよ? まさか研究部じゃないよな!」

  真っ先に口を開いたのは、ナオ・フォースタ。
  女だがほとんど男みたいな性格で気性も荒い。一言で言ってしまうと不良だ。

 「詳しい事は王国に着いてから、発表する事になっている。明日の朝には出発する予定だから、今は準備に専念したまえ」

  そう言うと、他の軍の人達と奥の部屋へと消えて言った。



  家に戻って来たアレン。
王国へ行く準備と言われても、今までホーストンから出た事のないアレンには、何をどれくらい持って行けばいいから分からなかった。

  服を出してきて見たが、それを入れる鞄が無いことに気付いた。

 「こう言う事は、マナに聞いてみるか」

  自分で考えるのを諦め、マナの家へと向かった。
  町の中心部は瓦礫の撤去がほぼ終わっており、景観はすっきりして来ていた。

  あの謎のモンスター達と、光る人間は何だったのだろう? この疑問も明日王国に入り、正式に配属されれば情報を知ることも出来るだろう。
  そう考えている内に、マナの家へと着いた。

  家の戸を叩く。

 「マナ~。居る?」

  戸が開くと出てきたのは、マナのお母さんだった。

 「あら、アレン君。久し振りね」

  アレンは会釈をする。そう言われて見れば、あのモンスターの事件以来会ってなかったのを思い出した。

 「マナはね、学校に杖を取りに行くってちょっと前に出て行っちゃったの。走れば追いつけるかもしれないわね」

  杖? そうか洋服なんかより、大事な物を忘れて行く所だったと気づく。

 「おばさん、ありがと。僕も学校に用事があるから追いかけてみるよ」

  アレンはお礼を言って、学校に向かおうとすると、後ろから手を握られる。震えている気がした。

 「マナに聞いたけど、アレン君も王国に行くのよね?」

 「マナの事、よろしく頼むわね。あの子は気が強い様で、弱い所もあるから」

  そうか、娘がこんな田舎から都会に出て行くのだ。母親としては不安に決まっている。

 「おばさん、マナの事は任せて下さい。今までお世話になった分、今度は僕がおばさんのお願いを叶える番ですから」

  手を握り直し、アレンは笑顔で応える。

 「アレン君も体に気を付けてね」

  アレンはもう1度お礼をすると、学校へ向かい走り出した。
  
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