天然クールな騎士団長のアブないマッサージ

うこと

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過去編 家庭教師ジスラン4

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 最初に触れられた時とは明らかに異なる刺激が、ルネの身体を駆け巡った。
 腹の奥が重くなるような、痺れるような、何とも不可解な感覚だ。

「あ……、んっ」

 陰茎と胸を同時に刺激され、段々と息遣いが荒くなっていく。

 ジスランの手付きは巧みだ。 
 得体の知れないものに身体が侵食される恐怖に怯えている自分と、未知の感覚に胸を昂らせている自分がいる。

 まるで、身体も心も自分のものではないみたいだ。
 
「興奮すると陰茎の先端から粘液が分泌されます。それにより滑りが良くなり、マッサージがしやすくなるのですよ」

 ジスランの言う通り、よく見るとぬるぬるした透明の液体が先端から滲み出ている。
 普段であれば人体の不思議に興味を募らせているはずだが、今のルネにそんな余裕はない。

「これくらいまで陰茎が硬くなれば、少し強く扱いても大丈夫です。先端を割るように撫でたり、裏側を刺激するのも効果的です」
「あッ、や、……っ!」

 与えられた強い刺激に、ルネは身体を大きく震わせながら甲高い声を上げた。
 
「気持ちいいですか? ルネ様」
「……?」
「陰茎のマッサージは独特の快楽を伴うなのですよ」
「快楽……」

 得体の知れない感覚に名を与えられたルネは、言葉の意味を確かめるように呟いた。

 甘く痺れるようでむず痒く、腹の奥が熱くなる感覚。
 言われてみれば、確かに気持ちいいという表現がしっくりくる。

「……だからマッサージって言うんですね」

 筋肉の凝りを解すマッサージとは異なる感覚ではあるが、気持ちよくなるという点は同じだ。

「ええ、その通りです。これからもっと気持ちよくなりますよ」

 ジスランが手の動きを速めた。
 恐怖が消え去った途端に感覚が鋭敏になったのか、ルネは先程よりも大きく身体を震わせた。

「あっ、あッ……、ん……っ」

 上下に擦られるたび、普段は決して出さないような湿った息が漏れる。 

 脳まで痺れる電流のような胸への刺激と、熱くなる腹部、血流が集まり張り詰めていく陰茎――。
 与えられている強い快楽とは別の何かが、腹の奥から駆け上がってきている気がする。
 
「そろそろ出そうですね」

 ジスランは胸に触れていた手を離すと、どこからか取り出したハンカチを持ってルネの陰茎の先端に宛がった。

 なおも激しく擦られ続け、ルネは思わずジスランの服の袖を掴んだ。 

「ん、せんせ……なにか、あ、あッ……!」

 先端から勢いよく射出したものが、ジスランの持つハンカチへと吸い込まれていった。
 
 ハンカチに遮られ直接は見えないが、陰茎に纏わりつく粘り気のある感触には覚えがある。

「せんせい……」

 射精した達成感と高揚感に包まれながら、ルネは後ろを振り返った。
 ジスランは柔らかな笑みを携えながら、ゆっくりと頷いた。

「ちゃんと出せましたね、ルネ様」

 ジスランはハンカチの中身が漏れないよう畳んでからソファの脇に置くと、ルネの頭を撫でた。
 幼子を褒めるような優しい手付きだ。

「よかった……先生、ありがとうございます」
「ルネ様のお力になれて何よりです」

 ジスランは先程とは別のハンカチを衣服の内側にある胸ポケットから取り出すと、ルネに手渡した。

「こちらをお使いください」

 ジスランの目線の先には白濁が付着したままのルネの陰茎がある。

 ヴィレール家の物を使えばルネが気を遣うだろうと、拭く物を多めに持参してくれたのだろう。

 ジスランの細やかな配慮に感謝を述べてから、ルネはハンカチで汚れを拭った。

 ハンカチ程度の大きさであれば、ルネ一人でも洗濯ができる。
 もう一枚のハンカチと合わせて洗ってから返すべきだろう。

「先生、ハンカチは私が」
「いえ、このままで構いませんよ」

 ジスランはルネの手からハンカチをそっと抜き取ると、元のポケットへとしまい込んだ。

「ジスラン先生……服が汚れてしまうのでは」
「大丈夫ですよ。それよりも先にズボンを穿きましょうか。身体が冷えてしまいます」
「は、はい……!」

 ルネはソファから立ち上がると、慌てて衣服を整えた。
 その間にジスランはソファに置いてあるもう一枚のハンカチを手に取り、やはり胸ポケットへとしまった。

 服に染みてしまわないかと思ったが、恐らく指摘しても大丈夫と返されてしまうだろう。
 ジスランのことだ。何か服が汚れないよう工夫しているに違いない。

 ハンカチの件は厚意に甘えることにして、ルネは敷物代わりにしていたジスランの上着に視線を移した。
 こちらには汚れは見当たらず、ほっと胸を撫でおろす。

「ルネ様。非常に申し上げにくいのですが……」

 その上着を拾い上げたジスランは、遠慮がちに口を開いた。

「今回はやむを得ず陰茎以外の箇所を刺激しながらマッサージいたしましたが、あまり一般的な方法ではありません。今のルネ様は、まだお一人で対処できるようになったとは言い難い状況です」
「……はい」 

 ジスランの手を借りなければならなかったのは、ルネが一人で陰茎を興奮させることができなかったからだ。

 それなのに、ジスランは自らを責めるように眉間に皺を寄せ、拳を震わせている。

「全ては私の力不足です。ルノー様から性教育の講義は一回で終わらせるよう言われておりましたが、ルネ様がお一人でマッサージできるようになるまで、お手伝いさせていただけないでしょうか」

 頭を下げたジスランをルネは慌てて制した。

「顔を上げてください、先生。先生は何も悪くありません。私がいけないのです。興味がないからと今までなおざりにしてきたせいで、先生にご迷惑をお掛けして……」

 ジスランは何も悪くない。
 頭を下げ教えを請わなければいけないのは、むしろ自分の方だ。

「先生。どうかこれからもご指導いただけないでしょうか」
「ルネ様……ありがとうございます」

 顔を上げたジスランにいつも柔らかな笑みが戻り、ルネの胸に安堵が広がった。

「しかし、ルノー様には何と申し上げましょうか。私の指導が至らなかったことはありのままお伝えすべきですが、いくらご兄弟とはいえ、ルネ様の状態をありのままお話して良いのかどうか……」

 ジスランの言葉に、家族同士で話すのは気恥しいと話すルノーの姿がルネの頭に過ぎった。

 赤裸々に話すことをルノーは望んでいないし、一人で興奮できないことを話せば余計な心配をかけてしまうかもしれない。
 何より、心優しいジスランに非があるように思われてしまうのは避けねばならない。
 全ては自分が至らないせいなのに。

「……先生。一般的にはどのように講義を進めるのでしょうか」

「そうですね……自分が受けた時の話になりますが、元からそれなりに知識はありましたので、実践ではなく模型を使って正しい手技を教えてもらいました。ルネ様の場合、実践が一番分かりやすいかと思い模型は使用しませんでしたが……」

「では、兄にはそのようにお伝えください。私も、もし聞かれたら同じように答えます」
「……よろしいのですか?」
「はい。これからもよろしくお願いいたします」

 安堵の息を漏らしたジスランを見て、ルネもまた、己の選択が間違っていないことにほっと息を吐き出した。
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